荒ぶる世界の最果てダンジョン~村娘、姫騎士、女神官。みんなエロトラップに引っかかってアヘ顔Wピース!からの踊り食い~

櫛名月

文字の大きさ
4 / 45

4 お約束の展開ってやつ

しおりを挟む
 街に到着したのは村を出てから二日目の夕方だった。

 街の名はモルドー。

 街全体をぐるりと囲んでいる、戦争の傷跡が色濃ゆく残る防壁は、戦争が終結した現在、その役目は防御から観光資源に成り代わっていた。

「これからどうするかだけど、とりあえず晩飯だよな」

 街の人に声をかけ、酒場宿の場所を教えてもらう。
 しかし、訪れた先では――、

「あんたナメてんの? こんなはした金じゃ水もやれないよ。出ていきな。シッシッ!」

 とか――、

「嫌がらせですか? もしかして最近話題の迷惑系冒険者の方でしょうか? いま衛兵をお呼びしますので、そこにお掛けになってお待ちください」

 とか。

 とりあえず、生活費を稼ぐためにも明日から仕事を探すとしてだ。
 今晩はどこで寝ようか。腹も減った。
 眠れそうな場所を探して街中をさまよっていると、壁に挟まれた薄暗い石畳の坂道の向こうで、男のわめき声が聞こえてきた。
 路地裏に入って、声のする方へ進むと声がはっきりとしてきた。

「調子にのんなよ! いい加減あきらめて、坊っちゃんの女になれってんだよ!」
「お断りよ! 何度も言ってるでしょ!」

(なんかおだやかじゃないな。それにこの声は――)

 湊は胸の高鳴りを覚えつつ、駆け出す。

(あそこか――)

 坂を登りきった先に彼らはいた。
 壁際に追いつめられた外套に身を包んだ女を三人の男が取り囲んでいた。
 フードとフェイスヴェールに隠れて女の顔はよくわからない。
 野次馬は誰もその女を助けようとはしない。
 湊はまっすぐ女の方へ歩いていった。

     §

「どうします、坊っちゃん?」

 ヘビ柄シャツを着た、いかにもガラの悪い男が、真ん中でふんぞり返っている恰幅のいい若い男に問いかける。

「いつまでも、そんなこと言ってていいのか。んん? 死にそうなお前を助けてあげたのはこのボクだぞ? そのボクに恩を仇で返すのか?」

 坊っちゃんはそう言って、女性が手にしていた籠からリンゴを奪って、ガブっとかじる。

「あ! それはお店の! ひどい……」
「うっさいな。ホレ」

 坊っちゃんは懐から銀貨を一枚取り出すと、そいつをそのままぽいっと女に向かって投げ捨てる。
 女は転がる銀貨には目もくれず、ニタニタと笑っている男を睨めつけた。

「サイッテー」
「うひょー、その強気な態度、ボクちゃん大好物! なあ、お前らもそう思うだろ?」
「いやあ、もう坊っちゃんの言うとおり!」

 ヘビ柄シャツの男が坊っちゃんに即答する。

「アッシは、熟女でボチャっとしたのがいいっす」と、もうひとりの取り巻き。
「お前の好みなんてどーでもいいのっ! それより女! いつまでもボクの言うこと聞かないと、父上に頼んでこの街から追い出しちゃうぞ。いいのか? それか、お前が働いている店を潰しちゃってもいいんだぞ?」

「……バッカじゃないの? 女の子に拒否られたからって大げさすぎ。なんでも自分の思いどおりになると思ったら大間違いなんだから。そんなことより早くそこをどきなさいよ!」
「おい! いまボクのことバカにしたな? 謝罪しろ!」
「どうしてアタシが? 意味わかんない――って、え?」

 女は坊っちゃんから目をそらした。

「どうやらまたお仕置きが必要みたいだな。よし、決めたぞ! お前をこれからお仕置きしてやる! お前ら、この女を僕んちに連れていけ!」

 返事がない。

「おいどうした? 連れていけ!」

 すると――、

「なにお仕置きって?」
「は? いつもやってるだろ……って誰だキサマー!」

 そこにいたのは、ヘビ柄シャツの男ではなく湊だった。

「ヘビィは? どこいった?」

 キョロキョロと坊っちゃんが見回すと、

「のわっ! ローング! お前までぇえ!」

 ヘビィとローングは口から泡を吹いて倒れていた。

「きっさまー! この街でボクに逆らうとはいい度胸だな! 何者だ?」
「何者? ……あ。衛兵でーす」

 湊はヘビィとローングから奪った短剣を品定めしながら、適当に答える。

「んなわけあるか! どこからどう見ても平民じゃないか! 平民の分際でボクに楯突くとどうなるか教えてやる!」
「へー、突くとどうなんの? ぜひ教えてくれよ」

 湊は鞘から短剣を抜き出すと、くるりと持ち替えて坊っちゃんに切っ先を向けた。

「うぐ……」

 急に坊っちゃんは駆け出し、じゅうぶん離れたところで、

「今日のところは見逃してやる! だけど明日からはこの街を平然と歩けると思うなよ!」

 威勢はいいが、声がどんどん遠のいていく。
 ヘビィとローングの二人を残したまま、坊っちゃんは視界から消えていった。

     §

「すっげぇ小物臭。あんなセリフ言うやつ、本当にいるんだな」

 湊は短剣を鞘にしまい込む。
 見た感じ、高く売れそうなので質屋でもあれば買い取ってもらおう。
 こっちの世界に質屋なんてあるのか知らないけど。

「大丈夫か?」
「うん、ありがとう。そっちこそ怪我しなかった?」
「ないよ。心配してくれてありがとな。そんなことよりも――」

 湊は女のまわりをぐるっと一周して、最後に顔をのぞいてみる。
 フードとフェイスヴェールのせいで、目のあたりしかわからないが、

(薄く化粧してるっぽいけど、目も似ている……)

「え? いきなりなに? どうしたの?」
「その声……もしかして舞か?」
「え? どうしてアタシの名前知ってんの? もしかしてアタシ、キミと前にお店かどこかで会ったことあった?」
「おいおいどうしたんだ? ずっと一緒だっただろ。って舞、もしかしてアレか。冗談かましてんの? それとも記憶喪失ってやつか?」

 少しあきれたようすで、女が片眉をあげる。

「とにかくお礼がしたいから、ウチのお店にこない?」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】

山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。 失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。 そんな彼が交通事故にあった。 ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。 「どうしたものかな」 入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。 今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。 たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。 そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。 『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』 である。 50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。 ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。 俺もそちら側の人間だった。 年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。 「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」 これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。 注意事項 50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。 あらかじめご了承の上読み進めてください。 注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。 注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ダンジョンを拾ったので、スキル〈ホームセンター〉で好き勝手リフォームします

ランド犬
ファンタジー
 異世界に転移した佐々木悠人は、召喚でも勇者でもなかった。ただ迷い込んだ先で見つけたのは、王都を望む郊外にひっそりと口を開けるダンジョン。足を踏み入れた瞬間、発動したスキルは ――〈ホームセンター〉 壁を張り替え、部屋を増やし、畑や牧場、カフェまで作れる不可思議な力だった。 気ままに始めたリフォームは、もふもふなネコミミ獣人の少女との出会いをきっかけに、思わぬ変化を呼び始める。 拡張され続けるダンジョンの先で、悠人が作り上げる“住める迷宮”とは――?

処理中です...