荒ぶる世界の最果てダンジョン~村娘、姫騎士、女神官。みんなエロトラップに引っかかってアヘ顔Wピース!からの踊り食い~

櫛名月

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28 秘密だよ?

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 メリエールにお掃除フェラをしてもらう。
 ぴちゃぴちゃ、ペロペロと皿に盛られたミルクを飲む子犬のように、頑張って白濁液を舐め取るメリエール。
 狼を彷彿させる灰色のケモ耳が、ぴくりと動いた。
 ――ふふ、まるで子犬だな。
 少女の舌を目で追いながら竿を動かしていた湊だったが……。
 ――子犬?

「お、おいメリエール……」
「どうしたの? あぁん、あむ、あむ――」

 半勃ちになったペニスを咥えたまま、メリエールが上目遣いでこちらを見ている。
 半人半獣とか変身なんてものは、昔話からゲーム、ファンタジー小説などでよく見かけるものだった。
 だからだろうか。不思議とそんなに驚きはしなかった。

「お前、頭に狼っぽい耳が生えてるぞ」
「むあ……」

 メリエールはペニスから口を離し、目を見開いたまま固まってしまった。
 思いきや、

「……へ?」

 と、引きつり顔に変わり、

「え~? えーッ!」

 ついには泣き出す。

「ごめんなさいごめんなさいどうしよう? うわあ! ごめんなさい。騙していたわけじゃないんです。殺さないで!」

 ひどく怯え、懇願する。

「メリエール? 落ち着け。いったいどうした?」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめ――」
「おい!」
「ひっ! ごめんなさい! お願い殺さないで。ボク、死にたくない……」

 メリエールが身体を縮こませる。
 見れば、フサフサな灰色の毛に覆われた尻尾も生えていた。
 狼の尻尾だ。

(これは……ただ事じゃないな――)

 湊はズボンを履くと、メリエールの傍に寄り添うようにして、立膝をついた。

「俺を見ろメリエール。……俺はお前を殺さない、絶対にだ。そもそも、殺す理由なんてあるのか?」

 目線を合わせながら、ゆっくりと、そして静かに言った。

「だってボク、魔族なんだよ。魔族は神族と人族の敵。だから、人間に見つかった魔族は殺されちゃうんだ。そんなのいやだよ」

 魔族は殺される。
 湊はポカポッカ村のことを思い出した。

「いいか。俺は魔族を憎んでいないし、むしろ友だちになりたいと思っている。だから、メリエール。お前とは友だちになりたい」
「キミとボクがお友だち?」
「そう、友だちだ――」

 言いながら、湊はメリエールの両手首の拘束を解いていく。
 自由になったメリエールは、すぐさま腕で胸を隠し、湊を警戒する。
 湊はメリエールから離れ、机に向かった。

「そんなのウソだよ……」
「ウソじゃない」
「だって、魔族と神族は創生の時代からずっと憎しみ合い、戦い続けているんだよ? 人族が歴史に登場したのは、ずうっと後のことだけど、人族を生んだのは神族。神族と一緒に戦ってきた人族も、魔族とたくさん殺し合って、今ではお互い憎しみ合っているんだから」
「……メリエールは人間が憎いのか?」
「ううん。ボクは人間が好き。だってボク、姫さまとアーシェが大好きだし、他の人たちもみんな優しくて大好きだから」
「俺も同じだよ、メリエール。さっきも言ったけど、俺は魔族を憎んでいないし、友だちになりたいとも思っている。それにな。実は俺、この戦いでダークプリンセス、フィオナに会いに行こうと思っている。理由は当然、友だちになりたいからだ」

 できればエッチまで行けるといいな、とまでは言わない。
 そんなこと言えば、馬鹿に加えて変態確定である。

「ええ! そんなことしたら、敵だけでなく味方にも殺されちゃうよ。ていうか、キミ。発想が子どもだよ。もっと現実を見たほうがいいと思うなボク――」

 なんか、さっきまで仕事を忘れて、エッチに夢中になっていた人に諭されたんですけど。

「う、うるせー。いいだろ。一度きりの人生だし、友だちになりたい。そう思ったんだ。だったらもう、行くしか無いじゃん」

 キョトンとメリエールが、しばらくの間こちらを見つめていたが、

「信じていいの?」

 ケモ耳を垂らし、尻尾を丸めながらメリエールは内股で立ち上がる。
 警戒。そしてまだ恐れているようだ。
 正体を隠して生きてきたこともあって、警戒心が強い子なんだろう。
 こういうのは、ゆっくりでもいいから、行動で示して信頼を築いていくしかない。
 残念なことに、この部屋には水桶がなかった。
 湊はメリエールが持ってきた盆から、木製のコップを手に取って、中身を確認する。水だ。

「ああ。だから、まずは教えてくれ。どうして、魔族のお前が人間の側にいるのか?」

「うん……」
「じゃあまずは、こいつで口と体を清めな。拭くものは持ってるか?」
「うん、持ってるよ。……ありがとう」

 メリエールにコップを手渡す。
 それから、メリエールに背を向け、天幕の出入り口に向かい、外の様子をうかがう。
 その間、メリエールは口をゆすぎ、残った水をハンカチに染み込ませてから顔や胸を拭いていく。
 綺麗に拭き取れたわけではないが、何もしないよりかはマシだ。
 気になるところを拭き終えると、メリエールは着衣を整える。
 頃合いを見計らって、背を向けたまま湊は改めて、メリエールに問いかけた。

「みんなは、お前の耳と尻尾のこと、知っているのか?」
「ううん――」

 メリエールは首を横に振った。

「姫さまもアーシェも、他の人たちみんな、誰も知らないよ」
「よく今まで隠しとおせたな。その姿を誰かに見られたら、殺されるって本当か?」
「それは間違いないよ。今だって、ボクたちは魔族と戦っているでしょ?」
「まあそれはそうだが、そんな姿でもメリエールはメリエールじゃん。いきなり殺されるわけでもないだろうし、ちゃんと話せば敵なのか、仲間なのか、わかってもらえるんじゃないか?」
「それが出来ていれば、こんなボクでも、とっくにしているよ。でも、無理なんだよ」

「理由を訊いていいか?」
「うん。魔族を滅ぼすのは、神さまから人族に与えられた使命だから。神族は魔族、とりわけ悪魔族を恨んでいるんだよ。そこに慈悲が入る余地はまったく無いくらいに」
「なるほどな」
「なるほどな、ってキミは知らないの? こんなの人間ならみんな知っていることだし、常識だよ」
「初めて知った。そもそも俺はこの世界の人間じゃないからな」

「この世界の人間じゃない……じゃあ、キミはどこから来たの?」
「俺か、俺は宇宙から来たんだ。そうだな……俺はジパングという国の出身で、船に乗って宇宙を旅していたんだが、ある日、その船が壊れてな。それで、たまたまたどり着いたのが、この星だった。というわけだ」

「宇宙……別世界……。似たようなお話を聞いたことあるよ。違う世界から来たという人が、この世界には数年に一度、現れるんだって。それとね、数年に一度のペースで空から未知の物体が落ちてくることがあるんだ。ボクも一度、森の中に落ちた物体を調査するために、姫さまに付き添って見に行ったことがあるよ。その物体は巨人よりも大きくて卵の形をしていたかな」
「そっか。まあ、その情報はありがたく頂戴するとしてだ。とりあえず話を戻そうか」
「うん」

「その姿を見られたら、殺されるのはわかった。じゃあ聞くが、どうして突然、変身したんだ?」
「たぶん、お薬の効果が切れたんだと思う」
「薬? そんなのがあるのか?」
「闇商人から買うんだよ。ボクのように、なにか事情があって、人族の国で正体を隠して生きている魔族の人たちもいるんだよ。目的は当然、生きるためだよ」
「なるほどな。俺はてっきり、エッチで興奮しすぎて変身したのかと思った」
「ち、ちがうよ! それにボク、エッチな子じゃないもん!」
「ふうん。まあ、その疑惑はいったん置いておくとして――」
「疑惑にしないで」

「その薬はいま持っているのか?」
「持ってないよ。大事なお薬だし、こんなに長く、ここに居るつもりなかったから。バッグの中にしまったままだよ」
「そのバッグは、どこに?」
「ボクとアーシェが使っている天幕のなかだよ」

「よし、じゃあ、その薬を手に入れに行くぞ」
「それはたぶん……無理だよ」
「どうして?」
「その天幕だけど、ボクとアーシェだけじゃなくて、姫さまの侍女たちも一緒だから。彼女たちは姫さまの護衛としての訓練も受けているから、見つかったらすぐに捕まっちゃうよ」
「誰がお前に行けと言った? 俺がそのバッグを取ってきてやるよ」
「え、でもでも――」
「シッ! 誰かが近づいてくるぞ」

 出入り口の幕の隙間からそっと覗く。
 二頭の馬を手綱で引きながら、アーシェが歩いてくる。

「アーシェだ」

 振り返って、メリエールに小声で伝える。

「どうしよう? このままじゃ見つかっちゃうよ。キミもマズいよね」
「時間がない。いいか、俺の言うとおりにするんだ。そうすればお前を助けてやれる」

 松明とろうそくを消していく。

「もしかして、アーシェを殺す気なの? だめだよ」
「ちがう。そんなことするか。とにかく、杖と帽子を持って俺の後ろにくっついていろ。んで、俺が合図したら馬に乗れ。いいな?」

 出入口の幕が揺れ、外の明かりが差し込む。
 話したことは一度もないが、知っている顔の少女が入ってきた。

「薄暗いですね……メリエール? いますか?」

 振り袖のついた紺色の神官服に、ガーター付きの白のニーハイソックス。
 淡いブロンドのロングストレート。
 まん丸とした目。
 アーシェだ。
 横を向けばすぐ隣に、気配を消した湊が立っている。
 しかし、彼女の視線は室内奥へと向けられていた。

「行け!」

 湊の合図で、暗闇を駆けるメリエール。
 同時に湊は、アーシェと目が合った。

「――ッ!」

 一瞬の間をおいて、それが湊であることを認知したアーシェは、驚くあまりビクッと跳ねた。
 湊はガバっとアーシェを抱きあげ室内に引きずり込んだ。
 メリエールは天幕の外へ出ていった。

「あ、あなたは――ッ!」

 アーシェの顎をクイッと軽く持ち上げた。

「え?」

 唇を奪った。

「ン……」

 即尺ならぬ即キスに、アーシェは見事にショックを受けていた。
 その証拠に眼球が四方八方に小刻みに揺れている。
 いったい、なにが起きているのか。
 いったい、なにをされているのか。
 これまで、公女エメラルダの頭脳担当として、冷静沈着を自負してきたアーシェだったが、恋愛経験ゼロの若き女神官の思考はいま、嵐のごとく乱れ、状況分析もままならない。

 湊は畳み掛けるように、次の一手を打った。
 口づけしたまま、アーシェの華奢な肩と腰に腕をまわして、しっかり抱きしめる。
 アーシェの閉ざされた唇を舌でこじ開け、そのまま突入させる。

(え? え?)

 舌を絡め合う二人。

「ン、んま……んむ、んま、あ、んふぅ……」

 そのさまはまるで、熱く燃えあがる恋人のようだ。
 呆然としているアーシェ。湊は神官見習いのお尻をなでまわす。
 エメラルダにメリエール、そしてアーシェ。
 いつも一緒にいる三人のなかでも男に対しては特段、嫌悪感を抱いていたアーシェだったが、不覚にもその男に唇を奪われてしまった。
 貴族ならまだしも、公女殿下を襲った平民に!
 加えて、相手の思うままに舌だけでなくお尻も嬲られている。

 だがそれも束の間、アーシェが混乱から立ち直る前に、湊は唇を離した。
 互いの舌が糸を引く。
 アーシェは顔を真っ赤にして、いまにも頭から湯気が立ち昇りそうだ。

「ふむ……これは……ミルクティーか――」

 少女の小さな舌に残っていたミルクティーの味が、湊の口の中で味覚を再現していた。
 茫然自失状態で、ヘナヘナと地面に腰を落とすアーシェ。
 湊は「じゃあな!」と言い残して、天幕から出て行った。

「……な……唇が……キスされて……神に仕える身であるこの私の唇を……あんなことまで――」

 アーシェは立ち上がった。
 背中を怒りに震わせていたが、

「……これは……神に対する冒涜です。許しませんよ、鶴春湊つばる みなと。あなたの愚行は野蛮な魔族そのもの。必ずや神の裁きを受けてもらいます」

 落ち着きを取り戻したアーシェは、薄暗い室内に視線を巡らせ、しっかりとした口調でひとりごちた。

「それよりも、メリエールはどこでしょうか? ……いえ。あの男に連れ去られたと考えた方が良さそうですね。ひとまずは姫さまにご報告を申し上げねば――」

 アーシェは歩き出した。
 が、すぐに立ち止まり、ぎゅっと拳を握りしめた。

 ぐすっ――。

「うぅぅ……女の子のファーストキスを奪うなんて……。ぜったい! ぜったいに許さないから……」

 アーシェは、うわずった声で半べそをかいていた。
 だが、新緑の瞳の奥深くでは、燃え盛る炎が舞い上がっていた。

     §

 湊が外に出ると肌寒い青空の下で、メリエールは馬にまたがって湊を待っていた。
 アーシェが連れてきた馬は二頭で、一頭はアーシェ専用。もう一頭はメリエール専用だ。
 湊は誰も乗っていない馬の方に駆け寄ると、お尻を思いっきり叩いた。
 馬は驚いて、嘶き声と一緒に遠ざかって行く。
 それから湊は、メリエールが待つ馬にまたがり手綱を取った。
 メリエールが後ろから抱きついてくる。

「メリエールの天幕はどっちだ?」
「あっちだよ」

 周囲に怪しまれないよう、馬を速歩はやあしで走らせる。

「……ね?」と、メリエール。
「ん?」
「ボクの耳と尻尾のことだけど……みんなにはその……特に姫さまとアーシェには……」

 メリエールの手に、自分の左手を重ね握ってやる。

「……心配するな、誰にも言わない。これは俺たちだけの秘密だ」
「キミとボクだけの秘密……そうだね――」

 左手に、メリエールのもう一方の手が重なる。
 敵の侵入を防ぐために、設置された木の柵の向こう――。
 ミスルムスフィア城塞を取り囲むようにして、平原に広がる連合軍。
 朝の陽差しを受けて、二人を乗せた馬が丘を駆けていった。
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