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38 暗殺者を探せ
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ダームスフィア王国連合軍アダン遊撃隊、ミスルムスフィア城塞西側
獅子の勇者アダンは、両手剣を構えた。
神から授かったと云われる唯一無二の聖剣『ライオン・ハート』。
「獅子王爆火迅風!」
剣先から爆炎をまとった獅子が現れる。
馬三頭分はあろう精霊獣は口から灼熱の咆哮をあげながら、城壁前に立ちふさがる巨大な土人形に飛びかかっていく。
その間にもアダン遊撃隊のメンバー、アイテム士の少女モナが、機械仕掛けの折りたたみ式ボウガンを展開。
またたく間に大口径の銃砲に変形する。
ボウガンといっても、弦はなく火薬と爆雷魔法の組み合わせで射出する。
モナは腰を落として、両手で抱えるように構えた。
「射線に入るな! ファックども! ケツにもう一つ穴開けたいのか!」
普段は物静かで一人でモノづくりをしていることが多い彼女。
しかし、大好きなボウガンを手にしているときは別だ。
仲間に罵声を浴びせながらも踏ん張って狙いを定める。
「くたばれや!」
砲撃音とともに、炎爆魔術刻印が施されたお手製の爆玉が遊撃隊メンバーの頭上を越え、ゴーレムの頭部に着弾する。
着弾した瞬間、大爆発が起き、岩石の塊だったゴーレムの頭部が粉砕。
そこにさきほど、アダンが放った精霊獣が襲いかかった。
「あとは鈍器を持ってるやつに任せろ! ほかは壁を目指せ!」
アダンが叫ぶ。
アダン遊撃隊の攻勢に乗じて、王国連合軍も勢いに乗る。
とはいえ、アダンたちのいる西側城壁もまた、バートバリーが攻めていた正面城壁と同様、多くの兵を失っていた。
ただ、アダン遊撃隊のメンバーはダンジョン攻略組として、後方にいたため無傷だった。
そして、巨大なモンスター――ゴーレムが現れたので、モンスター退治を得意とする冒険者の登場となった次第である。
「アダン!」
一人の青年が声をかけてきた。
「おお、デルトラじゃん。どう? いまの見た? 俺の技」
「ああ。相変わらずだな」
「なんだよ、感想それだけ? つまんねーの」
「あ? 技を繰り出すたびに、俺はおめえを褒めねえといけないわけ? ダリいことさせんな」
「はいはい、すみませんでした。で? 次はどうする?」
「そうだな――」
と、そこに一人の王国軍兵士が駆け寄ってきた。
「アダン殿!」
「誰? ああ、その腕章。伝令の人?」
兵士はうなづき、
「サミュエル王太子殿下から言伝です。暗殺者を見つけ、連れてこいとのこと」
「はあ、暗殺者? 詳しく聞くまでもないな。そんなもの、他のヤツにやらせろよ」
「それが、その暗殺者はエメラルダ様を狙った者らしく、しかも――」
「なに!」
アダンは眉をピクッとさせ、
「それを先に言えよ! で、そいつの特徴は?」
伝令が立ち去っていく。
いつの間にか、アダンの隣でモナが前に手を重ねて静かに立っている。
「俺は鶴春湊とかいうバカとメリエールを探しにいく。デルトラは引き続き、ここで王国軍を支援してくれないか? ていうか頼む! このとおりッ!」
手を合わせるアダン。
「またか。まあ、仕方ねえ。いまのうちに、次期国王様に恩を売っておくのも悪くないだろうしな。行って来い」
「さすが、デルトラ! 話のわかる男はやっぱちがう!」
言いながら、アダンは右拳をあげ、精霊獣を召喚する。
地面に浮かび上がった魔法陣から白獅子が現れた。
さきほど、剣技で現れた獅子とは別物で、今回は人が乗るにはちょうどいい、馬と同じくらいの大きさだった。
アダンは獅子の背中に乗ると、続いてモナも横座りで後ろに乗りこむ。
「じゃあ、あとで会おうぜ!」
アダンたちと入れ替わるようにして今度は、一人の女がデルトラに歩み寄ってきた。
「デルトラ……」
「エイブリィか」
先日、兵舎前でアスミとホビが言い争っていたとき、デルトラと一緒にいた女だった。
黒いロングストレートの髪をなびかせ、ボディラインがはっきりと浮き出たスーツの上に、ロングブーツやらコルセットアーマーで身を固めている。その格好はスパイを彷彿させた。
「アスミだけど、いなくなったわ」
「……そうか……」
「どうする? 追う? 彼女、放っておいたらいまにも自殺しかねない感じだったわ」
「……だが仕方ない。いったん、お前は隊に戻れ。これ以上、隊から離れていれば、今度はお前がアダンたちに怪しまれかねない」
隊とはアダン遊撃隊のことである。
「わかったわ。それにしてもこの戦争、あなたはどう思う?」
「どう思うって、戦争が気になるのか。俺たちには関係のないことだ」
「それは仕事上でしょ? 私が聞きたいのは、あなた個人の見解よ」
「待て――」
デルトラは手振りで会話を制止。誰かが駆け寄ってくる。
「デルトラさん! ここにいたんですね」
レザーアーマーにベレー帽を被った少女。
遊撃隊の女メンバーだ。
「あ……エイブリィも一緒だったの……」
デルトラの隣にいた女性を見て、少女はすこし残念そうにした。
「おお、どうした?」
「あ、そうそう。デルトラさん、支援をお願いします。エイブリィもお願い」
「もちろん」
エイブリィは、にこやかに答えた。
アダン遊撃隊はいくつかのグループに分かれて、王国連合軍を支援する形で動いていた。
「こっちこっち」
女メンバーの後を追いながら、デルトラとエイブリィが空を警戒しつつ並走する。
「あの子、あなたに『ホ』の字ね」
「はあ? 妬いてるのか?」
「まさか。……でも、そうね。これ以上、隊から離れているのはよくなさそうね」
「どういう意味だ?」
「さあ? それよりも……いまは仕事中でしょ?」
エイブリィは悪戯な瞳でウィンクした。
獅子の勇者アダンは、両手剣を構えた。
神から授かったと云われる唯一無二の聖剣『ライオン・ハート』。
「獅子王爆火迅風!」
剣先から爆炎をまとった獅子が現れる。
馬三頭分はあろう精霊獣は口から灼熱の咆哮をあげながら、城壁前に立ちふさがる巨大な土人形に飛びかかっていく。
その間にもアダン遊撃隊のメンバー、アイテム士の少女モナが、機械仕掛けの折りたたみ式ボウガンを展開。
またたく間に大口径の銃砲に変形する。
ボウガンといっても、弦はなく火薬と爆雷魔法の組み合わせで射出する。
モナは腰を落として、両手で抱えるように構えた。
「射線に入るな! ファックども! ケツにもう一つ穴開けたいのか!」
普段は物静かで一人でモノづくりをしていることが多い彼女。
しかし、大好きなボウガンを手にしているときは別だ。
仲間に罵声を浴びせながらも踏ん張って狙いを定める。
「くたばれや!」
砲撃音とともに、炎爆魔術刻印が施されたお手製の爆玉が遊撃隊メンバーの頭上を越え、ゴーレムの頭部に着弾する。
着弾した瞬間、大爆発が起き、岩石の塊だったゴーレムの頭部が粉砕。
そこにさきほど、アダンが放った精霊獣が襲いかかった。
「あとは鈍器を持ってるやつに任せろ! ほかは壁を目指せ!」
アダンが叫ぶ。
アダン遊撃隊の攻勢に乗じて、王国連合軍も勢いに乗る。
とはいえ、アダンたちのいる西側城壁もまた、バートバリーが攻めていた正面城壁と同様、多くの兵を失っていた。
ただ、アダン遊撃隊のメンバーはダンジョン攻略組として、後方にいたため無傷だった。
そして、巨大なモンスター――ゴーレムが現れたので、モンスター退治を得意とする冒険者の登場となった次第である。
「アダン!」
一人の青年が声をかけてきた。
「おお、デルトラじゃん。どう? いまの見た? 俺の技」
「ああ。相変わらずだな」
「なんだよ、感想それだけ? つまんねーの」
「あ? 技を繰り出すたびに、俺はおめえを褒めねえといけないわけ? ダリいことさせんな」
「はいはい、すみませんでした。で? 次はどうする?」
「そうだな――」
と、そこに一人の王国軍兵士が駆け寄ってきた。
「アダン殿!」
「誰? ああ、その腕章。伝令の人?」
兵士はうなづき、
「サミュエル王太子殿下から言伝です。暗殺者を見つけ、連れてこいとのこと」
「はあ、暗殺者? 詳しく聞くまでもないな。そんなもの、他のヤツにやらせろよ」
「それが、その暗殺者はエメラルダ様を狙った者らしく、しかも――」
「なに!」
アダンは眉をピクッとさせ、
「それを先に言えよ! で、そいつの特徴は?」
伝令が立ち去っていく。
いつの間にか、アダンの隣でモナが前に手を重ねて静かに立っている。
「俺は鶴春湊とかいうバカとメリエールを探しにいく。デルトラは引き続き、ここで王国軍を支援してくれないか? ていうか頼む! このとおりッ!」
手を合わせるアダン。
「またか。まあ、仕方ねえ。いまのうちに、次期国王様に恩を売っておくのも悪くないだろうしな。行って来い」
「さすが、デルトラ! 話のわかる男はやっぱちがう!」
言いながら、アダンは右拳をあげ、精霊獣を召喚する。
地面に浮かび上がった魔法陣から白獅子が現れた。
さきほど、剣技で現れた獅子とは別物で、今回は人が乗るにはちょうどいい、馬と同じくらいの大きさだった。
アダンは獅子の背中に乗ると、続いてモナも横座りで後ろに乗りこむ。
「じゃあ、あとで会おうぜ!」
アダンたちと入れ替わるようにして今度は、一人の女がデルトラに歩み寄ってきた。
「デルトラ……」
「エイブリィか」
先日、兵舎前でアスミとホビが言い争っていたとき、デルトラと一緒にいた女だった。
黒いロングストレートの髪をなびかせ、ボディラインがはっきりと浮き出たスーツの上に、ロングブーツやらコルセットアーマーで身を固めている。その格好はスパイを彷彿させた。
「アスミだけど、いなくなったわ」
「……そうか……」
「どうする? 追う? 彼女、放っておいたらいまにも自殺しかねない感じだったわ」
「……だが仕方ない。いったん、お前は隊に戻れ。これ以上、隊から離れていれば、今度はお前がアダンたちに怪しまれかねない」
隊とはアダン遊撃隊のことである。
「わかったわ。それにしてもこの戦争、あなたはどう思う?」
「どう思うって、戦争が気になるのか。俺たちには関係のないことだ」
「それは仕事上でしょ? 私が聞きたいのは、あなた個人の見解よ」
「待て――」
デルトラは手振りで会話を制止。誰かが駆け寄ってくる。
「デルトラさん! ここにいたんですね」
レザーアーマーにベレー帽を被った少女。
遊撃隊の女メンバーだ。
「あ……エイブリィも一緒だったの……」
デルトラの隣にいた女性を見て、少女はすこし残念そうにした。
「おお、どうした?」
「あ、そうそう。デルトラさん、支援をお願いします。エイブリィもお願い」
「もちろん」
エイブリィは、にこやかに答えた。
アダン遊撃隊はいくつかのグループに分かれて、王国連合軍を支援する形で動いていた。
「こっちこっち」
女メンバーの後を追いながら、デルトラとエイブリィが空を警戒しつつ並走する。
「あの子、あなたに『ホ』の字ね」
「はあ? 妬いてるのか?」
「まさか。……でも、そうね。これ以上、隊から離れているのはよくなさそうね」
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