荒ぶる世界の最果てダンジョン~村娘、姫騎士、女神官。みんなエロトラップに引っかかってアヘ顔Wピース!からの踊り食い~

櫛名月

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42 友だち? 仲間? 恋人?

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「さあ侍女さま。アダンさまが暗殺者の相手をしている今のうちに、安全なところに行きましょう」
「えっと……その……湊くんは暗殺者じゃないよ。だから――」
「はあ? ミナトくん・・?」

 モナは片眉をあげ、

「ねえ、それっておかしくないですかぁ? ご主人さまを襲った者に対して、『くん』って! それに見たところ、侍女さまはどうして自由に動けるんですかぁ? 見つけたときから気になってたんですよねぇ!」
「う……」

 いまさらながらメリエールは、軽率だったことに気づく。
 たしかに、鶴春湊とは友だちになったかもしれない――少なくともメリエールはそう信じている。
 だが、それは二人の間に限った話にすぎない。

「もしかしてぇ、侍女さまはツバルミナトの恋人じゃないんですかぁ?」

 かぁッとメリエールの頬が朱に染まった。胸が高鳴っていく。

「……そ、そう、かも?」
「ダウトぉ!」

 即答でモナが指差しする。

「動ける理由。それはつまりぃ――」

(ええ? なんで訊いたの?)

 ひとりで勝手に盛り上がったことに対して、メリエールは恥ずかしくなった。

「侍女さまとツバルミナトは仲間じゃないんですかあ? それで、時を見計らって侍女さまは公女殿下の天幕にツバルミナトを誘導。しかし、ツバルミナトは暗殺に失敗して捕まってしまった。そして侍女さまは自分の立場を利用してツバルミナトを檻から解放。現在、一緒に逃亡中。っと――」
「それは違うよ!」

     §

「アーシェ、メリエール。この男の監視と尋問は任せましたよ。わたくしにとって信頼できる者といえばジゼルに侍女たちがいますが、この仕事を頼めるのは、あなたたちだけです」

 騎士服に身を包んだエメラルダ。
 彼女の両隣で、側近にして侍女でもあるアーシェとメリエールが黙ってうなづく。
 少女たちの視線の矛先には一人の傭兵の姿が――。
 鶴春湊だった。
 彼は檻の中で気を失ったまま手足を拘束され、地面に転がっていた。
 目覚める気配はない。

「心中お察しいたします、姫さま。必ず、私とメリエールでこの男の正体を突き止めてみせますので、ご安心ください」
「あの……」
「どうしたのです、メリエール?」
「はい、姫さま。監視と尋問ですけど、ボクに任せていただけないでしょうか?」
「メリエール?」

 アーシェは驚いた様子でメリエールを見た。
 メリエールがいつも前向きなのは知っているが、はっきり言ってこの仕事は彼女向きではない。
 そのことは当の本人も充分、承知しているはずである。
 しかし――、

「だって、アーシェ。男の人、すごく苦手でしょ?」
「それは、あなたもではありませんか? メリエール」
「うん。そうだけど、理由はもう一つあって。アーシェは姫さまの傍にいた方がいいと思うんだ。また姫さまを狙う人が現れてもおかしくないでしょ? それにボク、警護術とかてんでダメだから。訓練ではいつもジゼルに居残りさせられるし。シェトちゃんみたいに強かったらまだ良かったんだけど……」

 シェトちゃんとは侍女の一人、シェトワールのことである。
 女神官のアーシェは、自分の背丈以上あるロングスタッフを両手でぎゅっと握りしめると、目を閉じ考え込みはじめた。

「むむっ、うーん……でも……」

 と、うなり声を上げていたが、やがてあきらめたように「はぁ……」とため息をつくと、

「……わかりました、メリエール。鶴春湊のことはあなたにお任せします。それでよろしいでしょうか、姫さま」

「ええ、もちろん。それでは、アーシェはわたくしの傍に。ですが、時々はメリエールの様子を見に行くようにしてください」
「かしこまりました」
「ありがとう姫さま、アーシェ。ボク、頑張るからね!」
「メリエール――」

 とエメラルダが続ける。

「十分に注意してください。この男は手練の暗殺者とみてまず間違いないでしょう。それに――」

 エメエラルダは拳をぐっと握りしめ、怒りに肩を震わせはじめた。
 なにか思い出したのだろうか。

「あのう……? 姫さま?」

 メリエールは首をかしげつつ、そっとアーシェに問う。

「姫さま、急にどうしたのかな。もしかして、この人になにかされたのかな。アーシェはなにか知ってるの?」

 するとアーシェは、

「わ、私はなにも知りませんし? なにも見ていません……よ」

 目が泳いでいる。

「そうなの?」
「いいですか、メリエール」
「あ、はい!」

 エメラルダの呼びかけに、メリエールは姿勢を正した。

「ほんっ、とうに! 男というものはどうしようもないほど獣です。湿った洞窟の中で弱った女冒険者を喰い物にしようと待ち構えている飢えた魔物と同じです! だから、あなたも十分に注意なさい。監視中、決して檻に近づかないことです。身の危険を感じたら、すぐに氷魔法で手足を凍らせるのです。破壊しても構いません。ええ、そうです、いまのうちに手足を凍らせて金槌でたたき割るのがよいかもしれませんね。ついでに、あのおぞましい舌も引っこ抜いてやりましょう――」

 うふふ、と笑みを浮かべるエメラルダ。
 女冒険者がどうのと言っていたが、これは密かに愛読している薄い本の影響のようだ。

「えぇ! ボク、そんな怖いことできないよ……」
「姫さま? どうか冷静に。ここでは誰が耳を立てているかわかりません」

 真に受けるメリエールをよそに、アーシェが制止するとエメラルダは我に返り、

「……ッ! わたくしとしたことが……。いけませんね。幼少のころよりずっと、姉妹のように育ってきたあなたたちといるとつい……」
「大丈夫でございます。どうか、そのままの姫さまでいてくださいませ」

 アーシェが和やかに微笑んでみせる。

「そうだね。ボクも三人でいるときの姫さまがいい。なんか可愛いもん」
「メリエール! 姫さまになんてことを。私たちはもう子どもではないのですから、少しは控えないと……」
「あ、ごめんなさい……」
「クスッ――」

 こぶしを口にあて、エメラルダが微笑む。

「構いませんよアーシェ。メリエール。わたくしたち三人でいる時はいつも……これからも、子どもだったあの頃のように、楽しく過ごしたいものです」
「うん!」
「姫さま……」

 ほほえみ合う三人の少女。
 そこに――、

「……公女さまの紐パン、ゲットォ……いいにほひ……」
「な!」

 エメラルダは顔を真っ赤にし、檻の中を睨みつけた。

「……寝言?」

 腰を折って、湊の様子をうかがうメリエールのそばで、アーシェは軽蔑な眼差しで、

「私たちの邪魔をするとはこの男……まあ、いいでしょう。さて、姫さま。そろそろ、ジゼル騎士団長との打ち合わせのお時間でございます。あとは、メリエールと私とで進めてまいりますので、姫さまはお戻りくださいませ」

     §

「さあ! 早く答えてください」

 モナが答えを急かす。

「たしかに、湊くんは暗殺の容疑にかけられて牢屋に入れられたけど、なにも姫さまを手に掛けようとしたわけじゃない。暗殺者じゃないよ」
「……はあ? その答えじゃ、なんにもわかんないですよお? それになんか、そんなことどうでもいいです。そういった話はあとで話しましょうね? これまでの状況から、侍女さまもまた、暗殺と逃亡ほう助の容疑があるのをお忘れなく」

「そんな!」

「だから、おとなしく従ったほうが身のためですよぉ。モナたちに従えば、その容疑を無くしてもあげられると思いますしぃ。それでも言うこと聞けないのなら、モナにも考えがあります――」

 モナは、ベルトのミニポーチから小瓶をひとつ取り出した。
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