リッチにレベルを吸い取られ、レベル0で冒険者失格〜裏技でユニークスキル時空間創造を得たのは良いが、俺の巻き込まれ体質は変わらない

ものぐさたろうの末裔

文字の大きさ
23 / 35
不浄の門編

召喚された勇者

しおりを挟む
 勇者の行動は情報を集めた結果、国が勇者を召喚する専用の建物を新しく建てたので、明日の祝典に出席し民達の前に姿を見せるらしい。

「運が良かったな」

「でも召喚用の建物を造るなんて、これからたくさん召喚するって事ですよね?」

「そうなるな」
「何を考えているんですかね?」

「それは帰ったら、バンテスさんに聞いてみるか」


翌日、街の人達に紛れて、よく観れるようにバルコニーの前に陣どる。

盛大な音楽と共に国王と若者が出てきた。あれが勇者なのだろう。変わった紋章を襟に付けている。見た事のあるような無いような、なんかムズムズする。

観た感じでは不浄に取り憑かれている様子は無い。

「どうです?」
「取り憑かれてはいないな」

「では、どうして妨害するようなまねをしたんでしょう?」

「解らん。ただ、あの勇者は不浄の事を知っているのだと思う」

「邪魔をするって言う事は、発覚するのが困るし無くなっては困ると言う事ですね」

「それはつまり不浄に取り憑かれている人達を利用しようとしているから?」

「なるほど、その辺が答えかもしらん」
「問題は何で知っているかって事ですね」

「召喚されたんだ、知る訳がない。噂を聞いて考えたのか……元の世界にも同じ事があったか?」

「私達が散々いろんな所に行って得た知識を噂だけで思いつくでしょうか?」

「そうなるとやはり1度経験してると言う事になる」

「この国の内情と勇者の素性が知りたいですね」

「そこだな、やっぱり。よし、ここには何時でもこれる、一旦戻ろう」

「「「はい」」」

時空間の埋めて在る場所に行って中に入る。

「時空間を連結させるのは初めてだからな、ドキドキする」

「シンさんを信用しない訳ではないけれど、不思議ですね」

「それは俺もだよ」

先ずは繋げる先の時空間を思い浮かべる。すると時空間の左の壁に扉が現れた。

「「「「おお!」」」」

皆して歓声を上げた。

「す、凄いですね」
「おう、では扉を開けるぞ」

「同じ感じの部屋ですね」
「入るぞ」
「「「はい」」」

部屋を移動し上を見る。大聖堂の横に在る創造神の使いである神獣、ラバンの像が見えた。

「戻って来た」
「やった」

人がいないのを確認して外に出た。

「やっぱり凄いです」
「ホント」


ーー

「早かったな、シン」
「ええ、俺のスキルのお陰です」
「ふふ、使いこなしているな」

「バンテスさんは?」
「もうすぐ来るだろう」

「失礼します。神父様、お呼びでしょうか……シン様?」

「無事に戻って来ましたよ」
「それでは……」

皆を外に出してあげる。

「あなた」「父上」「旦那様」

「良かった……」

家族との再会も無事に終わりバンテスさんに話を聞く事にした。

「セレブレイの事を詳しく聴かなければなりません」

「解りました。私達はセレブレイに戻る事は無いので知っている事は全てお話し致します」

「助かります。最初に聴くのは、勇者召喚を何故したかです」

「それはエルフの国との交渉を有利に進める為です」

「エルフ?……有利にですか?つまり事が上手く進まなければ戦いも辞さないと?」

「そう言う事です」
「何を交渉するつもりですか?」

「エルフの国の魔素の霊脈の1部売却もしくは使用許可」

「魔素の霊脈の売却なんてエルフが許す訳がない」

「それは解っています……しかしセレブレイに在る霊脈は枯渇寸前なのです」

「な、なるほど……そうか。勇者の素性は判りますか?」

「いえ、勇者様は何も……ただ側仕えが、酔って独り言を聞いた事があるって言ってました」

「なんて?」

「『俺はこの世界に戻って来た』と言う感じの内容だったと」

この世界に戻って来た?……。

「解りました、ありがとう御座います」


ーー

「勇者はセレブレイの為に不浄の力を使おうとしているのでしょうか?」

「純粋にそうだとは思えん、そうだとしても間違っている」

「そうですよね」

「それに、この世界に戻って来たと言うのが、おかしいんだよ」

「確かに」

「その通りに受け取れば、この世界の者と言う事です」

「この世界の者で、不浄を知っている者で召喚でここに来た者?一体何者だよって話だな」

「シン様、この世界で召喚出来るなら、他の世界でも召喚出来ませんか?」

「はは、シンシアはまた突拍子もない事を言い出したな……あ、あり得るか?……待てよ」

「あっ、シンさん、何処に行くんです」
「神父様の所だ」
「私達も行きますよ」



「紋章の辞典みたいな物がみたい?また変わった事を言うなお前は」

ーー

「大司教様に許可を頂いた。これが図書館に入る為のメダリオンだ。但し、時間制限付きで入るのは1人だ」

「ありがとう御座います」


うわ~、見てはいけなさそうな本が並んでいる。見たいが、ここに居られる時間が限られているので調べるのが先だ。


ここからが古代から今までの各国の紋章一覧だ、どれどれ。

…………あった、これだ。魔鳥ラギュウスが蛇を掴んでいる紋章、間違いない。

メルレ王国、シュタイン家の紋章だ。メルレ王国、メルレ、メルレ?ダメだ思い出せん。リサ達に聞いてみよう。

「あっ、シンさん、何か判りました?」
「判ったんだが肝心な事が出てこないんだよ」

「何ですか?」

「メルレ王国と言うのが、聞いた事が有るような無いような」

「なんだ、そんな事ですか」
「知ってるのか?」

「シンさんも行ったでしょ」
「そうですよ」
「へっ?」

「私達の国ですよ、メルレ村」
「あっ!」

えらいこっちゃ。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

神様、ちょっとチートがすぎませんか?

ななくさ ゆう
ファンタジー
【大きすぎるチートは呪いと紙一重だよっ!】 未熟な神さまの手違いで『常人の“200倍”』の力と魔力を持って産まれてしまった少年パド。 本当は『常人の“2倍”』くらいの力と魔力をもらって転生したはずなのにっ!!  おかげで、産まれたその日に家を壊しかけるわ、謎の『闇』が襲いかかってくるわ、教会に命を狙われるわ、王女様に勇者候補としてスカウトされるわ、もう大変!!  僕は『家族と楽しく平和に暮らせる普通の幸せ』を望んだだけなのに、どうしてこうなるの!?  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇  ――前世で大人になれなかった少年は、新たな世界で幸せを求める。  しかし、『幸せになりたい』という夢をかなえるの難しさを、彼はまだ知らない。  自分自身の幸せを追い求める少年は、やがて世界に幸せをもたらす『勇者』となる――  ◇◆◇◆◇◆◇◆◇ 本文中&表紙のイラストはへるにゃー様よりご提供戴いたものです(掲載許可済)。 へるにゃー様のHP:http://syakewokuwaeta.bake-neko.net/ --------------- ※カクヨムとなろうにも投稿しています

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた

黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。 その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。 曖昧なのには理由があった。 『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。 どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。 ※小説家になろうにも随時転載中。 レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。 それでも皆はレンが勇者だと思っていた。 突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。 はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。 ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。 ※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...