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策略
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ダンジョンまでは馬車で7日かかる、世話係りとしてメイドのリナが今回も一緒だ。
「リック様、あの時を思い出しますね」
そう、3人で元勇者に拉致された時の事だ、最後なのでエミューズお姉様に会いたかったが、お姉様はベルリア王国を訪問中なのだ。
「ホントだね、懐かしいよ」
思い出を追って、浸っている内に予定通りにダントスの街に着いた。
ダンジョンに行くのは明日からだ。
同行するのはバンタム親衛隊長とドロン兄さんの取り巻きのザニン、そしてザニンが揃えたブブセル王国の冒険者10名になる。
軽く打ち合わせをして各々部屋に戻った。
明日はどんな手を使って来るのか?バンタム親衛隊長がいるので正面切っては無いよな。
虚ろなダンジョンは150年前に1度だけ最下階まで攻略された事がある、地下70階のダンジョンだ。
ゲーム好きの俺としては純粋に楽しみたかった所だ。
朝、リナに起こされ目が覚めた、気分はいいが緊張してきた。
ダンジョンに着くとザニンが先頭に立ち、俺の周りを冒険者が固め、バンタムさんは殿で進んで行く。
二股に道が分かれた所でザニンの説明が入る。
「リック様、こちらの道を進めば前回のダンジョンより1つ上のクラスの魔物、ハイオークやシルバーウルフなどが出ます」
「それなら大丈夫だね」
「では参りましょう」
暫く進むとそこそこ広い場所に出た、鍾乳洞みたいで鍾乳石の柱が何本もあり部屋の様にも見える。
「この先から魔物が出て来ますのでご注意を、念のため冒険者に偵察させますので我々は陣を組みましょう。さ、リック様はそちらにバンタム様は隣に、残りの冒険者は周りを固めてくれ」
「分かりました」
「じゃ、ロイ、偵察を頼む」
「へい。ん、これ何だ?」
「馬鹿、それは罠だ!触るな」
次の瞬間、俺とバンタムさんの姿はその場所から消えた。
「上手く行きましたね」
「そうだな、このダンジョンを初めて攻略したのは私の先祖、この地の三代目の領主ヒザン様だ。数多くの犠牲を払い全ての罠を調べあげ、一族秘伝のダンジョン攻略書を作り上げたのだ、それゆえ私に知らぬ事は無いのだ」
「2人は何処に行ったんで?」
「リックは最下階、バンタムは地下20階だ。まあ、リックは絶望的だ、バンタムの奴は出て来るまで時間が、かかるだろう」
☆☆☆☆☆
「バ、バンタム様。ご無事でしたか」
「陛下!」
「バンタム、戻ったか」
「申しわけ御座いません、私が付いていながら」
「そなたのせいでは、無かろう、冒険者が罠を発動させたと聞いておる」
「しかしリック様が……」
「言うな。この場にいる事が出来ぬリックに、それだけの物が無かった。と言う事だ」
「くぅ」
「下がって休め」
ーー
絶対におかしい。今、思えばザニンの奴の振る舞いは変だ。
必ず証拠を見つけ、この世から消し去ってやる。
「マリヤ、サキはどうした?」
「それがサキ様は、バンタム様達が出発されてから行方が知れないのです」
サキが行方不明だと…………
「ふっ、……ふふふ、ふはははは」
「バンタム様?」
さすがリック様、ザニンの上を行きましたか……
また、お会いする日を楽しみにしております。
☆☆☆☆☆
え~と、ここは?この扉はボス部屋みたいだな。
このダンジョンにはフロアーボスはいないから、最下階と言う事か。
ザニンの野郎、やってくれるぜまったく。
「サキ、目を開けて良いよ」
「うん。えっ、ここ何処?」
「虚ろなダンジョンの最下階、そこはボス部屋」
「え~っ、何で?」
「ザニンにしてやられた」
「むう、あの野郎。リック様、どうするの」
「もうリックでいいよ。もちろん、ここを出るさ」
「よし、チャチャっとボスを倒そう」
「ダメだよ。そんな事したら、僕が生きてるのバレちゃうだろ」
「ぶぅ、じゃあ、どうするのよ?」
「階段で上がって行くんだ。それに、このダンジョンには僕の欲しい虫の魔物がたくさんいるから、捕まえたいし」
「うへぇ、リックのスキルは女の子には微妙」
「そんな事を言うなよ、虫の中には女性のお肌や髪の毛に良い成分を作る奴もいるんだぜ」
「それ本当か?この世界に来てから髪の毛がバサバサなんだ」
「今度、髪がツヤツヤになるやつを作ってやるよ。先ずは脱出だ」
「よっしゃ」
サーチのスキルで階段の方向を探る。
「右の方に階段が有る」
「そんな事が分かるの?インセクトだけって聞いてたけど」
「サキには話すけど、僕のスキルは人には鑑定が出来ないんだ」
「あ、でも人のは出来るのね、ずるい」
「そうなんだ、僕のスキルはズルの塊だよ」
「でもこの世界では必要な事ね」
「分かって来たじゃん」
「変なの、リックじゃないみたい」
「自由になったからさ」
サキを手こずらせる魔物はここには、いなかった。
お陰で、火、水、風、電気、冷気、毒、水中、空、地中など数多くの系統の虫を従魔に出来た。
これに俺が錬金術で作った魔道具を付けたり、虫どうしをかけあわせ交配させたら、……更に夢がふくらむ。
ここを上がると地下30階だ。
「そろそろ他の冒険者と会いそうな階だから、目立た無い様に注意だよ、サキ」
「分かったけど、お腹空いたよ」
「あっ、ごめん。休憩しよう」
広い場所に結界を張り、料理長に作ってもらったコジュケイ鳥のモモ肉、赤ワイン、パンをテーブルの上に並べる。肉とパンは焼き立て、ワインは冷え冷えだ。
「なっ、どうなっている。やっぱりリックは反則、チョンボ、ズルだ」
「えらい言われ様だ、食べないの?」
「ウソウソ、リック様様だ」
ーー
「ねえ、リック見られてる気がする」
「うん、注目の的だね」
「目立って無い?」
「そろそろ行こうか」
「姉ちゃん達、余裕だな」
「大した事は無いです」
「俺にも食わせろよ」
「おじさん、あまりその娘を怒らせ無い方がいいよ」
「引っ込んでろガキが」
俺を殴りに来やがった、バカか。
〔シュッ〕 風切り音がする。何だ?
うっ、カミソリの刃を2枚重ねて10円を挟んだやつだ、サキのやつ、まだ持ってたのか。
アレで切られるとキズが治らないし、痕が残るんだよな、でもこの世界には魔法が有るか。
あ~あ、顔が血だらけだ、お大事に。
「邪魔だ、どきな。ケンカ売るなら買うよ、あたいを誰だと思ってんだい」
周りの冒険者達は飛んで避けていく。
「あ~、久々にやったらスッキリした」
「ねえ、元の世界で、2枚刃のサキって呼ばれてたでしょ?」
「な、何で分かったのよ。恐ろしい子」
「やっぱり」
それからは絡まれるテンプレも無く入口まで来た。周りをサーチしても知っている奴はいない様だ。
さて、どっちに行こうかな。
「リック様、あの時を思い出しますね」
そう、3人で元勇者に拉致された時の事だ、最後なのでエミューズお姉様に会いたかったが、お姉様はベルリア王国を訪問中なのだ。
「ホントだね、懐かしいよ」
思い出を追って、浸っている内に予定通りにダントスの街に着いた。
ダンジョンに行くのは明日からだ。
同行するのはバンタム親衛隊長とドロン兄さんの取り巻きのザニン、そしてザニンが揃えたブブセル王国の冒険者10名になる。
軽く打ち合わせをして各々部屋に戻った。
明日はどんな手を使って来るのか?バンタム親衛隊長がいるので正面切っては無いよな。
虚ろなダンジョンは150年前に1度だけ最下階まで攻略された事がある、地下70階のダンジョンだ。
ゲーム好きの俺としては純粋に楽しみたかった所だ。
朝、リナに起こされ目が覚めた、気分はいいが緊張してきた。
ダンジョンに着くとザニンが先頭に立ち、俺の周りを冒険者が固め、バンタムさんは殿で進んで行く。
二股に道が分かれた所でザニンの説明が入る。
「リック様、こちらの道を進めば前回のダンジョンより1つ上のクラスの魔物、ハイオークやシルバーウルフなどが出ます」
「それなら大丈夫だね」
「では参りましょう」
暫く進むとそこそこ広い場所に出た、鍾乳洞みたいで鍾乳石の柱が何本もあり部屋の様にも見える。
「この先から魔物が出て来ますのでご注意を、念のため冒険者に偵察させますので我々は陣を組みましょう。さ、リック様はそちらにバンタム様は隣に、残りの冒険者は周りを固めてくれ」
「分かりました」
「じゃ、ロイ、偵察を頼む」
「へい。ん、これ何だ?」
「馬鹿、それは罠だ!触るな」
次の瞬間、俺とバンタムさんの姿はその場所から消えた。
「上手く行きましたね」
「そうだな、このダンジョンを初めて攻略したのは私の先祖、この地の三代目の領主ヒザン様だ。数多くの犠牲を払い全ての罠を調べあげ、一族秘伝のダンジョン攻略書を作り上げたのだ、それゆえ私に知らぬ事は無いのだ」
「2人は何処に行ったんで?」
「リックは最下階、バンタムは地下20階だ。まあ、リックは絶望的だ、バンタムの奴は出て来るまで時間が、かかるだろう」
☆☆☆☆☆
「バ、バンタム様。ご無事でしたか」
「陛下!」
「バンタム、戻ったか」
「申しわけ御座いません、私が付いていながら」
「そなたのせいでは、無かろう、冒険者が罠を発動させたと聞いておる」
「しかしリック様が……」
「言うな。この場にいる事が出来ぬリックに、それだけの物が無かった。と言う事だ」
「くぅ」
「下がって休め」
ーー
絶対におかしい。今、思えばザニンの奴の振る舞いは変だ。
必ず証拠を見つけ、この世から消し去ってやる。
「マリヤ、サキはどうした?」
「それがサキ様は、バンタム様達が出発されてから行方が知れないのです」
サキが行方不明だと…………
「ふっ、……ふふふ、ふはははは」
「バンタム様?」
さすがリック様、ザニンの上を行きましたか……
また、お会いする日を楽しみにしております。
☆☆☆☆☆
え~と、ここは?この扉はボス部屋みたいだな。
このダンジョンにはフロアーボスはいないから、最下階と言う事か。
ザニンの野郎、やってくれるぜまったく。
「サキ、目を開けて良いよ」
「うん。えっ、ここ何処?」
「虚ろなダンジョンの最下階、そこはボス部屋」
「え~っ、何で?」
「ザニンにしてやられた」
「むう、あの野郎。リック様、どうするの」
「もうリックでいいよ。もちろん、ここを出るさ」
「よし、チャチャっとボスを倒そう」
「ダメだよ。そんな事したら、僕が生きてるのバレちゃうだろ」
「ぶぅ、じゃあ、どうするのよ?」
「階段で上がって行くんだ。それに、このダンジョンには僕の欲しい虫の魔物がたくさんいるから、捕まえたいし」
「うへぇ、リックのスキルは女の子には微妙」
「そんな事を言うなよ、虫の中には女性のお肌や髪の毛に良い成分を作る奴もいるんだぜ」
「それ本当か?この世界に来てから髪の毛がバサバサなんだ」
「今度、髪がツヤツヤになるやつを作ってやるよ。先ずは脱出だ」
「よっしゃ」
サーチのスキルで階段の方向を探る。
「右の方に階段が有る」
「そんな事が分かるの?インセクトだけって聞いてたけど」
「サキには話すけど、僕のスキルは人には鑑定が出来ないんだ」
「あ、でも人のは出来るのね、ずるい」
「そうなんだ、僕のスキルはズルの塊だよ」
「でもこの世界では必要な事ね」
「分かって来たじゃん」
「変なの、リックじゃないみたい」
「自由になったからさ」
サキを手こずらせる魔物はここには、いなかった。
お陰で、火、水、風、電気、冷気、毒、水中、空、地中など数多くの系統の虫を従魔に出来た。
これに俺が錬金術で作った魔道具を付けたり、虫どうしをかけあわせ交配させたら、……更に夢がふくらむ。
ここを上がると地下30階だ。
「そろそろ他の冒険者と会いそうな階だから、目立た無い様に注意だよ、サキ」
「分かったけど、お腹空いたよ」
「あっ、ごめん。休憩しよう」
広い場所に結界を張り、料理長に作ってもらったコジュケイ鳥のモモ肉、赤ワイン、パンをテーブルの上に並べる。肉とパンは焼き立て、ワインは冷え冷えだ。
「なっ、どうなっている。やっぱりリックは反則、チョンボ、ズルだ」
「えらい言われ様だ、食べないの?」
「ウソウソ、リック様様だ」
ーー
「ねえ、リック見られてる気がする」
「うん、注目の的だね」
「目立って無い?」
「そろそろ行こうか」
「姉ちゃん達、余裕だな」
「大した事は無いです」
「俺にも食わせろよ」
「おじさん、あまりその娘を怒らせ無い方がいいよ」
「引っ込んでろガキが」
俺を殴りに来やがった、バカか。
〔シュッ〕 風切り音がする。何だ?
うっ、カミソリの刃を2枚重ねて10円を挟んだやつだ、サキのやつ、まだ持ってたのか。
アレで切られるとキズが治らないし、痕が残るんだよな、でもこの世界には魔法が有るか。
あ~あ、顔が血だらけだ、お大事に。
「邪魔だ、どきな。ケンカ売るなら買うよ、あたいを誰だと思ってんだい」
周りの冒険者達は飛んで避けていく。
「あ~、久々にやったらスッキリした」
「ねえ、元の世界で、2枚刃のサキって呼ばれてたでしょ?」
「な、何で分かったのよ。恐ろしい子」
「やっぱり」
それからは絡まれるテンプレも無く入口まで来た。周りをサーチしても知っている奴はいない様だ。
さて、どっちに行こうかな。
応援ありがとうございます!
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