ひめてん~姫と天使と悪魔と猫~

こーちゃ

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第一章 アイバーンとワイバーン

第2話 子供かっ!

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 いかにもRPGに出てきそうなヨーロッパ風の街中を歩くユーキとパティ。


「そういえばさー」
 話し始めるユーキ。
「何?」
「何で魔獣を倒したら魔石が出てくるの?」
「この世界の魔獣は全て召喚士の手によって、魔石から生み出されてるからよ」
「え? マジ?」
「マジ」
「全部?」
「全部」

「えと、じゃあ昨日の魔獣達はその召喚士とか言うのが操ってた訳?」
「その可能性もあるけど、昨日のは多分ノラね」
「ノラ?」
「そう、生み出した召喚士が死んで自由に動き回ってる魔獣の事をノラって言うの」

「何で召喚士が死んでるって分かるの?」
「動きよ……昨日の魔獣達は明らかに魔力の高い方を襲ってきた」
「特にサイクロプスなんかは、ユーキが魔装した瞬間にユーキに向かって行ったでしょ?」
「ああー、確かに」

「召喚士が健在なうちは召喚士から魔力を供給されるの……でもノラになると魔石に蓄積された魔力だけで動くから、魔力が減ってきたら本能的に魔力の高い人間を襲って魔力を吸収しようとするのよ」
「こ、怖ー」

「でもそう言うのって普通、術者が死んだらみんな消滅しちゃうもんなんじゃないの?」
「いいえ、術者が死んでも1度生み出された魔獣は存在し続けるの……ノラを止めるには倒すか、魔力が尽きるのを待つしかないわ」
「うーん、そうなんだ」

「召喚士も大変だねー!?」
「ん?」
「だって召喚する度に魔石を使う訳でしょ? 結構お金掛かりそうじゃない」
「まあそうだけど、魔石にも色々あるからね……安いのなら1000ジェルぐらいで買えるのもあるわ」
「1000ジェル? 1000円ぐらいって事……かな?」

「店で買うばかりじゃなくて、ギルドに依頼したり自分達で採掘に行ったりもしてるみたいよ」
「おおー! ゲームっぽい」
「でも魔石があるって事は魔力が集まってるって事だから、ノラの魔獣達の住処になってる事も多いわ」
「ああー、なるほど」
「ノコノコ採掘に行って、シャレにならないくらい強い魔獣に遭遇、何て事もあるみたいよ」
「うーん、それは怖いねー」

 言葉とは裏腹にワクワクしている感じのユーキ。
「何で嬉しそうなのよ?」
 呆れ顔のパティ。

「着いたわ、ここよ」
 一軒の店に辿り着く。
 店先のショーウインドウには色とりどりの魔石の他に、日用品らしき物も多数並べられている。

「おじさん、こんにちわー」
「やあパティちゃん、いらっしゃい」
「また魔石の買い取りお願いねー」
 お馴染み、といった感じだ。

 パティが店主と話してる間、店内を見て回るユーキ。
(ふーん、見た感じ大体相場は円と同じぐらいなんだ、これなら分かりやすくていいな)

「ところで、街の近くで2人の美少女がサイクロプスを倒したって今朝から噂になってんだけど、もしかしてパティちゃんかい?」
「え? もうそんな噂が立ってるの? 」
「じゃあやっぱり?」
「う、うん」
「ははあ、やっぱりなー! そうじゃねーかと思ってたんだ!」
 嬉しそうに話す店主。

「じゃあもしかして、もう1人はあっちの嬢ちゃんかい?」
「ええそうよ! むしろあの娘が倒したのよ!」
「ほおう、そいつぁすげぇや!!」
「黒い悪魔と言われるパティちゃんに匹敵する強さの娘なんて、中々お目にかかれねーよ」
「え? あ、悪魔? って  ちょ、ちょっとー!! 何よそれー!! 」
 まさかの言葉に動揺するパティ。

「え? 知らねーのか? この辺じゃ結構有名だぜー?」
「だ、誰よ、そんな異名広めたのはー!!」
「こ、殺す……」
「ははあ!! そうそう、そういうとこ!」

 換金を終え、まだ怒りが収まらないままユーキを呼ぶ。
「ユーキ!! 行くわよ!!」
「ハ、ハイ!!!!」
 いきなり大声で呼ばれてビクッとなるユーキ。
「ははあ! 仲良くしなよー!!」

 店を出る2人。

「あのー、何か怒ってる?」
 恐る恐る尋ねるユーキ。
 フゥッとひと息つくパティ。
「ううん、ごめんなさい大声出して」
 笑顔が戻るパティ。

「はい、これユーキの分」
 換金したお金の、おそらくは3分の2程のお金を渡すパティ。
「え? こんなに貰っていいの?」
 思わぬ大金に驚くユーキ。
「当たり前でしょ? サイクロプスはユーキが倒したんだから」
「でもそれはパティが助けてくれたから……」
「ええ、だからちゃんとサポート料は貰ったから大丈夫よ」
 笑顔で答えるパティ。
「そう、か……じゃあ遠慮なく貰っとくよ、ありがとう!」
「ええ」


 ニコニコのユーキ。
「何買おっかなー? さすがにゲーム機、とかは無いよなー!?」
「ねえユーキ、サーカスの開演までまだしばらく時間あるけどどうする? 私は魔力カートリッジを見に行くけど」
「うーん……僕ちょっと街の中を見てみたい」
「そう……じゃあ3時間後に、あそこの噴水の前に合流でいい?」
 街の中心部らしき所を指差すパティ。
「うん、了解」

 ユーキの正面に立ち、色々注意するパティ。
「いい? 絶対に1人で街の外に出ない事!」
「うん、出ない」
「噂になってるみたいだから、無闇に人前で魔装具を見せない事!」
「見せないよ」
「目立つ行動をしない事!」
「地味に生きる」

「よし!! じゃあ行ってらっしゃい!!」
「はっ!! 行ってまいります!!」
 敬礼で答えるユーキ。


 歩き出すユーキの後ろから。
「あと、知らない人について行っちゃダメよー!!」
「子供かっ!!」



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