ひめてん~姫と天使と悪魔と猫~

こーちゃ

文字の大きさ
24 / 298
第ニ章 全てはゲーム機の為に

第2話 いや似てるけど!

しおりを挟む
 コロッセオ風の建造物の前を通りかかるユーキとメルク。

「うわー! 大っきい建物! ねえメル君、あれ何?」
「あれは闘技場ですよ」
「闘技場?」
「ええ、主に魔装具使い達があそこで腕試しや鍛練の為に闘ってるんです……大体どの街にもありますよ」「へえー、面白そう」
「ご覧になりますか?」
「うん、見てみたい!」


 入り口横の掲示板を見るユーキ

「ええと、何々? 参加資格は魔装具を使える事のみ……それ以外は年齢、性別、レベル等は一切問いません……飛び入り参加自由!!    だって」
「じゃあ僕達でも出れるんだ……メル君、出てみる?」

「あ、いや……実は僕……魔装具は持ってますが、そのー、まだ魔装が出来ないんです……」
「え?!!    そうなの……?    あ、えと……何かゴメン……」
「いえ……」
 気まずそうにうつむく2人


 ふと掲示板に貼ってある景品欄の中の1枚の写真が目に映り、バッと食らいつく様にその写真を見るユーキ。
 そこには見覚えのある某有名携帯ゲーム機らしき物が写っていた。

(まさかこれって……ニン◯ンドー3◯S……? 微妙に違うような気も……)
(名前は?   ニテンドー3GS?)
「いや似てるけど!!」

 写真にツッコミを入れているユーキを見て。
「どうしたんですか?   ユーキさん……ああ、3GSですか……こんな地方じゃ中々レアですよ」

「メル君知ってるの?」
「ええ、知ってます」
「これってゲーム機?」
「ええ、そうですよ」
「マジかー」
「マジですぅ」


 ふと考えるユーキ。
(えっと、これってどういう事だ?    向こうの世界の物だと思ってたのが実はこっちの世界にも存在してて、元々知ってたから詳しく覚えてたとかゆう、そういうあれか?)

 色々な可能性がユーキの頭の中に浮かんだが、そのうち考えるのが面倒くさくなり。

(えーい、もう! ややこしい話はいい!!    今はとにかくこれをゲットしたい!!)
 答えは簡単だった。

「ねえメル君、これってどうやったらもらえるの?」
「あ、はい、今回は勝ち抜き戦みたいなので、1人の選手が連続して5人の相手選手に勝てば、副賞として貰えます」

「景品って自由に選べるの?」
「あ、いえ……初めに景品が提示されて、それを欲しい人達が参加します……それで5人抜き達成者に賞金と景品が授与され、次の対戦にはまた別の景品が提示される、という具合です」

「じゃあもう出ちゃったのかな?」
「いえ……レアな景品ほど後になって出て来ますので、このゲーム機なら相当後ろの方に出て来ると思います」

(そっか……まだ可能性はあるんだ……)
「メル君!   早く入ろ!!」
 走って行くユーキ。
「あ、待ってください、ユーキさーん!」


 闘技場の中は真ん中に闘うスペースがあり、その周りを囲うように円形に客席が配置されている。

「うわー、結構広いねー……屋根は付いてないんだ?」
「ええ、自然の力を利用する魔法が多いですから、その為の配慮なんです」
「ああ、なるほどね」


「ザッコス選手4人勝ち抜き成功ー!!    さあ最後、5人目の相手は槍の魔装具使い、ゼンザー選手だー!!    ザッコス選手、ゼンザー選手を倒して見事5人抜き達成なるかー!!    今回のオッズは6対4!    投票の締切は15分後です!   みなさま、ふるってご参加下さい!!」

 正面の巨大スクリーンに選手の顔や情報が表示されている。

「投票って?」
「勝つと思う方の選手にお金をかけるんですよ……当たれば相応の配当金が貰えます」
「お金かけるんだ?」
「ええ、でも未成年は投票出来ませんから、僕達は参加出来ませんね」

「え? 未成年?」
「あ……えと……ユーキさんの実年齢は分かりませんが、その見た目じゃいくらおっさんだって言っても信じてもらえませんよ……ハハ」
「まあ、そうだよねー……」
 落ち込むユーキ。
「ま、まあ、僕達は純粋に闘いを楽しみましょう」
「うん、そだね」



「この辺からユーキの匂いがするわ」
「犬もビックリだよ、パティ君」

 闘技場の近くまで来ているパティとアイバーン。

「もう一度やってみる……ウェイブソナー!」
 再び探知を始めるパティーーーーーー


「居た! あの闘技場の中よ!」
「あの大勢の人の中から探し当てたのか? 凄いね」
「昨日ユーキが寝てる間に何度も試して、ユーキの魔力の特徴はバッチリ覚えたのよ」
「夜中にトントンと音がしていたのは君だったのか……私はてっきり霊的な何かかと思っていたよ……まあおかげで涼しい夜を過ごさせてもらったがね」

「さあ、突入するわよ! アイ君!」
「穏便に頼むよ、パティ君」

「ユーキ……目立つ事してなきゃいいけど……」
「ユーキ君もそこまでバカではないさ」



「……ナイン!!    ……テン!!    ゼンザー選手立てません!!    これによりザッコス選手、5人抜き達成ー!!」
 拍手と歓声が沸き起こる闘技場。

「見事勝ちましたザッコス選手には賞金100万ジェルと、副賞としましてお米50キロが送られます!!」

「お米……結構庶民的……」
「地方の街だとお米も貴重ですからねー」


「さあ、それでは次の対戦に移りたいと思います!  その副賞はー!!     遥かノインツ大陸より取り寄せた超レアな携帯ゲーム機、ニテンドー3GSだー!!」
「出た!!」
「メル君、僕ちょっと行ってくる!」
「え? 行くってどこに? ちょ、ちょっと待ってください! ユーキさーん!!」
 闘技場に降りていくユーキ。


「お?   お嬢さん、飛び入り参加ですか?」
「うん」
「魔装具は……持ってますね、オーケー!   ではあちらで紹介用の簡単なプロフィールを書いてください」
「あっちだね?    分かった」


「冗談だと思ってたのに、本気で参戦するつもりだったなんて……ああ、どうしよ……パティさんに怒られるかな? 止めた方がいいかなー?」

 メルクがオロオロしているとーー

「見つけた!!    メルク!!」
 いきなりの大声にビクッとなるメルク。

「パ、パティさん? アイバーン様も……」
 つかつかと寄って来て、メルクの胸ぐらを掴むパティ。
「メルク! 今すぐにユーキを返しなさい! そうすれば命だけは助けてあげるわ!」
「物騒だよパティ君」

「さあ、ユーキはどこ?」
「あ、えと……ユーキさんなら……」
 そう言って闘技場の方を指差すメルク。



「さあみなさん、ご注目ください!!    次の挑戦者はー!    超絶美少女!    魔法使いユーキちゃんだー!!」





「あ、あのおバカ……」
 呆れるパティであった。

しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。 そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。 しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。 過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

【完結】魔法大戦 〜失われた古代魔法で無双する!〜

加瀬 一葉
ファンタジー
 王立魔法学校。高等部に編入してきた冴えない生徒ラフィト。エリートが集うこの学校で、辺境出身のラフィトは落ちこぼれの劣等生なのだが……。  実は彼は、失われたはずの古代魔法を操る一族の末裔。魔族の脅威が増す時代に、ラフィトは人類を救うことができるのか?  過去と現在が交錯する、魔法ファンタジー。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。 これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。

処理中です...