ひめてん~姫と天使と悪魔と猫~

こーちゃ

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第ニ章 全てはゲーム機の為に

第25話 空気を読める人と読めない人の末路

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 まだ倒れているパティを起こそうとするユーキ。
 パティの魔装はとっくに解けていた。


「ほらパティ、大丈夫? 起きてよ」
「ユーキ? あたしもう死んでもいいわー」
 まだ意識がハッキリしない様子のパティ。

「もう、しっかりしてよパティ! ほら、帰るよ!」
 そう言ってパティをおんぶするユーキ。


「ああっとー! 前回の逆で、今回はユーキ嬢がパティ嬢をお持ち帰りだー!!」

「だから、変な言い方すんなー!!」


「皆様! 今回この闘技場を大いに盛り上げてくれた2人の美少女に、もう一度盛大な拍手をー!!」


「ユーキー!! パティー!!」
「2人とも凄かったぞー!!」
「私2人のファンになったよー!」
「他の街に行ってもまた応援に行くからなー!」
「ユーキー! 結婚してー!!」
「パティお姉様ー!」


 大歓声に包まれながら、退場するユーキ。


「さあ、我々も行こう!」
「ハイ!」
「早く2人をぉ、治療してあげなきゃですぅ」

 ユーキ達を追って闘技場を後にするアイバーン達。





 宿屋に帰って来たユーキ達5人。
 遠征に行っていた間の出来事を聞くパティとアイバーン。


「そうか……そんな大変な事が……」
 セラにきちんと正対するアイバーン。

「セラ君……この度はメルクが大変世話になった……もし君が居なかったら、私はかけがえのない友を失う所だった……ありがとう!」
 深々と頭を下げるアイバーン。
 
「礼なんていいですよぉ」

「僕からも改めてお礼を言わせてください……この度は無い命を救って頂き、本当にありがとうございました」
 同じく頭を下げるメルク。

「もう! 礼はいいですってばぁ」

「あ、そうだ! 僕も今回はセラの魔装と作戦のおかげでパティに勝てたんだ、ありがとう! セラ」

「だからぁ! 礼なんか言われるとぉ、こそばゆくなるからぁ、やめてくださいぃ」
 顔を赤くしながら、体をかくセラ。

「まさかレベル7だとはね……どおりであたしの技がいとも簡単に返された訳だわ」

 みんなの話を聞いていたであろうパティが、ようやく起き上がって来た。

「パティ、傷は大丈夫?」

「ええ、綺麗さっぱり治ってるわ……さすがはレベル7の治癒魔法ってとこね」
「ふう、あたしに嘘ついた事怒ろうかと思ってたけど、メル君の命の恩人じゃあそうもいかないわね」


「さてパティ君、これからどうするね?」
「ああそうね……見事にユーキにも負かされた事だし、王都を目指しましょうか!」

「ついに王都へ……ゲーム機へ……」
「あ! ゲーム機で思い出したわ!」

 そう言って、部屋の隅から何か箱を持って来るパティ。
「はいこれ! あたしに勝ったご褒美よ」

「え、何? 開けていい?」
「ええ」


 ユーキが箱を開けると中に入っていたのは、あと一歩でゲット出来なかったあのゲーム機、ニテンドー3GSだった。

「え? これって……え? 何で?」
「ユーキが欲しかったのってそれでしょ?」
「うん、そうだけど……いったいどうして?」

「先日、ウロボロス討伐に行く条件として、パティ君がギルドの人に取り寄せてくれるよう、頼んでいたのだよ」
「パティ……」
「まあ、あたしもちょっと悪い事したかなーって思ったから……ゴメンね」

「んーーーー!! パティ、大好きー!!」

 パティに飛びつきハグをするユーキ。
 その勢いのまま倒れこむユーキとパティ。

「ああ、あたし幸せ……」
 また顔を真っ赤にしながら、幸せそうな表情のパティ。


 その様子を見ていたアイバーン達。

「ふむ……闘技場でユーキ君が最後に何を言ったのか、これで分かったよ」
「確かにパティさんには1番効きそうですね」
「ユウちゃん、罪な女ですぅ……ああ、おっさんかも知れないんでしたぁ」



「それはそうと、出発はいつにするかね? パティ君」
「まだ式も挙げてないのに、新婚旅行なんて早いわよー……ねー、ユーキー」
「いや何の話だね! しっかりしたまえ! パティ君」

「もう何よー、アイ君! せっかく人が幸せな気分に浸ってるのにー」
「ああすまないが、今後の予定を決めたいのだが?」

「そうねー、明日は道中の食料やら何やらの買い出しをしたいから、あさって出発ってとこかしら?」
「ふむ……皆はそれでいいかな?」

「うん、いいよ」
「ハイ!」
「オーケーですぅ」

「セラ君は街を出る事になるが、本当にいいのかね?」
「ハイィ、私はユウちゃんにぃ、ずっと喰らい付いて行くってぇ、決めましたからぁ」
「いやだから、食うなっての!」

「ふむ……レベル7の優秀なヒーラーが共に来てくれるなら、これ程心強い事はない……よろしく頼むよ」
「頼まれましたぁ」


「では、全員他にやり残した事があれば、明日中に済ませてくれたまえ」


「やり残した事……」
 考えるユーキ。
 そして大事な事を思い出す。
「ああー!!」

「ど、どうしたんですか? ユーキさん!」


「魔法サーカス団……」
「ああ、そう言えば……色々あって、すっかり忘れてたわね」
「魔法サーカス団? それなら私達もチケットを持っているが?」
「あぁー! 私も持ってますぅ」

 チケットを見せるアイバーン達3人。

「え? 確か凄い人気で、入手困難だってパティが……」

「いや? 道具屋の主人にもらったぞ? タダで……」
「ちょおっとアイ君、こっちいらっしゃい!!」

 アイバーンの腕を引っ張り、部屋の外へ連れ出すパティ。

「ん? どうしたんだね? パティく……うぐっ! ぐあっ! な、何をするんだパティ……ぐうっ! や、やめ……ぬあああああ!!」

 アイバーンの声が聞こえなくなった。
「ア、アイバーン様!!」

 アイバーンの様子を見ようと入り口のドアに手をかけようとすると、スウッとパティが入って来る。
「ヒッ!」
 そして形だけの笑顔でメルクに質問する。

「メル君? サーカスのチケットって、どうやって手に入れたの?」
 命の危機を察したメルク。

「あ……えと……ど、道具屋のご主人に頼み込んで譲ってもらいました!」
「うん、よろしい」

 何とか危機を脱し、廊下に出て行くメルク。
「ア、アイバーン様ー!」
 
 ジロッとセラの方を見るパティ。

「セラちゃん?」
「ハイぃ!!」

「セラちゃんはどうやって手に入れたの?」
「あ、はい! えとえとー」
 恐怖のあまり、めちゃくちゃ早口になるセラ。

「私私、とても行きたかったんですけど、もの凄く人気だって聞いたから、発売日の3日前から徹夜で並んでやっと手に入れましたー!!」

「うん、そうよねー……みんな手に入れるの大変だったのよねー……分かった? ユーキ?」

「ハイー!! 大変よくわっかりましたー!!」
「うん、それじゃあ明日に備えてそろそろ寝ましょうか」
「イエス、マム!!」



 部屋の中では、ユーキを真ん中にして、両側にパティとセラが寝ている。


 そして、廊下でそのまま寝ているメルクとアイバーン。







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