ひめてん~姫と天使と悪魔と猫~

こーちゃ

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第四章 某国の姫君

第42話 シリアスよ、さようなら!

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 セラ達の話を聞いて、ネムも入って来る。

「アイバーン! それならネムとロロもシェーレ代表として参加する!」
「ん? シェーレといえば、かつてパラスに滅ぼされた国の名だが!?」
「ああー!!」
「ま、またですか? パティさん!?」

「そう言えばネムってシェーレの王女様だったのよね!?」
「ええー!! そうなんですかー!?」
「そうか……シェーレの……」
「ネムまで王女様……何だかウチのパーティーの女子って王女様ばっかり……」
「あ、あたしだけ普通……」

「何言ってるんですかパティちゃん! あなただって王女様、あ……」
「え!? あたしが王女様?」
「……みたいなもんじゃないですかぁ!」
「どういう事よ? セラ」
「パティちゃんの親同然の猫さんがグレールの女王様である以上ぉ、その娘とも言えるパティちゃんがぁ、将来王位を継ぐ可能性は充分にあり得るんですからぁ」
「そりゃ、まあ……その可能性は無いとも言えないけど……」

「では、ネム君とロロ君はシェーレ代表として参加、でいいんだね?」
「うん……国は無くなっちゃったけど、まだネムとロロが居るから……」
「ロロも頑張るのです! 格闘マスターロロなのです!」
「そうか……そうなると、シェーレも含めた5国統一国家、という事になるな」

「ヴェルンからは私とぉ、弱っちいけど一応王族なのでぇ、レノを出場させますぅ」
「おおう! 辛辣な口ぶりも復活だな!? セラよ!!」

「俺様はグレール代表として、フィーちゃんと共に参加する!! トゥマールの王国騎士ではあるが、出身はノインツだからな!!」
「ブレン!? 貴様、まだ残っていたのか!?」
「ずっと居ただろう!!」

「私とメルクは当然トゥマール代表として、ロイ国王の為に参加する!」
「え!? アイバーン様!? ぼ、僕も出るんですか!?」
「ああ、メルクはどうも自分の力を過小評価し過ぎる所があるからな! 自信を持って参加するといい!」
「ハ、ハイ……」

「マナ! どうかリーゼルの為に優勝して、統一王者になってほしい!」
「あなた! それを言っちゃうと、マナちゃんのプレッシャーになりますから!」
「あ! そ、そうだったなレナ……すまん、つい……」
「統一王者? ベルトでもあるの?」
「あ、いや……その、何だ!」

「そういえば、これはまだ言ってなかったな!」
「アイ君!?」
「実は今回の武闘大会! 優勝者には、統一国家の王になる権利が与えられるのだ!!」
「ええ!? そうなの? ん? 権利?」
「そう、権利だ! つまり、優勝した者が自分が推薦する者を、統一国家の王にする事が出来る! それは別に自国の者で無く、他国の者でもいいし、勿論、優勝した本人がそのまま王になっても構わない!」

「いや、面白そうだとは思うけど、そんな事で国の王を決めちゃっていいの?」
「問題無い! この大会のそもそもの目的が、トゥマールの時期国王を決める為の物だったのだから!」
「アイバーン様! それを言っちゃうと……」
「あ……」

「アイく~ん! それってどういう事かな~?」
「お、落ち着きたまえユーキ君! あ、あくまで選考基準の1つとしてだ!」
「ホントかな~!?」
「パ、パティ君はどうするね?」
「誤魔化した……」

「や、やはりグレール代表として、シャル様の為に参加するかね?」
「猫師匠の為……? 嫌よ! 誰があんなバカ猫なんかの為に戦うもんですか!!」
「ではどうするね? 今回は参加を見送るかね?」

「……他国の者でもいいって言ったわよね?」
「ああ!」
「なら、あたしが優勝したら、ユーキを王様にするわ!!」

 パティの発言を聞いたアイバーン達の顔色が変わる。

「なぁ!? な、な、な!! 何言ってんだよパティ!? 僕にそんな大役務まる訳無いだろー!!」
「何言ってんのよ!? 本来国の王というものは、もっとも強い者、そしてみんなを惹きつけるカリスマ性を持っている者が相応しいのよ! 今のユーキなら、どちらも申し分ないじゃない!」
「いや、だけどさー!? 統一国家だよ!? 大っきいんだよ!?」
「ユーキなら大丈夫よ! それに、必ずしもあたしが優勝するって決まった訳じゃないんだし」
「そりゃそうだけどさ~」


(パティ姉様、ネムと同じ事考えてた……)
(協力者が増えたのです……)
(ふむ……先に言われてしまったな……)
(建前を気にせずに言い切れるパティさんが羨ましいです)
(父上には申し訳ないが、当然俺もマナを王にする)

 立場上、口では自国の為とか言いつつも、内心ではみんながユーキを王にしようと企んでいた。
 しかしそれを察知したセラが、ある事を危惧する。

(どうやら、みんな同じ事を考えてるみたいですねぇ……あれ? そうなるとぉ、ユウちゃんと対戦する事になった人はみんなワザと負けようとするんじゃ……? う~ん、それではせっかくの一大イベントがつまらなくなってしまいますねぇ……みんなを本気で戦わせるにはどうしたら……)

 少し考えたセラがある事を思い付き、マルス国王とレナ王妃に耳打ちする。

「なるほど……確かにそれ程の強者になら、マナを任せられるな! だが、私達は構わないが、それではマナが納得しないのではないか?」
「そこはちゃんと考えてありますぅ」

 そう言うと、今度はアイバーンに耳打ちするセラ。

「ふむ……確かにそれならユーキ君を釣れそうだな……了解した! トゥマールに到着し次第、急ぎ用意させよう!」
「よろしくですぅ! それじゃあ私はみんなに伝えますねぇ」

(とはいえ、みんな立場というものがありますからぁ、上手く納得させないと、ですねぇ)

「みなさんに1つ提案があるんですけどぉ」
「セラ? 何よ提案って?」
「今回の件でぇ、ユウちゃんの常識外れの強さが判明した訳ですけどぉ、そうなるといくらルールがあるとはいえ、ユウちゃんを倒して優勝するのは至難の技ですぅ」

「まあ、確かにそうですね……」
「そこでみんなのヤル気を上げる為にぃ、1つの案を考えましたぁ」
「何なのよ? 勿体ぶらないで早く言いなさいよ!」

「今回の大会でユウちゃんを倒した人はぁ、ユウちゃんと結婚出来るっていうのはどうでしょぉ? あ、ただそれだとぉ、トーナメントの関係でユウちゃんと対戦する前に、ユウちゃんが誰かに倒される可能性もありますからぁ、その場合はユウちゃんを倒した人を倒したら権利が移る、というのはどうでしょぉ?」
「ユーキと結婚!?」
「マ、マジですか!?」
「姉様と結婚出来る!?」
「今度こそマナと!?」

「はあああああ!? いやいやいや!! ちょっと待ってよセラお姉ちゃん!! そんな重大な事、何勝手に決めてんのさ!?」
「勝手にじゃ無いですよぉ? ちゃんとご両親の許可は取りましたからぁ」
「ええ!? ちょっと父様母様!! 一体どういうことよ!?」
「今のマナちゃんを倒せる程の者になら、安心してマナちゃんを任せられると思ってな!」
「娘の意思は無視かー!!」
「マナちゃん、オヤジギャグさむ~い!」
「ギャグちゃうわ!!」

「元々レノと結婚する予定だったんだから、いいじゃないか!」
「あ、あの時は……リーゼルを守る為に……で、でも今回は関係無いだろー!? 今の僕はあの頃のマナとは違うんだ! そんな、僕に何の利点も無い大会、出ないからね!!」
「ユウちゃん、出ないんですかぁ?」
「出ない!! 僕はトゥマールにも行かない!! 明日直接グレールに行って猫師匠に会って来るから!! おやすみ!!」

 怒りを露わにしながら、寝室に向かうユーキ。

「ユーキさん、怒っちゃいましたね……」
「どうするのよセラ!? あなたの事だから、何か策を考えてるんでしょ?」
「んふふ~、やっぱりこうなりましたかぁ……では、こちらも強硬策に出るしかないですねぇ」
「強硬策?」
「みなさんも協力してくださいねぇ……お耳を拝借ぅ」

 セラがみんなに作戦を伝える。

「ええ~!? そんな事したらユーキさんもっと怒りますよ~!?」
「とりあえず、トゥマールに連れて行きさえすればいいんですぅ。後は……何とかみんなでなだめましょぉ」
「意外と無計画だったわね……」



 翌朝、妙な振動で目を覚ますユーキ。

「ん!? 体が揺れて……地震? え!?」

 目を覚ましたユーキが、自分の状況を見て驚愕する。
 両手両足には魔力封じの拘束具を付けられ、更に馬車の中に特別に設置された、1人用の檻の中に入れられていた。

「な!? 何じゃこりゃー!? え!? え!? 何? 何なのこれ!?」

 しかし、みんな気まずい様子で顔を背ける。

「ねぇちょっと!! 聞こえてるんでしょ!? 何で誰も僕と目を合わそうとしないの!?」
「まあ、落ち着きたまえユーキ君!」
「アイ君!?」

 見かねたアイバーンがユーキに状況を説明する。

「今回の戦いにおいて、形式上リーゼル国は我らトゥマール軍に占領された事になっている。したがって、リーゼル国のマナ王女、並びに偶々戦場に居合わせたヴェルン国のレノ王子とセラ王女の3名は、トゥマール国の捕虜、という扱いになるんだ」

「じゃあ何で同じ捕虜なのに、そこのセラとレノは繫れもせず、檻にも入れられず、普通に座ってるのさ!?」

 ユーキに指摘されたセラとレノが、無言のまま顔を背ける。

「だから目をそらすなー!!」

「それはまあ……何と言うか……そのままにしておくと、もしユーキ君が怒って暴れ出した時、誰も止められないというか、危険……だから?」
「僕は猛獣かー!! ねえパティ! パティは僕の味方なんだよね?」

 しかし、心苦しそうに目をそらすパティ。

(ごめんなさいユーキ! 勿論あたしはユーキの味方だけど、ユーキと結婚するという野望だけは譲れないのよ!!)

「ネム!」

 同じく目をそらすネム。

「ロ……」

 同じく……

「あ……ああそう……そうなんだ!? みんな仲間だと思ってたのに……みんな嫌いだー!! バカああああ!!」




 みんなに愛されているが故に、逆に無視される結果になっているユーキ。
 こうしてユーキはトゥマールに売られ……
 あいや、強制連行されて行く……



 そして馬車はいよいよ、王都トゥマールに向かって進む!



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