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第五章 五国統一
第70話 ユーキ後ろ~!
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暗闇の中で怯えているユーキ。
「もう、アメリカのホラー映画みたいに、いきなり脅かすのは無しだからね~」
両手で辺りを探りながら進むユーキ。
すると、背後でガサッと物音がする。
「ヒッ!!」
ビクッとなり、音のした方を向いて身構えるユーキ。
「フィー!? ねえ!! 居るなら返事してよ!? こんな暗闇だとお客さんにも見えないしさ! ちゃんと明るい所で闘おうよ!! ねえ! 聞いてる!?」
震える声で訴えるユーキ。
「あの~、もしも~し! フィーさん!? いらっしゃいませんか~!?」
少し間が空いてから、ようやく応えるフィー。
「ちゃんと居ますよ」
急に声がして、またしてもビクッとなるユーキ。
「もう! いきなり喋んないでよ!」
「返事しろと言ったり喋るなと言ったり、無茶振りですか?」
「暗闇でいきなり喋んないでって言ったの! ねえ! さっきも言ったけど、明るいとこで闘おうよ!? お客さんも居るんだしさ!?」
「それはお断りします」
「何でさ!?」
「闘う相手の弱点を突くのは、勝負の鉄則だからです」
「じ、弱点? な、何言ってんのさ!? 僕がこんな暗闇、怖がる筈無いだろ~? これはお約束のリアクションだよリアクション!」
少し明るい声のトーンで喋るフィー。
「え!? そうだったんですか? ユーキさんはてっきり暗闇やお化けの類が苦手なのかと思ってました」
「そんな訳ないだろ~!? 子供じゃあるまいし」
「それもそうですね。ではせっかく呼び出したお友達も無駄足になりそうですね」
「へ!? お友達って?」
その直後、暗闇の中から突然ユーキの目の前に、恐ろしい顔をした女の幽霊が現れる。
「いやああああああああああ!!!!」
悲鳴をあげながら、一目散に逃げ出すユーキ。
「何だ~!? ユーキ選手を包み込んでいた黒い塊が、突如移動を始めました~!! 闘技場にユーキ選手やフィー選手の姿は見当たりませんが、この玉は一体何を目指して移動しているのか~!?」
「あの玉、何故急に動き出したんでしょうか?」
「ふむ……おそらくは取り込まれたユーキ君が、中で移動しているのだろう。だから周りの玉も追いかけるように移動した」
「んふふ~、本当ならこの闘技場全体を包み込めたら1番いいんでしょうけどぉ、さすがにフィーちゃんにそこまでの魔力は無いんでしょうねぇ」
「そうか、だから中のユーキさんの動きに合わせて移動させるしか無いんですね?」
どんどん移動していた玉だったが、遂に闘技場の壁に当たって停止する。
「あ痛あああ!!」
玉の中では、壁にぶち当たったユーキが、頭を抑えながら転げ回っていた。
「痛ああ! 思いきり頭打ったあ! もう! フェザーシールド!!」
魔装具をヒーラータイプに変化させるユーキ。
「ヒーリング!」
シールドから羽を撃ち出し、自分に治癒魔法をかけようとしたユーキだったが、先程と同じように一瞬羽が光るだけで、殆ど魔法効果は無かった。
「ぐぬぬ~、そっか。治癒魔法は光属性だから、この中では殆ど効かないのか~!? あ! という事は、マジックイレーズでこの闇を消すのも無理って事か?」
脱出の方法を考えていると、ある事にふと気付くユーキ。
(あれ? そういえばさっき僕、何に当たったんだ!?)
立ち上がり、ぶち当たった何かを探るユーキ。
暗闇の中を手で探ると、壁らしき物に触れる。
(壁? これってもしかして、闘技場の壁か? つまり僕は、いつの間にか闘技場の壁まで走ってたって事か……え? じゃあこの闇って、闘技場の端から端まであるって事?)
腕組みをして考えるユーキ。
(いや、まさかね。下準備も無しにこれ程広範囲に魔法空間を作り出すなんて、僕がエターナルマジックを使っても簡単に出来る事じゃない。て事は、この空間ってもしかして……」
ユーキが壁を前にして考えていると、背後から誰かがトントンとユーキの肩を叩く。
「ごめん、ちょっと待ってね」
闇に消える手。
少し経ってから、さっき消えた手がまたユーキの肩を叩く。
「だから、ちょっと待ってってば!」
またスウッと闇に消える手。
しかし、すぐにまたユーキの肩を叩く手。
「もう!! 分からない人だな~!! 今、考え事をしてるから待ってって言ってる……」
ユーキが振り返るとそこには、さっき闇から現れた女の幽霊がニヤリと笑っていた。
「いいいやああああああああ~!!!!」
再び悲鳴をあげながら逃げ出すユーキ。
「ああっとお!? 壁に当たって止まっていた玉が、再び移動を始めました~!! それにしても、先程から両選手の姿が見えない為、わたくし実況に困っております。誰か状況を説明していただきたいものです!」
しばらく走っていたら、また壁にぶち当たって倒れるユーキ。
「痛いな~、もう! だけど、これだけ走ったんだから振り切れた筈……」
だがユーキが振り返ると、すぐ背後にまた女の幽霊が居た。
「いやああああ!! 足無いのに、何で足早いんだよおお!!」
また別方向に走るユーキ。
そんな調子で、走っては壁にぶち当たりまた別方向に走るというのを繰り返すユーキ。
「ああっとお!! 先程から、移動しては壁に当たって止まり、また移動しては壁に当たるというパターンですが、その動きはさながらロボット掃除機のようだ~!!」
「上手い事言うわね!?」
「感心してる場合じゃないですよ、パティさ~ん」
「もう、アメリカのホラー映画みたいに、いきなり脅かすのは無しだからね~」
両手で辺りを探りながら進むユーキ。
すると、背後でガサッと物音がする。
「ヒッ!!」
ビクッとなり、音のした方を向いて身構えるユーキ。
「フィー!? ねえ!! 居るなら返事してよ!? こんな暗闇だとお客さんにも見えないしさ! ちゃんと明るい所で闘おうよ!! ねえ! 聞いてる!?」
震える声で訴えるユーキ。
「あの~、もしも~し! フィーさん!? いらっしゃいませんか~!?」
少し間が空いてから、ようやく応えるフィー。
「ちゃんと居ますよ」
急に声がして、またしてもビクッとなるユーキ。
「もう! いきなり喋んないでよ!」
「返事しろと言ったり喋るなと言ったり、無茶振りですか?」
「暗闇でいきなり喋んないでって言ったの! ねえ! さっきも言ったけど、明るいとこで闘おうよ!? お客さんも居るんだしさ!?」
「それはお断りします」
「何でさ!?」
「闘う相手の弱点を突くのは、勝負の鉄則だからです」
「じ、弱点? な、何言ってんのさ!? 僕がこんな暗闇、怖がる筈無いだろ~? これはお約束のリアクションだよリアクション!」
少し明るい声のトーンで喋るフィー。
「え!? そうだったんですか? ユーキさんはてっきり暗闇やお化けの類が苦手なのかと思ってました」
「そんな訳ないだろ~!? 子供じゃあるまいし」
「それもそうですね。ではせっかく呼び出したお友達も無駄足になりそうですね」
「へ!? お友達って?」
その直後、暗闇の中から突然ユーキの目の前に、恐ろしい顔をした女の幽霊が現れる。
「いやああああああああああ!!!!」
悲鳴をあげながら、一目散に逃げ出すユーキ。
「何だ~!? ユーキ選手を包み込んでいた黒い塊が、突如移動を始めました~!! 闘技場にユーキ選手やフィー選手の姿は見当たりませんが、この玉は一体何を目指して移動しているのか~!?」
「あの玉、何故急に動き出したんでしょうか?」
「ふむ……おそらくは取り込まれたユーキ君が、中で移動しているのだろう。だから周りの玉も追いかけるように移動した」
「んふふ~、本当ならこの闘技場全体を包み込めたら1番いいんでしょうけどぉ、さすがにフィーちゃんにそこまでの魔力は無いんでしょうねぇ」
「そうか、だから中のユーキさんの動きに合わせて移動させるしか無いんですね?」
どんどん移動していた玉だったが、遂に闘技場の壁に当たって停止する。
「あ痛あああ!!」
玉の中では、壁にぶち当たったユーキが、頭を抑えながら転げ回っていた。
「痛ああ! 思いきり頭打ったあ! もう! フェザーシールド!!」
魔装具をヒーラータイプに変化させるユーキ。
「ヒーリング!」
シールドから羽を撃ち出し、自分に治癒魔法をかけようとしたユーキだったが、先程と同じように一瞬羽が光るだけで、殆ど魔法効果は無かった。
「ぐぬぬ~、そっか。治癒魔法は光属性だから、この中では殆ど効かないのか~!? あ! という事は、マジックイレーズでこの闇を消すのも無理って事か?」
脱出の方法を考えていると、ある事にふと気付くユーキ。
(あれ? そういえばさっき僕、何に当たったんだ!?)
立ち上がり、ぶち当たった何かを探るユーキ。
暗闇の中を手で探ると、壁らしき物に触れる。
(壁? これってもしかして、闘技場の壁か? つまり僕は、いつの間にか闘技場の壁まで走ってたって事か……え? じゃあこの闇って、闘技場の端から端まであるって事?)
腕組みをして考えるユーキ。
(いや、まさかね。下準備も無しにこれ程広範囲に魔法空間を作り出すなんて、僕がエターナルマジックを使っても簡単に出来る事じゃない。て事は、この空間ってもしかして……」
ユーキが壁を前にして考えていると、背後から誰かがトントンとユーキの肩を叩く。
「ごめん、ちょっと待ってね」
闇に消える手。
少し経ってから、さっき消えた手がまたユーキの肩を叩く。
「だから、ちょっと待ってってば!」
またスウッと闇に消える手。
しかし、すぐにまたユーキの肩を叩く手。
「もう!! 分からない人だな~!! 今、考え事をしてるから待ってって言ってる……」
ユーキが振り返るとそこには、さっき闇から現れた女の幽霊がニヤリと笑っていた。
「いいいやああああああああ~!!!!」
再び悲鳴をあげながら逃げ出すユーキ。
「ああっとお!? 壁に当たって止まっていた玉が、再び移動を始めました~!! それにしても、先程から両選手の姿が見えない為、わたくし実況に困っております。誰か状況を説明していただきたいものです!」
しばらく走っていたら、また壁にぶち当たって倒れるユーキ。
「痛いな~、もう! だけど、これだけ走ったんだから振り切れた筈……」
だがユーキが振り返ると、すぐ背後にまた女の幽霊が居た。
「いやああああ!! 足無いのに、何で足早いんだよおお!!」
また別方向に走るユーキ。
そんな調子で、走っては壁にぶち当たりまた別方向に走るというのを繰り返すユーキ。
「ああっとお!! 先程から、移動しては壁に当たって止まり、また移動しては壁に当たるというパターンですが、その動きはさながらロボット掃除機のようだ~!!」
「上手い事言うわね!?」
「感心してる場合じゃないですよ、パティさ~ん」
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