ひめてん~姫と天使と悪魔と猫~

こーちゃ

文字の大きさ
216 / 298
終章 いつも楽しく面白く

第9話 アイコンタクトなんてそんなもの

しおりを挟む
 改めてバーダに質問するユーキ達。

「何でその梅干しがこんな所に居るのさ?」
「リーゼルでネムにぶっ飛ばされた筈なのです」

「フフ、確かにあの時は油断してしまい、苦杯を舐める事になりましたが……」
「ええ~!? 普通にネムの方が強かったよ?」
「圧勝だったのです」
「ただの負け惜しみよ」
「負け惜しみだよね?」
「負け惜しみですね」

「だまらっしゃい!!」

「だから、その潰れ梅干しが今更何しに来たのよ!?」
「干した上に潰すんじゃありません!」

「もしかしてネムにリベンジしに来たっての?」
「フフ、いえいえ。私が今日来た目的はマナ王女……いえ、マナ女王様とお呼びするべきですかな?」
「女王様ゆ~な!」

「サーティーンナンバーズの1人バーダとして、マナ王女を守る駒を減らしに来たんですよ!」
「ナンバーズ!?」

 ナンバーズという言葉に、警戒態勢をとるユーキ達。
 そしてパティとメルクがさっとラケルを見るが、ラケルには特に変わった様子は無かった。

 ラケルに気取られないように、パティとアイコンタクトをとるメルク。

(パティさん。もしもラケルさんが妙な動きをしたら、ユーキさんを最優先で守ってくださいね!?)

 コクリと頷くパティ。

(分かったわ、メル君。その時は梅干しの足止め、お願いね!?)

 頷き返すメルク。
 続いてネムにもアイコンタクトを送るメルク。

(ネムさん、もしもラケルさんが敵だった時は召喚獣を出して撹乱、お願いしますね!?)

 コクリと頷くネム。

(ネムは同じ干した物なら、梅干しよりもスルメが好きよ)

 ネムの意志を確認したメルクが、ロロにもアイコンタクトを送る。

(ロロさん、ラケルさんが敵だった場合、ユーキさんとまた例の合体をして、ひとまず安全な所まで避難してください)

 同じく頷くロロ。

(分かってるのです。ナンバーズでちまちま元手を増やすよりも、ジャンボ宝クジで一攫千金を狙うのです!)

 そしてユーキにも。

(ユーキさん、ラケルさんを信じたい気持ちは分かります。でも現にこうしてナンバーズが僕達の前に現れたんです。やはりラケルさんを完全に信用するのは危険だと思います。戦闘は僕達に任せて、ユーキさんは自分の身の安全を最優先にしてください)

 頷くユーキ。

(女王様って響き、やっぱりイメージ悪いよね? 何て呼んでもらったらいいかな~? 僕としては姫様って呼ばれるのが好きなんだけど、王になっちゃうと、もう姫様とは呼ばれないよね~?)

 頷き返すメルク。

(やっぱりか~! はあ、どうしたもんかな~!?)

 みんなに頑張ってアイコンタクトを送ったメルクだったが、まともに伝わったのはパティだけであった。


「あんたがナンバーズの1人だって言うの!?」

「ナンバーズとは、パラス軍の中でレベル7に達した者に与えられる称号です。お忘れですか? 私もレベル7なんですよ?」
「そういえば、そんな事言ってた」

「では、改めて自己紹介させて頂きます。私はサーティーンナンバーズの1人、ナンバー2のバーダです」

「ナンバー2?」
「あんたがナンバー2だっての!?」
「そうですが、何か?」

 バーダに聞こえないように固まって小声で話すユーキ達。

「バーダってネムが1人で倒したんだよね?」
「獣魔装した状態で、だけどね」
「最後は完全にネム1人で倒したのです」
「でもそれって……」
「大層な事言ってるけど、あいつがナンバー2ならナンバーズってのも意外と大した事無いのかもね!?」

「聞こえてますよ!!」

 しまったといった顔でバーダを見るユーキ達。

「勘違いしてもらっては困ります。ナンバーズの数字はトランプカードの数字の強さと同じなのです」
「トランプ!?」

「え!? トランプと同じって事は、確かエースが1番強いんだよね?」
「そうですね。そしてその次がキング、クイーン、ジャック。その下に10が来て、そこから小さい数字になる程弱かった筈です」
「……て事は?」
「2って1番下……」

「ええ、ええ、そうですとも! 私がサーティーンナンバーズでは1番下ですとも!」
「あ、何かごめんなさい……」

 バーダにペコリと頭を下げるユーキ。

「余計惨めになるので謝らないでくれますかっ!? しかしお分かりですか!? あなた方の中で数少ないレベル7であり、最強の戦闘力を持つネム王女を持ってして、サーティーンナンバーズ最弱であるこの私といい勝負という事です!!」

「いい勝負じゃないもん。人質さえ取られなければ、ネムの圧勝だったもん」

「しかもナンバーズの上位。ジャック、クイーン、キング、エースの4人は、他のナンバーズ達とは更に別格の強さを持つと聞いています」

「聞いてるって……同じナンバーズなのに知らないの!?」
「フフフ。私自身、その4人とは会った事も無ければ、名前すら知らないんですよ。ですからこれは、他のナンバーズから聞いた話です」
「あんた、下っ端過ぎて相手にされてないんじゃないの!?」
「おだまりっ!!」

「それはそうと、今はまだカオスが言った期日前なんですよ!? いきなり約束を破るつもりですか!?」
「フフフ、確かにカオス様は戦いにおいてはちゃんとルールを守るお方です。ですが、いくら先走ったとはいえ、きちんと手柄さえあげれば許してくださるのですよ!」
「何よ! 結局やったもん勝ちじゃないのよ!」

「今回の戦いで手柄をあげれば、リーゼルでの失態も帳消しにしてくださる筈! さあ! そういう訳で覚悟して頂きますよ! 誰から来ますか!? 何なら全員でかかって来てもかまいませんよ!?」
「ネムさん1人に負けた方が随分大きく出ましたね?」

 バーダの挑発に名乗り出るメルク。

「あなたの相手は僕1人で充分ですよ!」
「メル君!?」
「この方の相手は僕がします! ユーキさん達は早く出航してください!」

「ええ!? 1人でなんてダメだよ、メル君!!」
「ユーキさん。船には一般の方も乗っているんです。無関係な人を巻き込むつもりですか!?」
「いや、だけど……」

「メル君! あたしならそいつを倒してから飛行魔法で船に追い付けるわ。変わろうか!?」
「いえ、先程も言いましたが、船の中にもナンバーズが紛れ込んでいる可能性はあるんです! パティさんはユーキさんの側を離れないでください!」

「メルク兄様! 召喚獣、何体か置いていってあげようか?」
「あ、ありがとうございますネムさん。でもそれは船を守る為に使ってください!」

「みんなで袋叩きにすれば瞬殺なのです!」
「いえ、ですから! あれ? えと、もしかして、つまり……僕ってそれ程頼りにならないって事なんでしょうか?」

 必要以上にみんなに心配されて、己の期待度の低さを痛感したメルクであった。




しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

魔力ゼロの英雄の娘と魔族の秘密

藤原遊
ファンタジー
魔法が支配する世界で、魔力を持たない少女アリア・マーウェラ。彼女は、かつて街を守るために命を落とした英雄的冒険者の両親を持ちながら、その体質ゆえに魔法を使えず、魔道具すら扱えない。しかし、彼女は圧倒的な身体能力と戦闘センスを武器に、ギルドでソロ冒険者として活動していた。街の人々やギルド仲間からは「英雄の娘」として大切にされつつも、「魔力を捨てて進化した次世代型脳筋剣士」と妙な評価を受けている。 そんなある日、アリアは山中で倒れていた謎の魔法使いイアンを助ける。彼は並外れた魔法の才能を持ちながら、孤独な影を背負っていた。やがて二人は冒険の中で信頼を深め、街を脅かす魔王復活を阻止するため、「カギ」を探す旅に出る。 しかしイアンには秘密があった。彼は魔族と人間の混血であり、魔王軍四天王の血を引いていたのだ。その事実が明らかになったとき、アリアは「どんな過去があっても、イアンはイアンだよ」と笑顔で受け入れる。 過去に囚われたイアンと、前を向いて進むアリア。二人の絆が、世界を揺るがす冒険の行方を決める――。シリアスとギャグが織り交ざる、剣と魔法の冒険譚!

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

【長編・完結】私、12歳で死んだ。赤ちゃん還り?水魔法で救済じゃなくて、給水しますよー。

BBやっこ
ファンタジー
死因の毒殺は、意外とは言い切れない。だって貴族の後継者扱いだったから。けど、私はこの家の子ではないかもしれない。そこをつけいられて、親族と名乗る人達に好き勝手されていた。 辺境の地で魔物からの脅威に領地を守りながら、過ごした12年間。その生が終わった筈だったけど…雨。その日に辺境伯が連れて来た赤ん坊。「セリュートとでも名付けておけ」暫定後継者になった瞬間にいた、私は赤ちゃん?? 私が、もう一度自分の人生を歩み始める物語。給水係と呼ばれる水魔法でお悩み解決?

【完結】魔法大戦 〜失われた古代魔法で無双する!〜

加瀬 一葉
ファンタジー
 王立魔法学校。高等部に編入してきた冴えない生徒ラフィト。エリートが集うこの学校で、辺境出身のラフィトは落ちこぼれの劣等生なのだが……。  実は彼は、失われたはずの古代魔法を操る一族の末裔。魔族の脅威が増す時代に、ラフィトは人類を救うことができるのか?  過去と現在が交錯する、魔法ファンタジー。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処刑された王女、時間を巻き戻して復讐を誓う

yukataka
ファンタジー
断頭台で首を刎ねられた王女セリーヌは、女神の加護により処刑の一年前へと時間を巻き戻された。信じていた者たちに裏切られ、民衆に石を投げられた記憶を胸に、彼女は証拠を集め、法を武器に、陰謀の網を逆手に取る。復讐か、赦しか——その選択が、リオネール王国の未来を決める。 これは、王弟の陰謀で処刑された王女が、一年前へと時間を巻き戻され、証拠と同盟と知略で玉座と尊厳を奪還する復讐と再生の物語です。彼女は二度と誰も失わないために、正義を手続きとして示し、赦すか裁くかの決断を自らの手で下します。舞台は剣と魔法の王国リオネール。法と証拠、裁判と契約が逆転の核となり、感情と理性の葛藤を経て、王女は新たな国の夜明けへと歩を進めます。

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

処理中です...