ひめてん~姫と天使と悪魔と猫~

こーちゃ

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終章 いつも楽しく面白く

第14話 妄想するのは自由

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 改めて、ユーキの言葉を思い出すメルク。

『メルく~ん!! 魔法は自分の心次第だよ~!!』

(自分の心次第……そうですね。最初っから出来ないなんて決め付けたらダメですよね。フフッ、この世界の魔法そのものを創った女神様の言葉です。これ程信頼出来る言葉はありませんね。なら! その言葉を信じて、やってみます!!)

 スクッと立ち上がるメルク。
 その表情を見たトレスが何かを感じ取る。

「いい顔になったじゃねぇか。俺の技の攻略法でも思い付いたか? ならば来なっ!!」
「行きます!!」

 右腕の痛みを堪えて矢を放つメルク。
 それに呼応するように針を投げるトレス。
 メルクの放った矢はまたしてもトレスの針により消滅し、投げられた針はそのままの勢いでメルクの体を貫く。

「ぐっ!」
「何だぁ!? さっきと同じじゃねぇか!? ただ開き直っただけか!?」

 しかし、トレスの言葉に反応する事なく続けて矢を放つメルク。

「同じだ!」

 またメルクの放った矢を迎撃するトレス。
 だが今度は、矢を貫いた針がメルクに届く前に失速して落下する。

(何だ!? 針が失速した!?)

 次も同じように矢を迎撃するが、矢を貫く事無く矢と針がお互いに弾けあって落下する。

(まさかっ!? 矢の威力が増しているってのか!? ヘッ! 面白ぇ!)

「なら、こっからは力比べと行こうじゃねぇかっ!!」

 メルクの矢と、トレスの針のぶつかり合いになるが、必ずしもどちらか一方が押す訳ではなく、その時々によって針が勝ったり矢が勝ったり、またはお互い弾けあったりと様々だった。

「どうやら俺の技の仕組みは理解出来たみてぇだが、まだ魔力が安定してねぇみたいだな!? そんなボロボロの状態で、俺に勝てると思うなあっ!!」

 トレスが白衣を広げると、その裏側にビッシリと無数の針が並んでいた。
 それを手でなぞるようにして取り出し、数えきれない程の針を同時に投げるトレス。

「これでお前は俺の彼女だあああ!!」

 勝利を確信したように叫ぶトレス。
 トレスの叫びにピクリと反応したメルクが叫び返す。

「僕は男だああああ!! サウザンドアロー!!」

 トレスの針に負けないぐらいの無数の矢を放つメルク。
 また相打ちかと思われたが、その内の1本の矢がトレスに命中する。

(何だ!? 数が多過ぎて落とし損ねたか?)

 しかし、更に数本の矢が落とされる事なくトレスの体に命中する。

(こ、これは偶然じゃねぇ! 俺の針は魔力を探知して追跡するんだ。見落とすなんて事は根本的にありえねぇ。数でも負けてねぇ。という事は、まさか!?)

「くそっ! 俺の針が直線的にしか飛ばないと思うなあ!!」

 斜め方向へ投げた針が大きく弧を描き、メルクの背後から襲いかかる。
 しかし、メルクの放った矢もまた、大きく旋回して背後から迫り来る針を撃ち落とす。

「何ぃ!?」
「あいにく、背後からの攻撃には敏感なもので」

 驚きの表情に変わるトレス。

(こ、これはもう明らかに俺の技に同じ技を合わせて来てやがる! だが、レベル7である俺の技を相殺するには、同じレベル7でないと不可能……)

 驚愕の事実に、怒りを露わにするトレス。

「ふっざけんなよ! さっきまでレベル5だった奴が、この僅かの間に一気にレベル7まで昇華させたってのか!? ナメやがってえ! 俺が苦労して編み出した技を、そう簡単にマネされてたまるかああっ!! イーゲルシュテルン!!」

 手持ちの全ての針を投げるトレス。
 その無数の針が、メルクの全方位から襲いかかる。

「出来ると思えば何でも出来るんです!! スパイラルアロー!!」

 己の体に次々と刺さる針を無視して、トレスに全霊を込めた矢を放つメルク。
 螺旋状に渦巻く水をまとったその矢は、トレスの針を物ともせずに飛んで行き、トレスの体を貫く。

「がはああっ!!」

 その矢の威力に、一撃で倒れ込むトレス。
 と同時に、空を舞っていた無数の針も全て地に落ちる。

「バ、バカな! 防御を完全に捨てて、一撃に全てをかけて来るとは……」
「あ、相手にトドメを刺そうとする時、さ、最大の隙ができる。アイバーン様の教えです。あ、あなたが……す、全ての針を……な、投げたようでしたからね。ここしか無いと……思ったんです……よ……」

「ヘッ! だからって、自分に向かって来る針を全部無視して反撃して来るとか、どんな神経してやがる」

 しかし、反応の無いメルク。
 仰向けに倒れた状態で、立ったままのメルクを見つめるトレス。

「立ったまま気絶してやがるのか? まったく……かわいい顔してると思ったら、とんでもねぇ猛獣が潜んでいやがった。くそっ! 相打ちと言いてぇが、あいつは立ったままって事は俺の負けだな! は~あっ! このままパラスに帰ったらカオスのダンナにぶっ殺されそうだしな~! どうすっかな~!? まあ、今は疲れたから寝るかっ!」

 そのままスッと眠りにつくトレス。

 サーティーンナンバーズ、ナンバー3トレス、撃破!
 残るナンバーズはあと12人。


 一方のメルクも、かろうじて立ってはいたものの、大量の出血の為意識を失い、前のめりに倒れ込む。

「まだです!!」

 倒れそうになった所を、足を出して必死に堪えるメルク。

「ま、まだ……倒れる訳にはいかない。バ、バーダさんを……ユーキさんの元に行かせてはいけない!」

 朦朧とした意識の中で、バーダが飛び去った方向へ弓を構えるメルク。

(バーダさんはもう、随分前に飛び去りました。普通ならとても矢が届くような距離じゃない。だけど、出来る! 出来ると思えば必ず出来る! そうですよね? ユーキさん)

 メルクの頭の中に、ユーキの声が響く。

『そうだよメル君! だからメル君も、僕と結婚出来ると思えば必ず出来るよ!』
(ハイ!! この戦いが終わったら僕、ユーキさんと結婚します!!)

『2話続けてこのパターンやめええ!! あとそれ、死亡フラグだからああ!!』

 イメージなのをいい事に、好き勝手に想像するメルクであった。




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