残る世界の光

ふずきまる

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エイヴィスト社会主義共和国連邦。中央ヨーロッパにある大きな国。過去は大国としてヨーロッパのほぼ全土を統一していた国家でもあった。しかし少しずつ、だが確実に衰退していった。
長い年月を経て少しずつ復活してきている。つい三十年前まではバラバラだった国家も一つに統一したのは彼女のおかげだ。ヴィクトリア女王もまた、ロータのように歴史上最盛期の国の時のように復活を目指している。
ロータ第一帝国時代は一番最果てでも東欧の少しの地域のみ。旧領回収において、これ以上干渉することがないのに対しエイヴィストもロータ第一帝国時代の旧領には歴史上一度も占領していない。お互いの利害が一致し同盟にこぎつけたわけである。
満足そうな顔をしながらフェルダリオはプライベート機で祖国へと帰国する。

「どうだったか、この遠征は。」
帰り、飛行機の中でフェルダリオはゼーベに問う。
「とても有意義なものになりました。これもまたフェルダリオ様のおかげです。」
席は隣だったが頭を下げる。フェルダリオは窓から見える景色を眺めていた。
「我々の手で、変えるのだ。エイヴィスト、ロータヴェル、大和楽の手で。」
「もちろんでございます。」
その時だった。どたどたと飛行機の中であるのに、官僚達がものすごく焦った顔でフェルダリオのもとにくる。
「なんだ!帰路の中で騒ぐとは。」
フェルダリオは彼らを注意する。だが、そういうわけにもいかなかった。ヴァーグルが前に出てなんとか焦りを抑えた顔でフェルダリオに伝える。

「アレリスト帝国が独自陣営を発足!主要国はアレリスト帝国、イデルヴァッファ王国、
グリーンクロイツ連邦とのこと!」

まさか独自陣営を発足するとは。これにはアレリストに迫っていたネイもフェルダリオも、全世界もの予想を裏切った。ついにフェルナンドは決断を下した。そういう考えもできる。
更に大国であるイデルヴァッファ王国とグリロが参戦するのは想定外でもあった。フェルダリオの顔がさーっと血のひけた表情になる。
イデルヴァッファ王国。ユーラシア大陸の北地方を納める大国である。極寒の大地でも知られており、領土は世界で一番の広さ、世界で一番の人口を持つ。そこからくる軍の強さは異常なまでに強く、特に陸軍はどれだけ兵士を倒しても、無尽蔵のように兵士が送り込まれる。まさに最強国家の一つ。領土で言えばエイヴィストと隣り合わせ。またロータヴェルの北の領土とも隣り合わせになっている。
またグリーンクロイツ連邦も同じアジアの大国。ロータヴェル王国に比べれば領土は広くないが軍の結束力は高く、何度も攻めては攻められの繰り返し。因縁の相手でもある。チャンスになったかと思ったが一転、いつ攻められるかわからない状況に。
「くそっ…。やりやがったなアレリスト…!!」
フェルダリオはぶつけようのない怒りが生じる。陣営だけでいうなら三つ巴に。
「すぐに日程を調整しろ。同盟国内で会議せねば!」
フェルダリオは焦った顔で彼らに指示する。
世界が、混乱の渦に巻き込まれる。
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