残る世界の光

ふずきまる

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数ヶ月後、大和楽帝国のホテルで盛大なパーティーが行われた。そして三カ国のリーダーが抱負を述べた。そして大ロータヴェル帝国皇帝、エルドレッドが述べた後に締めとしてフェルダリオがマイクを持って述べる。
「今、世界情勢は目まぐるしく変わっている。明日には私達の祖国が滅んでいるかもしれない。だが、私達は私達の目標に向けて昇進するのみ!我々はやり遂げるのだ。世界に革命を!」
盛大な拍手が巻き起こる。フェルダリオが得意げにマイクを置き、お開きとなった。
しかし、フェルダリオ、クア、ヴィクトリアの目に喜びや祝福と言った感情はなく、むしろ焦りが出ていた。
「今すぐにでも私たち三人で会議を!」
帰る人混みのなか、クアとヴィクトリアがフェルダリオの元へと向かい言い放った。
「勿論だ。今すぐにでも行おう。各国の陸空海のトップも連れてこい。」
その言葉の後、パーティー会場を後にして小さなホテルへと向かい、各国が勢ぞろいした。そしてフェルダリオは合図する。
「今から会議を始めます。この世界情勢についてです。」
フェルダリオはすぐに切り始めた。各軍の情報提供、技術提供、兵の提供は勿論、合同訓練も行うことで一致した。ただそれ以上に不安な事が。
「イデルヴァッファと面しているあなた達は大丈夫なのですか?」
クアがヴィクトリアとフェルダリオを見る。それは二人も承知しているようだ。
「特に私たちエイヴィストは近々イデルヴァッファと不可侵条約と結ぶ予定です。むしろそうしなければまずいかと。」
ヴィクトリアは険しい表情で言い放った。
「我々は巨大要塞を構築する。人工無尽蔵にあるあの国を止めるきっかけになるはずだ。いつでも攻められてもいいようにな。」
フェルダリオはヴァーグルを見る。ヴァーグルはわかりましたと言うように頭を少し下げる。
「それと…グリーンクロイツとの関係はどうするのですか?同じ中央アジアのライバル国でしょう?」
ヴィクトリアはフェルダリオをちらと見る。
「そいつだが、あいつらは絶対にうちと不可侵は結ぶつもりはないだろう。来たら来ただ。だけど最初に叩くべきなのはアレリストでは無いのか?」
それは皆も同じ顔をしていた。資源が豊富なアレリストを今すぐにでも叩かねば。
「それともう一つ。この三国間で行ないたい事がある。」
その次フェルダリオはとんでもないことを口にする。

「アラビア半島から、石油を取れるように開発をしたい。」
「何を言う?」
それを真っ先に止めたのはクアだった。
「あんな砂漠から何も取れないでしょう?」
「だからだ。」
フェルダリオはクアに問いかける。
「大ロータヴェル帝国の地質調査は全て行なった。最後はアラビア半島だ。アラビアから石油が取れればあいつらにも資源量なら充分対抗できる。早急に行ないたいんだ。頼む。」
プライドが高いフェルダリオが頭を下げた。その様子を見て大ロータヴェル帝国軍トップは驚いた顔をしている。ここまでされたら仕方ないというような顔をクアはする。
「ヴィクトリア女王様は?」
「私は勿論構わないです。少しの可能性を信じてみるのもいいでしょう。」
「よし。再来週から始める。」
フェルダリオは机を叩いた。
「この状況を、打破せねば。」



「くっそ…。」
ネイも頭を抱えていた。今、この三つ巴の状況で最弱なのは明らかに久遠同盟国。二カ国のみの構成、更に強力な国家で編成された同盟国が二つ。どうあがけば良いのだろうか。
「やはり…アレリストを逃したのは大きかったようで…。」
「黙れ!!」
口を漏らした幹部はビクッと震えた。また会議中にいた各軍トップも黙り込む。ピリピリとした雰囲気が流れる。
「そこでなんですが…。」
エデルが口を出す。
「オセアニア地域を統一しましょう。私たちはポリネシア、ミクロネシア地域を取られました。この状況を打破しないと囲まれて終わりです。」
「…そうしよう。大和楽から撃つと。」
「はい。それともう一つ。」
エデルはネイに進言する。

「アフリカ大陸に、進出してみませんか?7
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