残る世界の光

ふずきまる

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一週間後、早速フェルダリオはタンミリアに向けて戦争正当化を開始する。
一度は謝罪させて欲しいとまで言われたが彼は断固拒否した。この時点で交渉決裂が決定した。
勝手な真似をされ家族である兵士を殺されたのだ。この雪辱を晴らさないわけがない。この怒りの鎮め方は、やはりこの弔戦争に勝つというやり方のみだ。
また大和楽帝国も着々と準備が進められており、アスバリチアの進行を食い止めるための海軍の中の精鋭のみで構成された艦隊、
『神璐艦隊』を組む。璐とは、あちらの国での大ロータヴェル帝国の表し方だという。
また、エイヴィストも兵士の提供、武器支援を行うという。
準備は整った。あとは、獲物を喰らうのみー。


「言い方を悪くするならば、私たち、久遠同盟国が今、世界革命連合に牙を剥くときだ!!」
ネイは大声で彼らに言い放つ。同盟国である以上、タンミリアが戦争状態となれば武器支援などを行うのは勿論。
しかしすぐそこには大和楽がいる。大和楽へダメージを与えるチャンスでもある。
「ついに、あの二隻を使う時が来たのですね?」
「超急ピッチで造らせたかいがあった。こいつらであいつらを蹂躙するんだ…。やるしかないんだ。あいつらに取られた我が国の領土を、取り返すんだ!!」
「仰せのままに!!」
全員が勢いよく起立し、胸に握り拳を当てる。
「私たちはタンミリアに全ての支援はするつもりだ。しかし我々もやるしかないのだ。今がこのチャンス、リベンジする時なんだ。ワルキューレを大ロータヴェル帝国へ、サンクアリティスを大和楽帝国方面へと当てろ。」
「仰せのままに。」
「我々が、勝利に近づくかどうかが別れる一戦だ。心してかかれ!!」

「ご報告いたします。大ロータヴェル帝国がタンミリア帝国へ戦争目的正当化を進めているそうです。」
「ふむ…。それで?」
「また、大和楽帝国も参戦するのではないかという報告もございます。」
「ふむ…。イデルヴァッファ王国のグェーリンを呼べ。」
「はっ。」
そう言われ、すぐさま彼女へ電話を持っていく。彼女は指でダイヤルを合わせ、イデルヴァッファ王国のグェーリンに電話を繋げる。
「あぁ私だ。ふむ…。うん。やはりお主もそういう考えか…。なるほど…。」
この会話が長らく三十分ほど続いた。
納得したかのようにちんっと電話を切ると彼女は口を開いた。
「あいつらを潰せるチャンスだ。グリーンクロイツ連邦。大ロータヴェル帝国への宣戦布告をする。」
「…!!本当ですか…!?」
「ああ。まだいきなりではないが、あいつらの戦局が停滞しているときに挟み撃ちでやり合うつもりだ。」
「しかし….やつらよりも私は警戒している国がございます。」
「なんと、あれだけロータに恨みを持っているお前がそんなことを言うとはな。どこだ、言ってみろ。」
「エイヴィスト連邦です。私はやつらが、この戦争の鍵を握るのではないかと思います…。クリシェ様。」
「イデルヴァッファはエイヴィストを信頼しているようだ。だが忘れるな、私達はエイヴィストでも、大和楽でもない。大ロータヴェル帝国を撃破することが、我々の長年の宿命だ。それは忘れるでないぞ。」
「はっ。」
椅子から立ち上がればマントがバサッと揺れる。深々と礼を下げる彼に自分の帽子をぽんと置くとドアを閉め部屋を出て行った。

そして、大和楽も動き出そうとしていた。

「我ガ国ハアスバリチア帝国二宣戦布告スルコトヲココニ発表スル。」
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