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第1章3節 学園生活/楽しい三学期
第155話 アーサーの疑問
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『かくして私はガラティア地方に辿り着く。噂通りの石と火山灰とに覆われた、自然の気配を一切感じさせない地。やや標高が高いのか、吸い込む空気が冷たく心地良い』
『しかし彩がない地域には、やはり味気のない品格の者が多く棲まう。多くの賊や流浪の騎士に襲われそうになりながらも、何とか私は『烏町』に転がり込んだ』
『この烏町は、ガラティア地方で最も魔力が吹き荒れる地、霊脈があるのだそう。だがそう謳われる割には、人々は魔法に根差した生活を送っているようには思えない。時々大気中に火の粉が舞うのだけがその証明だ』
『そして烏町と呼ばれる要因、それは烏人間と呼ばれる存在だ。私は一人の烏人間と接触し、酒場で飲み交わした。顔はそのままの烏で人の言葉を話す。姿とは裏腹に気さくな性格で、酒も食事も進んだ』
『聞くと彼は遥かイズエルトの地から舞い降りて、この地の火を持ち帰るのだという。それで極寒の故郷は快適に過ごせると。長い旅路ではあるが得る物は大きい』
『私は彼の無事を祈りつつ、別れる背中に手を振った。彼は氷の血筋に生まれ、そこに蔓延る久遠なる零度に抗おうとしている。運命に対する反抗、そして彼に課せられた運命を強く感じた……』
アーサーが『ユーサー・ペンドラゴンの旅路』を区切りのよい所まで読み終えると、生徒相談室の扉が開く。
「お待たせしました、アーサー。今紅茶を淹れますね」
「……」
担任のハインリヒに呼び出され、今から話をする所だ。
「……感謝する」
アーサーは一言だけ口走り、セイロンのストレートを一口飲む。
「……感謝ですか」
「ああ。何か問題でも?」
「……そんなことは一切ありませんよ」
彼の成長を早速実感させられた後、本題に移る。
「この面談は、先の騎士王研究の続きです。学生としての面談はエリスと共に後日行います」
「わかった。それで、あんたは何を知りたい」
「そうですね……」
ハインリヒはアーサーがティーカップの隣に置いた、『ユーサー・ペンドラゴンの旅路』に目を遣る。
「……そちらの本は、長いこと読んでいるようですね」
「わかるのか」
「ページの端々に指の跡が沢山付いていますので」
「……」
そんなことまで見えるのか、と思う。
「貴方は好きな本が何か訊かれたら、『ユーサー・ペンドラゴンの旅路』と答えますか?」
「……そうだな。オレの好きな本はこれかもしれない。これはオレを夢中にさせているからな」
「左様ですか……」
アーサーは本を手に取る。そのまま表紙に視線を落とした。
「……本は、もう一つ気になるものがある」
「……教えてもらってもいいですか?」
「それがあんたの知りたいことか?」
「趣味嗜好には深層心理が現れますからね」
「……そうか」
アーサーは鞄から、先日図書室で借りてきた、やや古びた装丁の本を取り出す。
「『名も無き騎士の唄』。オレにはこれも興味深い」
「ふむ……」
ハインリヒが考察を重ねる間もなく、アーサーは続ける。
「名前も姿も明らかになっていないのに有名な騎士。名前も姿も明らかになっていて有名な騎士王」
「生まれ育ちがはっきりとしているユーサー。生まれも育ちもなく、どこからともなく現れた騎士王」
「対極にあるような気がして、とても興味深い」
あれだけ武芸にしか興味を示さなかった彼が、文学的な味わい深さを強く感じているのだ。
「……ありがとうございます。今貴方が何を考えているのか、その一端に触れることができました……」
「そうか。まだ話は続くか?」
「ええ。今度は私の方から質問をば」
「なら紅茶のお代わりを貰おう」
「承知しました」
セイロンティーの湯気と共に、面談は続く。
「剣を抜いている時の感覚……」
「ええ。貴方が騎士王として力を振るっている時の感覚は、貴方自身にしかわかりませんから。ざっくりでもいいので教えてもらいますか?」
「……」
今度はアーサーが顎に手を当て考える。
「……そのようなことを考えたことがない」
「まあ、そんな気はしていました」
「だからここで抜いて確かめてみるのはどうだ」
「……」
「……あんたでも口を開けて唖然とするんだな」
「いえ……確かに私もそれが効率的だと思いましたが、まさか貴方からその提案が出てくるとは。軽く衝撃でしたよ」
言いながらハインリヒは立ち上がり、片手で結界を構築する。
「妨害結界の一種です……これでこの部屋は今、魔術的に密室だ。長引くと事務室から疑問がられますから、お早めに」
「ならばやらせてもらう」
腰に差した剣を抜く。鉄の鎧の剣士に早変わり。
しかし今回はその握った剣を振らず、自分に流れる魔力の感覚を確認する。
「……」
彼は今の自分の状況を、ありのままに伝えることにした。
「眠っている力が呼び起こされるようだ。普段は使わない戦闘用の力」
「ふむ……」
「冷静になって考えてみると、自分の意識がそれに引っ張られるような気がしている」
「……?」
「完全に自分の物ではない、貰い物の力という感じがするな……」
「……」
自分で言ったことを振り返るように、アーサーは自分の肉体を見える範囲で見回す。
「……教えてほしいことがある」
前回の魔力構成の解析結果を、彼に伝えるべきか迷っているうちに。
アーサーの方から言葉が出てきた。その紅い瞳は、疑念を抱いて自分を貫いている。
「伝説では、オレは聖杯を護った騎士王だ。聖杯は多くの人々に恵みを齎し、イングレンスの安寧に資していた」
「だがオレは敗北した。カムランの戦いで、モードレッドに。聖杯は失われ、そうしたら……恵みが齎されない人々が生まれた」
「もしもオレが敗北しなかったら、聖杯は存在したままだったのか?」
「そうしたら、今より多くの人々が、過酷に苦しむことはなかったのか?」
目が潰れたままでも高度な魔術を扱える、そのような腕前の魔術師であるハインリヒでさえも、
返答に時間を要する問いであった――
「……アーサー。これは完全に、私の個人的な意見なのですが」
「聖杯が失われたのは、世界にとっていいことだったと思うのです」
更なる疑問にアーサーは目を見開く。鉄の鎧を着て、輝きを保つ剣を手からぶら下げたまま。
「例えば飢饉直前の村があったとしましょう。聖杯があればそれに願えば直ぐに解決します。しかしそれ以外の解決法――より多くの作物を育てる方法や、そもそも育ちやすい作物を探す。地下水の発掘を行う。他の村と取引を行う。そういった自分達で解決するという行為を一切しなくなります」
「すると発生するのは、人間本来の生きる力が失われるということ――そうなったら待ち受けるのは滅亡で、緩やかな衰退の道を辿るだけになる」
「生きる力が失われた人々の世界では、生きる力を養う魔法学園なんてものは誕生しないでしょう。そこに貴方が通って、普通の少年として過ごすこともない」
最後の言葉は温和で、穏やかな笑みが零れていた。しかしすぐに冷徹な声色に戻る。
「それに、たとえ聖杯が存在していたとしても、必ず格差は生まれていたでしょう。いつの時代にもいる狡い人間は、何かしらにかこつけて、自分だけが得をしようとする」
「聖杯の恵みを享受するのに階級を生み出したり、料金を貰ったり、そもそも権力者にしか渡らないようにしたりね。アーサー、聖杯は一見万能そうに見えますが、それ故に多くの歪みをも引き起こす」
「その歪みに立ち向かう力を醸成できるこの時代の方が、余程素晴らしいと私は思うのですよ……」
ハインリヒの持論を聞き届けた後、アーサーは剣を納める。年相応の学生服姿に戻った。
「……そういうものか」
「そういうものです。確かに貴方は騎士王と呼ばれてはいるが、世界の仕組みの全てを知っているわけではない」
「なら、もっとここで学ぶ必要があるな」
「……私が言おうとしていたことを先に言いましたね」
「何か問題が?」
「いいえ、何も。寧ろ有難いことしかありませんよ」
一年という月日は短いようでやはり長い。
人はそれだけの時間があれば、見違えるように変わるのだ。
それからしばらく時間が経ち、散々紅茶を飲み干したアーサーは、ハインリヒと共に生徒相談室を後にした。
「ご用足しの方は、先の一回で平気でしたか?」
「我慢できないならとっくに向かっている」
「それもそうですね」
他愛ない話がまた始まろうとしていた矢先――
「……ハインリヒ先生」
「ん……」
「おや、これはヴィクトール。私に何か用事ですか」
七三分けに青い瞳で黒縁眼鏡の生徒。二人にとっての顔見知りが突っ立っていた。
「あんた、あのエルフは一緒じゃないのか」
「先輩方に見張ってもらって、俺だけ単独でここに来たんだ。先生、こちらに目を通していただけませんか」
ヴィクトールは数枚綴りの資料を差し出す。ハインリヒはそれを受け取ると、雑に開いて眺める。
「ああ……対抗戦の概要ですか。生徒側に出すしおりですね」
「対抗戦?」
「来年度から行われる一大行事だ。詳しい説明はその時に行われるだろう……」
ヴィクトールの視線は、アーサーとハインリヒに交互に向けられていた。
「……まだ何かあるのか」
「いや……特にはない」
「なら戻ったらどうだ。まだあいつが脱走しても知らないぞ」
「そうさせてもらう。先生、添削が終わりましたら俺に返却をお願いします」
「わかりました。では早速入るので、アーサー。ここでお別れです」
「ああ、また授業で。あんたもまた今度な」
軽く挨拶を済ませ、三人はそれぞれ別の方向に向かっていく。一人は職員室、一人は生徒会室、一人は学園の外――
(……確かにあの二人が出てきた部屋から強い妨害魔術を感じた)
(概ねハインリヒ先生が構築されたものだろうが――そこまでして、何の話を――)
『しかし彩がない地域には、やはり味気のない品格の者が多く棲まう。多くの賊や流浪の騎士に襲われそうになりながらも、何とか私は『烏町』に転がり込んだ』
『この烏町は、ガラティア地方で最も魔力が吹き荒れる地、霊脈があるのだそう。だがそう謳われる割には、人々は魔法に根差した生活を送っているようには思えない。時々大気中に火の粉が舞うのだけがその証明だ』
『そして烏町と呼ばれる要因、それは烏人間と呼ばれる存在だ。私は一人の烏人間と接触し、酒場で飲み交わした。顔はそのままの烏で人の言葉を話す。姿とは裏腹に気さくな性格で、酒も食事も進んだ』
『聞くと彼は遥かイズエルトの地から舞い降りて、この地の火を持ち帰るのだという。それで極寒の故郷は快適に過ごせると。長い旅路ではあるが得る物は大きい』
『私は彼の無事を祈りつつ、別れる背中に手を振った。彼は氷の血筋に生まれ、そこに蔓延る久遠なる零度に抗おうとしている。運命に対する反抗、そして彼に課せられた運命を強く感じた……』
アーサーが『ユーサー・ペンドラゴンの旅路』を区切りのよい所まで読み終えると、生徒相談室の扉が開く。
「お待たせしました、アーサー。今紅茶を淹れますね」
「……」
担任のハインリヒに呼び出され、今から話をする所だ。
「……感謝する」
アーサーは一言だけ口走り、セイロンのストレートを一口飲む。
「……感謝ですか」
「ああ。何か問題でも?」
「……そんなことは一切ありませんよ」
彼の成長を早速実感させられた後、本題に移る。
「この面談は、先の騎士王研究の続きです。学生としての面談はエリスと共に後日行います」
「わかった。それで、あんたは何を知りたい」
「そうですね……」
ハインリヒはアーサーがティーカップの隣に置いた、『ユーサー・ペンドラゴンの旅路』に目を遣る。
「……そちらの本は、長いこと読んでいるようですね」
「わかるのか」
「ページの端々に指の跡が沢山付いていますので」
「……」
そんなことまで見えるのか、と思う。
「貴方は好きな本が何か訊かれたら、『ユーサー・ペンドラゴンの旅路』と答えますか?」
「……そうだな。オレの好きな本はこれかもしれない。これはオレを夢中にさせているからな」
「左様ですか……」
アーサーは本を手に取る。そのまま表紙に視線を落とした。
「……本は、もう一つ気になるものがある」
「……教えてもらってもいいですか?」
「それがあんたの知りたいことか?」
「趣味嗜好には深層心理が現れますからね」
「……そうか」
アーサーは鞄から、先日図書室で借りてきた、やや古びた装丁の本を取り出す。
「『名も無き騎士の唄』。オレにはこれも興味深い」
「ふむ……」
ハインリヒが考察を重ねる間もなく、アーサーは続ける。
「名前も姿も明らかになっていないのに有名な騎士。名前も姿も明らかになっていて有名な騎士王」
「生まれ育ちがはっきりとしているユーサー。生まれも育ちもなく、どこからともなく現れた騎士王」
「対極にあるような気がして、とても興味深い」
あれだけ武芸にしか興味を示さなかった彼が、文学的な味わい深さを強く感じているのだ。
「……ありがとうございます。今貴方が何を考えているのか、その一端に触れることができました……」
「そうか。まだ話は続くか?」
「ええ。今度は私の方から質問をば」
「なら紅茶のお代わりを貰おう」
「承知しました」
セイロンティーの湯気と共に、面談は続く。
「剣を抜いている時の感覚……」
「ええ。貴方が騎士王として力を振るっている時の感覚は、貴方自身にしかわかりませんから。ざっくりでもいいので教えてもらいますか?」
「……」
今度はアーサーが顎に手を当て考える。
「……そのようなことを考えたことがない」
「まあ、そんな気はしていました」
「だからここで抜いて確かめてみるのはどうだ」
「……」
「……あんたでも口を開けて唖然とするんだな」
「いえ……確かに私もそれが効率的だと思いましたが、まさか貴方からその提案が出てくるとは。軽く衝撃でしたよ」
言いながらハインリヒは立ち上がり、片手で結界を構築する。
「妨害結界の一種です……これでこの部屋は今、魔術的に密室だ。長引くと事務室から疑問がられますから、お早めに」
「ならばやらせてもらう」
腰に差した剣を抜く。鉄の鎧の剣士に早変わり。
しかし今回はその握った剣を振らず、自分に流れる魔力の感覚を確認する。
「……」
彼は今の自分の状況を、ありのままに伝えることにした。
「眠っている力が呼び起こされるようだ。普段は使わない戦闘用の力」
「ふむ……」
「冷静になって考えてみると、自分の意識がそれに引っ張られるような気がしている」
「……?」
「完全に自分の物ではない、貰い物の力という感じがするな……」
「……」
自分で言ったことを振り返るように、アーサーは自分の肉体を見える範囲で見回す。
「……教えてほしいことがある」
前回の魔力構成の解析結果を、彼に伝えるべきか迷っているうちに。
アーサーの方から言葉が出てきた。その紅い瞳は、疑念を抱いて自分を貫いている。
「伝説では、オレは聖杯を護った騎士王だ。聖杯は多くの人々に恵みを齎し、イングレンスの安寧に資していた」
「だがオレは敗北した。カムランの戦いで、モードレッドに。聖杯は失われ、そうしたら……恵みが齎されない人々が生まれた」
「もしもオレが敗北しなかったら、聖杯は存在したままだったのか?」
「そうしたら、今より多くの人々が、過酷に苦しむことはなかったのか?」
目が潰れたままでも高度な魔術を扱える、そのような腕前の魔術師であるハインリヒでさえも、
返答に時間を要する問いであった――
「……アーサー。これは完全に、私の個人的な意見なのですが」
「聖杯が失われたのは、世界にとっていいことだったと思うのです」
更なる疑問にアーサーは目を見開く。鉄の鎧を着て、輝きを保つ剣を手からぶら下げたまま。
「例えば飢饉直前の村があったとしましょう。聖杯があればそれに願えば直ぐに解決します。しかしそれ以外の解決法――より多くの作物を育てる方法や、そもそも育ちやすい作物を探す。地下水の発掘を行う。他の村と取引を行う。そういった自分達で解決するという行為を一切しなくなります」
「すると発生するのは、人間本来の生きる力が失われるということ――そうなったら待ち受けるのは滅亡で、緩やかな衰退の道を辿るだけになる」
「生きる力が失われた人々の世界では、生きる力を養う魔法学園なんてものは誕生しないでしょう。そこに貴方が通って、普通の少年として過ごすこともない」
最後の言葉は温和で、穏やかな笑みが零れていた。しかしすぐに冷徹な声色に戻る。
「それに、たとえ聖杯が存在していたとしても、必ず格差は生まれていたでしょう。いつの時代にもいる狡い人間は、何かしらにかこつけて、自分だけが得をしようとする」
「聖杯の恵みを享受するのに階級を生み出したり、料金を貰ったり、そもそも権力者にしか渡らないようにしたりね。アーサー、聖杯は一見万能そうに見えますが、それ故に多くの歪みをも引き起こす」
「その歪みに立ち向かう力を醸成できるこの時代の方が、余程素晴らしいと私は思うのですよ……」
ハインリヒの持論を聞き届けた後、アーサーは剣を納める。年相応の学生服姿に戻った。
「……そういうものか」
「そういうものです。確かに貴方は騎士王と呼ばれてはいるが、世界の仕組みの全てを知っているわけではない」
「なら、もっとここで学ぶ必要があるな」
「……私が言おうとしていたことを先に言いましたね」
「何か問題が?」
「いいえ、何も。寧ろ有難いことしかありませんよ」
一年という月日は短いようでやはり長い。
人はそれだけの時間があれば、見違えるように変わるのだ。
それからしばらく時間が経ち、散々紅茶を飲み干したアーサーは、ハインリヒと共に生徒相談室を後にした。
「ご用足しの方は、先の一回で平気でしたか?」
「我慢できないならとっくに向かっている」
「それもそうですね」
他愛ない話がまた始まろうとしていた矢先――
「……ハインリヒ先生」
「ん……」
「おや、これはヴィクトール。私に何か用事ですか」
七三分けに青い瞳で黒縁眼鏡の生徒。二人にとっての顔見知りが突っ立っていた。
「あんた、あのエルフは一緒じゃないのか」
「先輩方に見張ってもらって、俺だけ単独でここに来たんだ。先生、こちらに目を通していただけませんか」
ヴィクトールは数枚綴りの資料を差し出す。ハインリヒはそれを受け取ると、雑に開いて眺める。
「ああ……対抗戦の概要ですか。生徒側に出すしおりですね」
「対抗戦?」
「来年度から行われる一大行事だ。詳しい説明はその時に行われるだろう……」
ヴィクトールの視線は、アーサーとハインリヒに交互に向けられていた。
「……まだ何かあるのか」
「いや……特にはない」
「なら戻ったらどうだ。まだあいつが脱走しても知らないぞ」
「そうさせてもらう。先生、添削が終わりましたら俺に返却をお願いします」
「わかりました。では早速入るので、アーサー。ここでお別れです」
「ああ、また授業で。あんたもまた今度な」
軽く挨拶を済ませ、三人はそれぞれ別の方向に向かっていく。一人は職員室、一人は生徒会室、一人は学園の外――
(……確かにあの二人が出てきた部屋から強い妨害魔術を感じた)
(概ねハインリヒ先生が構築されたものだろうが――そこまでして、何の話を――)
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