元プロゲーマー、ハズレスキルで異世界最強を目指す。

サワタリ

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第1章 少年期編

第3話 元プロゲーマー、転生先は異世界でした。

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ーーーーー転生して数ヶ月が経った。

ようやく自分で動けるようになってわかったことが色々とある。

まず結論から言おう。
転生した先は信じられないことに、俺が知っている世界ではなかった。
要は異世界だった。

何がきっかけで気がついたか、と言われると色々あるんだけど、父親が日常的に手から水や火を出していたり、窓の外を飛んでいる蝶が小型犬ほどの大きさがあるなど、異世界としか言いようがないことが山ほどあった。

そして、この世界には魔力のようなエネルギーが存在している。
目を凝らせば見えるのだ。
自分の中にある力の流れや、家族から出ているエネルギーが。

父親は見ての通り、普通に魔法を使っているし、母親が魔法を使っているところは見たことがないが、ゾウほどもあるイノシシを片手で持って帰ってきたことがある。
初めて見た時は開いた口が塞がらなかったが、
「アキもこれくらいは持てるようになるのよ~」と笑顔で言ってきた。

……いや無理だよね。
父親のように魔法を使うのはまだギリギリイメージできる。多分魔力を上手いこと使えばできそうな気もする。
でも母親、あれ物理法則無視してない??
何をどうしたらそうなるんだ?って感じだ。

そういえば、この数ヶ月で両親の喋っていることは、ほとんどわかるようになった。
子供の言語習得能力の高さをつくづく実感したね。
大人になって英語を覚えるのは何年もかかったのに、ものの数ヶ月でわかるようになってしまった。
この国の言葉、文法と単語が割と英語に似てたってのもあるけど。

俺と両親についても母親が日々沢山話してくれるおかげで色々とわかった。

両親は俺のことをアキと名付けた。
奇しくも前世と同じ名前だ。
苗字は新山から大きく変わってベルガモッド
我ながら結構かっこいい苗字じゃないかと思う。
アキ・ベルガモッド。響きも良くてかなり気に入ってる。

父親の名前はライラック。ライラック・ベルガモッドだ。この小さな村で数学や語学、そして魔法などを子供たちに教えている。
学校、というよりは昔の日本でいう寺子屋みたいな感じだ。

母親はシュラ・ベルガモッド。うちは共働きらしく、母親が冒険者協会で冒険者をやっている。
まあ冒険者と言っても、このグレック村での治安維持や狩りが主な仕事で昼過ぎには帰ってくる。

午前中は父親が俺の面倒を見て、午後からは母親が世話をしてくれている。
まだやっとハイハイができる程度で、とてもじゃないが一人で生活はできないからね。

自立って難しいよなと、ふと思った。
今世はやりたいことも色々多いし、なるべく早く自立したい。
成人って何歳かはわからないけど、そろそろこの人生での目標を決めたいなと思う。
まだ早いかもしれないけど、準備する時間は長いに越したことはない。
今のうちから努力しておけば、強くてニューゲームみたいなこともできるはずだ。

目標は何にしよう?と考える中で、過去の人生でやりたかったことを振り返ってみることにした。
前世でできなかったことを今世でやるのも悪くはない。

ーーーまず根本的に、前世から変わってはいないが、俺は物凄く負けず嫌いなのだ。

前世では、小さい時からボクシングをやっていて、負けたことはなかった。
だが、16歳になる時に目を怪我してしまってから、ボクシングはできなくなった。
悲しくて、悔しくて、家から出ることは減り、引きこもりがちになった。

そこで出会ったのがミリタリーとFPSゲームだった。

最初は映画に出てきた銃の機能美に惹かれた。
どんどん銃火器を調べて知識を増やすうちに、FPSゲームの存在を知った。

それからはFPSにのめり込んでいった。
最初はエイムも立ち回りも良いわけではなかった。
でも、対戦相手が画面の向こうにいると思うと、かつての負けん気が顔を再び出してきた。
それからはとにかく勉強をして、ゲームの理解度を上げた。
エイムの練習もひたすらにやった。
それでも、前世ではゲームですら最強になれなかった。
才能があるやつには勝てなかった。
世界への壁はあまりにも分厚かった。

ここまで前世を思い返してようやく気がつく。

ーーー俺は強くなりたかったのかもしれない。
何かで1番になりたかったのだ。
ゲームはこの世界にはないが、俺には魔力という新しい力がある。

決めた。
この力を使って最強を目指すとしよう。
母親のように冒険者になるのも悪くないな。

けどこの年齢でできることは正直言ってそんなにないんだよな。

今の自分に何ができるかをしばらく考えてみた。

ーーそして俺は知識を蓄えることにした。
知識はそのまま、力に直結する。
どんなゲームでもそうだった。
多少自分より力が上の相手でも、知識量で差があれば勝つこともできる。

だけど知識を蓄えるにしても、まずは字が読めないと話にならない。
幸い、うちには教師もいるし、そのおかげで教科書となる本も沢山ある。
座学的な勉強は前世ではゲーム以外全然やらなかったけど今世くらい頑張るとしよう!

それからは母親に本を読んでもらったり、父親に字の書き方を教えてもらう日々を過ごした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


ーーー2年半ほどさらに経った頃だろうか、沢山愛情を注いでもらったこともあり、『父さん、母さん』と自然と呼べるようになっていた。
前世の親との関係とは大違いだ。
まあ前世は割と自分のせいで関係悪化したみたいなところもあるけど。

両親のおかげもあって今ではほとんどの字が読めるようになった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

とある日、俺は父さんの書斎にある本を片っ端から読み尽くしていくことにした。

本は読んだ分だけ自分の力になるし、この世界のことも知らないことがまだ多いからね。

父さんの本棚を漁っていると、ドサッと何かが落ちてきた。

……こ、これは……!!
エロ本がこの世界にもあるとは……!
……だいぶマニアックで興味を引かれるが、今は必要ではない。
男同士のよしみだ。母さんには黙っておいてあげよう。

(この後、エロ本を片付け忘れた俺のせいで、父さんはしっかりと母さんに絞られていた)

余談はさておき、『魔力と魔力特性』という興味深い本を見つけた。

人がそれぞれ持っている魔力について、使える魔法、そして魔力特性について書かれている本だ。

この本によると、
【魔力量は生まれた時点で持つことのできる上限値が決まっている。
年齢を重ねることや、魔法を使用することで魔力量は増えていくが一定以上は増えない。】

なるほど。ここは努力ではどうにもならない部分か。

次に「使える魔法」の項目に目を通していく。
【魔法は基本的に四元素と言われる括りに分類される。火、水、土、風の4つである。
基本四元素の魔法は主に一人一元素の法則があり、大半は個人の魔力特性に従って、使える元素が決まる。
個人の魔力特性によっては複数の元素を使いこなせる場合も確認されている。】

「…………なるほど。物は試しだし一回やってみるか。」

腕から手に魔力を集める感じをイメージしてみる。

手のひらが光り始める。
そして……
シュウゥ……と音を立てて光は霧散してしまった。

「いきなりは流石に無理か……」

どうやら魔法を使うにもコツがいるらしい。
ここら辺は後で父さんに教えてもらおう。

一旦置いておいて次のページを読み始める。
【また、魔法の威力は魔力総量に比例する傾向があり、これは魔力の出力によって魔法の威力が決まるもので、魔力総量が多いほど出力が高いことに基づく。】

「これ、要するに生まれ持った才能の比率がデカいってことだな……何かしら才能あると良いけど……」
独り言を呟きながらページを捲る。

【魔力特性について:魔力特性とは、一般的にスキルと呼ばれ、個人が持つ魔力を変化させる形態のことである。
多くの魔力特性は教会によって認知されており、DからSSSまでのランク分けをされている。
これは、汎用性や職業適正などによって決められている。】

自分の魔力特性は知らないし、魔法の使い方もわかんないぞ。
これも父さんに聞くべきだな。
餅は餅屋って言うしね。

そうこうしていると玄関の扉が開く音がした。
父さんが帰ってきたらしい。
早速聞いてみるとしよう。

階段を駆け降りて父さんに飛びつきにいく。

「父さんおかえりなさい!この本を読んでて気になるところがあったんだけど聞いてもいい?」

「ただいま~アキ。お!それは[魔力と魔力特性]かい。そんな難しい本をもう読めるなんて、やっぱりアキは天才かもしれないな!ハッハッハ!
それで、どこが分からないんだい?」

うちの親は少し親バカかもしれない。

「この基本四元素のところを読んで魔法を使ってみようとしたんだけど、何も出なくって……なにかコツとかがあるなら教えて欲しいなって!」

「なるほどな。それはまず、アキの適正元素を調べないとだな。魔法を行使するには具体的なイメージが一番重要なんだ。イメージを掴んで魔力を変化させると魔法になるんだぞ!」

「イメージが大事なんだね。それで、適正元素はどうやって調べるの?」

「教会の水晶で調べてもらうって手もあるが……
一番早いのは片っ端から試して出たやつが適正だな!ハハハ!
とりあえず火の元素から試してみようか!
魔力を腕から手に集めて、手のひらから火を出すようにイメージしてみるんだ」

やり方はあっていたらしい。どうも想像力が足りていなかったようだ。

ーー集中して手に魔力を集める。
さっきのように手が光り始めた。
そして火を出すイメージ……!

ポシュ……と音を立て、また魔力は霧散してしまった。

「火元素ではなかったみたいだな。次は水を出すイメージだ!」

そうやって何度か挑戦してみること数分……

残りの3つの元素を全て試しても、魔力は毎回音を立てて虚しく霧散するだけで、何も魔法が出ることはなかった。

もしや俺、魔法の才能がないのか…?
と一人で肩を落としていると、なにやら父さんが独り言をボソボソと呟いている。

「……もしかしてシュラと同じタイプか?いや、シュラでもマッチの火程度はつけれたな……一体これは……」

まあできないことを悩んでも仕方がない。
そのうちなんか使えるようになるだろう。

「父さん!魔法はまた今度でいいから、スキルのところ教えて欲しいな!僕のスキルってなんてスキルなの?ランクは?」

「お、おうそうだな!スキルか。スキルは教会の人に調べてもらえるんだ。
アキももうすぐ3歳だから、教会の人が村に来ると思うぞ!そこで魔力量とスキルの検査をして、スキルランクを登録するんだ。」

「それで、どうやったらスキルは使えるの?」

「それはーーちょっと教えるのが難しいな。
スキルは名前と効果を知った上で練習をたくさんしないと使えないんだ。」

なるほど、スキルは訓練量次第で強くなれる可能性があるのか。
とりあえず、今すべきは魔法が出せるようになる為に練習だな。

そうこうしていると母さんが呼びにきた。
「パパ~アキ~ご飯できたよ~!冷めないうちに早くいらっしゃい!」

「「はーい!」」

二人で食卓に向かうとテーブルの上は豪華な肉の盛り合わせがあった。

「母さん、今日豪華だね。どうしたの?」

「今日はいいお肉が入ったからね~それともうすぐアキの誕生日だからお祝いしないと!」

……今日母さんが持って帰ってきてた、あのサイみたいにデカいウシかこれ。
美味しそうだけど3歳児の体にはちょっと多すぎやしないかな。

「それと明日の朝に教会の人が来るそうよ~
アキの魔力特性と魔力量の検査だって!お隣のベレッタさんとこのリリスちゃんも一緒に受けるそうよ」

「お、アキ!噂をすればだな。いいランクのスキルだと良いな!まぁアキは天才だしなんでも使いこなすんだろうけどな!ハハハ!」

「アキは喋るのも字を読むのもすごく早かったし、きっとスキルもすごいわよ~
そうだ!せっかくの機会だし、お隣のリリスちゃんと仲良くなれると良いわね!
ゆくゆくは……うふふ……」

「母さんは何考えてるか知らないけど、二人とも期待しすぎると良いことないよ……」

やはり二人揃って親バカらしい。
期待はしすぎると裏切られた時辛いからね。
まあでもSSSランクとまでは言わないけどAかSあたりのスキルであってほしい。

「そういえば父さんと母さんのスキルってなんなの?普段使ってるの見たことないけど……」

「「秘密~~」」

ハモりやがってなんだこいつら。
まあスキルとかはもろに戦い方とかがばれることになるし明かさないのが普通なんだろうな。
家族にくらいは明かしても良い気がするけど。

親バカ二人は放っておいて明日に備えるとするか。

「ごちそうさま。お肉美味しかったよ!明日は早いだろうし、お腹いっぱいだから僕はそろそろ寝ようかな」

そういえばこの家庭、食事の時のお祈りとかないな。無宗教なんだろうな。
そんなことを考えながら食器を片付ける。

「あら、早いのね。明日に備えていっぱい寝るのよ~」

「もう寝るのか!明日楽しみだからって夜更かしするなよ~」

「大丈夫だよ。おやすみ!」

両親に挨拶して自室で横になる。
スキルのことが楽しみじゃないかと言われたらそうではない。
これからの自分の人生が決まるかもしれないのだ。

物凄く強いスキルが欲しい!とまでは言わないけども汎用性が高いスキルか使いやすいスキルは欲しい……!

時間操作系とかきたら大当たりだよな……

欲しいスキルを妄想していると俺はいつの間にか眠りについてしまった。
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