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広夢
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なんで歩夢は広夢くんのところへ行けなんて言うんだよ。好きって言われたら誰でも好きになるわけないだろ。
そんなわけないだろ。あんまりだ。
涙が止まらない。
気づいたら広夢くんのアパートに来ていた。
他に行くところがなかった。
でも広夢くんは留守のようだった。
もしかしたら登山に行ってるのかもしれない、電話してから来ればよかった。
もう何もする気になれず広夢くんの部屋の前で座り込む。
涙が溢れて止まらない。
どれくらい時間が経ったのか、肩を揺さぶられて寝てしまっていたことに気づく。
「おい!大丈夫か?」
え?広夢くん?
あ、そうか、ここ広夢くんの部屋の前だ。
「晃、お前何してんだ?」
「広夢くん…」
「泣いてんのか?何があった?」
「俺は、俺…」
涙で言葉にならない。
「とりあえず入れ」
広夢くんが部屋に入れてくれた。
「体冷えてるから風呂入った方がいいけど、その状態で入れるか?着替えは俺のでいいよな?とりあえず温まってこい」
と風呂を勧めてくれたので甘えて風呂に入る。
風呂から出ると広夢くんは誰かと電話していた。
「とりあえずあとで送っていくから、うん、わかった。心配しないでって伝えて」
「温まったか?飯食ってないだろ?そんなものしかないけど食っとけ」
とカップ麺とパンをテーブルに置く。
俺が黙ってるから広夢くんはさっさとカップ麺にお湯を入れて否が応にも食べさせようとする。
「帰りたくない、広夢くん泊めて」
「それは無理だな、俺明日1限からあるし」
「泊めてくれるだけでいい」
「あとで送るから心配するな」
「泊めてよ」
広夢くんに抱きつく。
ああ、やっぱりホッとする。
今はこの安心感が欲しい。
広夢くんは俺の体をグイッと離すと、
「ダメだ、離れろ」
と突き放す。
「なんで?広夢くんのそばにいたい」
「晃のおばさんがお前が帰ってこないって心配して母さんに晃来てないか電話してきたらしい。
みんな心配してる、帰るよ」
「やだ」
「母さんが歩夢に晃がどこに行ったか知らないか、いの一番に聞いたら、兄貴の所じゃないかって言ってたらしい。それで俺のところに連絡してきたんだよ。部屋帰ったらお前がドアの前にいるからビビったよ。何日も帰らない予定だったらどうすんだ」
コーヒーを淹れてる広夢くんが俺にもコーヒーを勧める。体が更に温まる。
「それ飲んだら帰ろうな」
「やだ、帰らない」
「困ったね」
「泊めて」
「母さんと電話してる時に歩夢に変わってもらって何かあったのか聞いたんだ。あいつ何も言わなかった。言いたくなかったんだろうな。それで歩夢と何かあったなってわかったよ」
「……歩夢に広夢くんの所に行けって言われた」
「は?どういうこと?」
「俺は誰かに好きって言われたら誰だっていいって。安心感が欲しいなら兄貴の所に行けばいいって、俺じゃ無理だって…」
広夢くんにドキドキと安心感の話をした。
黙って聞いていた広夢くんは、
「そっか。だったら尚更帰ろうな」
「なんで?」
「晃聞け。俺はお前のことが好きだけど、歩夢のことも好きなんだ、あれでも大切な弟だからな。お前が傷つくのは嫌だけど歩夢が傷つくのも嫌なんだよ。
あいつはさ、俺と比べられて、しかもどうにもならないことを言われて自分じゃ無理だって思ったんだ、きっと。
そんなに安心感が欲しいのか?それがあると何か変わるのか?俺は安心感があるみたいだけど、ドキドキはないんだろ?俺にしてみたらそれはそれで悲しいけどね。男として意識もしてもらえないってことだからな。
それと同じだよ、歩夢は自分にないものを求められて無理だと思ったんだな。
晃、無茶言わないでやってくれ。
好きならドキドキでも安心感でもどっちだって良くないか?
それでもどちらかが欲しいならそれは俺や歩夢とは全然関係ない所でやってくれ。俺たちを比較対象にするのはあまりにも酷だよ、兄弟だぞ」
「……」
「俺も歩夢もお前が大切なだけだ、傷つけたいんじゃない。ただ今回は歩夢が耐えられなかった。あいつはああ見えて脆いから壊れないように自分を守ろうとして強がっちゃったんだな」
頭をポンポン撫でる広夢くん。
「もう少ししたら帰ろうな」
「こういう時は安心感が欲しいのに…」
広夢くんに抱きつく。
「はあ……俺の理性が働いてるうちに帰るぞ」
「煽ってやる」
「お前…」
背伸びして唇を合わせようとする。
「いたっ!」
なにか衝撃があった。なに?
「晃、そこまでにしとけ」
広夢くんにゲンコツを落とされた。
「歩夢の身が持たないのが分かるわ。心配でしょうがねえ」
「……」
「そんなに俺とキスしたいのならちゃんと歩夢と別れて高校卒業してから来い。そしたらいくらでも相手してやる」
「今は?」
「歩夢を裏切るような真似は絶対しない。
晃のためじゃない、俺のためでもない、歩夢のためだ」
「……」
「とにかく今日は送っていくから、歩夢にちゃんと謝れ。あとおばさんと母さんにも謝れよ、心配してるからな」
「もう俺のこと嫌いになっちゃった?」
「好きだって言ってる。でも邪魔はしないって言っただろ?遠慮もしないが俺はお前が18になるまでは何があっても手は出さないから、それが目的なら他当たれ」
「18になっても歩夢といたら?」
「それはそれでいいだろ?俺はいらないってだけだ。
今から数年経っていろいろ経験したら違ったものも見えてくるだろうし、その時に俺が必要なら来ればいいってことだよ。約束じゃないぞ。
俺だってその時にどうなってるかなんてわからねえ。
つまり保険ではないってことな。
歩夢がダメなら俺ってわけにはいかないぞってこと」
あははと笑う。
「よし、帰るぞ」
そんなわけないだろ。あんまりだ。
涙が止まらない。
気づいたら広夢くんのアパートに来ていた。
他に行くところがなかった。
でも広夢くんは留守のようだった。
もしかしたら登山に行ってるのかもしれない、電話してから来ればよかった。
もう何もする気になれず広夢くんの部屋の前で座り込む。
涙が溢れて止まらない。
どれくらい時間が経ったのか、肩を揺さぶられて寝てしまっていたことに気づく。
「おい!大丈夫か?」
え?広夢くん?
あ、そうか、ここ広夢くんの部屋の前だ。
「晃、お前何してんだ?」
「広夢くん…」
「泣いてんのか?何があった?」
「俺は、俺…」
涙で言葉にならない。
「とりあえず入れ」
広夢くんが部屋に入れてくれた。
「体冷えてるから風呂入った方がいいけど、その状態で入れるか?着替えは俺のでいいよな?とりあえず温まってこい」
と風呂を勧めてくれたので甘えて風呂に入る。
風呂から出ると広夢くんは誰かと電話していた。
「とりあえずあとで送っていくから、うん、わかった。心配しないでって伝えて」
「温まったか?飯食ってないだろ?そんなものしかないけど食っとけ」
とカップ麺とパンをテーブルに置く。
俺が黙ってるから広夢くんはさっさとカップ麺にお湯を入れて否が応にも食べさせようとする。
「帰りたくない、広夢くん泊めて」
「それは無理だな、俺明日1限からあるし」
「泊めてくれるだけでいい」
「あとで送るから心配するな」
「泊めてよ」
広夢くんに抱きつく。
ああ、やっぱりホッとする。
今はこの安心感が欲しい。
広夢くんは俺の体をグイッと離すと、
「ダメだ、離れろ」
と突き放す。
「なんで?広夢くんのそばにいたい」
「晃のおばさんがお前が帰ってこないって心配して母さんに晃来てないか電話してきたらしい。
みんな心配してる、帰るよ」
「やだ」
「母さんが歩夢に晃がどこに行ったか知らないか、いの一番に聞いたら、兄貴の所じゃないかって言ってたらしい。それで俺のところに連絡してきたんだよ。部屋帰ったらお前がドアの前にいるからビビったよ。何日も帰らない予定だったらどうすんだ」
コーヒーを淹れてる広夢くんが俺にもコーヒーを勧める。体が更に温まる。
「それ飲んだら帰ろうな」
「やだ、帰らない」
「困ったね」
「泊めて」
「母さんと電話してる時に歩夢に変わってもらって何かあったのか聞いたんだ。あいつ何も言わなかった。言いたくなかったんだろうな。それで歩夢と何かあったなってわかったよ」
「……歩夢に広夢くんの所に行けって言われた」
「は?どういうこと?」
「俺は誰かに好きって言われたら誰だっていいって。安心感が欲しいなら兄貴の所に行けばいいって、俺じゃ無理だって…」
広夢くんにドキドキと安心感の話をした。
黙って聞いていた広夢くんは、
「そっか。だったら尚更帰ろうな」
「なんで?」
「晃聞け。俺はお前のことが好きだけど、歩夢のことも好きなんだ、あれでも大切な弟だからな。お前が傷つくのは嫌だけど歩夢が傷つくのも嫌なんだよ。
あいつはさ、俺と比べられて、しかもどうにもならないことを言われて自分じゃ無理だって思ったんだ、きっと。
そんなに安心感が欲しいのか?それがあると何か変わるのか?俺は安心感があるみたいだけど、ドキドキはないんだろ?俺にしてみたらそれはそれで悲しいけどね。男として意識もしてもらえないってことだからな。
それと同じだよ、歩夢は自分にないものを求められて無理だと思ったんだな。
晃、無茶言わないでやってくれ。
好きならドキドキでも安心感でもどっちだって良くないか?
それでもどちらかが欲しいならそれは俺や歩夢とは全然関係ない所でやってくれ。俺たちを比較対象にするのはあまりにも酷だよ、兄弟だぞ」
「……」
「俺も歩夢もお前が大切なだけだ、傷つけたいんじゃない。ただ今回は歩夢が耐えられなかった。あいつはああ見えて脆いから壊れないように自分を守ろうとして強がっちゃったんだな」
頭をポンポン撫でる広夢くん。
「もう少ししたら帰ろうな」
「こういう時は安心感が欲しいのに…」
広夢くんに抱きつく。
「はあ……俺の理性が働いてるうちに帰るぞ」
「煽ってやる」
「お前…」
背伸びして唇を合わせようとする。
「いたっ!」
なにか衝撃があった。なに?
「晃、そこまでにしとけ」
広夢くんにゲンコツを落とされた。
「歩夢の身が持たないのが分かるわ。心配でしょうがねえ」
「……」
「そんなに俺とキスしたいのならちゃんと歩夢と別れて高校卒業してから来い。そしたらいくらでも相手してやる」
「今は?」
「歩夢を裏切るような真似は絶対しない。
晃のためじゃない、俺のためでもない、歩夢のためだ」
「……」
「とにかく今日は送っていくから、歩夢にちゃんと謝れ。あとおばさんと母さんにも謝れよ、心配してるからな」
「もう俺のこと嫌いになっちゃった?」
「好きだって言ってる。でも邪魔はしないって言っただろ?遠慮もしないが俺はお前が18になるまでは何があっても手は出さないから、それが目的なら他当たれ」
「18になっても歩夢といたら?」
「それはそれでいいだろ?俺はいらないってだけだ。
今から数年経っていろいろ経験したら違ったものも見えてくるだろうし、その時に俺が必要なら来ればいいってことだよ。約束じゃないぞ。
俺だってその時にどうなってるかなんてわからねえ。
つまり保険ではないってことな。
歩夢がダメなら俺ってわけにはいかないぞってこと」
あははと笑う。
「よし、帰るぞ」
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