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執着
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俺は建築学を専攻し今年大学4年になった。
興味があるだけなのか仕事にしたいのか見極めたくてこの大学を選んだが、面白いなという気持ちはずっとある。
就活もそっち方面で考えている。
久我と別れて特別な恋人は積極的に作ってはいないが、不自由はしていない。
入学した年の大型連休明け、母から久我が訪ねてきたと聞いた。
「ケンカでもしたの? あんなに仲良かったのに……連絡してあげなさいね」
と言われたが、母は俺の居場所は伝えずにいてくれた。
迷惑かけてごめん、母さん。
同じT大に前原という同じ高校出身のやつがいる。入学してからしばらくして声をかけられた。
「この大学受けたの俺だけだと思ってたからびっくりしたよ。北川ここだったんだな」
「うん」
「俺、北川は違う大学進学するって聞いてたんだけど。Y大じゃなかった?」
「ここも受けてたんだ、一人暮らしになるからちょっと迷ってて」
「そうなんだよなあ、微妙に遠いんだよな。通おうと思えば通えるけど毎日になると相当キツいから一人暮らしになるよなあ」
と納得してくれた。
「あのさ、頼みがあるんだけど」
「ん? なんだ?」
「俺がT大に通ってること誰にも言わないで欲しいんだ、頼む」
俺は前原に頭を下げた。
「ちょっとちょっと! なにしてんだよ、頭なんか下げるなよ。言うなっていうなら言わねえよ」
「ありがとう、前原」
「なんか事情でもあるのか? あ、別に言わなくていいぞ。なにかから逃げてる? 逃亡者か?」
聞きたいのか聞かなくていいのかわからないし、勝手に逃亡者にされるし。
思わず笑って、
「そう、逃げてんの」
と答えた。
「どうせ女だろ? 俺も追われてみてえな!」
逃亡者か……そうかもしれないな。
2年の冬、正月に実家に帰っていた前原からこんなことを聞かされた。
「二十歳ってことで同窓会あったの知ってるか?」
母さんが同窓会の案内が来てたって言ってた気がする。
「俺行ったんだけど、久我って覚えてる? そいつみんなに北川のこと聞きまくってた」
なんで……心臓が跳ねる。
「北川の居場所とか連絡取ってないかとか聞いてたぞ」
なんでだよ……
「俺も聞かれたんだけど、あまりにも久我が必死でさ……」
「教えたの?!」
「教えてねえよ! 言わねえって約束しただろ。信用しろよ」
「ごめん……」
「いや、謝るなって。とにかく教えてねえから。ただな、久我の様子が尋常じゃなくて、みんなどうしたんだって……」
「……」
何年経ってると思ってんだよ、なんで探してるんだ。
もう久我と俺はなんの関係もないはずだろう?
いや、定期的に今でも連絡は来る。
でも電話には出ないし、LINEも返してない。
番号変えたり、着信拒否やブロックも考えたが、その方がエスカレートしそうで、ギリギリ繋がるけど繋がらない体にしている。
お前が探す理由はなんだよ、お前と話すこともない。もう忘れてくれ。
興味があるだけなのか仕事にしたいのか見極めたくてこの大学を選んだが、面白いなという気持ちはずっとある。
就活もそっち方面で考えている。
久我と別れて特別な恋人は積極的に作ってはいないが、不自由はしていない。
入学した年の大型連休明け、母から久我が訪ねてきたと聞いた。
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「そうなんだよなあ、微妙に遠いんだよな。通おうと思えば通えるけど毎日になると相当キツいから一人暮らしになるよなあ」
と納得してくれた。
「あのさ、頼みがあるんだけど」
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「俺がT大に通ってること誰にも言わないで欲しいんだ、頼む」
俺は前原に頭を下げた。
「ちょっとちょっと! なにしてんだよ、頭なんか下げるなよ。言うなっていうなら言わねえよ」
「ありがとう、前原」
「なんか事情でもあるのか? あ、別に言わなくていいぞ。なにかから逃げてる? 逃亡者か?」
聞きたいのか聞かなくていいのかわからないし、勝手に逃亡者にされるし。
思わず笑って、
「そう、逃げてんの」
と答えた。
「どうせ女だろ? 俺も追われてみてえな!」
逃亡者か……そうかもしれないな。
2年の冬、正月に実家に帰っていた前原からこんなことを聞かされた。
「二十歳ってことで同窓会あったの知ってるか?」
母さんが同窓会の案内が来てたって言ってた気がする。
「俺行ったんだけど、久我って覚えてる? そいつみんなに北川のこと聞きまくってた」
なんで……心臓が跳ねる。
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なんでだよ……
「俺も聞かれたんだけど、あまりにも久我が必死でさ……」
「教えたの?!」
「教えてねえよ! 言わねえって約束しただろ。信用しろよ」
「ごめん……」
「いや、謝るなって。とにかく教えてねえから。ただな、久我の様子が尋常じゃなくて、みんなどうしたんだって……」
「……」
何年経ってると思ってんだよ、なんで探してるんだ。
もう久我と俺はなんの関係もないはずだろう?
いや、定期的に今でも連絡は来る。
でも電話には出ないし、LINEも返してない。
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