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伊央
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とりあえず勉強会を無事終えることができて安堵していると、バックルームの隅でモジモジしている子に気づいた。
俺と目が合うと
「勉強会凄く為になりました!またお願いします!」と頭を下げている。
そんな丁寧に…
「あの…そんな大層な者じゃないから頭上げて」
そう声をかけると、その子はゆっくり顔を上げる。
その辺のアイドルや俳優なんかより断然美形、綺麗なんだけど幼さがあってなんでここにいるんだ?という疑問しか湧かない。
「俺、伊央って言います」
「伊央くんね、私は八雲です」
「またいろいろ教えてください!」
そう言ってまた頭を下げるとバックルームへ消えていった。
「ああ、伊央ね。かわいいでしょ?」
三木さんにバックルームで伊央くんに会ったことを話したらそう返ってきた。
かわいいというか、美人というか、でもかわいいというか、なんか凄い子。
という感想を言ったらゲラゲラ笑い出し、
「そうなんだよねえ、伊央って不思議な子でしょ?不思議ちゃんって意味じゃないよ、しっかりしてるよ、あの歳の割に。ちなみに二十歳」
二十歳!若いな。
「物凄く美人なんだけど、物凄く幼くもあって。最初うちに面接に来た時未成年かと思ったくらい。
おまけに酒は弱いというよりほぼ飲めない、学生、でもお金を稼ぎたいという結構こちらとしては扱いにくい案件なんだけど、あのビジュアルでしょ?他の店に取られるのは癪だから雇った。
実際スカウトはしょっちゅうみたいだし、
うちに芸能事務所の人が来てスカウトしたいと言ってくることも一度や二度ではないしね。本人は全く関心が無くて全て断ってる。
まだ大学2年だし一応学業優先させて、
23時上がりにしてるし、酒も強要してない。客にもそこは最初に話すし、それでゴネる客は帰ってもらう。
でもまあ、あの顔といつまで経っても慣れないわけじゃないのに初々しいのが客にウケてね。酒なんか飲ませないし、23時近くなると『早く帰りなさい』とかみんな心配するんだよ。面白いでしょ?
『Starlight』のシンデレラなんだって、1時間早いけど」
クククと笑ってる。
「伊央くんだけそんな扱いで他の子怒らないんですか?」
「そうだよね、普通贔屓だ!ずるい!って怒るよね。それがないんだよ、本当不思議。
うちはキャラ被りしてる子がほとんどいないし、住み分けが出来てるからかな。第一早く帰ればその分稼げないってことだから、その辺りはみんなシビアよ。意地悪ではなくてね」
ホストの世界はもっとこうギラギラした妬み辛みのドロドロした感じだと思ってた。
それが『Starlight』は思ってたイメージとちょっと違う。
お店に出てる時はみんなキラキラしてて凄くかっこいい。同じ人間なのにこうも違うかと男としての自信を無くすには持ってこいの場所だ。
それが開店前や閉店後の客前ではない顔は素直であどけなくてかわいらしい子達だなと思う。
こんなギャップ見せられたら女性でなくても落ちるな。
実際『Starlight』は男性客も少なくない。
冷やかしで来てるのかと思ったらそうではなく、今の言葉でいう『ガチ』で恋してる顔して店に来てる。
ホストクラブによっては男性客は女性の同伴がないと入店不可なところもあるらしいが『Starlight』は入店可で、
「同性に好まれるなんて俺は光栄だと思ってるからね」という三木さんの意向だそうだ。
同性相手だとホスト達も異性の時とは違ったフレンドリーな顔を見せるから、それもまた女性のお客様から受けてるらしい。
男性客だと力尽くで…なんてことないのかなという顔を俺がしていたらしく、察した三木さんが
「そこは長谷見がいるから大丈夫」
マネージャーの長谷見さんは一見細身の長身なのだが、武道に長けていてマネージャー兼ボディガードも担っているそう。
まあそんなことしたら一発退場で出禁とのこと。案外ちゃんとしてるんだな。
俺と目が合うと
「勉強会凄く為になりました!またお願いします!」と頭を下げている。
そんな丁寧に…
「あの…そんな大層な者じゃないから頭上げて」
そう声をかけると、その子はゆっくり顔を上げる。
その辺のアイドルや俳優なんかより断然美形、綺麗なんだけど幼さがあってなんでここにいるんだ?という疑問しか湧かない。
「俺、伊央って言います」
「伊央くんね、私は八雲です」
「またいろいろ教えてください!」
そう言ってまた頭を下げるとバックルームへ消えていった。
「ああ、伊央ね。かわいいでしょ?」
三木さんにバックルームで伊央くんに会ったことを話したらそう返ってきた。
かわいいというか、美人というか、でもかわいいというか、なんか凄い子。
という感想を言ったらゲラゲラ笑い出し、
「そうなんだよねえ、伊央って不思議な子でしょ?不思議ちゃんって意味じゃないよ、しっかりしてるよ、あの歳の割に。ちなみに二十歳」
二十歳!若いな。
「物凄く美人なんだけど、物凄く幼くもあって。最初うちに面接に来た時未成年かと思ったくらい。
おまけに酒は弱いというよりほぼ飲めない、学生、でもお金を稼ぎたいという結構こちらとしては扱いにくい案件なんだけど、あのビジュアルでしょ?他の店に取られるのは癪だから雇った。
実際スカウトはしょっちゅうみたいだし、
うちに芸能事務所の人が来てスカウトしたいと言ってくることも一度や二度ではないしね。本人は全く関心が無くて全て断ってる。
まだ大学2年だし一応学業優先させて、
23時上がりにしてるし、酒も強要してない。客にもそこは最初に話すし、それでゴネる客は帰ってもらう。
でもまあ、あの顔といつまで経っても慣れないわけじゃないのに初々しいのが客にウケてね。酒なんか飲ませないし、23時近くなると『早く帰りなさい』とかみんな心配するんだよ。面白いでしょ?
『Starlight』のシンデレラなんだって、1時間早いけど」
クククと笑ってる。
「伊央くんだけそんな扱いで他の子怒らないんですか?」
「そうだよね、普通贔屓だ!ずるい!って怒るよね。それがないんだよ、本当不思議。
うちはキャラ被りしてる子がほとんどいないし、住み分けが出来てるからかな。第一早く帰ればその分稼げないってことだから、その辺りはみんなシビアよ。意地悪ではなくてね」
ホストの世界はもっとこうギラギラした妬み辛みのドロドロした感じだと思ってた。
それが『Starlight』は思ってたイメージとちょっと違う。
お店に出てる時はみんなキラキラしてて凄くかっこいい。同じ人間なのにこうも違うかと男としての自信を無くすには持ってこいの場所だ。
それが開店前や閉店後の客前ではない顔は素直であどけなくてかわいらしい子達だなと思う。
こんなギャップ見せられたら女性でなくても落ちるな。
実際『Starlight』は男性客も少なくない。
冷やかしで来てるのかと思ったらそうではなく、今の言葉でいう『ガチ』で恋してる顔して店に来てる。
ホストクラブによっては男性客は女性の同伴がないと入店不可なところもあるらしいが『Starlight』は入店可で、
「同性に好まれるなんて俺は光栄だと思ってるからね」という三木さんの意向だそうだ。
同性相手だとホスト達も異性の時とは違ったフレンドリーな顔を見せるから、それもまた女性のお客様から受けてるらしい。
男性客だと力尽くで…なんてことないのかなという顔を俺がしていたらしく、察した三木さんが
「そこは長谷見がいるから大丈夫」
マネージャーの長谷見さんは一見細身の長身なのだが、武道に長けていてマネージャー兼ボディガードも担っているそう。
まあそんなことしたら一発退場で出禁とのこと。案外ちゃんとしてるんだな。
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