いきたがり

秋臣

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救いたいのは

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三木さんの車で家へ戻る。
「カードキー渡してもいい頃かなって思い始めてたんだけどね…」
「……」
「ねえ、八雲さん。死にたい以外にここを出たい理由はある?」
「…ない」
三木さんが、ふふと笑う。
「それならよかった」
「なぜあなたは私にそこまでするのですか?
分からないんです」
「うーん、そうしたいからとしか言いようがないなあ。そんな理由じゃダメなの?」
「ダメというか…理由として弱くないですか?」
「そう?そうね、じゃあ他に理由見つけようか」
「理由って見つけるものですか?」
「だって八雲さんが納得しないんじゃない」
「そうですが…」
「じゃあ、とりあえずシャワー行ってきてください」
「はい…はい?」
「シャワー」三木さんがバスルームを指差す。
従う俺。


正直焦った。
なんとなく感覚でそろそろじゃないかとは気づいていた。
思った以上に顔や行動に出やすいタイプのようで、そこからそれを探ることができたため、愛斗を駅で張らせ食い止めることができた。
そして俺が思っているよりずっと八雲さんは心が死んでいた。

「俺全て捨ててきたんです。今更生きろと言われても捨ててきたものの大きさを考えたら、それに見合うだけのものを持ち合わせていない俺には死しかないんです」

これはガツンときた。こんなこと言われたら、ただ生きろとだけ言っても無駄だろう。
今ここに居ていい意味を持たせなければ、同じことを繰り返すだけ。
FPの仕事でそれが補えると思っていたけど、負の力の強さを思い知った。
生半可な気持ちでそこに向かっているわけではないのだ。
頑なに守り続けている六文銭を手放すこと、これに重点をおこう。
それを手放せたら…生きていていい意味を持たせられたら、八雲さんだけではなく、きっと俺も救われるんじゃないか、そう思ったらダメかな。
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