好きを教えて

秋臣

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お父さんとお母さん

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それから俺は見上さんを見る目が少し変わった。
好きな人のために必死で努力している人。
かっこいい!
見上さん、かっこいい!
頼は気づいてるのかな?
どうなんだろう?
つーか、頼ってモテるんだな。
え?ってことは頼と京さんと見上さんは三角関係?
うひょーー!

「おい」
くふふ
「おい!」
「はい、なんですか?」
「牛乳は床のエサじゃねえぞ」
あれ? 牛乳こぼして床がビッチャビチャになってる。
「ガキかよ、ちゃんと拭けよ」
チッ!

「才、お父さんに渡す写真、入学式のもいるよな?」
「うん、欲しい。あと将太たちとハロウィンのコスプレしたやつも」
「あれお父さんに見せるのか?w
男全員ナースのコスプレしたやつだろ?w」
「うん、お父さん笑ってくれると思う」
「メイクも衣装も酷かったもんなあ、子ども泣くぞ」
「泣かれたし逃げられた」
「大人でも泣くぞw じゃあプリントアウトしとくな」
「あい」

頼はお葬式の時以来、俺の誕生日に俺の写真をお父さんに送っていた。
お母さんがやっていたことを引き継いだ感じ。
お父さんからはプレゼントが届く。
小学校の高学年になったくらいの時に、頼から、
「お父さんに会うか?」
と聞かれた。
お葬式以来会ってはないけど、プレゼントは届くし、そのお礼の電話くらいはしていた。
ありがとう、と簡素だけど。

だから会ってみるかと言われた時は、お父さんのところに行けって意味だと思って狼狽えた。
頼に捨てられちゃうって思った。
「才、お前、変なこと考えてるだろう?」
「お父さんのところに行けってこと?
お父さんと住めってこと?」
頼が頭をポンポンする。
「住む場所は自分で選べ。
俺も自分で選ぶ、俺は才と一緒にいたい」
「会うだけでもいいの? 会うだけはダメ?」
「いいと思うよ、才がそうしたいなら。
才が直接写真を渡したら喜ぶと思うぞ」
「わかった」

大きくなって少しわかってきたんだ。
お父さんがいるのに、頼と養子縁組をしたことがどれだけ大きなことなのかを……
お父さんは、
「才が一番幸せになれる道を選択したい」
と養子縁組に了承した。
どれだけ苦しかったか、
どれだけ悲しかったか、
今ならわかるんだ。
それでもお父さんは、
「頼くんと暮らしなさい」
と言った。
そのお父さんの気持ちを頼が気にしないはずがない。
だから毎年俺の写真を送るし、お父さんに会わせるタイミングも生活が安定するまでは提案しなかったんだ。

もう大丈夫。

それ以来、年に一度お父さんに会う。
最初にお母さんのお墓参りに行く。
たくさんの花をお供えして、お母さんが好きだったアイスをお父さんと食べる。
毎年天気が良くて、
「溶けちゃう!」
って言いながら慌てて食べるんだ。
次に向かうのは動物園、サイを見に行く。
そこでお父さんと一年間の話をする、
話すことがたくさんある。
お父さんは毎年俺の名前の由来の話をする。聞き飽きたけどお父さんはいつも嬉しそうに話す、本当なんだよって。
でもサイを見てるとお父さんはいつも泣いちゃう。
それでもまた来年も動物園で会おうねって約束してる。
ここはお父さんとお母さんに会える場所だから。
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