異世界で子育て奮闘する女神候補の物語

Hapinikoえいちゃん

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第三話 月光の下の聖母神ルナと子供達!忍びよる闇

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女神カルディナの謀反を発端して起こった転生の儀式暴走から、もう…一年と半年が過ぎた。

女神セレナは、神殿の寝室にてワインを片手に夜空を眺めながら聖魔戦争の最期の日のことを思い返していた。

「アスラ様と魔王アルカディウスの一騎討ちは、アスラ様自身を含めた魔王封印により女神側の勝利に終わったはず…」

本当にそうだったのかしら…?



やはり、腑に落ちない!
何故アスラ様は娘であるカルディナの肉体を奪ってしまわれたのか…

あの時…
女神カルディナとアスラの雫石の間にある見えない何かを断ち切ったとき感じた気配


あれは…魔王のような洗練され純粋な魔力とは異なる異質で禍々しい邪気をまとった魔力!

本当にアスラ様だったのか…明確なことはわからない。
 

今は、各女神と連携して情報を集めることにして今日は休もうかしら。

女神セレナは、ワインを一気に飲み干すとベットに横になり眠りについた。

その後女神セレナは、カルディナの肉体を奪ったアスラ様の動向に注視し各女神に情報提供の協力を仰いだ。


「じゃ、後のことよろしくね」
女神セレナは、執事とメイド達に神殿の留守を託し、神獣化した式神ホセの背に乗り南の地リンフェリスに向かった。ルナに合うために。


湖畔のよく見える高台に泣き叫ぶ赤ちゃんの声が響きわたった。そこには、使われなくなった教会と孤児院があった。

「あーん、待ってて今お乳あげるからね!」

「おはようアルとセレス」


そう赤ちゃんの名前を呼ぶ母親はルナである。
ということは、このアルとセレスは転生した茶茶と雪なのであった。
 
「じゃ、順番ね、最初はセレスからね。」

「お兄ちゃんのアルはその次にあげますよ。」

ルナは、そう言うとマタニティドレスの胸元のボタンを外しセレスに母乳をあげた。
「ママ、僕も早く飲みたいお腹すいたよ!」

?…?…
はいはい、アルにも上げますよ。
ルナは、まだ赤子である子供達の声が聞ける。さらに会話ができるのです。これは、転生の聖域で身についたスキルである。
「ルナもずいぶんとお母さんが板についてきたわね。」
そう話すの女神セレナである。
「どう、ここの暮らしには慣れたましたか?」

「はい、少しずつですがここの暮らしにも慣れました。」

「あの…セレナ様。改めてありがとうございます。私のわがままでたいへんお手間をおかけしました。」


今、ルナの住むこの地はセレスの都から南のはるか遠い森林地帯を治める女神アルマの大地。
その北側に位置する森と湖畔に寄り添うように獣人族の街リンフェリスが栄えていた。
ルナは、妊娠出産後しばらくはセレナの宮殿で静養しながら育児をしていたが。
しばらく悩んだ末、ルナは女神セレナにお願いしこの地に住めるようにしていただいた。


その当時女神セレナは、何故ここに住むことを切に願うのかルナに尋ねると。
本当なら、リンフェリスに住むベイクハート御夫婦の間に生れててくるはずであった茶茶と雪。

転生の儀式の事故により、転生先の変更を余儀なくされ今は、ルナの子どもとして茶茶と雪は転生を果たすことに成功。

だが、ベイクハート家に生れてくるはずの双子の命。器があれど魂の不在により流産となってしまう危険があった。
ルナは、それを危惧していたが幸いにもベイク家の双子の命は新しい魂と結ばれ助かった。

そして、ルナは無事に出産したことを知り安堵する。後にベイク御夫婦と子供達にお会いして祝福をしたいと思いを募らせる。どうせならとベイク家の住むリンフェリスに住んでみたいと思ったのである。


ここで何故、ルナがベイクハート家のことを知り得たか?それは、セレス神殿の魂の図書館にある命の名簿で知ることができた。以前、茶茶と雪の転生先を調べた際に使用したのもこの名簿である。

女神セレナは、ルナの願いを叶えるべくいろいろと動いた。まずは、女神アルマの統治下への移住許可と移籍の手続きや住まいの準備など。
 ルナは独り身ゆえ、子育ては大変であると世話役のメイドと執事を手配した。

そして、今ルナは女神候補ではなくなっていた。えっ女神になれなかったのと思われますが安心してほしい。

ルナは、出産を気に額に三日月の紋様が現れ三日月の聖母神ルナとして神に昇華したのである。式神を持たない初めての神となった。

それでも、神としては未熟であるため女神セレナは、ルナを気にかけていた…がその他にも気がかりなことを危惧していた。

「ルナ、あれから記憶のほうはどう?」

「…今は、おぼろげですが大丈夫です。」

「今は、昔の事よりこの子たちとともに生きて前に進むことを大切にしています。」

「そう…ルナたくましくなりましたね。」

コンコン、コンコン

「おーいルナさんいるかい頼まれたパンとミルク届けに来たよ。」


「はーい、少しお待ちください」
ルナが授乳を一旦中断しようとした。
「ごめんね。お乳少しだけ待っててね。」

「ルナ様、そういうことはメイドの私にお任せください。」

「えっ、そうよね。ありがとう…じゃあ、お願いします。」ルナは、



このアイナは、元は女神セレナの宮殿に入ったばかりのメイド見習いであった。アイナは、ルナのメイド候補を募集した際に一番に手をあげた娘でちょうどルナと同い年になる。


「それじゃ、アイナお願いします。パンとミルクのお代はいつもの引出しに用意してあります。」
「はい、かしこまりました。」

アイナは、ルナとセレナにお辞儀し部屋を後にした。


しばらくして、アイナはパンとミルクをもって戻ってきた。
「ありがとう」

「ルナ様、先ほどパン屋のベルクハート様より言伝があります。」

「?何かしら」
「はい、明日の三日月の夜に街でルナ様を歓迎するお祭りを開催するのでその際にはご出席してほしいそうです」

「えっ…お祭りですか」
「お気持ちは…ありがたいのだけど夜に幼いこの子たちを連れていけないわ、それに夜なら尚更私が傍にいてあげたいの!」



「ルナ様大丈夫です。お子様達は私が責任持ってお世話しますので!」

「えぇ、でも……それに私のためにそんな大袈裟でなくても…」


「いいえ、大袈裟でもないですよルナ様!」

「街の人々は、日頃からルナ様のご厚意にありがたく感謝しているのです。」

「私は、それほど大したことをしてはないけど…」
ルナの地道な日々の行いが街の人に感謝される大きな偉業をなしていた。

ルナは、使われなくなった古い教会と孤児院を住まいとして改装、また、一部を産婦人科も兼ねた治療院として開設した。

ルナの治療は、神聖魔法での癒やしのほか、魔法では対処できない場合の薬学を用いた治療が主であった。

神として昇華した際に何故か私の知らない知識やスキルを多く獲得することができ、
その一つに医療スキルの獲得であった。


「ルナ様は、多くの方の命わ助けているのですよ、特に妊娠から出産による出生率も良くなりました。」アイナは、力説していた。

「それは、みんなの協力があってこそ成し遂げているのよ」

「ルナ、素直に皆の感謝を受け入れましょう」
女神セレナは、そっとルナの肩に手を置いて

「ほら、アル君が、お腹好かせて泣きそうになってるわよ」

「あっごめんねアル」
ルナは、セレスの面倒をアイナに託しアルに母乳をあげるのであった。

「もう、僕を忘れないでよママ!」

ごめんねアル…心のなかでアルに謝るルナであった。

時が過ぎ三日月の夜 聖母神ルナの祭が開催された。
ルナは、女神セレナと共に神獣化したホセの背に乗り祭り会場に向っていた。

ルナは、まだ幼い子供達をメイドのアイナと執事のエドに託して祭りに参加することを決めた。

「大丈夫かしら子供達とこんなに離れたことないので不安…」ルナは、今更ながら参加を見送っていたほうがよかたのではと自分の選択に不安を感じた。

「大丈夫ですよメイドのアイナも執事のロゼフも頼りになる人達ですよ。」式神ホセがそう告げた。
「……」なんだろ何か胸騒ぎがするこの気持ち悪い感じは??… …

祭りの会場では、街の中央大広間にて執り行われていた。

「さぁ今宵は、日頃からお世話になっているルナ様への感謝とともに歓迎の意を伝えよう」

「えぇ」 「わかってるわよ」
「うん」 「おう」「任せろ」
祭りに参加する多くの街人がルナの到着を心待ちにしていた。
「おっと…どうやら主役のルナ様のご到着だ!」
「みんな!よろしく頼むぜ」
今宵の祭りの取り仕切るのは、パン屋のベルクハートの店主レオンである。

「ルナ様よくぞおいでくださいました。」

「すいやせん…女房もお会いしたいともうしてましたが家にもまだ幼い赤子がいますので家で面倒見てます。」

「いえ、大丈夫ですよ。後で私もベルクさんのお店にお伺いしたいので。」

「そうですか、妻も喜びます。」

「ルナ様ついてそうそうですが一言祭りの開始宣言お願いします。」


「えっ!どうしましょうセレナ様…」

「ルナ…今日は、あなたが主役よ。歓迎して頂いているのだからそれに応えてあげましょう。」
セレナはそういいルナを両肩を掴んで皆の前に立たせた。
「えっ…えぇー…セレナ様のイジワル」 
小さい愚痴をこぼした。

「何かいったかしら?」
ブルブル 

「いいえ、何も言ってません…」 

ふぅ、セレナ様こういうところ怖いなと心の中で呟いた。

もう私、そんな柄でないのに…
「えぇいなるがままよ!」

「えー…はい…今日は、私の歓迎のお祭りを催していただきありがとうございます。」

「…本当は、私のほうこそ皆さんに御礼感謝したいと思ってました。初めてこの地に来て右も左もわからずじまいの私と子供達を心よく受け入れて下さり住まいも無償で提供してくださりありがとう!」

あれ、涙が出てきちゃった!

「ルナ様!ガンバ!」
「私…涙腺が緩いのかな?頑張るね!」
「私は、この街の人々が好きです。」
「それと私は、女神となってもできること限られます。みんなと同じです…」
「えっと私が伝えたいことはみんなの協力があってこそ成し遂げられています。」
「ごめんなさいうまくまとまらなくて…」

「大丈夫だよルナ様」「何もかしこまらなくていいよ」「そうですよ」
「ルナ様の気持ちは伝わってるから安心しな」
「ルナ様は、神様となっても神の威厳ないからなんていうか…そうまだまだかわいい小娘のような」
コラ!ルナ様になんてことを
「いや、すみません。」
「ルナ様は、街のみんなの娘なんだから遠慮しないでほしいと言いたかったんだよ」
「それと、ルナ様の子供達も街の子供と同じように見守っているから安心してね。」
街人達は、思い思いにルナを励ました。

「ありがとう。私は、みんなに出会えて良かった。」

「これからもよろしくお願いします。」
「少し、しんみりしちゃったね…」
「今宵は、祭りを楽しみましょう!」

「ルナ様は、あの悲劇を乗り越えられたご様子で安心しました。」式神ホセが念話で話した。

そうね。。。ルナ…あなたは皆に慕われるよい神様になりましたね。あなたは不器用だけど他とは違う魅力があるわ、少し妬けるわね。まぁ、でも幼き頃より育てた娘当然の成長を誇らしく思います。

「ルナ様ありがとうございます。」
レオンは、続いて女神セレナを前に誘う

「みんなご存知!世に名だたる三女神の一人北方を統治する美しき女神セレナ様がご参加してくださりました。」



「セレナ様皆によろしくお願いします。」
レオンは、場の勢いを使った。

レオンは、神の前でも臆せずに誘導するのがうまいわね。
セレナは、感心した。

「皆様、今宵は私の娘同然の女神ルナの歓迎を催してくださったことこの場を借りて感謝します。これからもルナの事支えてあげていただきたいと思います。」
セレナはそういうと、レオンが持ってきたワインの注がれたグラスを取り
「今日は皆無礼講よ!」 

街の皆は祭りの開催に歓喜した。

その頃、街が祭りで賑わっている最中ルナの子供達を任されたメイドのアイナは、アルとセレスを寝かしつけたところで一息ついた。
「アイナ、お子たちもうおやすみになられたかな?」

そう問いかけたのは執事のエドであった。
「えぇ、少し前に寝てくださりました。」

「そうか、じゃ遅い晩餐だが用意したので食べてくれ」

「ありがとう、おじいちゃん!」

「おい…おじいちゃんと呼ぶでない。」
「私のことは今は執事なのです。ロゼフと呼ぶようにしなさいアイナ。」

「はーい、ロゼフ爺ちゃん」

二人は他愛のない会話をしていた。ルナの子供達に危険が及んでいることなどこの時までは知る由もなかった。
  
それは、静か侵入していた。

アルとセレスの寝室には黒い霧が深々と立ち込め霧は黒い仮面の男を形作っていく。


その男は音も立てることもなく、子供達の眠るベット前にくると短剣を掲げなんの躊躇いもなく振り下ろした。
カッチン!!


短剣の切っ先はセレスに襲いかかったが防御結界により弾かれる。

「やれやれ、まさか…妹のセレスが襲われることになるとは」
「てっきり俺様を襲いに来たのかと思っていたが……貴様何者!?」

「……」

「なら…我の前に仮面の下の姿見せよ!」
それは、一瞬の出来事!仮面が粉砕された。
「仮面の男は後に退いた。」

アルの身体が宙に浮き、仮面の男に向き直る
「お主からアスラの禍々しい邪気を感じる……お前は元は式神であろう!?」

「… … …」

「哀れ、今はアスラに魂を侵され支配されてしまっているようだな」

そう話すのは、赤子のアルであった。
「アスラよ!その男を通じて聞こえているのだろ…」

「…ほう…?、まさかとは思うがお主アルカディウスなのかえ…」
仮面の男を通じ邪神アスラが逆に問い返してきた。
「よもやこんなところで再会するとは腐れ縁よの~」
「にしても、まだ幼い稚児とは滑稽な」
フフフフ

「アスラよそんなこと言いにわざわざ来たわけではなかろう」


「この子たちの平穏を脅かすのなら容赦はせぬぞ」

「ほざくがよい、そのようななりで何ができるというの…まぁ良い、今日のところはお前に用などない」
「私が用があるのはそっちの稚児よ」

「もう覚醒してるのであろうカルディナよとぼけていてもお前の身体がうずいていおるわ」

なんとも忌々しい事よ
「… … …」

もうよい、デュークよ!

早うカルディナの魂を冥府の炎で消し去っておくれ! この身体が元の魂を求めて落ち着かぬのじゃ 

「お父様、手出し無用ですわ」
セレスの身体が輝きを放ちながら女神の雫石がセレスの胸元に出現した。


「デューク久しぶりね」

セレスの前に一人の女性が現れた。桜色の髪に猫耳をつけ和装着物のような衣をまとっていた。
「どうしたの?私を忘れたの…」

でも仕方ないか…今の私は容姿が前とは違うから…

「…デュークあなた…もう……以前のあなたではないの……?!」

邪神アスラによって元の主である女神カルディナとの魂の契約を強引に上書きされ、さらに魂を侵蝕し自らの眷属に作り変えられていた。

今の式神デュークは、まるで別人のように
おぞましいオーラを発していた。
「お前は、誰だ!」
デュークは、この時カルディナ魂に反射的に反応したが今は誰も気づいていなかった。

「そう……わかったわ…私は、セレスに使える式神カルディナ」


カルディナは、デュークを操るアスラに向けて言い放つ!
「よくも、私のすべてを奪ってくれたわね」

「愚かな娘よ…式神となってまで復活するとは、そのままマナとなり消えてしまえばよいものを!」

「そもそもお前の浅はかさが招いたことではないのかえ」
「わらわには好都合であったがのう」


「まぁ、よい、デュークよ忌々しい式神カルディナの魂を抹消するのです!」
デュークは、冥府の炎の塊をカルディナに向けて放った!

「させぬといったはずだ」
アルは、漆黒の炎で相殺!

「お父様手出し無用と言いましたよね!」
アルは、式神となったカルディナに怒られてしまった。
「えっ」
「えっ!じゃないですよもう!」
真っ赤な頰を膨らませプンプン虫となったカルディナをアルはなだめていた。「すまない、私が悪かった…後は手を出さない」



「… … …お主ら何をしておる?」

「聞いておるのか」

「… … …」

まったく親子共々私を馬鹿にしおって
デュークよ!もう手加減などいらぬすべて滅殺するのです。

デュークは、抑えていた魔力を解き放つ

「おじいちゃんこの魔力!」

「あぁ!わかっとる」
メイドのアンナと執事のロゼフは、一目散にアルとセレスの寝室に急いだ!

「いったい何が起こっとると言うのじゃ」
二人の目には月明かりに照らされた外の風景が眼の前に広がっていた。

子供達の寝室は今しがた、跡形もなく消滅し黒い炎を纏った男とアルとセレスを守るように一人の女性が対峙している最中!

「ほう、あの炎をこの程度に収めおったか」

デュークは、地上から空を眺めた。
アルとセレスを抱きかかえた式神カルディナは、空中に静止していた。


「ごめんなさい、お父様お部屋壊れちゃったルナに怒られるかな?」

「まぁ仕方ない…さ」

「それより、見られてしまったようだ」
平穏に暮らしをしていたかったが残念だ。


「そこの黒いのこれは、お前がやったのか?」
執事のロゼフが声を荒げ男に近づいていった。

「馬鹿なそいつに近づくな」
アルの声も虚しくロゼフは、黒い霧に包まれ変わり果てた姿に…

魂なき肉塊となり果て倒れていた。
イヤヤヤーーーー!!!!

「おじいちゃん!」
アイナは、急ぎロゼフの遺体の傍に駆け寄ったが…アイナには、手の施しようがないことを悟るのにそう時間はいらなかった。

アイナは遺体の傍で力なく座り込みんでしまい、アルは、焦っる!

「メイドの姉ちゃん早くそこから離れて」

「そいつの霧に呑まれたらロゼフ爺のように…」
アルは、意識が遠のくのを感じながら叫んだ
「お父様、どうかしまして?」

「カルディナすまない…」
「まだ、私は長く意識と力を維持できないようだ…」

アルは、そう言うと意識を失い宙に静止できずに空から地上に落ち始めた。

「お父様!」

閃光があたりを包みこんだ!!
「大丈夫よアル」
アルは、閃光に包まれ誰かに抱きかかえられていた。
閃光が収まるとアルは、聖母神ルナに抱きかかえられゆっくりと地上に降り立った。


「まぁ、よくもこんなに散らかして」
「街のみんなに申し訳ないわ」

「そこのあなたなの?こんな酷いこと」
ルナは、デュークに詰め寄る。

デュークは、ゆっくりと後ずさる
「デュークよ何を恐れている!」
「眼の前の小娘風情にどうした?」
邪神アスラは、デュークの異変に困惑した。デュークほどの力を持つものが何故だ!?


「ルナ様!」
式神となったカルディナがルナの傍に降り立った。
「ありがとうセレスを守ってくれて」

「ルナ様、あの者は元は式神デュークの成れの果てです。…邪神アスラに壊されてしまい…あのように…」

「そう…わかりました。」
ルナは、静かに怒っていた。カルディナはそれを肌で感じた!
ルナを怒らせてはいけないと!
神となったルナの力は、女神カルディナの時の私とは比較できないほどの力の差があった。

「デュークあなた…まだ戦っているのね」

ルナは、デュークのすぐ目の前まで詰め寄った。デュークの霧を恐れることなく霧のほうがルナを恐れるかのように退いた。

「これがアスラのいや邪神の因子なのかしら」

デュークは、後退りを辞め片膝をついた。
「何を?!」アスラは、この時デュークが恐れ退いたことの真意を知った。この娘は、天敵であると!!

ルナは、デュークの胸に右腕を突き刺した。突き刺したといっても傷つけてはいなかった。水に溶け込むかのように。

「辞めろ、小娘何をする!!」

ルナは、デュークの魂の絡みついた黒い触手のような異物をデュークから引き抜いた。
ギョェェーー!!
「これね、デュークの戦っていた者」
ルナの手には、魂に寄生する邪神の因子がもがいていた。
「やめろーそうしないと今度はお前の魂を喰らってやるぞ」

カルディナは、ルナが何かを手にしていることはわかっているが目で認識できなかった。

ルナの右手が光を放つ浄化の炎が黒い触手邪神の因子を浄化していった。
「おのれ口惜しや…だがこれで終わりではないぞ……」

片膝をついたデュークに異変が起きた。
デュークの眼の前にカルディナの女神の雫石が出現した。

「どなたかは存じませんが助かった。」

「私は、式神デューク女神カルディナに生涯の魂を捧げた者です。」

「デュークなの?」
カルディナは、デュークの傍に駆け寄った!
「あなたは… …まさかカルディナなのか!」
「えぇ…そうよ!姿が変わっても私とわかるの?」
「あぁ、わかる」
デュークの姿が薄れ始めた。
「どうしたの?」

「すまない、今はここに女神の雫石があるということはもうじき私は消えるのだろう」

「女神の雫石は新たな女神候補の元にもうじき転移を始めるだろう」

「どうにかならないの?!」

「カルディナ、今のお前ならわかるであろう式神は、女神の雫石の恩恵によって女神の資質のある魂の一部から生み出され力と知識を授かる。」

「しかし、主を失えば女神の雫石は経験や力を吸収し新たな女神候補の元に転移してしまう。その際、式神の魂だけは継続できない…」

「……」カルディナは、知っていた。
でも、なんとかしたい気持ちがあふれていたのだ。デュークに対する想いをこの時、知ることになる。

「最後に……カルディナあなたに会えたことが唯一の救いとなった。………私が魂から愛し忠義を誓った女性」

「デューク…!酷いわこんなの…」
カルディナは涙こらえ
「私は泣かないわよデューク」

「あなたは消えない私の魂にあなたは刻まれているもの」
「それにあなたは私の魂の一部よ」

女神の雫石がほのかに光始めた。
「そろそろお別れのようだ」

「今となっては私はカルディナと魂の繋がりを絶たれてしまったが、こうして会えたことに強い絆を感じている」

「カルディナと魂の繋がりを感じ合えた事に感謝する。」

デュークは、消えた。

同時にカルディナの女神雫石は、新たな女神候補の元に転移した。

「おじいちゃん?」
肉塊となってしまったロゼフがカルディナに襲いかかった。
「カルディナよ、お前もデュークとともに消え去るがよい」
まさか、ロゼフの肉体までも操るのかアスラよ!
「今回は、予想外の事ゆえ負けを認め去るが」
「カルディナよ!そして、そこの小娘よゆめゆめ寝首をかかれないよう気をつけるのだな」
「コヤツのようにわらわは死した者でも操る事造作もない」

「お前達は、身近な者も敵とみなせば容赦なく葬るのだろうよ。どちらが卑しい者なのか面白いことじゃ」
そう言うとアスラの気配は消え去った。

ロゼフ爺ごめんね…」カルディナは、神聖魔法を唱えた「破邪天雷」
聖なる光の雷がエドの肉体を貫いた。
エドの肉体は内側から塵となってゆっくりと崩れていった。

「アイナごめんなさい助けてあげれなくて」
「……」

「アイナ…」
アイナは、静かに悟られないように造り笑いをした。
「いえ、…大丈夫です。仕方のないことですよ。」
ルナとカルディナは気を使わせてしまったと、この時は感じていたが…アイナの心の奥に小さな邪の心が植え付けられていることにこの時の二人は、気付けずにいた。














    
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