水の中でも何処でももふもふ!! あたらしい世界はもふもふで溢れていました

ありぽん

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第60話.ついにやって来たシードラゴン

 それは何処からともなく、じわじわという感じだった。こう、突然現れた感じじゃなくて、遠くから来たぞって感じで、俺達に知らせてきたっていうか。

 父さん達が家から出て行って、父さんがお茶を飲んでいる時に言っていた、後2の時だろうって言っていたやつ。もうすぐ2の時がくるって時に、変な音が聞こえたんだ。それはこう何かが爆発するような感じの音と、何かの叫んでいるような声で。

 何の音だろうと窓の外を見る。姉さんとモコモコ達、小さいフルフルは、俺よりも先に音に気がついたのか、俺が窓を見る前に窓の近くへ。リズに抱っこしてしてもらい。モコモコ達は肩に乗ったり頭に乗ったりして外を見ている。

「おぅ? きちゃ?」

『お前にも音は聞こえたか。もう少しすればお前でも聞こえるかと思っていたが、普段静かな場所で暮らしているからか、音に敏感になっているのか。いいか』

 部屋に持ってきていた絵本を、俺の所へ持ってきて見せてくれるユースタスさん。その本はこの前母さんが姉さんと俺に見せてくれた本で。そう、シードラゴンが描いてある本だ。

『お前の母親が、この大きな生き物が来るかもしれないと言っていただろう? 今すぐそこまでシードラゴンが来ているのだ。もうすぐここへ着くだろう』

 後どのくらいで着くとか、この声と気配だと大きさはルスよりも大きいだろうとか。色々詳しく教えてくれるユースタスさん。

 何だろう、この世界の人というか、父さん達海に生きる者達も、ユースタスさん達エルフも、みんな赤ん坊の俺に、色々丁寧に教えてくれるのな。いや、さっきユースタスさんの仲間のエルフが、何人かここへ来たんだけど。みんな俺に丁寧に接してくれてさ。

 俺を最初に捨てた最悪の人間が珍しいだけで、本当はそういう良い人達しかいない世界なのか? でもモコモコやフルフル達、他の生き物を襲う人達もいるしな。俺の周りがたまたま良い人だけが集まっているのか。

 と、それは良いとして、ルスよりも大きいシードラゴンだって? シードラゴンって大きいとは聞いていたけど、そんなに大きかったのか? てっきりルスと同じくらいなのかと思っていた。いや、それでも大きいけどさ。

 俺が話しを聞いていると、アトウットさんが来て、部屋の確認に来た。

『ここも問題はありませんね。声は?』

『ああ、しっかりと聞いた。それにこの気配。やはり完璧な変異種だな』

『ええ。旦那様が結界部隊を少し後方へ下げました。戦わずに結界に専念できるようにと』

『その方が良いだろう。考えていたよりも、もう少し奴の力は強そうだからな。私の部下は結界も戦闘も、どちらも問題なくできる。私の方からももう少し前線へ』

『ありがとうございます。それとお食事ですが、おそらくこれからバタバタしだすと、お嬢様もお坊ちゃまも。気にされて召し上がらなくなる可能性があるので、先に今お食事を』

『ああ。慣れればそのうち気にせず食べられるようになると思うが、グレンヴィルが心配だ。先に食べさせてしまおう。もし食べられなくなった場合は、私の持ってきた薬草を。あれを飲めば栄養は取れるからな』

 確かにこれから俺にとって、いやほとんどの人にとって、初めての事が起きるんだろう。その時はアトウットさんが言ったように、色々な事に驚いて食事を取れなくなる可能性も。今のうちに少しでも食べておいた方が良い。
 そして中身は大人な俺。そのうち慣れてくれば、問題なくご飯が食べられると思う。でも、ユースタスさんの薬草があれば安心だ。

 アトウットさんが部屋から出て行ってすぐに、ご飯が運ばれてきた。いつもと変わらないとっても美味しそうなご飯だ。窓に張り付いていた姉さんとモコモコ達、小さいフルフルを呼んで、みんなでご飯を食べ始める。

『……グレンヴィルよりも、ケニーシャと魔獣達の方が気にしているな』

『そのうようですね。もしかすると、感じている気配が、坊っちゃまはまだ弱いのかもしれません。それに今の状況を理解するのはまだお難しいでしょうから』

『そうだな』

 なんて話しているユースタスさんとアトウットさん。俺が横を見れば、姉さんもモコモコ達も、小さいフルフルも、みんな窓の方向を見たままご飯を食べていた。そのせいで食べるのはゆっくりだし、周りにご飯が。

 俺ばといえば、リズがスプーンで運んでくれる離乳食を、パクパクと問題なく食べていて。何とこの時は、いつも1番最後にご飯を終わらせる俺が、1番最初に食べ終わった。
 姉さん達はユースタスさんとアトウットさんに、見ていないでしっかりとご飯を食べろと言われて。ユースタスさんが窓のところに立つと、いつも通りにご飯を食べ始めた。

 そうしてご飯が終われば、さっきまで気にしていたのは何だったのかと思うほど、みんな勝手に遊び始め。

『パパとママのけっかい、とってもつよいけっかい。だからだいじょぶ!! それにあんまりかわらなかった!!』

 そうそう、どれくらい強いか、俺には分からないけど、父さん達の結界なんだから、大丈夫だし。どうもみんなが感じている気配? が、最初に大きく感じてから、あんまり変化がなかったようで、もう慣れたようだ。みたいなことをアトウットさんが言っていた。 

 ……いや慣れるの早すぎないか? 俺はまだ慣れるほどの何かを感じていないんだけど。小さな爆発音と声を聞いただけだし。

 その後も定期的に聞こえてくる爆発音と鳴き声。でもそれは次第に大きさをましてきて。そしてついにその音はすぐ近くから聞こえてくるように。

そうして1番大きな音が聞こえたと思ったら、外で花火のようなパンパンパンッ!! という音が聞こえた。

『始まるな』

『そうですね』

 今までに見た事がない、ユースタスさんとアトウットさんの真剣な顔。そしてリズの何故かのニヤリ顔。ついにしドラゴンがここへ着いたようだ。
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