6 / 6
第2章 閉ざされた研究所と崩壊し始める日常
2話 日常に潜む小さな違和感の数々
しおりを挟む
食堂で起きている、不思議な出来事の数々。それは場所を変え、他の場所でも同じように起きていて。その中でも多く不思議なことが起きているのが、自分の部屋だと思う。
最初はあれ? と思った程度だったんだけど、洗濯した覚えのない洗濯物が干されていたり、逆に洗濯したことは覚えているのに、いつ取り込んだのか覚えていなかったり。あとは、いつの間にか、洗濯物が綺麗に畳まれて、テーブルの上に置いてあるとか。
他にも、洗った覚えのないコップが、やっぱり綺麗に洗われて並べられている。いつでも飲めるようにと、ミニキッチンに置きっぱなしの頭痛薬。それが、時々飲んでいるにも関わらず、減っているように見えない。なんて、そういった、不思議な体験を、たくさんしているの。
まあ、薬に関しては、瓶には元々、半分以上錠剤が入っていて。時々と言っても、まだ3日くらいしか飲んでいないからね。ただ単に、減っているように見えなかっただけかもしれないけど……。
そして他の不思議な出来事は、研究室でも起きている。
この前、私たちの班の研究員の1人が、どうしてそうなったのか分からないけれど、かなりの勢いで腕を切ってしまって。私と他の研究員の2人で、その怪我をした研究員を、急いで医務室へ連れて行ってね。
それで研究室に戻ると、班のみんなは、飛び散った血や、壊れた器具を片付けていたから、私たちも片付けをすることにして。私は、まだ誰も手を付けていない場所を、綺麗にしようと思い、掃除道具を取りに行ったんだ。
だけど戻ってくると、血はすっかり拭かれ、割れた道具も片付けられていて。それで驚いて、近くにいた研究員に片付けたか聞いたら、自分じゃない、誰かがやったんだろう。それよりこっちを手伝ってくれ、と言われてしまって……。
掃除道具を取りに、現場を離れたのはほんの数十秒。それなのに、どうやったらそんな短い間に片付けられるの? 何? 私の見間違いだった? と考えさせられる出来事が起こったし。
別の日には、大量の書類が、デスクの上に山積みにされていたのに、気づいたら片付けられていた。機械や器具が、全部綺麗に拭かれて元の場所に戻されていた。といった、不思議な出来事が、何度かあったんだ。
あと、食堂や部屋、研究関係以外では、これは1度だけだけど、大浴場でも不思議なことがあってね。
大浴場の掃除は、基本、人が少ない時間帯、朝方にすることになっていて。掃除の日は少し早起きして大浴場へ向かい、班の中で1番最初に大浴場に着いた人が、中に人がいないかを確認するんだ。
それで、不思議なことがあった日は、私が最初に大浴場へ行ったから、中を確かめようと、私は浴室に入ったんだけど……。
あ、ちなみに大浴場を使う時は、誰が入っているか分かるように、ドアに札をかけるという決まりがあって。その時は『空き』の札がかかっていたから、普通に中に入ったよ。男性が入っている時はもちろん、思いっきり入ったりしないからね?
そうして、浴室に入った私はというと、浴室のおかしな光景に、少しの間驚いて止まってしまい、そのあと、慌てることになったんだ。
どんな様子だったかというと。かなりの人数が使っていて、しかも朝も誰かが入ったかもしれないのに。
床も壁も洗い場も、タライも風呂椅子も、まったく使っていないみたいに、カラカラに乾いていて。湯船も、お湯が1滴も残らずに抜かれ、やっぱりカラカラに乾いていたんだよ。
この状況に驚いて、しばらく呆然としていた私。でも、少しすると、他のことを少しだけだけど、考えられる余裕が出てきて。それで、私が考えたことといえば……。
もしかしたら私が、集合時間を間違えて聞いてしまい、班のみんなが、もう掃除を終わらせて、帰っちゃったのかも!? ということで。それで、驚きはどこへやら、今度は慌てることになってね。
だけどその時、外から声がしたから急いで外に出てみれば、班のみんながちょうど集まってきたところで。それですぐに中の様子を伝えたら、まだ誰も掃除はしていないと言われてしまい。
そこで慌てて、また浴室を確認しに行くと。今度は、少し前まで使われていたんじゃないかと思うくらい、ほとんどの物が濡れたままで。湯船にも、たっぷりとお湯が張られていたんだ。
何が起こったのか分からず、また驚いていたら。何を寝ぼけてるんだよ、いつも通りの浴室じゃないかと、みんなに大笑いされたし……。
と、まぁ、笑われたことは、今は置いておいて。こんな風に、私の身の回りでは、不思議な出来事がいろいろと起きているの。
それでね、その違和感というか、不思議な出来事の内容が、大問題かと言われると、そうでもないんだけど。ただちょっと、さすがに数が多すぎるなと思って。つい先日、私は課長に今の状態を相談しに行ったんだ。
そして私の話を聞いた課長は、私に検査をするように言ってきて。だから、研究所の専属医、研究所に常駐してくれている目黒先生に、研究所でできる限りの検査をしてもらい、その結果は……。特に異常なしという結果だったよ。
こうして、この結果を受け、私は一応、このまま研究所で過ごしながら、様子を見ることが決まり。だけど、もしこれ以上症状が酷くなるようなら、街へ戻るということも決まったんだ。
お兄ちゃんと私の願いを叶えるために、この素晴らしい研究所へ来て。そして、生活にも研究にも、ようやく慣れてきたところだったから、残れることになって、本当に良かったと思う。
だけどその反面、どうしてこんなことになっちゃったんだろう、とその原因についても考えて……。
記憶の方は、素晴らしい研究所での研究は、今までの研究生活よりも、覚えることや考えることが多く。そういった情報量が一気に増えたことで、無意識に脳が情報を整理しちゃった?とか。
1ヶ月も、この閉ざされた環境にいれば、少しは物忘れをしたり、変な想像をしちゃうことくらい、誰にでもあるよね? とか、そんなことをかんがえたよ。
でも、いくら考えても答えが出ることはなく。結局、何も分からないまま、検査以降もそれまで通りの生活を送っているって感じなんだ。そして……。
ブーブーブー。
今日も、仕事の終わりを知らせるブザーが鳴る。少し前から班のみんなは、片付けを始めていたから、ブザーが鳴ると同時に研究室から出て行くよ。
「う~ん、疲れた。やっぱり、疲れが原因なのかな?」
私は、首から下げたお守りをそっと握りしめる。
お兄ちゃんと私の夢を叶えるために頑張らなくちゃ。だけど、疲れのせいでそれができなくなるかもしれないなんて。ここから帰らされるかもしれないなんて……。それだけは、何としても避けたい。
「よし! 今日はもう何も考えず、頭も体も休めよう。まずはお風呂に入ってゆっくりしようかな。それから美味しいご飯を食べて、まったり過ごして、たっぷり寝る。うん、それが良いよね!!」
私がそう独り言を言っていると、
「瞳、何をブツブツ言っているのよ。行きましょう!」
「はい!!」
私以外の、最後に研究室を出ようとしていた研究員に声をかけられ、大きな声で返事を返す。そして、明日からの研究を、他のことに気を取られず、しっかりできたらいいなと思いながら。私は小さく伸びをして、研究室をあとにしたんだ。
最初はあれ? と思った程度だったんだけど、洗濯した覚えのない洗濯物が干されていたり、逆に洗濯したことは覚えているのに、いつ取り込んだのか覚えていなかったり。あとは、いつの間にか、洗濯物が綺麗に畳まれて、テーブルの上に置いてあるとか。
他にも、洗った覚えのないコップが、やっぱり綺麗に洗われて並べられている。いつでも飲めるようにと、ミニキッチンに置きっぱなしの頭痛薬。それが、時々飲んでいるにも関わらず、減っているように見えない。なんて、そういった、不思議な体験を、たくさんしているの。
まあ、薬に関しては、瓶には元々、半分以上錠剤が入っていて。時々と言っても、まだ3日くらいしか飲んでいないからね。ただ単に、減っているように見えなかっただけかもしれないけど……。
そして他の不思議な出来事は、研究室でも起きている。
この前、私たちの班の研究員の1人が、どうしてそうなったのか分からないけれど、かなりの勢いで腕を切ってしまって。私と他の研究員の2人で、その怪我をした研究員を、急いで医務室へ連れて行ってね。
それで研究室に戻ると、班のみんなは、飛び散った血や、壊れた器具を片付けていたから、私たちも片付けをすることにして。私は、まだ誰も手を付けていない場所を、綺麗にしようと思い、掃除道具を取りに行ったんだ。
だけど戻ってくると、血はすっかり拭かれ、割れた道具も片付けられていて。それで驚いて、近くにいた研究員に片付けたか聞いたら、自分じゃない、誰かがやったんだろう。それよりこっちを手伝ってくれ、と言われてしまって……。
掃除道具を取りに、現場を離れたのはほんの数十秒。それなのに、どうやったらそんな短い間に片付けられるの? 何? 私の見間違いだった? と考えさせられる出来事が起こったし。
別の日には、大量の書類が、デスクの上に山積みにされていたのに、気づいたら片付けられていた。機械や器具が、全部綺麗に拭かれて元の場所に戻されていた。といった、不思議な出来事が、何度かあったんだ。
あと、食堂や部屋、研究関係以外では、これは1度だけだけど、大浴場でも不思議なことがあってね。
大浴場の掃除は、基本、人が少ない時間帯、朝方にすることになっていて。掃除の日は少し早起きして大浴場へ向かい、班の中で1番最初に大浴場に着いた人が、中に人がいないかを確認するんだ。
それで、不思議なことがあった日は、私が最初に大浴場へ行ったから、中を確かめようと、私は浴室に入ったんだけど……。
あ、ちなみに大浴場を使う時は、誰が入っているか分かるように、ドアに札をかけるという決まりがあって。その時は『空き』の札がかかっていたから、普通に中に入ったよ。男性が入っている時はもちろん、思いっきり入ったりしないからね?
そうして、浴室に入った私はというと、浴室のおかしな光景に、少しの間驚いて止まってしまい、そのあと、慌てることになったんだ。
どんな様子だったかというと。かなりの人数が使っていて、しかも朝も誰かが入ったかもしれないのに。
床も壁も洗い場も、タライも風呂椅子も、まったく使っていないみたいに、カラカラに乾いていて。湯船も、お湯が1滴も残らずに抜かれ、やっぱりカラカラに乾いていたんだよ。
この状況に驚いて、しばらく呆然としていた私。でも、少しすると、他のことを少しだけだけど、考えられる余裕が出てきて。それで、私が考えたことといえば……。
もしかしたら私が、集合時間を間違えて聞いてしまい、班のみんなが、もう掃除を終わらせて、帰っちゃったのかも!? ということで。それで、驚きはどこへやら、今度は慌てることになってね。
だけどその時、外から声がしたから急いで外に出てみれば、班のみんながちょうど集まってきたところで。それですぐに中の様子を伝えたら、まだ誰も掃除はしていないと言われてしまい。
そこで慌てて、また浴室を確認しに行くと。今度は、少し前まで使われていたんじゃないかと思うくらい、ほとんどの物が濡れたままで。湯船にも、たっぷりとお湯が張られていたんだ。
何が起こったのか分からず、また驚いていたら。何を寝ぼけてるんだよ、いつも通りの浴室じゃないかと、みんなに大笑いされたし……。
と、まぁ、笑われたことは、今は置いておいて。こんな風に、私の身の回りでは、不思議な出来事がいろいろと起きているの。
それでね、その違和感というか、不思議な出来事の内容が、大問題かと言われると、そうでもないんだけど。ただちょっと、さすがに数が多すぎるなと思って。つい先日、私は課長に今の状態を相談しに行ったんだ。
そして私の話を聞いた課長は、私に検査をするように言ってきて。だから、研究所の専属医、研究所に常駐してくれている目黒先生に、研究所でできる限りの検査をしてもらい、その結果は……。特に異常なしという結果だったよ。
こうして、この結果を受け、私は一応、このまま研究所で過ごしながら、様子を見ることが決まり。だけど、もしこれ以上症状が酷くなるようなら、街へ戻るということも決まったんだ。
お兄ちゃんと私の願いを叶えるために、この素晴らしい研究所へ来て。そして、生活にも研究にも、ようやく慣れてきたところだったから、残れることになって、本当に良かったと思う。
だけどその反面、どうしてこんなことになっちゃったんだろう、とその原因についても考えて……。
記憶の方は、素晴らしい研究所での研究は、今までの研究生活よりも、覚えることや考えることが多く。そういった情報量が一気に増えたことで、無意識に脳が情報を整理しちゃった?とか。
1ヶ月も、この閉ざされた環境にいれば、少しは物忘れをしたり、変な想像をしちゃうことくらい、誰にでもあるよね? とか、そんなことをかんがえたよ。
でも、いくら考えても答えが出ることはなく。結局、何も分からないまま、検査以降もそれまで通りの生活を送っているって感じなんだ。そして……。
ブーブーブー。
今日も、仕事の終わりを知らせるブザーが鳴る。少し前から班のみんなは、片付けを始めていたから、ブザーが鳴ると同時に研究室から出て行くよ。
「う~ん、疲れた。やっぱり、疲れが原因なのかな?」
私は、首から下げたお守りをそっと握りしめる。
お兄ちゃんと私の夢を叶えるために頑張らなくちゃ。だけど、疲れのせいでそれができなくなるかもしれないなんて。ここから帰らされるかもしれないなんて……。それだけは、何としても避けたい。
「よし! 今日はもう何も考えず、頭も体も休めよう。まずはお風呂に入ってゆっくりしようかな。それから美味しいご飯を食べて、まったり過ごして、たっぷり寝る。うん、それが良いよね!!」
私がそう独り言を言っていると、
「瞳、何をブツブツ言っているのよ。行きましょう!」
「はい!!」
私以外の、最後に研究室を出ようとしていた研究員に声をかけられ、大きな声で返事を返す。そして、明日からの研究を、他のことに気を取られず、しっかりできたらいいなと思いながら。私は小さく伸びをして、研究室をあとにしたんだ。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
婚約者の幼馴染?それが何か?
仏白目
恋愛
タバサは学園で婚約者のリカルドと食堂で昼食をとっていた
「あ〜、リカルドここにいたの?もう、待っててっていったのにぃ〜」
目の前にいる私の事はガン無視である
「マリサ・・・これからはタバサと昼食は一緒にとるから、君は遠慮してくれないか?」
リカルドにそう言われたマリサは
「酷いわ!リカルド!私達あんなに愛し合っていたのに、私を捨てるの?」
ん?愛し合っていた?今聞き捨てならない言葉が・・・
「マリサ!誤解を招くような言い方はやめてくれ!僕たちは幼馴染ってだけだろう?」
「そんな!リカルド酷い!」
マリサはテーブルに突っ伏してワアワア泣き出した、およそ貴族令嬢とは思えない姿を晒している
この騒ぎ自体 とんだ恥晒しだわ
タバサは席を立ち 冷めた目でリカルドを見ると、「この事は父に相談します、お先に失礼しますわ」
「まってくれタバサ!誤解なんだ」
リカルドを置いて、タバサは席を立った
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】離縁されたので実家には戻らずに自由にさせて貰います!
山葵
恋愛
「キリア、俺と離縁してくれ。ライラの御腹には俺の子が居る。産まれてくる子を庶子としたくない。お前に子供が授からなかったのも悪いのだ。慰謝料は払うから、離婚届にサインをして出て行ってくれ!」
夫のカイロは、自分の横にライラさんを座らせ、向かいに座る私に離婚届を差し出した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる