21 / 38
第4章 調査開始と深まる違和感
2話 それぞれの残された部屋と言葉に意味
それで、川島さんの部屋の鍵問題だけど。もちろん警察からの指示で、川島さんの部屋も、基本は鍵がかけられているよ。
だけど、どうにも日当たりが悪いせいか、締め切ったままだと、部屋の中にかなり湿気がこもってしまうらしく、時々換気をしないといけないみたいで。時々鍵が開けられ、空気の入れ替えが行われているんだ。
だから、今がその時なら、部屋の中には入れるかも。ダメなら、神谷のおばちゃんの部屋を調べてから戻ってくれば良いし、なんて。山田さんの部屋の時よりも、心配せずに向かったんだ。
そうして川島さんの部屋に着き確認してみれば、バッチリ鍵が空いていて。私はすぐに川島さんの部屋に入り、調査を始めることができたよ。
川島さんの部屋も山田さんの部屋同様、あの日のままだった。その辺に転がっているぬいぐるみたちに、可哀想にビリビリのボロボロに、引き裂かれてしまっているぬいぐるみたち。
ただ、山田さんの部屋のように、何か書き留めないといけないようなものはなく。写真を撮っただけで、山田さんの部屋よりも半分の時間で、調査は終わったんだ。だけど……。
最後に部屋を見渡した私。あれだけ川島さんが大事にしていたぬいぐるみたちが、この状態のままなのが、どうしても可哀想に見えてしまって。
警察には何も触るなと言われていたし。自分でも、何かの証拠になりそうな物を触ったらいけないと、本当は分かっていたけれど。
一応その場からは動かさず、ぬいぐるみを起き上がらせ、座らせてあげて。ボロボロになってしまったぬいぐるは全てまとめ、近くにあったぬいぐるみを数体だけ、近くに置いてあげたよ。
そして、川島さんがいなくなって、きっとこの子たちも寂しいはず。警察が捜査を開始してくれるみたいだから、それで真実が分かったあとは、みんな川島さんのところか、川島さんの家族のもとに戻れるといいんだけど。と、そう思いながら、私は川島さんの部屋を後にしたんだ。
そうして向かったのは、もちろん神谷のおばちゃんの部屋。
「さぁ、最後はおばちゃんの部屋だ」
神谷のおばちゃんの部屋の前に立ち、深呼吸をして、一旦心を落ち着かせる私。とりあえず今のところ、順調に進んでいる部屋の調査も、神谷のおばちゃんの部屋で最後。最後まで周りに注意しながら、しっかりと調べないと。
神谷のおばちゃんの部屋は、私の仮の証言で、課長たちが部屋を見に来た時に、私も一緒にきたから。今日はその時と違いがないか確認するのと、何かおかしな物がないかないか確認する予定。
ちなみに神谷のおばちゃんの部屋は、鍵は開けっぱなしになっているよ。
山田さんや川島さんみたいに、神谷のおばちゃんがおかしくなったところを見たのは私だけだし。失踪の瞬間を見たのも私だけ。しかもその時のことを話せずに、ただ出て行くのを見たと話してしまったから。
その話を他の人たちが知ると、もちろん事件に関係あると思っている人たちもいるけれど。『おばちゃんは失踪というよりも逃げたんじゃ?』と思う人たちもいて。
そしてそれは、今は連絡の取れない、ここに来たけれど、あまり真剣に調査しているようには見えなかった、あの警官たちも同じみたいで。
神谷のおばちゃんの失踪は、そこまで重要視していないというか、一応部屋は保存しておくように言われただけでね。
神谷のおばちゃんは、料理長をしていたから。部屋に、食事に関してのいろいろな物が置いてあるらしく。みんな食事管理のこともあるから、料理人さんたちがいつでも取りに来られるように、ドアの鍵は開けたままになっているんだ。
ただ、開いていると分かっていても、ドキドキするもので、そっとドアノブに手をかけ回すとドアが開いた時は、思わずホッと溜め息を吐いてしまった。
「ふぅ、良かった。……中に、人はいない? よし、今のうちだ!」
私は急いで中へ入り調査を開始する。
そう、開始したんだけどね。おばちゃんの部屋の、山田さんや川島さんと同じ、最初に確認した時のままという感じで。
細かく調べても、山田さんの部屋のような、おかしな物はないし。部屋の中は散らかっているけれど、川島さんの部屋のような散らかり方ではなく。急いでここを出る準備をしていて、散らかったという感じで、机周りとベッド周りだけが散らかったまま。
他も、トイレとかお風呂、ミニキッチンも綺麗だし。料理人さんたちも来ているはずだけど、どこをどう動かしたっていうのも分からなかったし。
だから神谷のおばちゃんの部屋も、すぐに調査を終わらせることができたんだ。
「写真もこれくらいで良いかな? よし、他の人が来ないうちに戻ろう」
私はそう言いながら、神谷のおばちゃんの部屋を見渡す。するとその時、テーブルの上に置いてあった、おばちゃんの写真が目に入ってね。写真の中のおばちゃんは、私たちと話す時みたいに、いつもの優しく元気な笑顔だったよ。
私はその写真を手に持ち、それからおばちゃんが使っていたベッドに近づき、腰をかける。そして……。
「おばちゃん、あの時助けることができなくてごめんなさい。それに、私に勇気がなくて、本当のことを言えなくてごめんなさい。……今の私に、どれだけのことができるかは分からないけど、ここを出るまでに真実を見つけて、少しでもおばちゃんや、山田さんや川島さんを救えるように頑張るから、待っていて」
そうおばちゃんに伝え、ベッドから立ち上がり写真をテーブルに戻すと、そのままおばちゃんの部屋を出たんだ。
そうして自分の部屋へ戻ると、大きな溜め息を吐きながら、思わずベッドに飛び込んでしまった。
調査の時は、調べることに集中していたから、あまりあれだったけれど。部屋に戻って来て落ち着いたら、初めての調査と、いろいろなストレスがかかっていたのかな、ドッと疲れが出ちゃってね。少しだけ休憩することにしたよ。
そして30分くらい休憩したあと、まず最初に、山田さんの部屋の文字から、確認することにしたんだ。
「『俺たちは、もう』って、一体何を言いたかったんだろう? もう、何? それに『子供』は、男の子の幽霊で本当に間違いないの?」
いくつかの言葉をピックアップし、いろいろと関係性を考えてみる。例えば、『子供』と『真実』と『騙されるな』を合わせてみるとかね。
山田さんは、この研究室に来るマイクロバスの中で、こんな怖い話をしていた。
ある難病の薬を研究している研究所で起きた出来事。そこには、自分の子供が難病にかかっている研究員がいて、表向きは子供を治すために懸命に研究していた。だけど実は裏で、子供を助けるために他人を使った人体実験を繰り返していて……。
そのうち、人体実験で亡くなった人々の幽霊が現れ、研究所は呪われることに。そして原因となった研究員は、人体実験の被害者の幽霊とともに研究所に囚われ、2度と外の世界に戻れなくなった……。
という話ね。私たちマイクロバスに乗っていた人たちは、男の子の幽霊の話が出た時に、この話を思い出していたんだ。それで、もしかして本当にそういう子供の霊がいるのかも、なんて言う人もいて。だから、男の子の幽霊に、その話の印象が強く重なってしまっていたの。
実際、山田さんは、これってもしかして、本当の話だったのか!? なんて言いながら、調べていたしね。
そうして調べるうちに、男の子の幽霊のことで、何か分かったかもしれない山田さん。でも、私たちが考えていたような、男の子の幽霊じゃなくて。そう、怖い話の内容が真実じゃなかったと分かり、それで私たちに騙されるなと書き残したとか?
うーん、でも、この研究所で何か事件が起きたなんて、聞いていないしなぁ。
「それに、他の言葉も、あまり使わない言葉ばかりだよね。この『呪い』や『生贄』それに『繰り返し』ってどういうことだろう。男の子の幽霊と、呪いが関係あるとか? それとも全く関係ない?」
考えれば考えるほど、いろいろな状況が浮かんできて、頭の中がこんがらがってくる。でも、それでも、この事件に関するヒントが何か見つかるかもしれないんだから、頑張って考えないと。
「そういえば、『長』なんて言葉もあったな。『長』ってなに?」
男の子の幽霊に関すること関係しなくても、私たちに伝えたい何か長い物を見つけた? ……いやいや、これだけあまり良くない言葉をたくさん書いていたのに、突然長い物のことについて、書くわけないよね。
感覚的なことかな? 例えば時間、長い間、長時間、長年とか。
あっ、役職のことだったりして! 課長や所長みたいに、『長』がつく人たちのこと。もしかしたらこの事件、所長と課長が事件に関わっていて、それを私たちに伝えようとしたとか!
……なんて、あるわけないか。私が見た、神谷のおばちゃんが消えた時の様子。あんな非現実的なこと、さすがに所長たちには無理だもんね。
と、こんな感じで、それからも私は言葉について、いろいろと考えたんだ。
だけど、どうにも日当たりが悪いせいか、締め切ったままだと、部屋の中にかなり湿気がこもってしまうらしく、時々換気をしないといけないみたいで。時々鍵が開けられ、空気の入れ替えが行われているんだ。
だから、今がその時なら、部屋の中には入れるかも。ダメなら、神谷のおばちゃんの部屋を調べてから戻ってくれば良いし、なんて。山田さんの部屋の時よりも、心配せずに向かったんだ。
そうして川島さんの部屋に着き確認してみれば、バッチリ鍵が空いていて。私はすぐに川島さんの部屋に入り、調査を始めることができたよ。
川島さんの部屋も山田さんの部屋同様、あの日のままだった。その辺に転がっているぬいぐるみたちに、可哀想にビリビリのボロボロに、引き裂かれてしまっているぬいぐるみたち。
ただ、山田さんの部屋のように、何か書き留めないといけないようなものはなく。写真を撮っただけで、山田さんの部屋よりも半分の時間で、調査は終わったんだ。だけど……。
最後に部屋を見渡した私。あれだけ川島さんが大事にしていたぬいぐるみたちが、この状態のままなのが、どうしても可哀想に見えてしまって。
警察には何も触るなと言われていたし。自分でも、何かの証拠になりそうな物を触ったらいけないと、本当は分かっていたけれど。
一応その場からは動かさず、ぬいぐるみを起き上がらせ、座らせてあげて。ボロボロになってしまったぬいぐるは全てまとめ、近くにあったぬいぐるみを数体だけ、近くに置いてあげたよ。
そして、川島さんがいなくなって、きっとこの子たちも寂しいはず。警察が捜査を開始してくれるみたいだから、それで真実が分かったあとは、みんな川島さんのところか、川島さんの家族のもとに戻れるといいんだけど。と、そう思いながら、私は川島さんの部屋を後にしたんだ。
そうして向かったのは、もちろん神谷のおばちゃんの部屋。
「さぁ、最後はおばちゃんの部屋だ」
神谷のおばちゃんの部屋の前に立ち、深呼吸をして、一旦心を落ち着かせる私。とりあえず今のところ、順調に進んでいる部屋の調査も、神谷のおばちゃんの部屋で最後。最後まで周りに注意しながら、しっかりと調べないと。
神谷のおばちゃんの部屋は、私の仮の証言で、課長たちが部屋を見に来た時に、私も一緒にきたから。今日はその時と違いがないか確認するのと、何かおかしな物がないかないか確認する予定。
ちなみに神谷のおばちゃんの部屋は、鍵は開けっぱなしになっているよ。
山田さんや川島さんみたいに、神谷のおばちゃんがおかしくなったところを見たのは私だけだし。失踪の瞬間を見たのも私だけ。しかもその時のことを話せずに、ただ出て行くのを見たと話してしまったから。
その話を他の人たちが知ると、もちろん事件に関係あると思っている人たちもいるけれど。『おばちゃんは失踪というよりも逃げたんじゃ?』と思う人たちもいて。
そしてそれは、今は連絡の取れない、ここに来たけれど、あまり真剣に調査しているようには見えなかった、あの警官たちも同じみたいで。
神谷のおばちゃんの失踪は、そこまで重要視していないというか、一応部屋は保存しておくように言われただけでね。
神谷のおばちゃんは、料理長をしていたから。部屋に、食事に関してのいろいろな物が置いてあるらしく。みんな食事管理のこともあるから、料理人さんたちがいつでも取りに来られるように、ドアの鍵は開けたままになっているんだ。
ただ、開いていると分かっていても、ドキドキするもので、そっとドアノブに手をかけ回すとドアが開いた時は、思わずホッと溜め息を吐いてしまった。
「ふぅ、良かった。……中に、人はいない? よし、今のうちだ!」
私は急いで中へ入り調査を開始する。
そう、開始したんだけどね。おばちゃんの部屋の、山田さんや川島さんと同じ、最初に確認した時のままという感じで。
細かく調べても、山田さんの部屋のような、おかしな物はないし。部屋の中は散らかっているけれど、川島さんの部屋のような散らかり方ではなく。急いでここを出る準備をしていて、散らかったという感じで、机周りとベッド周りだけが散らかったまま。
他も、トイレとかお風呂、ミニキッチンも綺麗だし。料理人さんたちも来ているはずだけど、どこをどう動かしたっていうのも分からなかったし。
だから神谷のおばちゃんの部屋も、すぐに調査を終わらせることができたんだ。
「写真もこれくらいで良いかな? よし、他の人が来ないうちに戻ろう」
私はそう言いながら、神谷のおばちゃんの部屋を見渡す。するとその時、テーブルの上に置いてあった、おばちゃんの写真が目に入ってね。写真の中のおばちゃんは、私たちと話す時みたいに、いつもの優しく元気な笑顔だったよ。
私はその写真を手に持ち、それからおばちゃんが使っていたベッドに近づき、腰をかける。そして……。
「おばちゃん、あの時助けることができなくてごめんなさい。それに、私に勇気がなくて、本当のことを言えなくてごめんなさい。……今の私に、どれだけのことができるかは分からないけど、ここを出るまでに真実を見つけて、少しでもおばちゃんや、山田さんや川島さんを救えるように頑張るから、待っていて」
そうおばちゃんに伝え、ベッドから立ち上がり写真をテーブルに戻すと、そのままおばちゃんの部屋を出たんだ。
そうして自分の部屋へ戻ると、大きな溜め息を吐きながら、思わずベッドに飛び込んでしまった。
調査の時は、調べることに集中していたから、あまりあれだったけれど。部屋に戻って来て落ち着いたら、初めての調査と、いろいろなストレスがかかっていたのかな、ドッと疲れが出ちゃってね。少しだけ休憩することにしたよ。
そして30分くらい休憩したあと、まず最初に、山田さんの部屋の文字から、確認することにしたんだ。
「『俺たちは、もう』って、一体何を言いたかったんだろう? もう、何? それに『子供』は、男の子の幽霊で本当に間違いないの?」
いくつかの言葉をピックアップし、いろいろと関係性を考えてみる。例えば、『子供』と『真実』と『騙されるな』を合わせてみるとかね。
山田さんは、この研究室に来るマイクロバスの中で、こんな怖い話をしていた。
ある難病の薬を研究している研究所で起きた出来事。そこには、自分の子供が難病にかかっている研究員がいて、表向きは子供を治すために懸命に研究していた。だけど実は裏で、子供を助けるために他人を使った人体実験を繰り返していて……。
そのうち、人体実験で亡くなった人々の幽霊が現れ、研究所は呪われることに。そして原因となった研究員は、人体実験の被害者の幽霊とともに研究所に囚われ、2度と外の世界に戻れなくなった……。
という話ね。私たちマイクロバスに乗っていた人たちは、男の子の幽霊の話が出た時に、この話を思い出していたんだ。それで、もしかして本当にそういう子供の霊がいるのかも、なんて言う人もいて。だから、男の子の幽霊に、その話の印象が強く重なってしまっていたの。
実際、山田さんは、これってもしかして、本当の話だったのか!? なんて言いながら、調べていたしね。
そうして調べるうちに、男の子の幽霊のことで、何か分かったかもしれない山田さん。でも、私たちが考えていたような、男の子の幽霊じゃなくて。そう、怖い話の内容が真実じゃなかったと分かり、それで私たちに騙されるなと書き残したとか?
うーん、でも、この研究所で何か事件が起きたなんて、聞いていないしなぁ。
「それに、他の言葉も、あまり使わない言葉ばかりだよね。この『呪い』や『生贄』それに『繰り返し』ってどういうことだろう。男の子の幽霊と、呪いが関係あるとか? それとも全く関係ない?」
考えれば考えるほど、いろいろな状況が浮かんできて、頭の中がこんがらがってくる。でも、それでも、この事件に関するヒントが何か見つかるかもしれないんだから、頑張って考えないと。
「そういえば、『長』なんて言葉もあったな。『長』ってなに?」
男の子の幽霊に関すること関係しなくても、私たちに伝えたい何か長い物を見つけた? ……いやいや、これだけあまり良くない言葉をたくさん書いていたのに、突然長い物のことについて、書くわけないよね。
感覚的なことかな? 例えば時間、長い間、長時間、長年とか。
あっ、役職のことだったりして! 課長や所長みたいに、『長』がつく人たちのこと。もしかしたらこの事件、所長と課長が事件に関わっていて、それを私たちに伝えようとしたとか!
……なんて、あるわけないか。私が見た、神谷のおばちゃんが消えた時の様子。あんな非現実的なこと、さすがに所長たちには無理だもんね。
と、こんな感じで、それからも私は言葉について、いろいろと考えたんだ。
あなたにおすすめの小説
はい。【完結済み】
液体猫
ホラー
⚠️表紙はフォロワー様に頂きました。
静岡県のとある町には黄色い公衆電話がある。その電話はこちらから掛けることが出来ないという、不思議なものだった。
ある日、大雨の中で迎えの車を待っていた巻科優斗(まきしなゆうと)は、とある噂を思い出していた。
《駅にある、黄色い公衆電話を取り、名乗ると死ぬ。「はい」と答えても、すべてが終わる》という噂だった。
信じていたものが嘘となり、日常が闇へと落ちていく。公衆電話という身近にありながら、今は懐かしさのあるものを中心に、何もかもが崩れ落ちていく。
*冒頭にファンアート画像貼ってあります(^-^)
ミステリー強めな軽いホラーとなっています。ジャンルはミステリーの方がよかったかも??
「お前のカメラ、ずっと映ってるよ」〜ホラースポット配信者が気づいた時には、もう遅かった〜
まさき
ホラー
ホラースポット専門のYouTuber・桐島悠は、霊も怪異も一切信じない合理主義者だ。
ある廃病院での配信中、今まで感じたことのない「違和感」を覚えた。しかし撮影は無事終了。その後も普通に配信を続け、あの夜のことなど忘れかけていた頃——深夜、金縛りにあう。
疲れてるだけだ。
しかし、それは始まりに過ぎなかった。
記憶の空白。知らない足跡。動画に毎回映り込む、同じ女の姿。そして——「やっと、見つけた」という声。
カメラが映し続けていたのは、心霊スポットではなかった。もっとずっと、近いところにいるものだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
【完結】声が聴こえる
金浦桃多
ホラー
夏に始まった違和感は、秋に歪み、冬に侵食し、春に崩れた。
俺を追う「声」は増え続けるのに、
ただひとつ、どうしても聴こえない声があった。
ある男の四季の物語。全四話。
心霊タクシーでおかえりなさい
黄鱗きいろ
ホラー
十八歳の少女、凪は、
心霊タクシーの噂を頼りに片田舎のロータリーを訪れる。
そこで出会った心霊タクシーの運転手に
凪は札束を突きつけて頼み込んだ。
「お願いします。このお金で、行けるところまで私を連れて行ってください! 両親を探してるんです!」
おっさん運転手と訳あり少女の
優しくて少し哀しい心霊譚。
※他サイトにも掲載しています。
私がみた夢の話を誰かきいてくれませんか?※これはあくまでフィクションです。
芝 稍重
ホラー
私は子供の頃から夢日記を書いています。
この話には続きがありますが、ここでは書きません。この話でピンときた人は、コメント欄で知らせてほしいです。
(※このあらすじは、本文にでてくる「夢日記」投稿当時のものを復刻した内容です)
表紙はぱくたそのフリー写真です
腐った絵本
チャビューヘ
ホラー
幼少期に読んだ絵本が、心の中で腐っている。
トラウマに感染した物語が体を蝕む奇病「蔵書症」——その治療法はただ一つ、患者の内面世界に潜り、腐った物語を縫い直すこと。
だが、パステルカラーの絵本世界に待っているのは、笑顔で内臓を盛り付ける怪異と、逃げることしかできない絶望だった。
繕い手・糸守縁、31歳。他人の痛みに一切共感できない。だからこそ、トラウマに引きずり込まれずに物語を縫い直せる。
解き手・鉤谷棘、24歳。他人の痛みがすべて自分の体に来る。だからこそ、トラウマの核を一瞬で見抜ける。
共感しない女と、共感しすぎる男。正反対の二人が、壊れた物語を摘出する——グロゴアホラー×バディ探索×心理ドラマ。
「治してどうするの?」
腐った世界の片隅で、黒い影が嗤っている。
「最初から壊れた物語を与えれば、壊れたまま生きていける」
治す者は、自分自身を治せるのか。