ドラゴンともふ魔獣に懐かれて〜転生幼女は最強ドラゴン騎士家族と幸せに暮らします〜

ありぽん

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34話 初めての魔法まで、あと少し!

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『だからさっきから言ってるだろう。考えたって仕方がない。やってみて、ダメならダメで、また挑戦すれば良いんだ!』

『そうだぞ! 父上、やってみましょう! なに、何かあったら俺たちが握り潰しますよ』

 だからそこ、ヴァルガンにぃとカルドラスは黙ろうか。なに2人が1番やる気になってるの。さっきから2人だけずっと、やってみようやってみようって。やるのは私なんだからね。

 というか、やったは良いけど、何かあったらどうするの。失敗して誰かが怪我をしたら? ガオとポヨが怪我したら嫌だもん。
 
 ん? ちょっと待って。何かあったら握り潰しますよって、ヴァルガンにぃ言った? 握りつぶす? 何を? 魔法を? まさかね、そんなわけないようね。

『カルドラスじゃないが、やることはできるだろう。ただ、ユイはまだまだ小さいさく、何が起こるか分からないのも事実。ここはユイに決めさせてはどうだ? もしもユイがやると言うのなら、俺たちは全力で手をかそう』

 そうインフェリオが言って、パパたちが一斉に私を見てきたよ。そして全員が黙ったその瞬間。

『ぎゃあぐあ』

『くぎゃぐわ』

 ガオとポヨのイビキが響いたよ。初めての魔法、やるかやらないかの大切な話しをしていて、ドキドキしていたのに……。

 はぁ、2人のイビキのおかげで、私の緊張がほぐれたよ。この前の、話し合いの時のガオとポヨの大笑いの時もそうだけど、本当いつもタイミングがいいよね。まぁmそのおかげで、私は助かっているんだけど。

 そうして、緊張がほぐれた私が出した答えは、『やってみる』だった。

 だってできるかもしれないんでしょい? 魔獣の次に憧れていた魔法。できるならやっぱりやってみたいよ。

「あたち、やっちぇみちゃい」

『よし!! それじゃあ今日の寝床に着いたらやってみよう!』

「そうだ! やってみよう!!」

 だからにぃとカルドラスは、静かにしてて。

『あっ』

「何だ? どうしたティア」

『……なんでもない。たぶん大丈夫』

「たぶんって、何かあるなら言っておいてくれ」

『私も分からない』

「何だそれは。一応今日寝る場所へ着いたら、魔法をやるらしいから。それまでに何かあるのなら、ちゃんと言ってくれよ」

『……』

 ノクティア。良いのかダメなのかどっち? 決めた後に言われると困るんだけど。ダメならダメで、私はちゃんと言うこと聞いて、やらないから大丈夫だよ?

 こうして決まった、私の初めての魔法。ちょっと気になることはあるけれど、今日の野営地に着いたらやることに。すぐにやるのかな? それとも夕飯を食べてから? そわそわする私に、横からカルドラスがあのアドバイスをしてくる。

『いいか、こうグッと溜めて、ズバッ!! だぞ。それかグググッと溜めて、バシュ!! だな。他にも……』

 だから、それじゃあ分からないって。まず大体、私が魔力を溜めている時に思っているのは、グッと溜めてじゃなく、じわじわ丁寧に溜めて、なんだから。そこから違うんだよ。というかね、ヴァルガンにぃとカルドラスは、魔法が苦手なんでしょう?

「そして魔法を飛ばす時は、思い切り振りかぶって、狙っている物よりも少し遠くを狙うつもりで放つと上手くいくぞ! この前は少し飛びすぎて、次に倒すはずだった魔獣に当たってしまったが……。まぁ、それくらい遠くを思い浮かべた方が、しっかり飛ぶということだ!!」

 ……ダメじゃん。次に倒すはずの魔獣に当たったから良いけど、大切な何かに当たっていたら? もしかしてヴァルガンにぃとカルドラスは、いつもこんな感じなの?

 それから私は、魔法をやることが決まったから、体力温存と魔力温存のために、魔力を溜める練習は終了。ガオとポヨの間に挟まって、少しだけ昼寝をしたよ。

 そして起きたのは夕方少し前。ちょっと寝過ぎたけど、そのおかげで目はパッチリだし、頭はスッキリ。初めての魔法に、万全の状態で挑めそうで良かった。

 あとね、起きたガオとポヨに魔法のことを話したら、2人ともすっごく喜んでくれて、「やったー!!」を何回も言って、大騒ぎになっちゃった。
 ちなみにガオとポヨの魔法も、できるにはできるけど、まだまだなんだって。でも後で見せてくれることになったよ。可愛い魔法って言ってたけど、どんなのかな?

「よし、今日はこの辺りにしよう。無理して進まなくても、これなら明日の午後には街に着くだろうからな」

 パパの合図で、みんなが下に降り始める。今日は山の頂上付近で野営する。ちょうど隠れられるような、斜めに生えている木があって、外からは見えにくいし。木の下は開けているから、みんなが悠々と休むことができる場所だって。前に数回使ったことがあるみたい。

「まずはテントに、薪集めに。それぞれ分担して準備をするぞ。それが終わったら、今日はアルディス、お前が夕食を」

「はい」

「アルディスが夕飯を作っている間に、リア、魔法をやるぞ」

「あい!!」

 あと少し、あと少しで私も初めての魔法だよ。あー、ドキドキしてきた。ちゃんとできますように!! そう、失敗しても。誰も怪我をしませんように……。
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