スパダリ伯爵様のため美少女となって魔界征服します

みずほ

文字の大きさ
9 / 21
第3章 幼女編

しおりを挟む
「だけど、もう魔素入り風呂に入るのはやめなさい」

私はこの時初めて反抗した。

「や」

短くそう拒否し、ぷいっとそっぽを向く。

「や?」

それにびっくりしたようで聞き返すレイン様。

だって私はただ守ってもらうだけのお姫様になりたかった訳じゃない。こうやって堕落した日々にずっと甘んじるつもりもない。

レイン様はあの時、戦いに有利になるものを召喚するはずだったのだ。そのレイン様の魔法を失敗で終わらせる訳にはいかない。今はちんちくりんでも将来、絶対、役に立って見せる。
本気でそう思っていた。
じゃなかったら、あんな激痛がはしる魔素入り風呂に毎日長時間も入る訳がない。

私にだって意地があるんだ。私なりにレイン様を想って、目的があって、「分かった、リリア。時々、一緒に寝よう」

「はいっ!」

間髪入れずにそう答える私。

よっしゃーーーっ!!
キタキタキタ!!
夢にまで見たレイン様とベッドインッ!
これから甘い甘い夜が待ってるぜー!
リリアちゃん大勝利!

私なりに目的があって、毎日、魔素入り風呂?はぁー、いつから私はこんな意識高い系になったのか。まぁ、この国一番の魔女になるっていうのは本気だけど、ベッドインがあるなら魔素入り風呂は卒業してやっても良い。


ベッドインで全て丸く収まったはずだった。しかし、その機会はなかなか来ず、ルイスに何度もレイン様の予定を聞く日々が続いた。

「ルイス、レインさま、きょうはなんじにかえってくる?」

「今日は隣国で会合はあるので、帰りは遅くなるかと思います」

「そんなに?」

「はい、リリア様はもう寝てる時間かと」

「はぁ、いっしょにねてくれるといっていたのに。……レインさま、うそつき」

そう言って、唇をきゅっと突き出しいじける私に、見かねたルイスが頭を撫でてくれた。

「大丈夫です、レイン様は約束を忘れたりしませんよ」

表面上は健気な幼女を気取っているが、心の中はまるで男に遊ばれた女のような気持ちでいっぱいだった。

(……は?レイン様タラシなの?なんなの?私のいたいけな気持ち弄んでんの?マジで)


そして約束から1週間過ぎ、2週間目を迎えようとしていた矢先、やっとレイン様が夕方に帰ってこれる日があった。

「レインさま!」

家のドアが開いた瞬間、待っていましたといわんばかりに駆け寄っていく。

「ただいま、リリア」

「きょうは、いっしょにねれる?」

「あぁ、ご飯を食べてお風呂に入ったら一緒に寝よう」

(ま、ま、まさか!おふっ、おふっ、おふろも一緒!?)

思わず頭が沸騰しフリーズしてしまう。久しぶりに夕食も一緒にとったが、お風呂のことで頭はいっぱいだった。子どもの特権って本当に素晴らしい。レイン様とベッドインだけでなくバスタイムまでご一緒できるかもしれないなんて。

祥子、魔界に来て5年目。
あのヘボ天使のせいで紆余曲折あったものの、本当にここへ来て良かった。

夕食を、緊張で大して味も分からないまま食べ終え、食後の紅茶を飲みながらお風呂への誘いを待つ。

しかし、しばらくしても声はかからない。
するとナンシーからいつものタイミングで声がかかった。

「さ、リリア。そろそろお風呂に行きましょうか」

「え?」

それは、それは、戸惑いと悲しみに溢れる目でナンシーを見つめ返した。

「リリア、レインさまとはいる」

「いけません、いくら子どもとはいえ男の人にみだらに肌をさらすものじゃこざいません」

「いや、リリア、レインさまとはいるの」

「ほら、駄々をこねないの。レイン様もお疲れですし、それに私の仕事をお取りにならないでください」

「そんな」

そうやって助け船を出そうとレイン様を見ると、困った顔をしながら言った。

「リリア、あまりナンシーを困らせるんじゃないよ」

その言葉にレイン様とのバスタイムを諦め、ナンシーの手に引かれるままトボトボ風呂場へ向かうことに。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

構造理解で始めるゼロからの文明開拓

TEKTO
ファンタジー
ブラック企業勤めのサラリーマン・シュウが転生したのは、人間も街も存在しない「完全未開の大陸」だった。 ​適当な神から与えられたのは、戦闘力ゼロ、魔法適性ゼロのゴミスキル《構造理解》。 だが、物の仕組みを「作れるレベル」で把握できるその力は、現代知識を持つ俺にとっては、最強の「文明構築ツール」だった――! ​――これは、ゴミと呼ばれたスキルとガラクタと呼ばれた石で、世界を切り拓く男の物語。

ざまぁされるための努力とかしたくない

こうやさい
ファンタジー
 ある日あたしは自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生している事に気付いた。  けどなんか環境違いすぎるんだけど?  例のごとく深く考えないで下さい。ゲーム転生系で前世の記憶が戻った理由自体が強制力とかってあんまなくね? って思いつきから書いただけなので。けど知らないだけであるんだろうな。  作中で「身近な物で代用できますよってその身近がすでにないじゃん的な~」とありますが『俺の知識チートが始まらない』の方が書いたのは後です。これから連想して書きました。  ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。  恐らく後で消す私信。電話機は通販なのでまだ来てないけどAndroidのBlackBerry買いました、中古の。  中古でもノーパソ買えるだけの値段するやんと思っただろうけど、ノーパソの場合は妥協しての機種だけど、BlackBerryは使ってみたかった機種なので(後で「こんなの使えない」とぶん投げる可能性はあるにしろ)。それに電話機は壊れなくても後二年も経たないうちに強制的に買い換え決まってたので、最低限の覚悟はしてたわけで……もうちょっと壊れるのが遅かったらそれに手をつけてた可能性はあるけど。それにタブレットの調子も最近悪いのでガラケー買ってそっちも別に買い換える可能性を考えると、妥協ノーパソより有意義かなと。妥協して惰性で使い続けるの苦痛だからね。  ……ちなみにパソの調子ですが……なんか無意識に「もう嫌だ」とエンドレスでつぶやいてたらしいくらいの速度です。これだって10動くっていわれてるの買ってハードディスクとか取り替えてもらったりしたんだけどなぁ。

悪徳貴族の、イメージ改善、慈善事業

ウィリアム・ブロック
ファンタジー
現代日本から死亡したラスティは貴族に転生する。しかしその世界では貴族はあんまり良く思われていなかった。なのでノブリス・オブリージュを徹底させて、貴族のイメージ改善を目指すのだった。

婚約破棄で追放された悪役令嬢ですが、隣国で『魔道具ネット通販』を始めたら金貨スパチャが止まりません〜私を追い出した王国は経済崩壊しました〜

ハリネズミの肉球
ファンタジー
「婚約破棄だ。君は国を裏切った」 王太子の冷たい宣言で、公爵令嬢セシリア・アルフェンはすべてを失う。 罪状は“横領と国家反逆”。もちろん冤罪だ。 だが彼女は静かに笑っていた。 ――なぜなら、彼女には誰にも知られていない能力があったから。 それは「異世界にいながら、現代日本のECサイトを閲覧できる」という奇妙なスキル。 隣国へ追放されたセシリアは、その知識を使い始める。 鏡。石鹸。ガラス瓶。香水。保存食。 この世界ではまだ珍しい品を魔道具で再現し、数量限定で販売。 さらに彼女は「配信魔道具」を開発。 商品制作の様子をライブ配信しながら販売するという、前代未聞の商売を始める。 結果―― 貴族たちは熱狂。 金貨の投げ銭が空を舞う。 セシリアの店は世界最大の商会へと急成長。 一方で、彼女を追放した祖国では異変が起きていた。 セシリアが管理していた輸出ルートが止まり、 物資不足、価格暴騰、そして経済崩壊。 焦った王太子が通信魔道具で泣きついてくる。 「戻ってきてくれ……!」 しかしセシリアはワイングラスを揺らしながら笑う。 「あ、その声はブロック対象です」 これは―― 婚約破棄された悪役令嬢が、世界経済を握るまでの物語。 ※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。

異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~

北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。 実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。 そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。 グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・ しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。 これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。

ぼっちで死んだら、創造主が迎えに来た!

旬乃助
ファンタジー
(パ―――ン!カンカンカンカン!)(がやがやがや)(ズンチャカ♪ズンチャカ♪…)(ピコ…ピコ…ピコ…)(がやがやがや)一斉に行き交う人と車…。 少しばかりのお惣菜を機械にかざし…小さな財布から小銭を探す…「お金は此方に入れて下さいポイントカードは…」せきたてる言葉に身体が竦くむ。 街の喧騒から逃れる様に家路につく。そんな日々が続いている。 生をなして92年、何時お迎えが来ても良い様 身なりを整え床に就く…。 …   …     …『ニャー』 『…また、目覚めて…し…まった…?』 …? …? う うーん?…「「「…?…眩しいわ!!!」」」…白銀の世界が何処までも続いている… ―――「「「うるさいぞ!!!!」」」――― 「⁉…。」 何処からか声が…神?…女神?…口の悪い少女が立っていた… 「おぬしはこれから別世界に転生する」「…?」なんですと⁉「また人生をやれと⁉」やっとお迎えが来たと思ったら また いちからやれと…。「不満か?」そりゃあ不満ですとも、理不尽な世界、神がいるなら何とか出来なかったのか! 主人公小梅と創造主マロンが繰り広げるハチャメチャ異世界ファンタジー ちょっぴり笑えてちょっぴり切ない チートな物語

【完結】悪役に転生したのにメインヒロインにガチ恋されている件

エース皇命
ファンタジー
 前世で大好きだったファンタジー大作『ロード・オブ・ザ・ヒーロー』の悪役、レッド・モルドロスに転生してしまった桐生英介。もっと努力して意義のある人生を送っておけばよかった、という後悔から、学院で他を圧倒する努力を積み重ねる。  しかし、その一生懸命な姿に、メインヒロインであるシャロットは惚れ、卒業式の日に告白してきて……。  悪役というより、むしろ真っ当に生きようと、ファンタジーの世界で生き抜いていく。  ヒロインとの恋、仲間との友情──あれ? 全然悪役じゃないんだけど! 気づけば主人公になっていた、悪役レッドの物語! ※小説家になろう、カクヨム、エブリスタにも投稿しています。

処理中です...