スパダリ伯爵様のため美少女となって魔界征服します

みずほ

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第4章 少女編 9才〜12才

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「あなたはこの花が枯れて悲しんでいましたが、魔法を扱うということはこういうことです。人を助けることもできますが、その反面人を傷つけることも容易い」

「はい」

「私が一番最初に魔法を教えられた時は、花ではなく子猫でした。しかも自分が大事に飼っていた猫の子です」

 子猫、と聞いて胸が苦しくなった。ルイスはそのまま話を続ける。

「この力は人を助けることもできますが、人を傷つけることも容易い。しかもあなたにとって、魔法を使うことは一本の指でできてしまう。中途半端に子どもが学ぶものではないのです」

 子ども、という言葉がひっかかった。
 私は見た目がこんなでも、精神年齢は中年女性並み。享年36だったのだから、現在45といったところか。もちろんこの9年間、魔素の訓練以外は怠惰な生活を過ごしてきたのだから、順当に精神年齢を成熟させられてるかと言われたら、大いに疑問を感じるが。

 ただ失敗や挫折なんて何度も経験してるし、そこからの立ち直り方だって知ってる。
 

「ルイス、このお花を元に戻すことはできないの?」

「元に戻すことはできませんが、他の方法なら。花の側でやってみてください」

 私が枯れたマーガレットの近くで紋を書くと、枝の分かれ目部分から新芽が顔を出し始めた。


「傷つけることもできるけど、こうやって新しく生み出すこともできる。ルイスは魔法を扱うことによって私が傷つくことを案じてくれているんでしょうけど、私はそんなに諦めが良くないし、弱くないつもりです」


 彼の目を見据えて言う。いつもの子供のようなリリアの喋り方ではなく、臼井祥子の時のように。

 戸惑う彼から目線をマーガレットに戻して話を続けた。

 きっと、話すならこのタイミングだ。


「……ルイス、私はこれからお花に話しかけます。どうか、独り言と思って聞き流してください」

「信じてもらえないかもしれないけれど、私はこれが二度目の人生になります」

「前回の人生は、平凡なものだったと思います。だけど何か得られたかというと、すぐにはコレというものが出てこない。何か一つのことをやり遂げたこともない、そんな人生でした」

「だから庇護下におかなくてはならない子どもと見なさなくて良いんです。使い捨ての駒とでも思ってくれれば良い」

「今は自分でも驚く程こんな可愛らしい顔をしていますが、以前の私とは程遠い外見です。本来なら可愛がられるような存在じゃないんです」

 ルイスを見上げると、そこには珍しく動揺する彼がいた。


「レイン様に言いますか?」

「いや、今の話は本当なのか?」

「はい」

「……はぁ、困ったものだ」

 そう言って頭を抱えた。

「リリアは花に喋っただけだ、そうだろう?私は何も聞いていなかったこととする。子どもとみなすな、というのはなかなか難しいものだよ。今まで大事に育てて守ってきたのだから」

「こうやってまた魔法を教えて欲しい」

「いいえ」

 ここまで言ってもだめなのか。

「あなたが子どもではない、というならはっきり言います。あなたは勘違いしている。私はあなたの教育係である前に、主人であるレイン様に忠実を誓っている。彼の意向が最優先、彼が悲しむことには協力できません」

「じゃ、なぜ、私に魔法を使わせたの?」

「それは、君のこれからの処遇を考える時だと思ったからだよ。あとは、一魔法を研究する者としての興味と」
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