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忘却の迷宮3階層
勇者の旅立ち
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朝から、俺は、闘技場で、剣聖と練習をしていた。ここ1週間ばかりなぜか熱い指導が繰り返されていた。
「勇者さまー、頑張ってー!」
俺の天使、ことりちゃんが、観客席から応援してくれる。俺は、無限の力が沸くのを感じた。
最初は、ヒューズ師匠も観客を入れるのを渋っていたが、ことりちゃんをみて、あまりの可憐さに、許してくれた・・・・と俺は勝手に解釈している。
「ぐは!」
俺は、投げ飛ばされて地を転がった。
「ほう、さすがですな。剣を手放さなかったのは、褒めて差し上げます。しかし、まだ甘い。」
俺は、地面を回り込んで土埃を立たせて、剣聖ヒューズの後ろから切り掛かったが、簡単にいなされて地面に倒れてしまった。しかし、俺も力には自信があるのだが、70を超えた老人なのに、ものすごい力だ。
「もう、師匠が邪神討伐にいけばいいんじゃないかな。いや、そうに決まっている。」
「馬鹿なことを。これをみなされ。」
ヒューズは自分の胸を開いて見せた。そこには、どす黒い紋章が刻み込まれていた。
「これは、儂が剣聖になるずっと前、若い頃、邪神に刻まれた紋章です。つまり、邪神に立ち向かうどころか、近くに行けば反対に、操られてしまう危険すらあるのです。」
俺は息を飲んだ。そんな因縁があるとは知らなかった。
ヒューズがつーと涙を1粒ながした。
「儂も若い時は準備しきれずこうなってしもうた。そして儂も既にじじい。しかし勇者どの、あなたならできますぞ。絶対です。そしていつの日にか、あなた様は、勇者として、世界を救い治めるのです。」
俺はその気はないと返したかったが、あまりの師匠の真剣さに何も言えずにいた。そして、ヒューズの力強い目を見ているうち、なんだか、できるような気がして来た。
「勇者さまー頑張れー!」
ことりちゃんの声が俺に勇気を与える。そして、俺は今まで知らなかった力を見つけ出すことができた。
「こ、これは、新しい勇者アーツ!」
ヒューズが驚いて剣を構えたが、俺は、その剣を半分に切り落とした。
「お見事です!ドワーフが鍛えた業物だったのですが。」
「す、すみません。師匠。いずれ、同じような業物を見繕ってお返しします。」
ヒューズは首を振った。
「その必要はありませんよ。あなた様の成長こそが私への報酬です。時は参りました。旅立ちの時です。」
どうやらそのようだ。俺は初めて剣聖から1本とった。
「儂は、今日限り引退して、やりたかった畑仕事をやろうかと思います。今日から、あなた様が、剣聖です。」
ヒューズ師匠の言葉は、王にも伝えられた。次の日、俺は、パーティーのメンバーと共に旅立ちの挨拶を王を始め国の重鎮達に告げた。
隣には、俺のパーティーの1員でもあり、王女も佇んでいた。
「大変だとは思うが、そなたの双肩に、この世界の行く末がかかっておる。くれぐれも、よろしく頼む。」
王は、俺に頭を下げた。すると、重鎮達も次々に俺に頭をさげた。
そして、俺たち、勇者パーティーは再び邪神討伐の旅路についたのであった。残念なことに師匠はもう田舎に旅立ってしまったということで会えなかった。いつの日か邪神を倒したら、師匠の田舎に行き、旅の成果を報告することにしよう。
空は高く、俺たちの成功を祈っていてくれた。俺は、最後に加わった癒し担当のことりちゃんに微笑みかけた。きっとうまく行く。そんな気がした。
「勇者さまー、頑張ってー!」
俺の天使、ことりちゃんが、観客席から応援してくれる。俺は、無限の力が沸くのを感じた。
最初は、ヒューズ師匠も観客を入れるのを渋っていたが、ことりちゃんをみて、あまりの可憐さに、許してくれた・・・・と俺は勝手に解釈している。
「ぐは!」
俺は、投げ飛ばされて地を転がった。
「ほう、さすがですな。剣を手放さなかったのは、褒めて差し上げます。しかし、まだ甘い。」
俺は、地面を回り込んで土埃を立たせて、剣聖ヒューズの後ろから切り掛かったが、簡単にいなされて地面に倒れてしまった。しかし、俺も力には自信があるのだが、70を超えた老人なのに、ものすごい力だ。
「もう、師匠が邪神討伐にいけばいいんじゃないかな。いや、そうに決まっている。」
「馬鹿なことを。これをみなされ。」
ヒューズは自分の胸を開いて見せた。そこには、どす黒い紋章が刻み込まれていた。
「これは、儂が剣聖になるずっと前、若い頃、邪神に刻まれた紋章です。つまり、邪神に立ち向かうどころか、近くに行けば反対に、操られてしまう危険すらあるのです。」
俺は息を飲んだ。そんな因縁があるとは知らなかった。
ヒューズがつーと涙を1粒ながした。
「儂も若い時は準備しきれずこうなってしもうた。そして儂も既にじじい。しかし勇者どの、あなたならできますぞ。絶対です。そしていつの日にか、あなた様は、勇者として、世界を救い治めるのです。」
俺はその気はないと返したかったが、あまりの師匠の真剣さに何も言えずにいた。そして、ヒューズの力強い目を見ているうち、なんだか、できるような気がして来た。
「勇者さまー頑張れー!」
ことりちゃんの声が俺に勇気を与える。そして、俺は今まで知らなかった力を見つけ出すことができた。
「こ、これは、新しい勇者アーツ!」
ヒューズが驚いて剣を構えたが、俺は、その剣を半分に切り落とした。
「お見事です!ドワーフが鍛えた業物だったのですが。」
「す、すみません。師匠。いずれ、同じような業物を見繕ってお返しします。」
ヒューズは首を振った。
「その必要はありませんよ。あなた様の成長こそが私への報酬です。時は参りました。旅立ちの時です。」
どうやらそのようだ。俺は初めて剣聖から1本とった。
「儂は、今日限り引退して、やりたかった畑仕事をやろうかと思います。今日から、あなた様が、剣聖です。」
ヒューズ師匠の言葉は、王にも伝えられた。次の日、俺は、パーティーのメンバーと共に旅立ちの挨拶を王を始め国の重鎮達に告げた。
隣には、俺のパーティーの1員でもあり、王女も佇んでいた。
「大変だとは思うが、そなたの双肩に、この世界の行く末がかかっておる。くれぐれも、よろしく頼む。」
王は、俺に頭を下げた。すると、重鎮達も次々に俺に頭をさげた。
そして、俺たち、勇者パーティーは再び邪神討伐の旅路についたのであった。残念なことに師匠はもう田舎に旅立ってしまったということで会えなかった。いつの日か邪神を倒したら、師匠の田舎に行き、旅の成果を報告することにしよう。
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