異世界召喚されたけど普通に帰ってこれました

七瀬ななし

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第三十五話 レベル二十の意味  

連続した救出。

 疲労。

 緊張。

 それでも――

 積み重ねた結果は、確実に数字として現れていた。

 表示が浮かぶ。

 レベルが上がりました。  
 レベル20になりました。  

「……二十か」

 千葉健介は、小さくつぶやいた。

 その瞬間。

 視界が一段、広がる。

 新たな項目。

 新たな機能。

 そして――

「……なるほどな」

 理解した。

 *

「どうした?」

 木村が聞く。

 千葉は静かに答えた。

「連れていける」

「は?」

「人数制限が、変わった」

 表示を確認する。

 同行可能対象:

 ・訪問経験者  
 ・未訪問者(NEW)  

 木村の目が見開かれる。

「マジで言ってる?」

「ああ」

 千葉は頷いた。

「これで、日本の人間も連れていける」

 沈黙。

 そして。

「……それ、やばくね?」

「やばいな」

 即答だった。

 だが同時に。

 意味も明確だった。

「戦力が、持ち込める」

 警察。

 自衛隊。

 訓練された人間。

 組織。

 それが――

 この世界に入る。

 *

 数時間後。

 日本側。

 報告がなされる。

「……確認したのか」

 官僚が低く言う。

「はい」

 千葉が答える。

「未訪問者も、同行可能です」

 部屋がざわつく。

「つまり」

「我々も行ける」

 その一言で、すべてが変わる。

 *

 だが。

 同時に、別の判断も下された。

「……人員は絞る」

 決定だった。

「現地での行動は、極めて特殊だ」

「大人数はリスクになる」

 結論。

「先導は――千葉くんと木村くん」

 視線が向く。

「他は支援に回る」

 つまり。

「……俺たちだけか」

 木村が苦笑する。

「ああ」

 千葉も頷いた。

「案内と分析」

「それで回す」

 役割は明確だった。

 *

 再突入。

 今度は――

 質が違う。

 千葉がルートを示す。

 木村が状況を分析する。

 無駄がない。

 迷いがない。

「次、右」

「ああ」

「三十秒後に巡回来る」

「了解」

 完全な連携。

 それは、もはや“作業”に近かった。

 そして――

 回収は、想定以上に早く進んだ。

「……終わるな、これ」

 木村がつぶやく。

「ああ」

 千葉も同意する。

 残りは、わずか。

 *

 そして。

 ついに――

 王との会談が実現した。

 石の玉座。

 厳重な警備。

 その中で。

「……貴殿が、案内人か」

 王が言う。

 千葉は一歩前に出た。

「千葉健介です」

「話は聞いている」

 低い声。

「人を救い、道をつなぐ者」

 沈黙。

「我らもまた、苦しんでいる」

 魔物の侵攻。

 被害。

 消耗。

「……協力できます」

 千葉は言った。

「ルートを提供します」

「安全な移動」

「効率的な配置」

 木村が横で補足する。

「無駄な戦闘を減らせます」

 王は目を細めた。

「……代わりに」

 千葉が続ける。

「残っている人間の捜索と保護に協力してほしい」

 条件提示。

 対等な交渉。

 しばしの沈黙。

 そして――

「よかろう」

 王が言った。

「協力しよう」

 その瞬間。

 すべてが動き出した。

 *

 魔物の押し返し。

 ルートの最適化。

 人員の配置。

 それらが、同時に進む。

 千葉は感じていた。

「……これ、戦争だな」

 木村が言う。

「ああ」

 千葉も答える。

 だが――

 やり方は違う。

 ツアーコンダクター。

 案内する者。

 戦わずに、勝つ。

 その方法で――

 戦場を変えていく。

 そして。

 千葉は前を見た。

 まだ、終わっていない。

 最後に残っているのは――

 最も難しい相手。

 勇者。

 その存在が、次の局面を決定づける。
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