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第6話「セリナの教え」
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城塞の中庭で、リシアは木剣を握りしめていた。
革鎧に身を包んだ兵士たちが次々と打ち合いをしている中、彼女の小さな体は明らかに浮いて見える。
「構えが甘い」
背後から、冷たい声が響いた。
振り返れば、黒髪を束ねた女性士官――セリナが立っている。
その眼差しは鋭く、容赦がなかった。
「力任せに振っても、この体じゃ敵に押し負ける。だが、剣は力で振るものじゃない」
セリナは自ら木剣を手に取り、すらりと構えた。
「重心を落とし、相手の勢いを利用して流す。……こうだ」
鋭い一閃。兵士の剣が逸らされ、背を晒す。
一瞬の隙を突いて木剣が相手の喉元に止まった。
リシアは息をのんだ。
「す、すごい……」
「憧れている場合じゃないわ。覚えろ」
セリナの厳しい稽古が始まった。
何度も木剣をはたかれ、腕に痺れが走る。
何度も足を払われ、土に転がされる。
「立て。戦場で転んだら死ぬだけだ」
「は、はいっ……!」
涙がにじむほど痛かった。
けれど、セリナは最後に水筒を差し出し、小さく言った。
「……悪くなかった。恐怖に呑まれず、目を逸らさなかったな」
リシアの胸が熱くなった。
「わ、私……本当に戦えるようになれるかな」
「なる。ならなければ死ぬ。……それでも、お前は昨日、立ち上がった」
セリナの瞳には、ほんのわずかに柔らかさが宿っていた。
その夜。
心の奥でベルナルトが呟いた。
『あの女、いい目をしているな。兵を駒とせず、生かそうとしている』
「……セリナさんのこと?」
『ふむ。わしの時代には、ああいう将は少なかった』
リシアは静かに目を閉じた。
厳しい師に鍛えられる日々の中で、自分の中に確かに強さが芽生えつつあるのを感じていた。
革鎧に身を包んだ兵士たちが次々と打ち合いをしている中、彼女の小さな体は明らかに浮いて見える。
「構えが甘い」
背後から、冷たい声が響いた。
振り返れば、黒髪を束ねた女性士官――セリナが立っている。
その眼差しは鋭く、容赦がなかった。
「力任せに振っても、この体じゃ敵に押し負ける。だが、剣は力で振るものじゃない」
セリナは自ら木剣を手に取り、すらりと構えた。
「重心を落とし、相手の勢いを利用して流す。……こうだ」
鋭い一閃。兵士の剣が逸らされ、背を晒す。
一瞬の隙を突いて木剣が相手の喉元に止まった。
リシアは息をのんだ。
「す、すごい……」
「憧れている場合じゃないわ。覚えろ」
セリナの厳しい稽古が始まった。
何度も木剣をはたかれ、腕に痺れが走る。
何度も足を払われ、土に転がされる。
「立て。戦場で転んだら死ぬだけだ」
「は、はいっ……!」
涙がにじむほど痛かった。
けれど、セリナは最後に水筒を差し出し、小さく言った。
「……悪くなかった。恐怖に呑まれず、目を逸らさなかったな」
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「わ、私……本当に戦えるようになれるかな」
「なる。ならなければ死ぬ。……それでも、お前は昨日、立ち上がった」
セリナの瞳には、ほんのわずかに柔らかさが宿っていた。
その夜。
心の奥でベルナルトが呟いた。
『あの女、いい目をしているな。兵を駒とせず、生かそうとしている』
「……セリナさんのこと?」
『ふむ。わしの時代には、ああいう将は少なかった』
リシアは静かに目を閉じた。
厳しい師に鍛えられる日々の中で、自分の中に確かに強さが芽生えつつあるのを感じていた。
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