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第二章
第18話「鉄と舞」
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戦鼓が鳴り響いた瞬間、帝国軍の陣形が変化した。
盾兵が重なり合い、槍兵が整然と前に突き出す。
動きに乱れは一切なく、まるでひとつの生き物のようだった。
先頭に立つカサンドラは、黒衣を翻しながら舞うように剣を振るう。
その一閃は無駄なく鋭く、突き出された槍や放たれた矢すら味方の流れに取り込み、次の一手へとつなげていく。
「これが……帝国の女将……!」
王国兵の一人が呻き声を上げる。
彼女の指揮下では、一人の刃が百人を動かしているかのようだった。
リシアもその迫力に足を止めかける。
(きれい……だけど、冷たい……。あれは舞なんかじゃない、ただ人を殺すための剣……!)
意識の草原に、ベルナルトの低い声が響く。
『カサンドラらしい……。美しさと冷徹さを併せ持つ戦い方よ。油断すれば、瞬く間に押し潰されるぞ』
「私、勝てるの……?」
『今のお前では難しい。だが退けば仲間が死ぬ。立つしかない』
セリナが叫んだ。
「隊列を崩すな! リシア、私に続け!」
リシアは青い瞳のまま剣を構え、必死に前へ進む。
槍の壁をかいくぐり、目の前の敵兵を斬り払った。
しかしその刃は軽く、腕に伝わる衝撃に思わず顔を歪める。
「くっ……!」
次の瞬間、帝国兵の槍が迫る。避けきれない――。
視界が金に染まった。
ベルナルトが前に出る。
細い腕で受けきれぬ衝撃を、剣の角度で受け流し、体をひねって槍を弾き飛ばす。
斬撃が走り、槍兵が倒れた。
『……やはり、まだお前の体では支えきれん』
「ま、待ってベルナルト! これは私の……!」
『死んでからでは遅い!』
金の瞳を宿した少女の剣筋は、一瞬にして兵を薙ぎ払う。
周囲の王国兵たちが息を呑む。
「すごい……! あの子が……押し返してる!」
だがカサンドラは動じなかった。
剣を軽く払うと、冷たい声で告げる。
「ふむ……剣筋は老練。しかし身体は小娘のまま。――限界はすぐに来るわ」
ベルナルトはその言葉にわずかに眉をひそめた。
『……気づかれている、か』
再び敵兵の波が押し寄せる。
剣と槍、盾と矢が交錯する戦場のただ中で、リシアとベルナルトは必死に耐えていた。
だがその均衡を、カサンドラ自身が壊す。
黒衣を翻し、彼女は前に躍り出た。
舞のような一閃。
王国兵が一人、二人と崩れ落ちる。
冷徹な瞳が、まっすぐリシアを射抜いた。
「次は、あなたよ」
心臓を掴まれるような圧迫感。
リシアの足がすくむ。
『リシア、気を抜くな! 来るぞ!』
その声を合図にするかのように、カサンドラの剣が一直線に迫った。
盾兵が重なり合い、槍兵が整然と前に突き出す。
動きに乱れは一切なく、まるでひとつの生き物のようだった。
先頭に立つカサンドラは、黒衣を翻しながら舞うように剣を振るう。
その一閃は無駄なく鋭く、突き出された槍や放たれた矢すら味方の流れに取り込み、次の一手へとつなげていく。
「これが……帝国の女将……!」
王国兵の一人が呻き声を上げる。
彼女の指揮下では、一人の刃が百人を動かしているかのようだった。
リシアもその迫力に足を止めかける。
(きれい……だけど、冷たい……。あれは舞なんかじゃない、ただ人を殺すための剣……!)
意識の草原に、ベルナルトの低い声が響く。
『カサンドラらしい……。美しさと冷徹さを併せ持つ戦い方よ。油断すれば、瞬く間に押し潰されるぞ』
「私、勝てるの……?」
『今のお前では難しい。だが退けば仲間が死ぬ。立つしかない』
セリナが叫んだ。
「隊列を崩すな! リシア、私に続け!」
リシアは青い瞳のまま剣を構え、必死に前へ進む。
槍の壁をかいくぐり、目の前の敵兵を斬り払った。
しかしその刃は軽く、腕に伝わる衝撃に思わず顔を歪める。
「くっ……!」
次の瞬間、帝国兵の槍が迫る。避けきれない――。
視界が金に染まった。
ベルナルトが前に出る。
細い腕で受けきれぬ衝撃を、剣の角度で受け流し、体をひねって槍を弾き飛ばす。
斬撃が走り、槍兵が倒れた。
『……やはり、まだお前の体では支えきれん』
「ま、待ってベルナルト! これは私の……!」
『死んでからでは遅い!』
金の瞳を宿した少女の剣筋は、一瞬にして兵を薙ぎ払う。
周囲の王国兵たちが息を呑む。
「すごい……! あの子が……押し返してる!」
だがカサンドラは動じなかった。
剣を軽く払うと、冷たい声で告げる。
「ふむ……剣筋は老練。しかし身体は小娘のまま。――限界はすぐに来るわ」
ベルナルトはその言葉にわずかに眉をひそめた。
『……気づかれている、か』
再び敵兵の波が押し寄せる。
剣と槍、盾と矢が交錯する戦場のただ中で、リシアとベルナルトは必死に耐えていた。
だがその均衡を、カサンドラ自身が壊す。
黒衣を翻し、彼女は前に躍り出た。
舞のような一閃。
王国兵が一人、二人と崩れ落ちる。
冷徹な瞳が、まっすぐリシアを射抜いた。
「次は、あなたよ」
心臓を掴まれるような圧迫感。
リシアの足がすくむ。
『リシア、気を抜くな! 来るぞ!』
その声を合図にするかのように、カサンドラの剣が一直線に迫った。
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