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第14話「ガラスの迷宮」
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摩天楼の一角、ヴァルハラ社の研究ビル。
深夜の都市を映すガラス壁が、赤い警報灯に照らされて脈動していた。
白い廊下は鏡の迷路のように続き、警備ドローンの光が鋭く交差する。
「二十七階、中央実験室に目標のコアユニットを確認」
ヴェイルの声が耳を打つ。
〈クラウン〉は外壁に張り付き、ワイヤーを繰り出して滑るように降下した。
仮面の奥で、琥珀の瞳が愉快げに細められる。
「今夜の舞台は、ずいぶんと豪奢だな。観客も退屈はしない」
◇
実験室の前に、二つの影。
小柄な〈ジョーカー〉は“Quiet”を構え、隣には漆黒の仮面の〈クイーン〉。
「侵入者を排除する」
クイーンの声は氷の刃。
「ジョーカー、感情を捨てろ」
「……了解」
天音はうなずく。だが心の奥では波が立っていた。
(どうして……わたしは、この子と同じ顔をしているの)
◇
天井のガラスが破裂する。
紅のマントが広がり、〈クラウン〉が舞い降りた。
「ふふ……子役と女王、二人そろい踏みか。これぞ華やかな舞台だ」
「黙れ」
クイーンが踏み込み、剣閃が白光を放つ。
「……終わらせる」
ジョーカーが続き、銃声を響かせた。
◇
火花。硝子の破片。
ワイヤーが走り、クラウンは宙を舞って軽やかにかわす。
「いいね、二人の息はぴったりだ……だが」
彼は梁に逆さにぶら下がり、仮面の奥で笑った。
「やはり君は、脚本通りには踊れない。――それでいい」
ジョーカーの指はわずかに震えていた。
引き金を引こうとしても、胸の奥のざわめきが動きを止める。
「未完成」
クイーンの声が冷ややかに響く。
「その迷いが、お前を壊す」
◇
次の瞬間、強烈な閃光。
クイーンの刃とジョーカーの弾丸が衝突し、ビルのガラス壁が粉々に砕け散る。
夜景が一面に流れ込み、赤と青の光が交錯する。
「幕が下りるには、まだ早い」
クラウンは笑みを残し、マントを広げて夜の空へと消えた。
◇
残された静寂。
クイーンは無言でジョーカーを見つめ、やがて背を向ける。
「任務を遂行できぬなら、存在理由はない」
冷徹な声だけを残し、闇に溶けていった。
瓦礫の上で立ち尽くす天音。
胸に抱えた〈Quiet Teddy〉の冷たい重みを感じながら、唇を噛んだ。
◇
ビルの屋上。
クラウンはひとり、夜風を浴びながら街を見下ろす。
仮面の奥で、かすかな笑みを浮かべる。
「……その震え方。昼間に見たあの少女と、まるで同じだ」
低く笑いが漏れる。
「やはり――君が“Q-01”、そして白昼の小さな笑顔だな」
マントが夜空に溶け、彼の影も街の灯に消えていった。
深夜の都市を映すガラス壁が、赤い警報灯に照らされて脈動していた。
白い廊下は鏡の迷路のように続き、警備ドローンの光が鋭く交差する。
「二十七階、中央実験室に目標のコアユニットを確認」
ヴェイルの声が耳を打つ。
〈クラウン〉は外壁に張り付き、ワイヤーを繰り出して滑るように降下した。
仮面の奥で、琥珀の瞳が愉快げに細められる。
「今夜の舞台は、ずいぶんと豪奢だな。観客も退屈はしない」
◇
実験室の前に、二つの影。
小柄な〈ジョーカー〉は“Quiet”を構え、隣には漆黒の仮面の〈クイーン〉。
「侵入者を排除する」
クイーンの声は氷の刃。
「ジョーカー、感情を捨てろ」
「……了解」
天音はうなずく。だが心の奥では波が立っていた。
(どうして……わたしは、この子と同じ顔をしているの)
◇
天井のガラスが破裂する。
紅のマントが広がり、〈クラウン〉が舞い降りた。
「ふふ……子役と女王、二人そろい踏みか。これぞ華やかな舞台だ」
「黙れ」
クイーンが踏み込み、剣閃が白光を放つ。
「……終わらせる」
ジョーカーが続き、銃声を響かせた。
◇
火花。硝子の破片。
ワイヤーが走り、クラウンは宙を舞って軽やかにかわす。
「いいね、二人の息はぴったりだ……だが」
彼は梁に逆さにぶら下がり、仮面の奥で笑った。
「やはり君は、脚本通りには踊れない。――それでいい」
ジョーカーの指はわずかに震えていた。
引き金を引こうとしても、胸の奥のざわめきが動きを止める。
「未完成」
クイーンの声が冷ややかに響く。
「その迷いが、お前を壊す」
◇
次の瞬間、強烈な閃光。
クイーンの刃とジョーカーの弾丸が衝突し、ビルのガラス壁が粉々に砕け散る。
夜景が一面に流れ込み、赤と青の光が交錯する。
「幕が下りるには、まだ早い」
クラウンは笑みを残し、マントを広げて夜の空へと消えた。
◇
残された静寂。
クイーンは無言でジョーカーを見つめ、やがて背を向ける。
「任務を遂行できぬなら、存在理由はない」
冷徹な声だけを残し、闇に溶けていった。
瓦礫の上で立ち尽くす天音。
胸に抱えた〈Quiet Teddy〉の冷たい重みを感じながら、唇を噛んだ。
◇
ビルの屋上。
クラウンはひとり、夜風を浴びながら街を見下ろす。
仮面の奥で、かすかな笑みを浮かべる。
「……その震え方。昼間に見たあの少女と、まるで同じだ」
低く笑いが漏れる。
「やはり――君が“Q-01”、そして白昼の小さな笑顔だな」
マントが夜空に溶け、彼の影も街の灯に消えていった。
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