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婚約破棄
しおりを挟む「ノナーニュービ! お前との婚約を破棄する!!」
スデーションタ第三王子から突然つきつけられた言葉に、思わずポカンとしてしまった。
すぐにハッと気づいて、優雅に見える所作で扇を顔に寄せ口元を隠す。
驚いたのは婚約破棄されたから、というよりもスデーションタ殿下の非常識さに対して。
――それ、この場で言う事ですか!?
今はイーチュスエド王太子殿下の誕生日を祝うパーティーの最中。
華やかなパーティー会場で、主役のイーチュスエド殿下がこちらに冷ややかな視線を向けている。
他の人のお祝いの場で、大声を上げ婚約破棄を宣言するだけでもとんでもない事なのに……
胸の谷間を強調したドレスを着た私の妹、ネムセーニがスデーションタ殿下の腕に彼女の腕を絡ませていた。
イーチュスエド王太子殿下だけでなく、周りの方々の視線も痛い……。
「スデーションタ殿下、その件につきましては後で話しましょう」
「そう言ってうやむやにするつもりだろう! そうはさせるものか、この場で婚約破棄を認めろ!」
婚約破棄が嫌なのではない。むしろ大歓迎。
侯爵家に生まれた私には結婚相手を決める自由は無かった。
スデーションタ殿下との婚約は、侯爵である父と王家との間で決められたもの。
だから当人同士で勝手に破棄することはできない。
まずは殿下がこんな事を言いだした理由を把握しなければ。
この婚約破棄が、王命なら喜んで受け入れよう。
「殿下……婚約破棄の理由をお聞かせください」
ネムセーニがスデーションタ殿下の腕に、むにゅ、と身体を押しつけながら勝ち誇ったような目で私の方を見た。
その瞬間、殿下の鼻の下がびにょんッと伸びた様な気がした。
「お前なんかよりも魅力的なオッパ……女性に出会ったからだ。俺はネムセーニと結婚する!」
「……?」
……いま何か言いかけませんでしたか?
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