【BL-R18】転生しても平凡な僕~前世で別れたスパダリが、双子に生まれ変わって溺愛過剰~

弓はあと

文字の大きさ
15 / 45

それなら俺たちの部屋にあるぞ

しおりを挟む


 ……僕、部屋まちがえたかな?

「デュオ、行くぞ」
「ぇ、どこへ?」

 思わず素の態度で返事をしてしまった。
 でもレイン様はそんな事を気にする様子も無い。

「部屋の移動だ。向こうがひとり部屋を希望したからちょうどよかった」

 向こうって、フォッグ様の事かな。
 平民の僕との同室を、フォッグ様は嫌がっていた。
 クラウド様との面談とかで、何か伝えたのかも。

 そうか、フォッグ様は希望通りひとり部屋になるんだ。
 よかった。
 僕は平民だからひとり部屋にはならず他の使用人の誰かと一緒になると思うけど、おそらく誰と同部屋になってもフォッグ様とよりはずっといい。

「そうですか、では荷物をまとめてきます」
「それならもう、俺たちの部屋に運んであるぞ」
「ぇ……?」

 俺たちの、部屋?

 ピラ、とシャツのお腹のところを捲られた。

「痛そうだな」

 レイン様が言ったのは、フォッグ様に蹴られてできた痣の事だろう。

 前世で使っていた掛け布団みたいな綿入りの大きな布を、ふわっ、とレイン様が僕の背中にかけた。

 その直後、僕の足が宙へ浮く。
 気がつけばふわふわな布ごとレイン様に横抱きにされていた。

 まるで物語のラストシーンに出てくる、騎士とお姫様のように。

 レイン様は本当に騎士で、僕は平民男子でお姫様じゃないけど。

「デュオ、痛くないか?」
「痛くない、です」

 柔らかい布団に包まれているから、蹴られたところも全然痛くない。

「そうか、よかった」

 レイン様が微笑んだ、前世の怜とそっくりな、それでいてワイルドさが増した笑顔で。

 横抱きのままレイン様に連れていかれたのは、最初にフォッグ様と過ごしていた部屋よりも上の階にあるかなり広い部屋。

 フォッグ様との部屋だって凄く広かったのに。

 そして部屋には、今まで一度も見たことがない大きさのベッドがあった。

 大人でも、6人くらいは余裕で寝られそう。
 もしかしたらそれ以上でも大丈夫かもしれない。

 僕はそのベッドに、布団ごとそっとおろされた。

「デュオの荷物はここに置いてあるからな。部屋の中にある物は自由に使っていい。欲しい物があったら言ってくれ」
「ぁ、あの、どうして僕の荷物が、ここに?」

 この部屋は広くて何人でも暮らせそうだけど、使われている調度品とかは僕でも分かるくらい高級な品。
 使用人の共同部屋じゃないことは確かだと思う。

「この部屋がデュオの部屋だからだ。両隣に俺とクラウドの個室もあるが、今日からは俺たちもこの部屋で過ごす」
「ぇ、なぜ!?」

 僕が驚いて声を上げるのと同時に、ガチャ、とドアが開き小さな容器を手にしたクラウド様が部屋へ入ってきた。





しおりを挟む
感想 13

あなたにおすすめの小説

俺がこんなにモテるのはおかしいだろ!? 〜魔法と弟を愛でたいだけなのに、なぜそんなに執着してくるんだ!!!〜

小屋瀬
BL
「兄さんは僕に守られてればいい。ずっと、僕の側にいたらいい。」 魔法高等学校入学式。自覚ありのブラコン、レイ−クレシスは、今日入学してくる大好きな弟との再会に心を踊らせていた。“これからは毎日弟を愛でながら、大好きな魔法制作に明け暮れる日々を過ごせる”そう思っていたレイに待ち受けていたのは、波乱万丈な毎日で――― 義弟からの激しい束縛、王子からの謎の執着、親友からの重い愛⋯俺はただ、普通に過ごしたいだけなのにーーー!!!

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

弟勇者と保護した魔王に狙われているので家出します。

あじ/Jio
BL
父親に殴られた時、俺は前世を思い出した。 だが、前世を思い出したところで、俺が腹違いの弟を嫌うことに変わりはない。 よくある漫画や小説のように、断罪されるのを回避するために、弟と仲良くする気は毛頭なかった。 弟は600年の眠りから醒めた魔王を退治する英雄だ。 そして俺は、そんな弟に嫉妬して何かと邪魔をしようとするモブ悪役。 どうせ互いに相容れない存在だと、大嫌いな弟から離れて辺境の地で過ごしていた幼少期。 俺は眠りから醒めたばかりの魔王を見つけた。 そして時が過ぎた今、なぜか弟と魔王に執着されてケツ穴を狙われている。 ◎1話完結型になります

助けたドS皇子がヤンデレになって俺を追いかけてきます!

夜刀神さつき
BL
医者である内藤 賢吾は、過労死した。しかし、死んだことに気がつかないまま異世界転生する。転生先で、急性虫垂炎のセドリック皇子を見つけた彼は、手術をしたくてたまらなくなる。「彼を解剖させてください」と告げ、周囲をドン引きさせる。その後、賢吾はセドリックを手術して助ける。命を助けられたセドリックは、賢吾に惹かれていく。賢吾は、セドリックの告白を断るが、セドリックは、諦めの悪いヤンデレ腹黒男だった。セドリックは、賢吾に助ける代わりに何でも言うことを聞くという約束をする。しかし、賢吾は約束を破り逃げ出し……。ほとんどコメディです。  ヤンデレ腹黒ドS皇子×頭のおかしい主人公

異世界転移して美形になったら危険な男とハジメテしちゃいました

ノルジャン
BL
俺はおっさん神に異世界に転移させてもらった。異世界で「イケメンでモテて勝ち組の人生」が送りたい!という願いを叶えてもらったはずなのだけれど……。これってちゃんと叶えて貰えてるのか?美形になったけど男にしかモテないし、勝ち組人生って結局どんなん?めちゃくちゃ危険な香りのする男にバーでナンパされて、ついていっちゃってころっと惚れちゃう俺の話。危険な男×美形(元平凡)※ムーンライトノベルズにも掲載

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

処理中です...