【R18】義姉に婚約者を奪われた私は、冷酷無慈悲だと噂の公爵に娶られました~元騎士団長の初心で一途な溺愛は、時々エッチ~

弓はあと

文字の大きさ
16 / 16

【おまけの話】浮気?



 大切な人はメスフィだ、と伝えてくれたゴーシュ様は私にキスをしたあと真剣な表情で見つめてきた。

「メスフィ、好きだ。愛している」

 私の目から涙が溢れ、ポロポロと零れ落ちていく。
 そんな風に言ってもらえて嬉しい、だけど……。

「私もゴーシュ様のことを愛しています。でも好きだからこそ、怖いのです……」

 そう告げた私の頬を伝う涙を、ゴーシュ様が指でそっと拭ってくれた。

「何が怖いんだ、メスフィ。教えてくれ」
「父もマクリ様も、メイドと浮気をしていました」

 私を見つめているゴーシュ様の顔が、少し困ったような表情に変わる。

「その事がメスフィの気持ちと、どう関係するのだろうか?」

 ゴーシュ様にそう尋ねられて思わずドレスの裾をキュッと握ってしまった。
 こんな事を言ったら、ゴーシュ様を不快にさせてしまうかもしれない。

「無理に言わなくてもいいが、どんな事でも教えてくれると嬉しい」
 
 ゴーシュ様はそう告げると、私の涙が止まるまで何も言わずに私の身体を抱きしめてくれていた。
 冷酷無慈悲だと噂されているような方なのに、すごく優しい。
 ゴーシュ様なら、私の悩みを怒ったりしないはず。

「好きだから怖いのです、ゴーシュ様もいつかメイドと浮気をしてしまうのだろうかと思って不安になります」
「そうか、不安に思ってしまうのか……。メイドと浮気をする俺は、メスフィにとって敵のようなものだな」

 ゴーシュ様は顎に軽く握ったこぶしをあてて思案顔になっている。
 少しすると、何か思いついたような表情で私の方を見た。

「敵が見えないと不安になる気持ちは少しだが分かる。そんな時は自分から攻めた方がいい」

 ゴーシュ様は私の髪を優しく撫でながら言葉を続けた。

「だからメスフィ、不安を解消するために、いっそのこと俺が積極的にメイドと閨事をするのを許してくれないか?」
「え、メイドとの閨事を許す……?」
「ああ、そうだ。メスフィの許しを得たい」

 ゴーシュ様がメイドと浮気をするなんて嫌だ。
 でもゴーシュ様の願いなら叶えてあげたいと思ってしまう自分もいる。
 私は唇を嚙みながら、コクリと頷いた。

 夜を迎え、夫婦の寝室で立ったまま、アヴァンタント公爵邸内でよく見かけるメイドの白いエプロンがゴーシュ様の手によって脱がされていく。

 パサ、と小さな音を立ててエプロンが床へ落ちるのを、私は視界の端で眺める事しかできない。

 ゴーシュ様の逞しい腕が、メイド用の黒いワンピースの裾から差しこまれた。

「くッ、すまないメスフィ。俺は今までにないほど昂っている」
「ゴーシュ様……」
「自分と身分違いで結婚が難しいというメイドとの関係は、こんなにも高揚するのか」

 黒いワンピースの中へ侵入したゴーシュ様の指が、ドロワーズに触れる。
 少し乱暴な感じでドロワーズが脱がされて、床へと落とされた。

「許されない状況に興奮してしまう。メスフィに申し訳ない気持ちでいっぱいだ」

「私の事は気にせず……ゴーシュ様の好きなようになさっていただいて、大丈夫です」

「好きなようにと言われても、知識がなくてわからない。下着を脱がせたあとメイドとどんな行為をすればいいか、知っていたら教えてくれないか、メスフィ」

 ゴーシュ様に問われ、マクリ様がしていた浮気の行為を必死に思い出す。
 確かマクリ様が一番良さそうにしていたのは、メイドを言葉で辱めてからメイドの手首を縄で縛って拘束し、何かの道具を使って口を封じて行っていた時だ。

「まずは言葉でメイドを辱めてください」
「わかった」

 浮気の時にマクリ様は立っているメイドを見ながら「服の上からでも乳首が勃っているのがわかるぞ。期待しているのか、この淫乱が」と罵っていた。

 アヴァンタント公爵邸内で働くメイドが着ている黒いワンピースを見つめて、ゴーシュ様が口を開く。

「可愛いぞ」

 その言葉を聞いて、前に閨で「可愛い」と言われた時の事を思い出し、私の視界が涙で滲む。

 ゴーシュ様はメイドに向かって辱める言葉を伝える時まで優しすぎる。

「可愛いだなんて、おっしゃらないでください……」

 いたたまれない気持ちになり黒いワンピースの裾を、きゅ、と握ると私の頬にゴーシュ様がキスをした。

「すまない。ドレス姿のメスフィも可愛いが、メイド服を着た姿も可愛いと思ってしまう。こんな浮気者の俺をどうか許してくれ」

 これは浮気……なのだろうかと悩んでしまう。
 湯浴みのあと私は黒の長袖ワンピースの上に、フリルのついた白いエプロンを着て、頭にブラウンのウィッグとホワイトブリムをつけた。

 アヴァンタント公爵邸のメイドの格好をしているけれど中身は私で、寝室内にはゴーシュ様と私のふたりしかいない。
 ゴーシュ様は自分を浮気者だと言うけれど、まったく違うと思う。

「次はどうすればいい?」

 ゴーシュ様に問われて、ハッと我に返る。

「メイドの手を縄で拘束します」
「拘束……か。メイドにそうしたい気持ちも分かる」
「分かるのですか?」

 意外な言葉に驚いて目を見開いてしまった。
 ゴーシュ様にも、メイドを虐げたいという気持ちがあるなんて。

「メイドだったら、俺との結婚話は出なかったはずだ。メスフィが他の男へ嫁ぐなんて耐えられない、拘束し誰の目も届かない所へ閉じ込めてしまいたい」

 獰猛な獣のようにギラッとした視線をゴーシュ様に向けられて、私の鼓動が速くなる。

「縄は……無いな。では、こうしてしまおう」

 ゆっくりと、ベッドに押し倒された。
 私へ覆い被さるような体勢になったゴーシュ様に、指と指を絡めるようにして両方の手をつながれてベッドに拘束される。

「次は何をすればいいんだ?」

 低くて甘い声に耳元で囁かれ、私の心臓がドキッと音を立てて跳ねた。

「何かの道具を使って……口を塞ぎます。メイドの苦しむ様子がいいらしいのです」
「心得た。道具は無いが、なんとかしよう。苦しすぎたら目で訴えてくれ」

 指を絡めてつないだ手に、きゅ、と少しだけ力が込められる。

「愛しているよ、メスフィ」

 ゴーシュ様の口で私の唇が塞がれ、長くて深いキスをされた。







 【完】

 ここまで読んでくださった読者様に感謝の気持ちでいっぱいです。
 本当にありがとうございました。






感想 2

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(2件)

柚木ゆず
2024.07.15 柚木ゆず

少し遅れてしまいましたが、投稿おめでとうございます。本日、最新話まで拝読しました。

ゴーシュさんとメスフィさん。どちらも独特で可愛らしくて、あっという間にお気に入りのおふたりとなりました。
おふたりの相性、すごくいいですよね。
ご実家に居た頃はあんなことがあって、あんな思いをする羽目になってしまいましたが。今は違っていて。
ゴーシュさんと共に、幸せになって欲しいです……!

2024.07.20 弓はあと

柚木ゆず様

こちらのお話も読んでくださり、しかも感想までくださり本当にありがとうございます!
お気に入りと言っていただけて嬉しい♪
ふたりが幸せになれるかどうか、このあとの展開を見守ってくださいませ♪♪

解除
🌷︎
2024.07.13 🌷︎

子種はよく飛ぶのだな、、、
うん
飛びましたね‎( ꒪⌓꒪)

なんか、微笑ましいです。
童貞おじさま。

2024.07.15 弓はあと

🌷︎様

感想ありがとうございます!
そうなんです、よく飛びました~☆彡
童貞おじさまの微笑ましいお話に、引き続きお付き合いいただけますと幸いです♪

解除

あなたにおすすめの小説

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

【完結】嫌われ令嬢、部屋着姿を見せてから、王子に溺愛されてます。

airria
恋愛
グロース王国王太子妃、リリアナ。勝ち気そうなライラックの瞳、濡羽色の豪奢な巻き髪、スレンダーな姿形、知性溢れる社交術。見た目も中身も次期王妃として完璧な令嬢であるが、夫である王太子のセイラムからは忌み嫌われていた。 どうやら、セイラムの美しい乳兄妹、フリージアへのリリアナの態度が気に食わないらしい。 2ヶ月前に婚姻を結びはしたが、初夜もなく冷え切った夫婦関係。結婚も仕事の一環としか思えないリリアナは、セイラムと心が通じ合わなくても仕方ないし、必要ないと思い、王妃の仕事に邁進していた。 ある日、リリアナからのいじめを訴えるフリージアに泣きつかれたセイラムは、リリアナの自室を電撃訪問。 あまりの剣幕に仕方なく、部屋着のままで対応すると、なんだかセイラムの様子がおかしくて… あの、私、自分の時間は大好きな部屋着姿でだらけて過ごしたいのですが、なぜそんな時に限って頻繁に私の部屋にいらっしゃるの?

私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。

石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。 自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。 そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。 好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。 この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。 扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

ドSな彼からの溺愛は蜜の味

鳴宮鶉子
恋愛
ドSな彼からの溺愛は蜜の味

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

夫が運命の番と出会いました

重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。 だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。 しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?

お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。

下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。 またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。 あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。 ご都合主義の多分ハッピーエンド? 小説家になろう様でも投稿しています。