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7 愛する人が何を言っているのかわからない (レオ王子視点)
俺には腹違いで5歳違いの兄がいる。兄の母は第二王妃、第一王妃に子供はおらず本来ならば将来の王として王太子になるのは兄のはずだった。ちなみに俺は第三王妃の母を持つ。そして女性に寛容な父上は数多の側女を持ち腹違いの兄弟姉妹がいるが王妃たちから生まれた子供は俺と兄上二人だけ。通常ならば長子相続、俺はあくまでも何かあった時の代わりとして国を支える立場のはずだった。
だが兄は生まれつき左右の目の色の違う不思議な外見のせいで頭の硬いジジイどもに不吉だと言われ、隣の国、兄の母の生家のあるネーベンベアグ国へ送られてしまった。大きくなり療養というなの追放だと理解した時怒りに震えた。
兄の体が弱くて外で一緒に遊ぶことはできなかったが体調の良いときは室内で本を読み絵をかいてくれた優しい兄だ。
大好きだったのに会えなくなったのはあいつらのせい。俺は自分の代になれば兄上を追いやったジジイどもを一掃してやると心に誓った。
そんなある時国境に聖女が現れたとジジイどもが喜んでいた。
平民出なのにかなり浄化の力が強く歴代の聖女の中でも過去一番との評判でいつの間にか俺の結婚相手に選ばれていた。
その話を聞かされた時、己の立場はわかっていたがやはり好きな相手とは結婚できないのだと思い気落ちした。
婚約式で顔を合わせたが黒髪にメガネの彼女ユーリアに対してこれといった感情を持つことはできなかった。品行方正で聖女としての勤めも真面目にこなしているらしく周りの評判も良い。平民出身の孤児ということは些細なこととみなされ将来の国母となるべく教育が始まった。彼女と結婚する未来が近づくが異をとなえるほど他に愛する人もいない、このまま流されて行くしかないのだろうと気が重い毎日を過ごしていた。
だがそんな毎日を揺るがす異世界からの訪問者があったのはユーリアの国母教育も終わりに近づいた頃だった。
王宮での王への謁見式の際見た彼女は俺の婚約者と同じ黒髪をしていたが不思議とその髪は周りの光を集め輝いて見えた。
女性らしい柔らかそうな身体に春の花のような見るものの心までほころばせるような優しい笑顔。不思議と目が離せなくなった。
しかも彼女には聖女としての才能もあるらしい。頭の固いジジイどもが同時代に二人の聖女は厄災の前触れではないのかと騒ぎ出した。ただでさえ強い浄化の力を持つ聖女がいるのにさらに浄化の力がこの世界にあるのは瘴気の暴走を引き起こすことに繋がるから異世界から来た娘は排除するべきだと言いだしたのだ。色違いの目をした王の子は不吉だと国を追いやられたが異世界の娘は命をとってなかったことにするつもりらしい。
そこまでする必要などないと思ったがジジイどもの話を聞き、先走りしたものが彼女を襲った。幸い俺が現場に居合わせ助けることができたが突然の襲撃に怯えた彼女を抱きしめた時この女ヒトを守らねばと強く思った。
あぁ俺はカオリンを愛しているのだと、腕の中で震える小さな鳥のような頼りない彼女の熱を感じながら思った。
しかし俺は婚約者のある身、一度は諦めようと思ったが学園で彼女と過ごすうち彼女も俺を愛してくれていることがわかり思いを交わすこと度々カオリンと離れることなどできないと思うようになった。
王太子として恥ずべき行為だとはわかっているが彼女の甘い吐息を感じると、バラの甘い蜜に引き寄せられるミツバチのように彼女から離れがたくなってしまうのだ。人気のない学園の図書室の隅、神聖な教会の一室、花園の茂みに隠れて夢中で彼女の中に俺を刻みつけてしまう。
そんな自分を見透かされる気がして婚約者であるユーリアと顔を合わせづらく、もっと巡礼の旅へ出るように手を回した。彼女が王都にいない間にカオリンを婚約者にするため手をまわそうとしたがなかなかスムーズに事が運ばない。ジジイどもはカオリンを追いやることをあきらめていないらしい。万策尽きた俺はユーリアから結婚を拒否してもらえるようにするべきなのかと考え出していた。
そんな矢先のことだ、巡礼先で彼女が消息を絶ち、あまつさえ隣国の兄上から聖女死亡の報告が来た。
確かにいなくなってくれればとは思った。だが死んでほしいと願っていたわけではないのだ。奇妙な罪悪感に苦々しい気持ちがわいた。
いや、何もかも今更だ。彼女の冥福を祈ろう。
勝手かもしれないが王家のため国のためこれからカオリンにはユーリアの分まで聖女として頑張ってもらわねば。そう思ったのだ。
だがカオリンは俺を避けようとする。最近では他の男達と浮名を流しているという噂まで聞こえてきた。
ユーリアがしていた浄化によって沈静化していた瘴気が国中で溢れ出して魔物たちの姿が見られるようになってきたという報告が聞かれるようになってきた。
カオリン、なぜ君は瘴気を払ってくれないんだ?
今では君が我が国の唯一の聖女なのに!!
聖女としての役目を果たして欲しいと言ったのにカオリンは隣国へ巡礼の旅に出たいと言う。その目的は俺の病弱な兄を助けるためだという。
何を言っているんだ?
兄は健康を取り戻し愛する人を娶ったと手紙をくれたのに。そういうとカオリンは取り乱した。
嘘よ!嘘よ!と叫び取り付く島もない。
兄が君に恋をするはずだったのに?何を言っているんだ?
カオリン、君は何を言っているんだ?
俺が君の唯一だろう?
「私は博愛主義者なんだから!」って何を言っているんだ?
頼むわけのわからないことを言わないでくれ。
最近体がつらいのだ。
微熱とだるさで思考に集中できない。
頼むからこの国の瘴気を払ってくれ……
だが兄は生まれつき左右の目の色の違う不思議な外見のせいで頭の硬いジジイどもに不吉だと言われ、隣の国、兄の母の生家のあるネーベンベアグ国へ送られてしまった。大きくなり療養というなの追放だと理解した時怒りに震えた。
兄の体が弱くて外で一緒に遊ぶことはできなかったが体調の良いときは室内で本を読み絵をかいてくれた優しい兄だ。
大好きだったのに会えなくなったのはあいつらのせい。俺は自分の代になれば兄上を追いやったジジイどもを一掃してやると心に誓った。
そんなある時国境に聖女が現れたとジジイどもが喜んでいた。
平民出なのにかなり浄化の力が強く歴代の聖女の中でも過去一番との評判でいつの間にか俺の結婚相手に選ばれていた。
その話を聞かされた時、己の立場はわかっていたがやはり好きな相手とは結婚できないのだと思い気落ちした。
婚約式で顔を合わせたが黒髪にメガネの彼女ユーリアに対してこれといった感情を持つことはできなかった。品行方正で聖女としての勤めも真面目にこなしているらしく周りの評判も良い。平民出身の孤児ということは些細なこととみなされ将来の国母となるべく教育が始まった。彼女と結婚する未来が近づくが異をとなえるほど他に愛する人もいない、このまま流されて行くしかないのだろうと気が重い毎日を過ごしていた。
だがそんな毎日を揺るがす異世界からの訪問者があったのはユーリアの国母教育も終わりに近づいた頃だった。
王宮での王への謁見式の際見た彼女は俺の婚約者と同じ黒髪をしていたが不思議とその髪は周りの光を集め輝いて見えた。
女性らしい柔らかそうな身体に春の花のような見るものの心までほころばせるような優しい笑顔。不思議と目が離せなくなった。
しかも彼女には聖女としての才能もあるらしい。頭の固いジジイどもが同時代に二人の聖女は厄災の前触れではないのかと騒ぎ出した。ただでさえ強い浄化の力を持つ聖女がいるのにさらに浄化の力がこの世界にあるのは瘴気の暴走を引き起こすことに繋がるから異世界から来た娘は排除するべきだと言いだしたのだ。色違いの目をした王の子は不吉だと国を追いやられたが異世界の娘は命をとってなかったことにするつもりらしい。
そこまでする必要などないと思ったがジジイどもの話を聞き、先走りしたものが彼女を襲った。幸い俺が現場に居合わせ助けることができたが突然の襲撃に怯えた彼女を抱きしめた時この女ヒトを守らねばと強く思った。
あぁ俺はカオリンを愛しているのだと、腕の中で震える小さな鳥のような頼りない彼女の熱を感じながら思った。
しかし俺は婚約者のある身、一度は諦めようと思ったが学園で彼女と過ごすうち彼女も俺を愛してくれていることがわかり思いを交わすこと度々カオリンと離れることなどできないと思うようになった。
王太子として恥ずべき行為だとはわかっているが彼女の甘い吐息を感じると、バラの甘い蜜に引き寄せられるミツバチのように彼女から離れがたくなってしまうのだ。人気のない学園の図書室の隅、神聖な教会の一室、花園の茂みに隠れて夢中で彼女の中に俺を刻みつけてしまう。
そんな自分を見透かされる気がして婚約者であるユーリアと顔を合わせづらく、もっと巡礼の旅へ出るように手を回した。彼女が王都にいない間にカオリンを婚約者にするため手をまわそうとしたがなかなかスムーズに事が運ばない。ジジイどもはカオリンを追いやることをあきらめていないらしい。万策尽きた俺はユーリアから結婚を拒否してもらえるようにするべきなのかと考え出していた。
そんな矢先のことだ、巡礼先で彼女が消息を絶ち、あまつさえ隣国の兄上から聖女死亡の報告が来た。
確かにいなくなってくれればとは思った。だが死んでほしいと願っていたわけではないのだ。奇妙な罪悪感に苦々しい気持ちがわいた。
いや、何もかも今更だ。彼女の冥福を祈ろう。
勝手かもしれないが王家のため国のためこれからカオリンにはユーリアの分まで聖女として頑張ってもらわねば。そう思ったのだ。
だがカオリンは俺を避けようとする。最近では他の男達と浮名を流しているという噂まで聞こえてきた。
ユーリアがしていた浄化によって沈静化していた瘴気が国中で溢れ出して魔物たちの姿が見られるようになってきたという報告が聞かれるようになってきた。
カオリン、なぜ君は瘴気を払ってくれないんだ?
今では君が我が国の唯一の聖女なのに!!
聖女としての役目を果たして欲しいと言ったのにカオリンは隣国へ巡礼の旅に出たいと言う。その目的は俺の病弱な兄を助けるためだという。
何を言っているんだ?
兄は健康を取り戻し愛する人を娶ったと手紙をくれたのに。そういうとカオリンは取り乱した。
嘘よ!嘘よ!と叫び取り付く島もない。
兄が君に恋をするはずだったのに?何を言っているんだ?
カオリン、君は何を言っているんだ?
俺が君の唯一だろう?
「私は博愛主義者なんだから!」って何を言っているんだ?
頼むわけのわからないことを言わないでくれ。
最近体がつらいのだ。
微熱とだるさで思考に集中できない。
頼むからこの国の瘴気を払ってくれ……
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