死に戻り能力家系の令嬢は愛し愛される為に死に戻ります。~公爵の止まらない溺愛と執着~

無月公主

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シーズン1

1.死に戻り令嬢、未来を変えるための婚活を始めます!

「お願いです! 離婚だけは…。考え直していただけませんか…。」

薄暗い室内に佇む私、メイシール・ホワイトホスト。かつてはブルービショップ伯爵家の令嬢として知られ、今やこの国の王妃としての地位にある。王であり夫であるアジャールに向かって、別れを拒む情熱と悲しみが、私の心を満たしていた。 

アジャール王は、白髪を短く刈り揃えた髪型に身を包み、その髪の一筋一筋が年月を刻んだような白さを放っていた。彼の銀色に輝く瞳は、氷のような冷たさと知恵を湛えており、その深遠なる眼差しは、人々を威圧し、支配する力を秘めているかのようだった。

一方で私は、私の家は代々、青髪と青い瞳を受け継いできた。しかし、私は母から桃色の髪を受け継ぎ、その優美な色彩は家系の中で異彩を放っていた。瞳は青色で、その静かな輝きは家族の特徴を引き継いでいた。

「メイシールよ、君は私の心を理解してくれない。その愛らしい笑顔も、美しい言葉も、私の心を満たすことができない。彼女が私に与えるものは、君には分からない。私たちの道は別れるべきだ。この国にも、私たちにも、より良い未来が待っている。それに彼女は侯爵家の令嬢だ。私の後ろ盾にもなってくれるだろう。」

アジャールは浮気をしている。この離婚を受け入れれば、私は死に追いやられるだろう。王国の王が浮気し、他の女性と関係を持つという事実は、国と名誉を傷つけるに違いない。だからこそ、この離婚だけは絶対に阻止せねばならないという危機感が私を支配していた。



しかし、私の努力もむなしく、離婚を阻止することは不可能だった。受け入れようが受け入れまいが、結局のところ私はすぐにその暗殺者の手によって命を奪われた。


―――神よ。ブルービショップ家に生まれた者は必ず幸せになれるのではなかったのですか?我が家の言い伝えは、ただの迷信だったという事ね。

ブルービショップ伯爵家の令嬢として、王子に愛され、王妃となることができた喜びは言葉にはできないものだった。その瞬間、私は自分が本当にブルービショップであると感じた。

家族やブルービショップ家の血を引く者たちは皆、幸せで満ち溢れているように見えた。なぜ私だけがそうではなかったのか、その疑問が私の心を苦しめた。

何を思っても、考えても…もう遅いのね。とうとう終わりが来るのね。

走馬灯の中で、意識が次第に薄れていくのを感じた。

享年40歳。

―――――――――
―――――

不思議なことに、開くはずのない目が開いてしまった。そして、見慣れた実家の天蓋が目に飛び込んできた。

「は?」

身体の感覚が戻ってきた。起き上がってみると、自分の手が若くなっていることに気がついた。

―――待って、待って、待って!?何歳なのよ!?どうなってるの!?夢?死後の世界!?

コンコンと控えめなノックが聞こえ、見慣れたメイドが入ってきた。そのメイドは、小さい頃から私を世話してくれているミレーヌだった。

「ミレーヌ…どうして?」

「お嬢様?今日はお早いお目覚めでございますね。」

ミレーヌがにっこりと優しい笑みを浮かべる中、私はポロポロと涙を流してしまった。

「どうされたのですか!?」

「ここはどこなの?私…生きてるの?」


ミレーヌは血相を変えて、急いで部屋を飛び出し、伯爵家の専属医師と両親を呼びに走っていった。

―――私、悪い夢でも見てたのかな。

しばらく自分の若い手をみつめていると、「他の者は絶対に部屋へ入ってくるな!」と指示をしながら、急いで駆けつけた父が、部屋に入ってきた。その姿は、まるで心配そうに見守る様子がうかがえた。

「メイシール!!殺されたのか!?」

父であるジョナサンが、凄みを帯びた形相で私の肩を掴み、揺さぶるようにして声を荒げた。

私は思わず「…はい。」と反射で答えてしまう。

「誰にだ!!」

私は、父に自分がどのような経緯で殺されてしまったのかを告げた。

「…メイシール、辛い思いをしたな。お前が望むなら、もう結婚せず、この家でずっと過ごしても良いんだ。そのくらいの蓄えは十分あるからな。」

父の声は優しく、心からの思いやりが感じられた。

「けど、シリルお兄様の邪魔になってしまうわ。」

私には1歳年上の兄がいた。兄は成人するとともに、ご学友だった辺境伯家の御令嬢と恋愛結婚をし、家を継ぐことになった。兄もとても幸せそうにしていた。そんな二人の足枷になりたくはなかった。

「待って、でも、どうして私が殺されてしまったと、お分かりになったのですか?」

「お前は今、16歳だ。ブルービショップ家は他者に殺害された場合のみ、その魂は過去へと戻される。この伝説を知れるのは当主だけだ。戻された者を速やかに助ける為にな。」

「そんな…。」

「まさか我が娘が戻されるとは…信じがたい。だが、お前のその喋り方や滲み出る気品やオーラが…とても10歳とは思えん。」

「そう…ですよね。王太子妃の教育を受けましたから…。」

「他に具合は悪くないか?」

「今のところは…。」

「メイシール。この事は絶対に秘密だ。母さんとシリルにもだ。未来の事は絶対に口外してはならない。守れるか?」

「はい…。」

どうやら、ブルービショップ家には特別な特殊能力が備わっているという事だろうか。他の伯爵以上の貴族家門にも特殊な能力が備わっている。どの家門もその血を絶やさなぬように必死だった。

「メイシール、足を見せてくれ。」

「はい。」

少し恥ずかしいが言われた通り布団から足を出してみせた。足も小さくて違和感を感じた。
すると右足首に見覚えのない鎖のようなタトゥーが見えた。

「これは…。」

「戻った証拠だ。他の家門の特殊能力者も足首に家門のタトゥーが入っている。特殊能力は1つの体につき1つだ。稀に2つの者もいる。」

「お父様は?」

父は靴と靴下を脱いで右足首を見せてくれた。そこには私と同じ鎖のタトゥーが刻まれていた。父のタトゥーは私のタトゥーとは少し違い幾つかの鎖のような紋章が青白く光っているように感じた。

「待ってください。お父様も戻ったという事ですか?」

「それは言えない。父さんが見た未来も誰にも言うつもりはない。もう死に戻りなんて懲り懲りなんだ。」

「そうですわね。私も二度と死にたくありません、あのような…思いは…もぅ…。」

お父様は黙って私を抱きしめてくれた。その温かな抱擁は、私の心を安らかに包み込み、いつもよりも強く感じられた。

私は未だに信じられずにいた。たるみやシワのない手、そして若い自分を鏡で何度も確認した。確かめるたびに、自分の姿がそこにあることが不思議で、そして同時に現実なのかどうかを疑っていた。

―――どうしよう。お父様は家にいた方が良いと言っていたけれど、やっぱり、シリルお兄様の邪魔になってしまうわ。それに他国と違って、特殊能力のせいで男爵位以上の爵位を買うなんて事もできない。困ったわ。

私は机に向かい、紙を取り出して覚えている家門と特殊能力を書き出してみた。

【家門】
1.ホワイトホスト王家
2.ゴールドキング公爵家
3.シルバークイーン侯爵家
4.レッドナイト公爵家
5.ブルービショップ伯爵家
6.グリーンルーク辺境伯家
7.パープルポーン伯爵家

【特殊能力】
1.強固な封印や結界を張る力
2.雷を自在に操る事ができる力
3.水を自在に操る事ができる力
4.火を自在に操る事ができる力
5.他者に殺された場合時間が巻き戻る力(世間では鋭い直感力とだけ明かされている。)
6.風を自在に操る事ができる力
7.豊穣の力


これらの記録を眺めながら、私は自分の運命について考え込んでいた。

―――私が覚えているのはこの7家門。嫁ぐなら特殊能力者の血筋同士でなければいけない。それ以外の者と結婚する場合は王に特殊能力を封印され、子爵以下の生活をしなければならない。
私はそれでも良いけれど、お父様やお母様の事を考えるとそれはできないわね。お兄様だって許してくれないでしょうね。となると、結婚できる家門は2.3.4.6.7。けど、ゴールドキング家はいつもホワイトホスト王家の血縁者と婚姻を結ぶ事が多くて、シルバークイーン家はパープルポーン家と婚姻を結ぶ事が多い。となると、グリーンルーク辺境伯家。もしくはレッドナイト公爵家。だめだわ。シリルお兄様がグリーンルーク辺境伯家の御令嬢と結婚するはず。となると…レッドナイト公爵家。謎に包まれてるイメージしかないわ。でも、当主は確か…私が26歳になる頃に、狩猟大会の事故で亡くなって、分家の方から当主が選ばれていたはず。そうよ!分家よ!分家の方々とどこかで縁を結べるかもしれないわ。
でも、未来では皆が誰かと結婚していた。そこに割り込むなんて…ちょっと気が引けてしまう。
だとすると、やはりレッドナイト公爵家、現当主のユリドレ・レッドナイトを狙うべきかしら。彼は確か、私の10歳上だったわよね。てことは今26歳…。どんな人だったかしら。
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