死に戻り能力家系の令嬢は愛し愛される為に死に戻ります。~公爵の止まらない溺愛と執着~

無月公主

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シーズン1

5.命をかけた策略が、まさかの急展開に!

6週間が過ぎ去り…

「なんだか心苦しいな。」

父は私の部屋に飾られた花をじっと見つめていた。その眉間には深い皺が刻まれ、彼の心配がひしひしと伝わってきた。

「そうですわね。」

私も花を見ながら、言葉を濁した。ユリドレは毎日、私の様子を聞きに来て、欠かさず美しい花を送ってくれていた。花々は様々な種類で、豪華でありながらも繊細な美しさを持っていた。薔薇やリリー、珍しい紫陽花まで揃い、その色彩は部屋を華やかに彩っていた。

しかし、その花を眺めながらも、私は彼の真意を図りかねていた。彼は私を気遣っているのか、それともただ形式的な行動なのか。その答えが見つからないまま、私は手元にあった花びらをそっと触れた。

「ユリドレ様は、本当にお前のことを気にかけているのか、それとも…」

父が呟くように言った言葉に、私は返事をしなかった。彼の心配をさらに増やしてしまうのが怖かったからだ。

その時、花の香りがふと鼻をついた。甘く芳醇な香りだったはずなのに、急に胸の奥がむかむかし始めた。

「…うっ」

吐き気が襲い、思わず口を押さえた。父が驚いて近寄り、私の肩に手を置いた。

「メイシール!どうした?大丈夫か?」

「…ごめんなさい。少し気持ちが悪いだけですわ。」

私の顔が青ざめているのを見て、父はすぐに医者を呼ぶよう指示を出した。部屋に入ってきた医者は落ち着いた声で私を診察し、脈を取りながら症状を聞いていった。

「吐き気と疲労感…それに嗅覚が敏感になっているようですね。メイシール様、少しだけ失礼いたします。」

医者が私の腹部にそっと手を当て、慎重に診察を進めた。その沈黙が怖かった。結果を待つ間、私の心臓は早鐘のように鳴っていた。

「おそらく、懐妊されているかと。」

その一言が部屋に響いた瞬間、私と父の間に驚きと緊張が走った。私は言葉を失い、ただ医者の顔を見つめた。

「本当ですか?」

父が先に口を開いた。その声には喜びと同時に戸惑いも含まれていた。

「はい。ただ、まだ初期の段階ですので、無理は禁物です。」

医者の言葉を聞きながら、私は胸の中で複雑な感情が渦巻いていた。喜びと不安、そして少しの恐怖。それでも、この命が私にとっての希望となることを信じたかった。

その日の午後、いつものようにユリドレが私の様子を聞きに来た。使用人たちはわざと懐妊の事実を伝えるよう指示されていた。

「ユリドレ様、実はお嬢様が…懐妊されたそうです。」

その報告を受けたユリドレは、一瞬も表情を変えず、ただ静かに頷いただけだった。そして、何も言わずに帰っていったと使用人から聞かされた。

その話を聞いた私は、彼の心中を想像しようとしたが、何も思い浮かばなかった。彼がどう感じているのか、私にはわからなかった。ただ、これが私の選んだ道なのだと、自分に言い聞かせた。

「お腹の子には悪いけど、ユリドレに恨まれたり、殺されたとしても、それはそれで進むべきルートではなかったと思うことができるわ。」

自分に言い聞かせるように呟きながら、私は手をそっとお腹に当てた。この命を守り抜く覚悟を、改めて自分の中に刻み込むように。

ここまでの人生で、子作りを経験したことは何度もあった。それでも、一度として子宝に恵まれることはなかった。だからこそ、この命が奇跡のように思えた。

「メイシール、無理をするな。お前が幸せになることが一番大事だ。」

父のその言葉が、私の心を温かく包み込んだ。


――――――
――――

数日後、こちらの計画はすぐに破綻してしまう事になった。

「ダメです!!お嬢様には会わせられません!!」

なんとユリドレ・レッドナイトは片手で強行突破して私の部屋に入って来たのだ。 何故片手かというと、左手には大きな薔薇の花束を抱えていたからだ。

一瞬私は今日殺されてしまうのではないかと思ったけれど、彼の抱えている薔薇の花束をみて、とりあえず殺意がないことが分かった。

あの時、とても冷たい目をしていた彼だが、今は今にも泣きそうな子犬のような目をして私をみていて、本当に本人なのか疑うくらいだった。

ユリドレは私に近付き、膝をついて、大きな薔薇の花束を差し出した。

「メイシール嬢。俺と、結婚してください。」

「はい!?」

「今、はいとおっしゃいましたね?それは同意と取らせていただきます。」

さらにグイッと鼻と鼻がくっつきそうなくらい顔を近づけられて目を見開いてしまう。

「あ、あの…訳が分かりません…。」

「分からなくとも良いのです。俺にはもう貴女がいないと生きていけないのです。」

「えっ、えっと…お父様に相談しないと…。」

「いえ、今すぐ貴女をここから連れ去ります。」

「はい!?」

「今のも同意と取らせていただきます。」

(しまった…。)

ユリドレは薔薇ごと私を抱き上げると窓から飛び降りたので、恐くてぎゅっと目を瞑ってしまった。薔薇が顔に押し付けられて匂いで吐きそう…。

「ユリドレ様…吐きそうです。」

ユリドレはすぐに降り立つと近くにレッドナイト公爵家の制服を着た兵士に薔薇を渡した。

「メイシール嬢、大丈夫ですか?吐きますか?」

ユリドレは近くの茂みに私をそっと降ろして背中を優しく撫でてくれた。本当にこれは本人なのだろうか?全くの別人過ぎて影武者でも用意したんじゃないかと疑うほどであった。そうだわ、こんなに優しいはずないもの。

さらにユリドレは口をゆすぐ為の水を用意してくれた。どうなってるの!?絶対違う人よ!!!

その後、私はレッドナイト公爵家の馬車に乗せられて、ユリドレの膝の上に乗せられていた。

――――何がどうなってるの?180度人格が違うじゃない。

チラリと顔をみればニコリと微笑むユリドレに寒気を感じた。殺意の笑みとか?いやいや、求婚して殺すは流石にない…わよね。もういっそ殺して欲しいくらいだけど!?

「おい、羽毛布団を用意しろ。俺の膝では固すぎる。負担になるかもしれん。」

「はっ!」

馬車が一旦停止して、使用人が馬車から降りてどこかへ行ってしまった。

使用人に命令する時の口調は、あの時のように吐き捨てるような冷たい感じがした。やっぱり本人?そんなまさか…。

しばらくして、すぐに使用人がフワフワそうな布団を抱えて戻ってきた。ユリドレは私を布団にくるみ、膝の上に乗せて再び馬車を出発させた。

(どうなってるの?)

布団のおかげで振動はなく、これなら乗り物酔いもしそうにない。

「メイは良い匂いがしますね。」

髪の毛をクンクンと嗅がれてゾワリと鳥肌がたってしまった。

―――メイって呼んだ!?この人今、メイって呼んだ!?震えがとまらないんだけど!?

「まだ俺が恐い…ですよね。大丈夫です。恐くありませんよ。」

そう言って、私の頭を優しく撫でてくれた。が、しかし、それがまた不気味過ぎて余計にぶるぶると体が震えてしまうのだった。

チラリと前に座る使用人を見ればニコリと笑ってくれた。

―――やっぱり、殺す気はないようね。どこかで頭でも打ってきたのかしら。

すると目を隠された。

「見るなら俺の顔を見て下さい。」

(は?)

すぐに目隠しは解かれて、自然とユリドレの顔を見つめてしまった。とても優しい顔をしており、殺意なんて1ミリも感じなかった。どうして彼はここまで変わってしまったのか。やはり別人なのだろうか。

「メイ、今から行くところでは全てに はい と答えて下さい。できますか?」

「・・・・・。」

「できなければ、俺は命を断ちます。」

(何物騒な事いってるのーーーーー!!!!!!!)

「は、はい…。」

(今、私脅されたわよね?今のって脅しよね?)

「あぁ…愛しのメイ。賢いですね。」

また頭を撫でられた。子供扱いしてない!?もうどうにでもなれよ。言う通りにしてあげるわ。

しばらくして着いた場所は教会だった。それを見た私は開いた口が塞がらなかった。教会では全ての人の頭上に金色の細い光で名前が浮かびあがっていた。
それから沢山のメイド達に引き取られて、あれよあれよと着替えをさせられてメイクまでさせられて、鏡をみれば、どこからどうみても今から結婚式をするようだった。

(は?)

部屋に正装姿のユリドレが迎えにきて、私を見るなり抱き上げてくるりと一回転した。

「メイ!!とても美しい!!」

(夢よ。酷い夢。絶対夢だわ。夢じゃなかったら、また死んだ?天国?)

その後、お姫様抱っこをされたまま、教会の中に進んだ。 そこでユリドレは私をそっと降ろし、手を握りながら進んでいく。 暗い教会内には柔らかな光が差し込んでおり、静寂が漂っていた。 私たちは祭壇の方へと歩いていく。 その間、ユリドレの手は温かく、不思議と安心感を与えてくれた。 

神父は優しい微笑みを浮かべながら、言葉を述べた。

「メイシール・ブルービショップ、この教会において、愛することを誓いますか?」

長い間の沈黙が流れたが、ついに腹をくくった。

「はい。」

「ユリドレ・レッドナイト、その愛が、永遠に続くことを誓いますか?」

ユリドレとの目が合った。ユリドレは本当に私の事愛おしそうな目をして見つめてきた。

「はい、永遠に続くことを誓います。」

「その誓いを、神の前で行いますか?」

ユリドレが私の手を強く握りしめた。

「「はい。」」

「愛する者同士が、この神聖な場所で結ばれる喜びを共に分かち合うことは、神の祝福を受ける特別な瞬間です。愛と誠実さがあれば、神の御前で結ばれた絆は永遠に続きます。 私たちはこの神聖な儀式で、あなたたちの愛を神の前に誓い、祝福します。」

神父が神聖な呪文を唱えると、その場に神秘的なエネルギーが漂い始めた。 夫婦の証として、二人の手の甲に不思議な紋章が静かに浮かび上がった。 その紋章は、二人が夫婦であることを証明し、神から与えられた特別な印であった。

――――こんなあっさりと結婚してくれたんだ。いや、でも影武者な可能性…はないようね。神父様が名前を読み上げる時に、本人でないなら別の名前を神父様は読み上げていたはず。それに頭上に光る名前もユリドレ・レッドナイト…。てことは…本人なのーーーー!? 誓いが終わると自分の名前もメイシール・レッドナイトに書きかわった。

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