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シーズン1
35.寄り添う愛の温もり
私はベッドに横たわり、頭痛と吐き気に襲われながら、どうにか深呼吸を繰り返していた。窓から薄暗い光が差し込む部屋は、どこか静寂に包まれているように感じられた。つわりの症状がひどく、体は重く、ただ横になっていることしかできなかった。
「俺はどうすれば…どうして昨日、自分を抑えることができなかったんだ…。」
隣で呟くユリドレの声には、自責の念が滲んでいた。彼は目の前で苦しむ私の姿を見て、どうすることもできない無力感を味わっているようだった。
「だ、大丈夫…。それは多分関係ありませんので…。」
私は絞り出すように答えるが、声は弱々しく、力が入らなかった。
「大丈夫ですよ、少し辛い時期があると思いますが…。きちんと栄養を摂り、十分な休息を取ることが大切です。また、何か心配事や不安なことがあれば、いつでも相談してくださいね。」
女性医師は優しく微笑みながら診察を終え、私を安心させようとしてくれた。その言葉に、ユリドレの緊張が少し緩むのがわかった。
「ハーフ同士でも無事出産した例はあるんだな?」
ユリドレは食い入るように医師に問いかけた。その瞳には、焦りと希望が入り混じった光が宿っていた。
「はい、実際にこの国でハーフ同士の方が無事に出産した例もございます。ただ、そのようなケースは非常にまれですので、周囲のサポートと適切なケアが重要です。私たちは最善を尽くしますので、安心してください。」
女性医師の言葉は穏やかで、その微笑みには確かな自信が感じられた。
医師が部屋を後にすると、ユリドレはすぐに私の隣に座った。
「女性の医師は珍しいですね。」
弱々しく問いかける私に、彼は誇らしげに答えた。
「はい、メイのために全国から探し出しました。」
(またとんでもないことを…本当にこの人は…。)
私は心の中で呆れながらも、そんな彼の過剰なまでの愛情に、少しだけ心が軽くなるのを感じた。
ユリドレはそっと私の額に手を当て、汗を感じるとすぐに立ち上がった。しばらくして戻ってくると、手には温かいタオルを持っていた。
「少し顔を拭きますね。」
彼の声は柔らかく、まるで壊れ物を扱うかのように慎重だった。タオルが顔に触れるたびに、その温かさが心地よく、彼の優しさが伝わってくる。
次に、彼はテーブルの上に用意してあった水差しを手に取り、グラスに水を注いだ。そして私の背中に手を回し、慎重に体を起こす。
「少しだけ、これを飲んでください。」
彼が差し出したグラスを口元に運ぶと、手が震えて水が少しこぼれるのを見て、彼がいかに緊張しているかが伝わってきた。
「ありがとう、ユリ…。」
私は小さく微笑みながら礼を言ったが、その言葉が彼にとってどれほどの救いになったのか、彼の表情を見てすぐに分かった。ユリドレの顔が少し緩み、安心したように息をついた。
ユリドレは私が楽に眠れるように、ベッドの枕を整え、毛布を優しく掛け直してくれた。その細やかな気遣いに、私は彼の愛情を改めて感じた。彼はそれだけでは終わらず、部屋の明かりを調整し、私の体調に合うように空気を入れ替えたりと、休む間もなく動き回っていた。
時折、彼は私の顔をじっと見つめていた。そこには心配や不安、そして私をどうにかして支えたいという強い思いが読み取れた。
彼は私が完全に眠りにつくまで、決してその場を離れることはなかった。椅子に腰掛け、私の顔をじっと見守りながら、私の呼吸の音に耳を傾けていた。その優しい視線は、まるで私が眠る天使のように見えているのではないかと思わせるほどだった。
やがて、つわりの辛さも少し和らぎ、私は深い眠りに落ちていった。その間も、ユリドレは私の隣で変わらず見守り続けていた。
数日が経ち、つわりの症状が徐々に落ち着いてきた。以前のようなひどい吐き気は和らいだものの、まだ体は重く、ベッドの上で過ごす時間が続いていた。その間もユリは一瞬たりとも私の側を離れようとせず、まるで自分の使命のように私を見守り続けていた。
彼はベッド脇の椅子に腰掛け、静かに私の髪を撫でる。その手のひらの温もりは、どこかくすぐったくて、優しくも心地よかった。ユリの顔を見上げると、彼は私の顔をじっと見つめ、柔らかい微笑みを浮かべていた。その目には深い愛情と、言葉にしきれないような切なさが滲んでいた。
「ユリ、ありがとう。あなたがいてくれるおかげで、本当に助かってるわ。でも、ちゃんと休んでね。ユリだって疲れてるでしょう?」
私の言葉に、ユリは薄く笑いながら首を横に振った。
「十分に休んでるよ、大丈夫です。」
(絶対嘘だわ。全然休んでない顔してる癖に…)
心の中でツッコミを入れるものの、その言葉は口には出さなかった。ユリが私のためにここまでしてくれていることは痛いほど伝わっていたからだ。それでも彼の疲れた顔を見るたびに、どうにかして休ませてあげたいと思ってしまう。
少し沈黙が続き、私はふと気になっていたことを思い切って口にした。
「ねえ、ユリ…そろそろ私たち、敬語をやめにしない?」
ユリは一瞬だけ目を見開き、考えるように息を吐いた。その仕草にはいつもの余裕はなく、少しばかり戸惑いが見えた。
「メイは普通に話してくれて構いません。でも、俺はもう少し時間が欲しいんです。」
「時間?どうして?」
「俺は切り替えが凄く下手なんです。」彼は少し自嘲するような笑みを浮かべ、言葉を続けた。「もともと、誰かに優しく接するタイプではありませんでしたから。もしメイに対して、無意識にぶっきらぼうな言葉を口にしてしまったら…俺はもう立ち直れないと思うんです。」
その言葉に、私の胸がぎゅっと締め付けられるような感覚を覚えた。そんなに自分を追い詰めていたなんて…。私は、彼の手をそっと握りしめ、できるだけ優しい声で答えた。
「それは、大変ね。…でも、私はそんなことで怒ったりしないわ。」
ユリの目が少しだけ丸くなり、彼の口元にふわりと柔らかな笑みが浮かんだ。その笑顔を見ると、なぜだか私まで顔が熱くなる。
「メイがそう言ってくれるなら嬉しいです。でも、もう少しだけ時間をくださいね。俺なりに、頑張ってみますから。」
彼の優しさと真剣さに触れ、私の心には温かなものが広がった。少し照れ臭くなり、私は話題を変えることにした。
「わ、わかった。それで…王城で何があったの?」
その問いに、ユリは一瞬だけ眉を寄せ、逡巡するような表情を見せた。そして、深く息を吐き、困ったような笑みを浮かべた。
「その話は…子供を無事に産んでからにしましょう。」
「えっ!?いや、ちゃんと聞かないと不安で眠れないわ!また何か勝手にやらかしてるんじゃないかって思っちゃうもの。」
ユリは苦笑しながら私を見つめ、その目にはほんの少しの迷いが見えた。しばらくの沈黙の後、彼は観念したように頷いた。
「分かりました。ただし、もし気分が悪くなったらすぐに言ってくださいね。…どこから話せばいいでしょうか。」
そう言いながら、彼は私の手をそっと包み込むように握り、優しく親指で撫でた。その仕草に、彼がどれだけ私を気遣っているかが伝わり、心が温かくなる。
ユリは言葉を慎重に選びながら、事件の経緯を静かに説明した。
「王城では、王子の剣術訓練中に不幸な事故が起きました。俺の代わりに訓練を任せていた騎士が、使っていた木刀を壊してしまい、やむを得ず王子に真剣を持たせたんです。その後、王子が誤って剣を振り下ろした際、その騎士を斬りつけてしまいました。意図せず起きた出来事でしたが…非常に痛ましい結果になりました。」
ユリの声には深い苦悩が滲み、言葉を絞り出すたびに、彼の心が重く揺れているのが分かった。
「俺はどうすれば…どうして昨日、自分を抑えることができなかったんだ…。」
隣で呟くユリドレの声には、自責の念が滲んでいた。彼は目の前で苦しむ私の姿を見て、どうすることもできない無力感を味わっているようだった。
「だ、大丈夫…。それは多分関係ありませんので…。」
私は絞り出すように答えるが、声は弱々しく、力が入らなかった。
「大丈夫ですよ、少し辛い時期があると思いますが…。きちんと栄養を摂り、十分な休息を取ることが大切です。また、何か心配事や不安なことがあれば、いつでも相談してくださいね。」
女性医師は優しく微笑みながら診察を終え、私を安心させようとしてくれた。その言葉に、ユリドレの緊張が少し緩むのがわかった。
「ハーフ同士でも無事出産した例はあるんだな?」
ユリドレは食い入るように医師に問いかけた。その瞳には、焦りと希望が入り混じった光が宿っていた。
「はい、実際にこの国でハーフ同士の方が無事に出産した例もございます。ただ、そのようなケースは非常にまれですので、周囲のサポートと適切なケアが重要です。私たちは最善を尽くしますので、安心してください。」
女性医師の言葉は穏やかで、その微笑みには確かな自信が感じられた。
医師が部屋を後にすると、ユリドレはすぐに私の隣に座った。
「女性の医師は珍しいですね。」
弱々しく問いかける私に、彼は誇らしげに答えた。
「はい、メイのために全国から探し出しました。」
(またとんでもないことを…本当にこの人は…。)
私は心の中で呆れながらも、そんな彼の過剰なまでの愛情に、少しだけ心が軽くなるのを感じた。
ユリドレはそっと私の額に手を当て、汗を感じるとすぐに立ち上がった。しばらくして戻ってくると、手には温かいタオルを持っていた。
「少し顔を拭きますね。」
彼の声は柔らかく、まるで壊れ物を扱うかのように慎重だった。タオルが顔に触れるたびに、その温かさが心地よく、彼の優しさが伝わってくる。
次に、彼はテーブルの上に用意してあった水差しを手に取り、グラスに水を注いだ。そして私の背中に手を回し、慎重に体を起こす。
「少しだけ、これを飲んでください。」
彼が差し出したグラスを口元に運ぶと、手が震えて水が少しこぼれるのを見て、彼がいかに緊張しているかが伝わってきた。
「ありがとう、ユリ…。」
私は小さく微笑みながら礼を言ったが、その言葉が彼にとってどれほどの救いになったのか、彼の表情を見てすぐに分かった。ユリドレの顔が少し緩み、安心したように息をついた。
ユリドレは私が楽に眠れるように、ベッドの枕を整え、毛布を優しく掛け直してくれた。その細やかな気遣いに、私は彼の愛情を改めて感じた。彼はそれだけでは終わらず、部屋の明かりを調整し、私の体調に合うように空気を入れ替えたりと、休む間もなく動き回っていた。
時折、彼は私の顔をじっと見つめていた。そこには心配や不安、そして私をどうにかして支えたいという強い思いが読み取れた。
彼は私が完全に眠りにつくまで、決してその場を離れることはなかった。椅子に腰掛け、私の顔をじっと見守りながら、私の呼吸の音に耳を傾けていた。その優しい視線は、まるで私が眠る天使のように見えているのではないかと思わせるほどだった。
やがて、つわりの辛さも少し和らぎ、私は深い眠りに落ちていった。その間も、ユリドレは私の隣で変わらず見守り続けていた。
数日が経ち、つわりの症状が徐々に落ち着いてきた。以前のようなひどい吐き気は和らいだものの、まだ体は重く、ベッドの上で過ごす時間が続いていた。その間もユリは一瞬たりとも私の側を離れようとせず、まるで自分の使命のように私を見守り続けていた。
彼はベッド脇の椅子に腰掛け、静かに私の髪を撫でる。その手のひらの温もりは、どこかくすぐったくて、優しくも心地よかった。ユリの顔を見上げると、彼は私の顔をじっと見つめ、柔らかい微笑みを浮かべていた。その目には深い愛情と、言葉にしきれないような切なさが滲んでいた。
「ユリ、ありがとう。あなたがいてくれるおかげで、本当に助かってるわ。でも、ちゃんと休んでね。ユリだって疲れてるでしょう?」
私の言葉に、ユリは薄く笑いながら首を横に振った。
「十分に休んでるよ、大丈夫です。」
(絶対嘘だわ。全然休んでない顔してる癖に…)
心の中でツッコミを入れるものの、その言葉は口には出さなかった。ユリが私のためにここまでしてくれていることは痛いほど伝わっていたからだ。それでも彼の疲れた顔を見るたびに、どうにかして休ませてあげたいと思ってしまう。
少し沈黙が続き、私はふと気になっていたことを思い切って口にした。
「ねえ、ユリ…そろそろ私たち、敬語をやめにしない?」
ユリは一瞬だけ目を見開き、考えるように息を吐いた。その仕草にはいつもの余裕はなく、少しばかり戸惑いが見えた。
「メイは普通に話してくれて構いません。でも、俺はもう少し時間が欲しいんです。」
「時間?どうして?」
「俺は切り替えが凄く下手なんです。」彼は少し自嘲するような笑みを浮かべ、言葉を続けた。「もともと、誰かに優しく接するタイプではありませんでしたから。もしメイに対して、無意識にぶっきらぼうな言葉を口にしてしまったら…俺はもう立ち直れないと思うんです。」
その言葉に、私の胸がぎゅっと締め付けられるような感覚を覚えた。そんなに自分を追い詰めていたなんて…。私は、彼の手をそっと握りしめ、できるだけ優しい声で答えた。
「それは、大変ね。…でも、私はそんなことで怒ったりしないわ。」
ユリの目が少しだけ丸くなり、彼の口元にふわりと柔らかな笑みが浮かんだ。その笑顔を見ると、なぜだか私まで顔が熱くなる。
「メイがそう言ってくれるなら嬉しいです。でも、もう少しだけ時間をくださいね。俺なりに、頑張ってみますから。」
彼の優しさと真剣さに触れ、私の心には温かなものが広がった。少し照れ臭くなり、私は話題を変えることにした。
「わ、わかった。それで…王城で何があったの?」
その問いに、ユリは一瞬だけ眉を寄せ、逡巡するような表情を見せた。そして、深く息を吐き、困ったような笑みを浮かべた。
「その話は…子供を無事に産んでからにしましょう。」
「えっ!?いや、ちゃんと聞かないと不安で眠れないわ!また何か勝手にやらかしてるんじゃないかって思っちゃうもの。」
ユリは苦笑しながら私を見つめ、その目にはほんの少しの迷いが見えた。しばらくの沈黙の後、彼は観念したように頷いた。
「分かりました。ただし、もし気分が悪くなったらすぐに言ってくださいね。…どこから話せばいいでしょうか。」
そう言いながら、彼は私の手をそっと包み込むように握り、優しく親指で撫でた。その仕草に、彼がどれだけ私を気遣っているかが伝わり、心が温かくなる。
ユリは言葉を慎重に選びながら、事件の経緯を静かに説明した。
「王城では、王子の剣術訓練中に不幸な事故が起きました。俺の代わりに訓練を任せていた騎士が、使っていた木刀を壊してしまい、やむを得ず王子に真剣を持たせたんです。その後、王子が誤って剣を振り下ろした際、その騎士を斬りつけてしまいました。意図せず起きた出来事でしたが…非常に痛ましい結果になりました。」
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