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シーズン1
42.小さな家に灯る大きな絆
数日が経過しても、ミレーヌの姿は現れなかった。私は彼女が無事にたどり着くのを心待ちにしていたが、その姿が見えないことで不安が増していくばかりだった。朝、目覚めるたびに彼女が玄関に立っているのではないかと期待するが、その期待は日々裏切られた。
「お嬢様、朝食が整いました。」
ラズベルの柔らかな声に促され、テーブルについたものの、食事が喉を通る気がしなかった。目の前のパンやスープの香りも、今の私には何の魅力も感じられない。
「…ありがとう。でも、あまり食べられそうにないわ。」
「お嬢様、しっかりお食事を取らないと倒れてしまいます。どうか無理をなさらず、少しずつでも。」
ラズベルの優しい言葉にうなずきながらも、心の中はミレーヌへの心配でいっぱいだった。彼女が無事なのか、それとも何か危険な目に遭っているのか。もし、ユリに見つかってしまったら――その考えが頭をよぎるたび、冷や汗が背中を流れた。
リビングのソファに腰掛け、窓の外をぼんやりと見つめる。秋風が木々を揺らし、葉がひらひらと舞い落ちていた。その静かな光景が、私の胸に余計な寂しさを広げる。
「どうして、来ないの…?」
私は小さな声で呟いた。その言葉は誰にも届かず、ただ自分の耳に虚しく響くだけだった。
ラズベルもまた、ミレーヌが来ないことに困惑している様子だった。彼女は私に言葉をかけるたびに、どこか落ち着かない表情を見せていた。
「お嬢様、新聞が届きました。ご覧になりますか?」
「えぇ…見せて。」
ラズベルが持ってきた新聞を開くと、そこには王国の重要な情報が大きく掲載されていた。王子が深刻な心の病により地方領地へ送られたこと。そして、新しい王には第二王子ディッケルが即位する可能性が高いことが記されていた。
「おかしいわ…。」
私は声を漏らした。一度目と二度目の人生では、ディッケルという王子は存在していなかった。ユリが引き起こしたあの事件が、この世界を変えてしまったのだと確信した。
新聞を閉じ、思考を巡らせていたその時、メアルーシュが部屋の中でおもちゃをいじりながら楽しそうに笑っていた。彼の無邪気な笑顔が、わずかに私の心を和らげた。
しかし、次の瞬間――。
「えっ!?」
おもちゃが突然発火したのだ。私は一瞬その場に固まり、次に起こることを恐れたが、すぐに反応してメアルーシュを抱き上げた。
「大丈夫!?」
火を消そうと手を伸ばしたその瞬間、不思議なことに炎が突然消えた。
「あ…何だったの?」
私の声は震えていた。息を切らしながらメアルーシュをしっかりと抱きしめ、その無事を確かめる。
ラズベルも慌てて駆け寄ってきた。
「お嬢様、大丈夫ですか!?」
「えぇ、ありがとう。でも…彼が火を…。」
私は視線を息子に向けた。メアルーシュは何事もなかったかのように、再びおもちゃに手を伸ばしていた。
「やっぱり…レッドナイト公爵家の血筋だから、こんな小さいうちから火を使えるなんて…。驚いたわ。」
「なるほど…。しかし、まだ赤ちゃんなのにそんな能力が目覚めるなんて、本当に珍しいですね。」
ラズベルの言葉にうなずきながらも、私はどうすればよいのか途方に暮れていた。この能力が何かの災いを招かないか。周囲に知られたら、彼の命が狙われるのではないか――不安が次々と押し寄せる。
「…仕方がないわね。お父様に相談しようかしら。」
ふと、ブルービショップ家の父の顔が脳裏をよぎる。彼なら、この状況に何かアドバイスをくれるかもしれない。
しかし――。
「いや、手紙を送るのは危険ね。もし公爵家に見つかれば…。」
私は自問自答を繰り返しながら、答えの出ない苦悩に心を乱された。
「お嬢様、どうされますか?」
ラズベルが心配そうに尋ねる。
「まずはこの家でできる限り彼を見守るわ。それに…ミレーヌが来るのを待ちたい。」
私は息子をそっと抱き上げ、彼の愛らしい顔を見つめた。
「あなたはこんなにも特別なのね。私が守らなきゃ。」
その瞬間、小さな手が私の頬に触れ、彼の純粋な笑顔が私の心を温かく包んだ。私は心の中で、もう一度強く誓った。
しばらくソファーに腰掛け、頭を抱えながら考え込んでいた時、突然玄関からベルが鳴った。その音が静寂を切り裂き、私の心臓は驚きと共に高鳴った。思わずメアルーシュを抱きしめ、ラズベルの方を見た。
「どなたでしょうか…?」
ラズベルは警戒しつつも、私を安心させるように穏やかに微笑んでみせた。そして、すぐに立ち上がり、玄関へ向かった。
私は緊張で胸が締め付けられるようだった。訪問者がミレーヌであることを願う一方で、もしユリがここを突き止めて来たのだとしたら――そんな最悪の想像が頭をよぎり、手が震えた。
玄関に着いたラズベルは、ドアの前で一呼吸置いた。彼女が緊張をほぐそうとするように、そっと深呼吸する音が微かに聞こえた。その間、私の耳には自分の鼓動だけが大きく響いていた。
「どなたですか?」
ラズベルの声は落ち着いていたが、ほんの少しだけ硬さが混じっていた。そして、ゆっくりとドアが開かれる。
その瞬間――。
「ミレーヌさん…!」
ラズベルの驚いた声が響いた。
私の心臓が一瞬止まったような気がした。そして、急いで玄関へ向かう。走る足音が響き、息を切らしながら玄関にたどり着くと、そこにはボロボロの姿のミレーヌが立っていた。
彼女の服はところどころ破れ、薄汚れており、髪も乱れている。しかし、そんな状態にもかかわらず、彼女の顔には安堵の色が浮かび、微笑んでいた。
「ミレーヌ…!」
私は思わず名前を呼び、駆け寄った。彼女は私を見つめ、疲れ切った顔で小さく頷いた。そして、かすれた声で言った。
「遅くなり、申し訳ございません。お嬢様…。」
その一言が、張り詰めていた私の心を一気に崩壊させた。込み上げる感情が抑えられず、涙が頬を伝う。
「ミレーヌ…!無事でいてくれて…本当に良かった…!」
声が震え、言葉が詰まる。私は彼女の手を握りしめ、その温もりを確かめた。その手は冷たく、荒れていたが、確かに生きてここにいることを感じられた。
「お嬢様…。」
ミレーヌは微笑みながら、私の手をそっと握り返した。その笑顔は、彼女自身が無事でいることの証明のように見えた。
「入って、座って…!」
私は彼女を中に招き入れようとしたが、ミレーヌはゆっくりと首を横に振った。
「ご無事でいてくださったことが、何よりも嬉しいのです…。それだけで…十分です。」
その言葉に、さらに涙が溢れた。彼女がどれだけの覚悟でここにたどり着いたのかを思うと、胸が締め付けられるようだった。
「いいえ、入って。温かい飲み物を用意するわ。まずは休んで、少しでも体力を取り戻して。」
ラズベルもそっとミレーヌの肩に手を置き、優しい声で言った。「お嬢様の言う通りです。まずはお体を休めてください。」
ミレーヌはしばらくの間、頑なに首を横に振っていたが、ついに折れて玄関を一歩踏み出した。足取りは重く、それでも彼女がここまでたどり着いた強さが感じられた。
リビングに入ると、ラズベルがすぐに毛布を用意し、ミレーヌの肩にかけた。その間、私は彼女の隣に座り、目を合わせた。
「本当に…ありがとう…。無事でいてくれて、ありがとう…。」
その言葉しか言えなかったが、私の心からの想いが伝わったのか、ミレーヌは微笑んで頷いた。
彼女がここにいるという事実が、私にとって何よりの救いだった。この小さな家の中で、再び安心と信頼が育まれていく気がした。
「お嬢様、朝食が整いました。」
ラズベルの柔らかな声に促され、テーブルについたものの、食事が喉を通る気がしなかった。目の前のパンやスープの香りも、今の私には何の魅力も感じられない。
「…ありがとう。でも、あまり食べられそうにないわ。」
「お嬢様、しっかりお食事を取らないと倒れてしまいます。どうか無理をなさらず、少しずつでも。」
ラズベルの優しい言葉にうなずきながらも、心の中はミレーヌへの心配でいっぱいだった。彼女が無事なのか、それとも何か危険な目に遭っているのか。もし、ユリに見つかってしまったら――その考えが頭をよぎるたび、冷や汗が背中を流れた。
リビングのソファに腰掛け、窓の外をぼんやりと見つめる。秋風が木々を揺らし、葉がひらひらと舞い落ちていた。その静かな光景が、私の胸に余計な寂しさを広げる。
「どうして、来ないの…?」
私は小さな声で呟いた。その言葉は誰にも届かず、ただ自分の耳に虚しく響くだけだった。
ラズベルもまた、ミレーヌが来ないことに困惑している様子だった。彼女は私に言葉をかけるたびに、どこか落ち着かない表情を見せていた。
「お嬢様、新聞が届きました。ご覧になりますか?」
「えぇ…見せて。」
ラズベルが持ってきた新聞を開くと、そこには王国の重要な情報が大きく掲載されていた。王子が深刻な心の病により地方領地へ送られたこと。そして、新しい王には第二王子ディッケルが即位する可能性が高いことが記されていた。
「おかしいわ…。」
私は声を漏らした。一度目と二度目の人生では、ディッケルという王子は存在していなかった。ユリが引き起こしたあの事件が、この世界を変えてしまったのだと確信した。
新聞を閉じ、思考を巡らせていたその時、メアルーシュが部屋の中でおもちゃをいじりながら楽しそうに笑っていた。彼の無邪気な笑顔が、わずかに私の心を和らげた。
しかし、次の瞬間――。
「えっ!?」
おもちゃが突然発火したのだ。私は一瞬その場に固まり、次に起こることを恐れたが、すぐに反応してメアルーシュを抱き上げた。
「大丈夫!?」
火を消そうと手を伸ばしたその瞬間、不思議なことに炎が突然消えた。
「あ…何だったの?」
私の声は震えていた。息を切らしながらメアルーシュをしっかりと抱きしめ、その無事を確かめる。
ラズベルも慌てて駆け寄ってきた。
「お嬢様、大丈夫ですか!?」
「えぇ、ありがとう。でも…彼が火を…。」
私は視線を息子に向けた。メアルーシュは何事もなかったかのように、再びおもちゃに手を伸ばしていた。
「やっぱり…レッドナイト公爵家の血筋だから、こんな小さいうちから火を使えるなんて…。驚いたわ。」
「なるほど…。しかし、まだ赤ちゃんなのにそんな能力が目覚めるなんて、本当に珍しいですね。」
ラズベルの言葉にうなずきながらも、私はどうすればよいのか途方に暮れていた。この能力が何かの災いを招かないか。周囲に知られたら、彼の命が狙われるのではないか――不安が次々と押し寄せる。
「…仕方がないわね。お父様に相談しようかしら。」
ふと、ブルービショップ家の父の顔が脳裏をよぎる。彼なら、この状況に何かアドバイスをくれるかもしれない。
しかし――。
「いや、手紙を送るのは危険ね。もし公爵家に見つかれば…。」
私は自問自答を繰り返しながら、答えの出ない苦悩に心を乱された。
「お嬢様、どうされますか?」
ラズベルが心配そうに尋ねる。
「まずはこの家でできる限り彼を見守るわ。それに…ミレーヌが来るのを待ちたい。」
私は息子をそっと抱き上げ、彼の愛らしい顔を見つめた。
「あなたはこんなにも特別なのね。私が守らなきゃ。」
その瞬間、小さな手が私の頬に触れ、彼の純粋な笑顔が私の心を温かく包んだ。私は心の中で、もう一度強く誓った。
しばらくソファーに腰掛け、頭を抱えながら考え込んでいた時、突然玄関からベルが鳴った。その音が静寂を切り裂き、私の心臓は驚きと共に高鳴った。思わずメアルーシュを抱きしめ、ラズベルの方を見た。
「どなたでしょうか…?」
ラズベルは警戒しつつも、私を安心させるように穏やかに微笑んでみせた。そして、すぐに立ち上がり、玄関へ向かった。
私は緊張で胸が締め付けられるようだった。訪問者がミレーヌであることを願う一方で、もしユリがここを突き止めて来たのだとしたら――そんな最悪の想像が頭をよぎり、手が震えた。
玄関に着いたラズベルは、ドアの前で一呼吸置いた。彼女が緊張をほぐそうとするように、そっと深呼吸する音が微かに聞こえた。その間、私の耳には自分の鼓動だけが大きく響いていた。
「どなたですか?」
ラズベルの声は落ち着いていたが、ほんの少しだけ硬さが混じっていた。そして、ゆっくりとドアが開かれる。
その瞬間――。
「ミレーヌさん…!」
ラズベルの驚いた声が響いた。
私の心臓が一瞬止まったような気がした。そして、急いで玄関へ向かう。走る足音が響き、息を切らしながら玄関にたどり着くと、そこにはボロボロの姿のミレーヌが立っていた。
彼女の服はところどころ破れ、薄汚れており、髪も乱れている。しかし、そんな状態にもかかわらず、彼女の顔には安堵の色が浮かび、微笑んでいた。
「ミレーヌ…!」
私は思わず名前を呼び、駆け寄った。彼女は私を見つめ、疲れ切った顔で小さく頷いた。そして、かすれた声で言った。
「遅くなり、申し訳ございません。お嬢様…。」
その一言が、張り詰めていた私の心を一気に崩壊させた。込み上げる感情が抑えられず、涙が頬を伝う。
「ミレーヌ…!無事でいてくれて…本当に良かった…!」
声が震え、言葉が詰まる。私は彼女の手を握りしめ、その温もりを確かめた。その手は冷たく、荒れていたが、確かに生きてここにいることを感じられた。
「お嬢様…。」
ミレーヌは微笑みながら、私の手をそっと握り返した。その笑顔は、彼女自身が無事でいることの証明のように見えた。
「入って、座って…!」
私は彼女を中に招き入れようとしたが、ミレーヌはゆっくりと首を横に振った。
「ご無事でいてくださったことが、何よりも嬉しいのです…。それだけで…十分です。」
その言葉に、さらに涙が溢れた。彼女がどれだけの覚悟でここにたどり着いたのかを思うと、胸が締め付けられるようだった。
「いいえ、入って。温かい飲み物を用意するわ。まずは休んで、少しでも体力を取り戻して。」
ラズベルもそっとミレーヌの肩に手を置き、優しい声で言った。「お嬢様の言う通りです。まずはお体を休めてください。」
ミレーヌはしばらくの間、頑なに首を横に振っていたが、ついに折れて玄関を一歩踏み出した。足取りは重く、それでも彼女がここまでたどり着いた強さが感じられた。
リビングに入ると、ラズベルがすぐに毛布を用意し、ミレーヌの肩にかけた。その間、私は彼女の隣に座り、目を合わせた。
「本当に…ありがとう…。無事でいてくれて、ありがとう…。」
その言葉しか言えなかったが、私の心からの想いが伝わったのか、ミレーヌは微笑んで頷いた。
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