48 / 128
シーズン1
48.母を守る幼き声
息子を抱えながら家を出た私、メイシール・レッドナイト。あれから1ヶ月が過ぎようとしていた。平穏ではないが、命の危機を逃れるためのこの生活に、少しずつ慣れ始めていた。
そんなある日、届いた新聞を何気なく開いた瞬間、目に飛び込んできた見出しに全身が凍りついた。
【レッドナイト公爵家の子息とその家族、馬車事故で行方不明!】
一瞬、理解が追いつかない。視界が揺れる。心臓が急速に早まり、手元の新聞が震える。
「な、なによこれ!!?」
声にならない悲鳴が喉から漏れた。この意味不明な報道は何?私たちはここにいる。馬車に乗ることすらしていない。じゃあこれは誰?ユリ?彼は本当に無事なの?もし無事じゃないのなら、誰と一緒だったの?
「ユリ…。ユリの馬鹿…。」
怒り、困惑、悲しみが入り混じり、涙が止めどなく溢れ出す。感情の奔流に飲まれ、新聞をその場でビリビリと破り捨てた。破れた紙片が床に散らばるのを見つめながら、堪えきれず膝をついた。
「奥様、大丈夫ですか?」
ミレーヌがそっと声をかけてきたが、私の耳には届かない。心の中は混乱の嵐だった。泣き声を聞いてしまった息子がぐずり始めるのがわかる。それでも、彼をあやす余裕すら持てなかった。
「きっと何かの間違いです。やはり、旦那様に直接相談しにいかれたほうが良いと私は思うのですが…。」とミレーヌは言う。
「会ってどうするっていうの?…許しを乞うの?…ルーが殺されてしまったら私…、私だけなら殺されてもいいの…。でも…ルーは…ルーだけは…。それに…今は行方不明じゃない…。」
その言葉を言い終えると、私の中で押し込めていたものが一気に溢れ出した。ユリが他の誰かと子供を持ったと考えると、嫉妬が胸を締め付ける。けれど同時に、もし彼が危険にさらされているならと思うと、不安が押し寄せる。
ミレーヌがルーをあやし、泣き声が徐々に治まるのを感じながら、ラズベルが私の肩に手を置いた。
「奥様、すみません。奥様が一番苦しんでいる時に私は浮かれてばかりいて…。」
「ううん、いいの。アナタの仕事は子爵令嬢のラズベルとしてここで幸せに過ごすこと…だからね。」
「ですが…。」
「それ以上何か言ったら、給料を上げちゃうわよ。」
「ひぃっ!?これ以上は受け取れません!!それでなくとも幸せ過ぎて、壊れてしまいそうで心配ですのに…。」
「ラズベルはそれでいいの。」
彼女の笑顔に少しだけ癒される。けれど心の奥底では、まだユリへの気持ちが渦巻いていた。ふと、自分でも気づかなかった思いが頭をよぎる。
――あれ?私…さっきからずっと、ユリを自分のものにしたいと考えてる?
自分でも驚くほどはっきりとした感情が芽生えた。気づけば、涙がまた頬を伝っている。
――あぁ…なんだ。私、ユリのことがこんなにも好きだったんだ。愛していたんだ。あれだけ面倒な人だと思ってたのに…。
涙と共に、胸の中にたまっていた気持ちが溢れ出す。
「ほんとに…面倒な人。」
その言葉に、思わず笑みがこぼれる。それでも、流れる涙が止まらなかった。愛するということは、こんなにも痛いものだっただろうか。こんなにも強く誰かを求める気持ちは、これまでの人生で経験したことがなかった。
その夜、私は枕を濡らしながら、ユリへの気持ちと向き合った。彼を取り戻したい。その思いが、私の胸を熱く締め付けたのだった。
王歴820年。ユリが姿を消してから1年が過ぎようとしていた。この静かな家での日々は、穏やかなはずなのに、私にとっては孤独と不安の連続だった。息子のメアルーシュの成長は喜びそのもので、その笑顔が唯一の救いだった。しかし、それでもユリの姿が見えないという現実が、私の心を締め付け続けていた。
ある日の午後、玄関のベルが鳴った。
今日はミレーヌが私用で外出し、ラズベルも買い出しに出かけている。家には私とルーだけ。誰が来たのかと胸がざわついた。不安が心を覆い、息が浅くなるのを感じながら、私は慌ててスカーフを手に取り、顔が見えないように巻いた。
「誰かが私を見つけたの?まさか…ユリ?」
そんな考えが頭をよぎる中、慎重に玄関へ向かった。手が震えながらドアノブに触れ、ゆっくりと開けると、目の前にはレオルの姿があった。
「不味い!」内心でそう叫んだ。ラズベルのフリをしなければならない。私は即座に彼女の声を思い出し、少し高めのトーンで口を開いた。
「あー…ご機嫌よう。えっと、ラズベル。その恰好はどうしたの?なんか身長縮んでないか?」
レオルが疑いの目を向けてくる。私は背を伸ばして笑いを装った。
「えーっと、寝起きで…。猫背になってるのかしら。」
「ははっ。それは間が悪い時に来てしまったね。」
レオルの柔らかな笑顔に、私は心の中で冷や汗をかきながらも、なんとか自然な返答を心がけた。
「それで、どうかされましたか?」
「明後日に一緒に劇を見に行かないか?どうしても、君と一緒に見たいんだ。」
その申し出に、心臓がドクンと跳ねた。私がラズベルでないと気づかれたらどうなる?緊張で息が詰まりそうになる中、必死に冷静を装った。
「えっと、その…そうだね、一緒に行くのはいいかもしれないね。」
その場しのぎの言葉を紡ぎながら、頭の中では「断るべきか」「でもそれでは怪しまれる」と迷いが渦巻いていた。
「じゃあ、明後日の朝にここに迎えにくるよ。」
レオルの言葉に、私はぎこちなく頷いた。彼はそれ以上何も言わずに立ち去っていった。
彼が完全に立ち去ったのを確認すると、私は思わずその場にへたり込んだ。体中の緊張が一気に抜け、膝が震えているのが自分でも分かった。スカーフを乱暴に外して床に置き、胸を押さえながら荒い息を整えた。
「やった…やりきったわ…!」
口元から小さな笑い声が漏れた。それは、緊張が解けた安堵と、自分が見事に役を演じ切った達成感から生まれたものだった。私は心の中で、さっきの自分に拍手を送りたくなるほどだった。
鏡のように反射する玄関の窓ガラスに映る自分の姿を見て、なんとかラズベルになりきれたことを再確認する。普段と違う声色で話し、自然に背伸びをするという苦肉の策も、どうにか功を奏したようだ。
「ふぅ…」と大きな息を吐き出しながら、玄関の壁に背を預け、天井を見上げた。
「私、うまくやれたのよね…。いや、絶対にやりきったわ。」
だが、笑顔を浮かべたその瞬間、胸の奥に少しだけ冷たい感情が流れ込むのを感じた。それは、達成感と安堵の中に、わずかな後ろめたさが入り混じったものだった。彼を騙し、嘘をつき、ひとまずこの場を切り抜けたことへの罪悪感が、ほんの小さな棘のように心を刺していた。
「ラズベル…。あなたってこんな感じなのかしら?」
彼女の役を演じ切る自分を少し不思議に感じながらも、同時に心のどこかで、彼女の存在に感謝していた。彼女という「役割」があったからこそ、私はこの場を乗り越えることができたのだ。
立ち上がり、玄関に置いたスカーフを拾い上げ、肩にかけた。その手が小さく震えていることに気づき、思わず苦笑いを漏らした。
「次はうまくできるかわからないけど…とりあえず、今日はこれで良しとしましょう。」
何気なくリビングへ戻ると、「父さん殺しちゃダメだ!!」と喋られるわけがない息子が、しっかりとした発音でこちらを向いて叫んでいた。
その驚くべき光景に、私は目を見開いて息子を見つめた。彼の口から出たその言葉は、まるで何かが彼に憑依したかのように思えた。
「え?」
そんなある日、届いた新聞を何気なく開いた瞬間、目に飛び込んできた見出しに全身が凍りついた。
【レッドナイト公爵家の子息とその家族、馬車事故で行方不明!】
一瞬、理解が追いつかない。視界が揺れる。心臓が急速に早まり、手元の新聞が震える。
「な、なによこれ!!?」
声にならない悲鳴が喉から漏れた。この意味不明な報道は何?私たちはここにいる。馬車に乗ることすらしていない。じゃあこれは誰?ユリ?彼は本当に無事なの?もし無事じゃないのなら、誰と一緒だったの?
「ユリ…。ユリの馬鹿…。」
怒り、困惑、悲しみが入り混じり、涙が止めどなく溢れ出す。感情の奔流に飲まれ、新聞をその場でビリビリと破り捨てた。破れた紙片が床に散らばるのを見つめながら、堪えきれず膝をついた。
「奥様、大丈夫ですか?」
ミレーヌがそっと声をかけてきたが、私の耳には届かない。心の中は混乱の嵐だった。泣き声を聞いてしまった息子がぐずり始めるのがわかる。それでも、彼をあやす余裕すら持てなかった。
「きっと何かの間違いです。やはり、旦那様に直接相談しにいかれたほうが良いと私は思うのですが…。」とミレーヌは言う。
「会ってどうするっていうの?…許しを乞うの?…ルーが殺されてしまったら私…、私だけなら殺されてもいいの…。でも…ルーは…ルーだけは…。それに…今は行方不明じゃない…。」
その言葉を言い終えると、私の中で押し込めていたものが一気に溢れ出した。ユリが他の誰かと子供を持ったと考えると、嫉妬が胸を締め付ける。けれど同時に、もし彼が危険にさらされているならと思うと、不安が押し寄せる。
ミレーヌがルーをあやし、泣き声が徐々に治まるのを感じながら、ラズベルが私の肩に手を置いた。
「奥様、すみません。奥様が一番苦しんでいる時に私は浮かれてばかりいて…。」
「ううん、いいの。アナタの仕事は子爵令嬢のラズベルとしてここで幸せに過ごすこと…だからね。」
「ですが…。」
「それ以上何か言ったら、給料を上げちゃうわよ。」
「ひぃっ!?これ以上は受け取れません!!それでなくとも幸せ過ぎて、壊れてしまいそうで心配ですのに…。」
「ラズベルはそれでいいの。」
彼女の笑顔に少しだけ癒される。けれど心の奥底では、まだユリへの気持ちが渦巻いていた。ふと、自分でも気づかなかった思いが頭をよぎる。
――あれ?私…さっきからずっと、ユリを自分のものにしたいと考えてる?
自分でも驚くほどはっきりとした感情が芽生えた。気づけば、涙がまた頬を伝っている。
――あぁ…なんだ。私、ユリのことがこんなにも好きだったんだ。愛していたんだ。あれだけ面倒な人だと思ってたのに…。
涙と共に、胸の中にたまっていた気持ちが溢れ出す。
「ほんとに…面倒な人。」
その言葉に、思わず笑みがこぼれる。それでも、流れる涙が止まらなかった。愛するということは、こんなにも痛いものだっただろうか。こんなにも強く誰かを求める気持ちは、これまでの人生で経験したことがなかった。
その夜、私は枕を濡らしながら、ユリへの気持ちと向き合った。彼を取り戻したい。その思いが、私の胸を熱く締め付けたのだった。
王歴820年。ユリが姿を消してから1年が過ぎようとしていた。この静かな家での日々は、穏やかなはずなのに、私にとっては孤独と不安の連続だった。息子のメアルーシュの成長は喜びそのもので、その笑顔が唯一の救いだった。しかし、それでもユリの姿が見えないという現実が、私の心を締め付け続けていた。
ある日の午後、玄関のベルが鳴った。
今日はミレーヌが私用で外出し、ラズベルも買い出しに出かけている。家には私とルーだけ。誰が来たのかと胸がざわついた。不安が心を覆い、息が浅くなるのを感じながら、私は慌ててスカーフを手に取り、顔が見えないように巻いた。
「誰かが私を見つけたの?まさか…ユリ?」
そんな考えが頭をよぎる中、慎重に玄関へ向かった。手が震えながらドアノブに触れ、ゆっくりと開けると、目の前にはレオルの姿があった。
「不味い!」内心でそう叫んだ。ラズベルのフリをしなければならない。私は即座に彼女の声を思い出し、少し高めのトーンで口を開いた。
「あー…ご機嫌よう。えっと、ラズベル。その恰好はどうしたの?なんか身長縮んでないか?」
レオルが疑いの目を向けてくる。私は背を伸ばして笑いを装った。
「えーっと、寝起きで…。猫背になってるのかしら。」
「ははっ。それは間が悪い時に来てしまったね。」
レオルの柔らかな笑顔に、私は心の中で冷や汗をかきながらも、なんとか自然な返答を心がけた。
「それで、どうかされましたか?」
「明後日に一緒に劇を見に行かないか?どうしても、君と一緒に見たいんだ。」
その申し出に、心臓がドクンと跳ねた。私がラズベルでないと気づかれたらどうなる?緊張で息が詰まりそうになる中、必死に冷静を装った。
「えっと、その…そうだね、一緒に行くのはいいかもしれないね。」
その場しのぎの言葉を紡ぎながら、頭の中では「断るべきか」「でもそれでは怪しまれる」と迷いが渦巻いていた。
「じゃあ、明後日の朝にここに迎えにくるよ。」
レオルの言葉に、私はぎこちなく頷いた。彼はそれ以上何も言わずに立ち去っていった。
彼が完全に立ち去ったのを確認すると、私は思わずその場にへたり込んだ。体中の緊張が一気に抜け、膝が震えているのが自分でも分かった。スカーフを乱暴に外して床に置き、胸を押さえながら荒い息を整えた。
「やった…やりきったわ…!」
口元から小さな笑い声が漏れた。それは、緊張が解けた安堵と、自分が見事に役を演じ切った達成感から生まれたものだった。私は心の中で、さっきの自分に拍手を送りたくなるほどだった。
鏡のように反射する玄関の窓ガラスに映る自分の姿を見て、なんとかラズベルになりきれたことを再確認する。普段と違う声色で話し、自然に背伸びをするという苦肉の策も、どうにか功を奏したようだ。
「ふぅ…」と大きな息を吐き出しながら、玄関の壁に背を預け、天井を見上げた。
「私、うまくやれたのよね…。いや、絶対にやりきったわ。」
だが、笑顔を浮かべたその瞬間、胸の奥に少しだけ冷たい感情が流れ込むのを感じた。それは、達成感と安堵の中に、わずかな後ろめたさが入り混じったものだった。彼を騙し、嘘をつき、ひとまずこの場を切り抜けたことへの罪悪感が、ほんの小さな棘のように心を刺していた。
「ラズベル…。あなたってこんな感じなのかしら?」
彼女の役を演じ切る自分を少し不思議に感じながらも、同時に心のどこかで、彼女の存在に感謝していた。彼女という「役割」があったからこそ、私はこの場を乗り越えることができたのだ。
立ち上がり、玄関に置いたスカーフを拾い上げ、肩にかけた。その手が小さく震えていることに気づき、思わず苦笑いを漏らした。
「次はうまくできるかわからないけど…とりあえず、今日はこれで良しとしましょう。」
何気なくリビングへ戻ると、「父さん殺しちゃダメだ!!」と喋られるわけがない息子が、しっかりとした発音でこちらを向いて叫んでいた。
その驚くべき光景に、私は目を見開いて息子を見つめた。彼の口から出たその言葉は、まるで何かが彼に憑依したかのように思えた。
「え?」
あなたにおすすめの小説
蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
お兄様はやさしく笑って、逃げ道だけをなくしていく
星乃和花
恋愛
縁談に悩む子爵令嬢リゼットが助けを求めたのは、名門侯爵家の長男アルフレッド。
穏やかでやさしく、理想のお兄様のような彼は、「君のことは僕が見ている」と甘く手を差し伸べてくれる。
送り迎え、花や手紙、完璧なエスコート。
守られているだけのはずが、気づけば周囲には「彼女はもうノースウェル侯爵家のもの」という空気ができあがっていて――。
ふわふわ優しいのに、実はかなり策略家。
やさしく逃げ道をなくしてくるお兄様系ヒーローに、恋愛に疎い令嬢がじわじわ囲い落とされていく、甘くて幸せな溺愛ラブストーリー。
――「待つよ」と言いながら、外堀はきっちり埋めてくる――
(完結済ー本編10話+後日談2話)
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
離宮に隠されるお妃様
agapē【アガペー】
恋愛
私の妃にならないか?
侯爵令嬢であるローゼリアには、婚約者がいた。第一王子のライモンド。ある日、呼び出しを受け向かった先には、女性を膝に乗せ、仲睦まじい様子のライモンドがいた。
「何故呼ばれたか・・・わかるな?」
「何故・・・理由は存じませんが」
「毎日勉強ばかりしているのに頭が悪いのだな」
ローゼリアはライモンドから婚約破棄を言い渡される。
『私の妃にならないか?妻としての役割は求めない。少しばかり政務を手伝ってくれると助かるが、後は離宮でゆっくり過ごしてくれればいい』
愛し愛される関係。そんな幸せは夢物語と諦め、ローゼリアは離宮に隠されるお妃様となった。
王宮の万能メイド、偏屈魔術師を餌付けする
葉山あおい
恋愛
王宮で働く勤続八年のメイド、エレナ・フォスター。仕事は完璧だが愛想がない彼女は、いつしか「鉄の女」と呼ばれ恐れられていた。
そんな彼女に下された辞令は、王宮の敷地内にありながら「魔窟」と呼ばれる『北の塔』の専属メイドになること。そこの主である宮廷魔術師団長・シルヴィス・クローデルは、稀代の天才ながら極度の人嫌い&生活能力ゼロの偏屈男だった!
ゴミ屋敷と化した塔をピカピカに掃除し、栄養失調寸前の彼に絶品の手料理を振る舞うエレナ。黄金色のオムレツ、とろける煮込みハンバーグ、特製カツサンド……。美味しいご飯で餌付けされた魔術師様は、次第にエレナへの独占欲を露わにし始めて――?
意地悪な聖女や侯爵夫人のいびりも、完璧なスキルで華麗に返り討ち。平民出身のメイドが、身分差を乗り越えて幸せな花嫁になるまでの、美味しくて甘いシンデレラストーリー。
身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~
椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」
私を脅して、別れを決断させた彼の両親。
彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。
私とは住む世界が違った……
別れを命じられ、私の恋が終わった。
叶わない身分差の恋だったはずが――
※R-15くらいなので※マークはありません。
※視点切り替えあり。
※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。