死に戻り能力家系の令嬢は愛し愛される為に死に戻ります。~公爵の止まらない溺愛と執着~

無月公主

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シーズン1

67.華麗にかわす

パーティー当日の朝、私はユリと一緒に朝食をとりながら、少し気になっていたことを思い出して彼に尋ねた。

「ねぇ、ユリ、そういえば私たちの謹慎って解かれたの?」

ユリは食事の手を止め、微笑みながら答えた。
「はい。王妃が無事に第二子の男の子を授かったそうで、それを機に俺たちの謹慎は解かれましたよ。」

「そうなのね!それなら安心して今日のパーティーに出られるわ。」
私は安堵しながらも、少し興奮気味に返事をした。謹慎中という立場では、どうしても人目を気にしてしまうものだ。解放されたことで、肩の荷が降りた気分だった。

「ですが、油断は禁物です。」
ユリの声が急に引き締まり、私は思わず彼の顔を見た。

「解かれたとはいえ、まだ注目を浴びる立場にあることには変わりありません。特に、今日のような大規模なパーティーでは、俺たちを試そうとする者たちが必ずいます。メイ、慎重に振る舞ってください。」

その真剣な表情に、私も気を引き締める必要があると感じた。
「わかったわ。ユリがいるから大丈夫だと思うけれど、私も気を付けるようにする。」

彼は少し表情を緩め、優しく微笑んだ。
「メイならきっと大丈夫です。今日は俺たちの姿を見せつける良い機会でもあります。堂々と楽しんでください。」

パーティーの時間が近づき、支度を始めることにした。ドレスを選び、髪を整えながら、私は自分の姿が周囲の目にどう映るのかを考えた。ルーの未来のためにも、ここで気後れするわけにはいかない。

ドレッサーの前で仕上げの髪飾りを整えていると、部屋の扉が静かに開いた。振り向くと、そこにはユリが立っていた。彼は私とお揃いの黒い衣装に身を包んでおり、金の刺繍が生地の端々に施されていた。その精緻な装飾が、彼の凛々しい顔立ちをさらに引き立て、思わず息を呑んでしまうほどの威厳を放っていた。

「メイ、準備は整いましたか?」
彼が私をじっと見つめながら近づいてきた。

「ええ、もう少しで。」
私はドレスの裾を整えながら答えたが、彼の視線が私の全身を包み込むように感じられ、頬がほんのり熱くなった。

ユリは私の前で立ち止まり、しばらく何も言わずに見つめてきた。その目に浮かぶ優しさと誇らしさが、私の胸をじんわりと温めていく。

「今日のメイは、本当に美しいですね。」
ユリは柔らかな声でそう言いながら、私の手を取った。その仕草は穏やかでありながら、どこか誓いを立てるような力強さがあった。

「そんなこと言われると照れるわ。」
私は苦笑いを浮かべながらも、彼の言葉が心に響いていた。

私たちは部屋を出て、パーティー会場へ向かう準備が整った。隣を歩くユリの存在が、どんな困難にも立ち向かえる力を与えてくれる。今日はきっと、忘れられない一日になるに違いない。

馬車を降り、ゴールドキング公爵家の壮麗な庭園が目の前に広がった瞬間、思わず息を呑んだ。その庭園はただ美しいだけではなく、花々一つひとつに細工された宝石が光を受けてきらめき、幻想的な世界を創り出していた。薔薇の花びらにはルビーのような赤い輝きが宿り、青い花々はサファイアのように煌めいている。月光とランタンの柔らかな明かりが宝石細工を一層際立たせ、まるで夢の中にいるようだった。

「ゴールドキング公爵家の庭園は評判以上ね…。」
私は隣を歩くユリに小声で感嘆を漏らした。

「ええ。あの庭園を手入れするのに、どれほどの労力がかけられているのか想像するだけで恐ろしいですが。」
ユリは穏やかに笑みを浮かべながら、私の手を軽く握った。その手の温もりが、華やかな世界の中で私を現実に繋ぎ留めてくれる。

庭園を抜けると、大きなホールに通された。高い天井には金と銀で装飾が施され、豪華なシャンデリアが会場全体を明るく照らしていた。広いホールには既に多くの貴族たちが集まっており、その姿は煌びやかで、衣装も宝石も一流品ばかりだ。貴族たちが持つ独特の雰囲気が漂い、軽やかな音楽と共に賑やかな会話が聞こえてくる。

「さすがに大勢来ているわね。」
私はホールを見渡しながらユリに囁いた。

「ゴールドキング公爵家の影響力がいかに大きいか、これを見ただけでも分かりますね。ですが、気を抜かないでください。」
ユリの声は穏やかだったが、その言葉の裏には緊張感が含まれていた。

会場内には、目を引く人物たちがちらほらと見受けられた。美しいドレスに身を包んだ淑女たち、そして気品ある仕草で談笑する紳士たち。彼らの目線が一瞬こちらに集まるのを感じた。

「どうやら、既に注目の的のようです。」
ユリが微笑みながらそう言った。私は背筋を伸ばし、微笑みを浮かべた。

「ルーのためにも、堂々としていなくちゃね。」
ユリが頷くと、私たちはゆっくりと会場の中央へと進んだ。豪華な装飾に囲まれた空間で、これからどんな会話が交わされるのか。私の心には少しの緊張と高揚感が入り混じっていた。

私は貴族たちの視線が何かしらの意図を含んでいることに気づいた。特に一部の淑女たちは、私を見て小声で何か囁き合っている。どうやら、嫌がらせの準備でもしているらしい。

「メイ、気をつけてくださいよ。」
隣でユリが穏やかに囁く。その声は優しいのに、彼の目は既に場を完全に掌握しているように見えた。

ドレスを着た淑女の一人が、私にワインのグラスを差し出してきた。ユリはそれを一瞬で察知し、私が手を伸ばす前に軽やかにそのグラスを取り上げる。

「これは俺がいただきます。」
彼はニッコリ微笑みながら、相手を牽制。淑女は少し焦ったような表情を浮かべていたが、ユリはグラスを手に取りながらさらに一言付け加えた。
「素晴らしい香りですね。ですが、毒物はお控えになった方がよろしいかと。」
相手は青ざめながらそそくさとその場を立ち去った。

次は、他の女性がわざとぶつかるふりをして飲み物を私のドレスにこぼそうとしてきた。しかし、ユリは私を優しく引き寄せ、タイミングを見計らって彼女の動きをかわす。結果、その女性は自分の持っていた飲み物を自分のドレスにぶちまけてしまった。

「お気をつけください、会場での立ち振る舞いは優雅さが命ですから。」
ユリは冷静に微笑みつつ、女性を一瞥。その言葉に周囲の貴族たちがクスクスと笑い始めた。

次に、床に液体をこぼし、私が転ぶように仕向ける悪質な罠が仕掛けられていた。しかし、ユリはその場をさりげなく覆うように立ち、こぼれた液体をハンカチで拭き取ってしまう。

「うっかり者が多いですね。このような場所では、床が清潔であるべきだと改めて感じます。」
これには近くにいた男性貴族たちも苦笑い。ユリの冷静な対処に感心していた。

これら一連の騒動を防いだ後、ユリは私に向き直り、穏やかな笑みを浮かべて言った。
「どうやら、メイを相手にするには皆さん準備不足だったようですね。」

「ユリったら、全部見抜いてるのね。頼りになるけど、ちょっと怖いくらいよ!」
私が半ば呆れながらも感謝を込めてそう言うと、ユリはおどけた表情で肩をすくめた。

「俺がメイを守らずして誰が守るのですか?」
その真剣とも冗談とも取れる言葉に、私も思わず吹き出してしまった。

会場のどこからかため息や失望の声が漏れる中、ユリの腕にそっと手を添えながら私は彼に微笑んだ。嫌がらせの嵐を軽やかに防ぎきる彼の姿は、いつも以上に頼もしく見えたのだった。
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