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シーズン1
68.ゴールドキング公爵家のパーティー
ユリと腕を組みながら会場を進むと、目の前に巨大な人物が立ちはだかっていた。彼はゴールドキング公爵――その名に恥じない威圧感と風格を備えた大柄な男性だ。背丈は私たちの倍近くありそうで、その体躯はまるでライオンとゴリラを足したような迫力だった。
彼の金色の髪はたてがみのように逆立ち、深い瞳は獲物を見据えるような鋭さを帯びている。彼が微笑んだつもりなのか、牙のような歯がちらりと覗き、私は思わず息を呑んだ。
「ようこそ、レッドナイト公爵夫妻。」
低く響く声が私たちを包み込み、全身が振動するように感じた。
「ゴールドキング公爵、この度はご招待ありがとうございます。」
ユリが落ち着いた声で返答すると、公爵はその巨大な手を伸ばしてユリと握手を交わした。手のひらの厚みと力強さに、私は少しだけユリの手を心配してしまった。
次に彼の視線が私に向けられた。まるで全身を見透かされるような感覚に、私は一歩後ずさってしまいそうだったが、ユリがさりげなく私の肩を抱き寄せた。そんな私を見た公爵が低く笑う。
「あなたがレッドナイト公爵夫人か。確かに、美しいが…少し小柄だな。」
彼は私を品定めするように見つめた。
「ゴールドキング公爵、妻を驚かせないでください。彼女はあなたの噂を聞いて少し緊張しているのです。」
ユリが公爵にそう言うと、公爵は再び笑った。その笑い声は低音の雷鳴のようで、周囲の空気が震えた気さえした。
「すまんすまん、そんなつもりはなかったんだ。」
そう言いながら、公爵は私の肩に手を置いた。その手は大きな熊手のようで、私は思わず身をすくめたが、公爵は気にせず続けた。
「この体が少々恐ろしいのは知っているが、俺に悪気はない。遠慮なく楽しむがいい。」
「は、はい…ありがとうございます。」
精一杯の笑顔を浮かべて返事をするも、声が震えてしまう。そんな私を見て、ユリは優しく私の肩を撫でてくれた。その温もりが、私の緊張を少しだけ和らげてくれる。
挨拶を終え、立ち去る私たちに向かって、公爵が最後に一言だけ付け加えた。
「レッドナイト公爵夫妻、ゆっくりと楽しんでいってくれ。」
その後ろ姿さえ巨大で、会場の貴族たちは皆、公爵の存在感に圧倒されているようだった。私はユリにそっと囁いた。
「ユリ…さすがに怖かったわ。」
「俺がいる限り、何も怖がることはありませんよ。」
彼の言葉に救われつつ、私はゴールドキング公爵の迫力をまだ心の中で反芻していた。
音楽が流れ始めると、会場の中心にカップルたちが集まり出し、優雅なダンスが始まった。ゴールドキング公爵のパーティーにふさわしい、気品あるワルツだ。
「メイ、踊りましょう。」
ユリが手を差し出し、私は微笑みながらその手を取った。
会場の中央へと歩み出ると、彼は私の腰に手を添え、リードしてくれる。彼の動きは滑らかで、ダンスフロアを舞うたびに周囲の視線がこちらに集まっているのを感じた。
お互いに目を合わせながら微笑むその瞬間、彼の表情がふと曇った。
「ユリ?」
「いえ…」
彼は一瞬だけ視線をそらし、ため息をつくように小さく息を吐いた。
「ただ、考えてしまったんです。メイにダンスを教えたのが王宮の者だと思うと…」
彼の言葉に私は思わず目を丸くした。
「え!?ち、違うわよ!ダンスだけは、流石に実家で習ったわよ!」
必死に弁解する私に、ユリは驚いたような顔をして、それからクスッと笑った。
「そうですか、それなら安心しました。」
「もう…!」
私はぷくっと頬を膨らませ、彼の胸を軽く叩いた。
「そんなことを心配していたのね。ほんと、ユリったら嫉妬深いんだから。」
「メイのこととなると、つい…。でも、実家で習ったと聞けて、本当に良かったです。」
彼は再び笑顔を見せたが、その顔にはどこか悪戯っぽい表情が浮かんでいた。
「わざと切ない顔をしたんじゃないでしょうね?」
「さあ、どうでしょう?」
そんなやり取りをしている間も、私たちのダンスは優雅に続いていた。最後の旋律が流れる頃には、私たちは自然と息を合わせ、他のどのカップルよりも美しく舞っていた。音楽が終わると、拍手が会場を包み込み、私たちは軽くお辞儀をしてフロアを後にした。
「ユリ、本当にダンスが上手ね。あなたと踊ると、まるでお姫様になった気分だわ。」
「メイは俺にとって、最初からお姫様ですよ。」
そんな甘い言葉に、私は思わず顔が赤くなってしまった。
ダンスを終えた後、ユリと私は会場を回りながら、次々に貴族たちに挨拶をしていった。彼らはそれぞれ華やかな装いで、表面上は丁寧な言葉遣いをしていたが、その裏にある本音がちらほらと見え隠れしていた。
「ユリドレ様、メイシール様。お二人ともお似合いですわ。」
微笑みながら言葉をかけてきた女性の背後から、ヒソヒソと小声が漏れる。
「でも婚約期間が短すぎる上に、あの事故から復帰したばかりでしょ?」
「ええ、しかも公爵夫妻ともあろうお二人があんな派手に転落だなんてね。聞けば謹慎処分だったそうじゃない。」
「まぁ、謹慎が解けた途端にこのお披露目だなんて、急ぎすぎて何か裏があるのかもね。」
「そうよね。まるで何か隠したいことでもあるみたい。」
その声が耳に届いた瞬間、ユリの目が一瞬だけ鋭く光った。彼は私の手を軽く握り、穏やかな笑みを浮かべながらその場を立ち去る。
「メイ、大丈夫ですか?」
耳元でそっと囁かれ、私は小さく頷いた。
「大丈夫よ、気にしてないわ。」
さらに挨拶を続ける中、別の貴族夫人がにこやかな笑顔を浮かべながら、巧妙な言葉を投げかけてきた。
「まあまあ、レッドナイト公爵様、メイシール様。本当に素敵なご夫婦ですわ。でも…転落事故の件、心底驚きましたのよ。謹慎処分中と聞いて心配しておりましたのに、こうしてお元気な姿を拝見できて安心いたしました。それにしても、1年半前のご結婚も急でしたものねぇ…。」
その言葉には巧妙に隠された棘が含まれており、周囲の貴族たちの視線も興味津々に二人を観察しているのが感じられた。
「ありがとうございます。」
ユリは微笑を浮かべながら一瞬間を置き、堂々と言い放った。
「メイとの結婚は、俺にとって人生最大の幸運です。そして、そのおかげでどんな試練も乗り越えられると確信しています。」
ユリは一切動じずに答え、夫人の視線を真っ直ぐ受け止める。
「俺の妻を侮辱するような言葉には、耳を貸すつもりはありませんので。」
その低く響く声に、夫人はわずかに顔色を変えた。
挨拶も終盤に差し掛かった頃、一人の年配の男爵が皮肉たっぷりに話しかけてきた。
「公爵様、ご結婚おめでとうございます。まさか、10歳も年の離れたお相手をお選びになるとは。急な結婚にも驚きましたが、まあ、年の差も大した問題ではないのでしょうな。若いお二人にはお似合いの話ですな。」
その言葉の裏に隠れた侮蔑を感じたユリは、冷静に目を細めて男爵をじっと見つめた。
「ありがとうございます。」ユリは笑みを浮かべつつ、落ち着いた声で答えた。「年齢や速度の問題ではありません。慎重に選び抜いた相手ですからね。俺にとって最高の伴侶です。」
その堂々とした返答には一切の隙がなく、男爵は言葉を詰まらせ、周囲の視線を気にしながら黙り込んだ。
ユリの態度に、私は改めて彼の強さと頼もしさを実感した。彼が隣にいてくれる限り、私はどんな噂にも負けない。
「メイ、そろそろ帰りましょうか。」
ユリが私に声をかける。
「えぇ…。」
私は少し疲れた声で答えながらも、彼の手を取って会場を後にする。
しかし、会場の外へ出た瞬間、突然自分の失態に気づいてしまった。
「あーーーーー!!」
思わず大声を上げ、ユリが驚いたように私を見た。
彼の金色の髪はたてがみのように逆立ち、深い瞳は獲物を見据えるような鋭さを帯びている。彼が微笑んだつもりなのか、牙のような歯がちらりと覗き、私は思わず息を呑んだ。
「ようこそ、レッドナイト公爵夫妻。」
低く響く声が私たちを包み込み、全身が振動するように感じた。
「ゴールドキング公爵、この度はご招待ありがとうございます。」
ユリが落ち着いた声で返答すると、公爵はその巨大な手を伸ばしてユリと握手を交わした。手のひらの厚みと力強さに、私は少しだけユリの手を心配してしまった。
次に彼の視線が私に向けられた。まるで全身を見透かされるような感覚に、私は一歩後ずさってしまいそうだったが、ユリがさりげなく私の肩を抱き寄せた。そんな私を見た公爵が低く笑う。
「あなたがレッドナイト公爵夫人か。確かに、美しいが…少し小柄だな。」
彼は私を品定めするように見つめた。
「ゴールドキング公爵、妻を驚かせないでください。彼女はあなたの噂を聞いて少し緊張しているのです。」
ユリが公爵にそう言うと、公爵は再び笑った。その笑い声は低音の雷鳴のようで、周囲の空気が震えた気さえした。
「すまんすまん、そんなつもりはなかったんだ。」
そう言いながら、公爵は私の肩に手を置いた。その手は大きな熊手のようで、私は思わず身をすくめたが、公爵は気にせず続けた。
「この体が少々恐ろしいのは知っているが、俺に悪気はない。遠慮なく楽しむがいい。」
「は、はい…ありがとうございます。」
精一杯の笑顔を浮かべて返事をするも、声が震えてしまう。そんな私を見て、ユリは優しく私の肩を撫でてくれた。その温もりが、私の緊張を少しだけ和らげてくれる。
挨拶を終え、立ち去る私たちに向かって、公爵が最後に一言だけ付け加えた。
「レッドナイト公爵夫妻、ゆっくりと楽しんでいってくれ。」
その後ろ姿さえ巨大で、会場の貴族たちは皆、公爵の存在感に圧倒されているようだった。私はユリにそっと囁いた。
「ユリ…さすがに怖かったわ。」
「俺がいる限り、何も怖がることはありませんよ。」
彼の言葉に救われつつ、私はゴールドキング公爵の迫力をまだ心の中で反芻していた。
音楽が流れ始めると、会場の中心にカップルたちが集まり出し、優雅なダンスが始まった。ゴールドキング公爵のパーティーにふさわしい、気品あるワルツだ。
「メイ、踊りましょう。」
ユリが手を差し出し、私は微笑みながらその手を取った。
会場の中央へと歩み出ると、彼は私の腰に手を添え、リードしてくれる。彼の動きは滑らかで、ダンスフロアを舞うたびに周囲の視線がこちらに集まっているのを感じた。
お互いに目を合わせながら微笑むその瞬間、彼の表情がふと曇った。
「ユリ?」
「いえ…」
彼は一瞬だけ視線をそらし、ため息をつくように小さく息を吐いた。
「ただ、考えてしまったんです。メイにダンスを教えたのが王宮の者だと思うと…」
彼の言葉に私は思わず目を丸くした。
「え!?ち、違うわよ!ダンスだけは、流石に実家で習ったわよ!」
必死に弁解する私に、ユリは驚いたような顔をして、それからクスッと笑った。
「そうですか、それなら安心しました。」
「もう…!」
私はぷくっと頬を膨らませ、彼の胸を軽く叩いた。
「そんなことを心配していたのね。ほんと、ユリったら嫉妬深いんだから。」
「メイのこととなると、つい…。でも、実家で習ったと聞けて、本当に良かったです。」
彼は再び笑顔を見せたが、その顔にはどこか悪戯っぽい表情が浮かんでいた。
「わざと切ない顔をしたんじゃないでしょうね?」
「さあ、どうでしょう?」
そんなやり取りをしている間も、私たちのダンスは優雅に続いていた。最後の旋律が流れる頃には、私たちは自然と息を合わせ、他のどのカップルよりも美しく舞っていた。音楽が終わると、拍手が会場を包み込み、私たちは軽くお辞儀をしてフロアを後にした。
「ユリ、本当にダンスが上手ね。あなたと踊ると、まるでお姫様になった気分だわ。」
「メイは俺にとって、最初からお姫様ですよ。」
そんな甘い言葉に、私は思わず顔が赤くなってしまった。
ダンスを終えた後、ユリと私は会場を回りながら、次々に貴族たちに挨拶をしていった。彼らはそれぞれ華やかな装いで、表面上は丁寧な言葉遣いをしていたが、その裏にある本音がちらほらと見え隠れしていた。
「ユリドレ様、メイシール様。お二人ともお似合いですわ。」
微笑みながら言葉をかけてきた女性の背後から、ヒソヒソと小声が漏れる。
「でも婚約期間が短すぎる上に、あの事故から復帰したばかりでしょ?」
「ええ、しかも公爵夫妻ともあろうお二人があんな派手に転落だなんてね。聞けば謹慎処分だったそうじゃない。」
「まぁ、謹慎が解けた途端にこのお披露目だなんて、急ぎすぎて何か裏があるのかもね。」
「そうよね。まるで何か隠したいことでもあるみたい。」
その声が耳に届いた瞬間、ユリの目が一瞬だけ鋭く光った。彼は私の手を軽く握り、穏やかな笑みを浮かべながらその場を立ち去る。
「メイ、大丈夫ですか?」
耳元でそっと囁かれ、私は小さく頷いた。
「大丈夫よ、気にしてないわ。」
さらに挨拶を続ける中、別の貴族夫人がにこやかな笑顔を浮かべながら、巧妙な言葉を投げかけてきた。
「まあまあ、レッドナイト公爵様、メイシール様。本当に素敵なご夫婦ですわ。でも…転落事故の件、心底驚きましたのよ。謹慎処分中と聞いて心配しておりましたのに、こうしてお元気な姿を拝見できて安心いたしました。それにしても、1年半前のご結婚も急でしたものねぇ…。」
その言葉には巧妙に隠された棘が含まれており、周囲の貴族たちの視線も興味津々に二人を観察しているのが感じられた。
「ありがとうございます。」
ユリは微笑を浮かべながら一瞬間を置き、堂々と言い放った。
「メイとの結婚は、俺にとって人生最大の幸運です。そして、そのおかげでどんな試練も乗り越えられると確信しています。」
ユリは一切動じずに答え、夫人の視線を真っ直ぐ受け止める。
「俺の妻を侮辱するような言葉には、耳を貸すつもりはありませんので。」
その低く響く声に、夫人はわずかに顔色を変えた。
挨拶も終盤に差し掛かった頃、一人の年配の男爵が皮肉たっぷりに話しかけてきた。
「公爵様、ご結婚おめでとうございます。まさか、10歳も年の離れたお相手をお選びになるとは。急な結婚にも驚きましたが、まあ、年の差も大した問題ではないのでしょうな。若いお二人にはお似合いの話ですな。」
その言葉の裏に隠れた侮蔑を感じたユリは、冷静に目を細めて男爵をじっと見つめた。
「ありがとうございます。」ユリは笑みを浮かべつつ、落ち着いた声で答えた。「年齢や速度の問題ではありません。慎重に選び抜いた相手ですからね。俺にとって最高の伴侶です。」
その堂々とした返答には一切の隙がなく、男爵は言葉を詰まらせ、周囲の視線を気にしながら黙り込んだ。
ユリの態度に、私は改めて彼の強さと頼もしさを実感した。彼が隣にいてくれる限り、私はどんな噂にも負けない。
「メイ、そろそろ帰りましょうか。」
ユリが私に声をかける。
「えぇ…。」
私は少し疲れた声で答えながらも、彼の手を取って会場を後にする。
しかし、会場の外へ出た瞬間、突然自分の失態に気づいてしまった。
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