80 / 128
シーズン1
80.修練島にて
ふと目が覚めると、刺すような陽射しが視界を覆った。眩しさに目を細めながら周囲を見渡すと、自分が砂浜に横たわっていることに気づいた。肌にはひんやりとした砂の感触があり、波の音がかすかに聞こえてくる。
ゆっくりと体を起こし、隣を見るとゼノがぐったりと倒れていた。
「ゼノ!」
息を飲み、すぐに彼の側へ駆け寄る。彼の顔色は青白く、呼吸も浅かったが、胸の上下が微かに動いているのを見て、わずかに安堵した。
「よかった、まだ生きてる…」
ほっと息をつきながら、震える手で彼の体を調べた。大きな傷はないものの、疲労と魔力の消耗が極限に達しているのが明らかだった。
「ゼノ、しっかりして!」
彼の頬を軽く叩きながら呼びかけると、ゼノの眉がわずかに動き、薄く目を開いた。
「奥…様…」
彼のかすれた声が耳に届いた瞬間、胸が締め付けられるような感覚に襲われた。
「ゼノ、よかった!目を覚ましたのね。」
私は思わず涙をこらえながら微笑むと、ゼノは辛そうに上半身を起こした。
「ここは…シルバークイーン領にある修練島のようですね。」
ゼノは周囲を見渡しながら言った。
「修練島?そんな場所があったなんて知らなかったわ。」
私は驚きながら彼に尋ねた。
「ここは、水の特殊能力を持つ者が修練を積むための島です。能力の発現と共に、この島へ送り込まれるのです。」
彼の言葉に、思わず息を呑んだ。
「そうだったの…ゼノがそこまで詳しいなんて。」
「シルバークイーン領は、私の故郷ですから。」
ゼノが冷静に答えるのを聞き、彼の言葉の背景にある重さを感じた。
「そうよね、あなたの銀髪もその証だものね…。でも、ルーとユリは無事かしら…。」
胸の奥に湧き上がる不安を隠せずに呟くと、ゼノは静かに頷いた。
「旦那様と坊ちゃまの安否は気になりますね。急いで状況を確認しないといけません。」
彼はふらつきながらも自力で立ち上がり、周囲を警戒するように見回した。
その時、ゼノは濡れたシャツを脱ぎ、水気を絞った。だが、彼の体に刻まれた無数の古傷と謎の紋様を見た瞬間、私は息を呑み、思わず声を漏らしてしまった。
「ゼノ…その体…」
「これは過去の修練の痕です。気にしないでください。」
ゼノは淡々と答え、濡れたシャツを再び着直した。その冷静な態度とは裏腹に、彼の体には過酷な人生の軌跡が刻まれていた。
(これは修練の痕なんかじゃない。お義母様にどれだけ酷い仕打ちを受けたのか…。ゼノがどれだけの覚悟でユリの側にいてくれたのか。)
心が締め付けられるような思いでゼノを見つめた。
彼は一瞬だけ私を見つめ、静かに口を開いた。
「奥様、ご不安にさせるかもしれませんが、かなり妙な状況です。」
「妙って、どういうこと?」
緊張を感じながら問い返すと、ゼノの視線が鋭くなった。
「まず、奥様のブルービショップ家のタトゥーを確認してもよろしいでしょうか?」
彼の問いに戸惑いながらも頷き、ドレスの裾をそっとめくり、足首に刻まれたタトゥーを見せた。
「……とりあえず、魔力は安定しているようですね。奥様の体に異常はなさそうです。そして、主は無事なようです。」
ゼノは足首のタトゥーに目を落としながら、冷静に告げた。その声に、少しだけ安心が広がる。
「え!?それがわかるの?」
私は驚いて問い返した。
「まぁ、いろいろと分かります。この魔力の光り具合で、魔力の流れを読み取ることが可能です。ただ…主がこの時間になっても奥様を探し出せていないことが妙です。生きているのは間違いありませんが、何かアクシデントが発生しているのは確かでしょう。」
ゼノは眉間にしわを寄せながら、鋭い目でタトゥーを見つめている。その様子から、彼もまた内心で大きな不安を抱えているのが伝わってきた。
「魔力が回復し次第、空を飛んで島から脱出しましょう。」
「空!?ゼノ、あなた飛べるの?」
「お任せください。そのために全身にタトゥーが施されています。私の体は、ありとあらゆる特殊能力を扱うために作り替えられていますから。」
彼は静かに肩をすくめ、控えめな自嘲がその声に混じる。
「あぁ、そうね。一応、ユリから聞いてるわ。でも…やっぱりすごいわね。」
私は少し圧倒されながらも、彼に感嘆の言葉をかけた。ゼノは小さく頷くと、視線を遠くに向けた。
「ありがとうございます。今はまず、少しでも魔力を回復させるために休息を取るのが先決です。」
砂浜の端に目をやると、木陰が少しだけ広がる場所があった。ゼノがその場所を指差し、私を促す。
「ここでお休みください、奥様。」
私たちは木陰に移動し、少しでも風を避けられるよう体勢を整えた。ゼノは足を組んで地面に座ると、静かに瞳を閉じて瞑想を始めた。その表情は真剣で、全身が緊張感に包まれているのが伝わる。
私は彼の姿をしばらく見つめていたが、喉の渇きに気づいてしまった。
「でも…少し暑いわね。喉が乾いちゃった。」
ぼんやりと口を開くと、ゼノが瞳を開き、すぐに言葉を被せてきた。
「なりません。」
「えっ!?あ…薪を集めて火を起こせないかと思って言ったのだけど…ダメなのね。」
少し怯む私に、ゼノは肩をすくめて答えた。
「火ですか。それなら可能ですよ。」
「なんだと思ったのよ。」
「水かと。」
「水?あぁ、ゼノってシルバークイーン家の人だものね。生成できるのね。でもどうしてダメなの?」
ゼノの顔がわずかに曇る。言いにくそうに視線を外してから、静かに口を開いた。
「私が生成する水を1滴でも口にすると、その方は必ず私に陶酔してしまうのです。」
「えっ…それは…」
私は絶句した。その言葉の意味するところを考えると、思わず額に手を当ててしまう。
(惚れ薬みたいな水を作っちゃうってこと!?)
「はい、非常に厄介な能力です。過去に何度か試しましたが、全て同じ結果でした。それゆえ、飲み水は他の方法で調達する必要があります。」
「試した…ってことは、ゼノに惚れちゃった人が…何人かいるってこと?」
私は恐る恐る聞いたが、ゼノは表情を変えずに首を縦に振った。
「はい。そのため、私はそれ以来、生成する水を誰にも提供しておりません。」
「そ、そう…。じゃあ、火を起こしてどうにかしましょう。」
私は話題を切り替えようと無理やり明るい声を出し、近くに散らばっている乾いた枝や葉を拾い始めた。ゼノも私に倣い、効率よく薪を集めてくれる。
やがて、ゼノが魔力を使って火を起こし、私たちは砂浜に焚き火を囲むように腰を下ろした。その光と熱が、少しだけ心の不安を和らげてくれる気がした。
「ゼノ、見て。あそこに鍋が打ち上げられてるわ!」
波打ち際で小さな鍋を発見し、私は喜びながら拾い上げた。これを使って淡水を煮沸することで飲み水を作ることができると考えた。
「奥様の知識には驚かされますね。」
ゼノは焚き火に鍋をかけながら、感心したように言った。
「いえいえ、誰でも思いつくことよ。それより、この水が海水じゃなくてよかったわ。」
焚き火の光がゼノの顔を照らし、その瞳には微かな思索の色が浮かんでいた。
「奥様の能力は何なのでしょうか。主が私にも秘密にしているくらいですから、大きなものだとは思いますが。」
その問いに、一瞬言葉を詰まらせた。彼がどこまで知っているのかが読めなかったからだ。
「えぇ、ブルービショップの力ね…。」
私は視線を泳がせながら答えた。
ゼノはじっと私を見つめてきた。
「私の推測では、未来視といったところでしょうか。」
「未来が見通せてたら、こんな状況になってないわよ。ただ、少し直観力が鋭いだけ。」
苦笑いを浮かべながら返すと、ゼノは少し眉をひそめ、わずかに首を傾げた。
「そう…ですか。」
その言葉はどこか腑に落ちていないように感じられた。焚き火の揺れる炎が、二人の間に微かな緊張感を漂わせていた。
ゆっくりと体を起こし、隣を見るとゼノがぐったりと倒れていた。
「ゼノ!」
息を飲み、すぐに彼の側へ駆け寄る。彼の顔色は青白く、呼吸も浅かったが、胸の上下が微かに動いているのを見て、わずかに安堵した。
「よかった、まだ生きてる…」
ほっと息をつきながら、震える手で彼の体を調べた。大きな傷はないものの、疲労と魔力の消耗が極限に達しているのが明らかだった。
「ゼノ、しっかりして!」
彼の頬を軽く叩きながら呼びかけると、ゼノの眉がわずかに動き、薄く目を開いた。
「奥…様…」
彼のかすれた声が耳に届いた瞬間、胸が締め付けられるような感覚に襲われた。
「ゼノ、よかった!目を覚ましたのね。」
私は思わず涙をこらえながら微笑むと、ゼノは辛そうに上半身を起こした。
「ここは…シルバークイーン領にある修練島のようですね。」
ゼノは周囲を見渡しながら言った。
「修練島?そんな場所があったなんて知らなかったわ。」
私は驚きながら彼に尋ねた。
「ここは、水の特殊能力を持つ者が修練を積むための島です。能力の発現と共に、この島へ送り込まれるのです。」
彼の言葉に、思わず息を呑んだ。
「そうだったの…ゼノがそこまで詳しいなんて。」
「シルバークイーン領は、私の故郷ですから。」
ゼノが冷静に答えるのを聞き、彼の言葉の背景にある重さを感じた。
「そうよね、あなたの銀髪もその証だものね…。でも、ルーとユリは無事かしら…。」
胸の奥に湧き上がる不安を隠せずに呟くと、ゼノは静かに頷いた。
「旦那様と坊ちゃまの安否は気になりますね。急いで状況を確認しないといけません。」
彼はふらつきながらも自力で立ち上がり、周囲を警戒するように見回した。
その時、ゼノは濡れたシャツを脱ぎ、水気を絞った。だが、彼の体に刻まれた無数の古傷と謎の紋様を見た瞬間、私は息を呑み、思わず声を漏らしてしまった。
「ゼノ…その体…」
「これは過去の修練の痕です。気にしないでください。」
ゼノは淡々と答え、濡れたシャツを再び着直した。その冷静な態度とは裏腹に、彼の体には過酷な人生の軌跡が刻まれていた。
(これは修練の痕なんかじゃない。お義母様にどれだけ酷い仕打ちを受けたのか…。ゼノがどれだけの覚悟でユリの側にいてくれたのか。)
心が締め付けられるような思いでゼノを見つめた。
彼は一瞬だけ私を見つめ、静かに口を開いた。
「奥様、ご不安にさせるかもしれませんが、かなり妙な状況です。」
「妙って、どういうこと?」
緊張を感じながら問い返すと、ゼノの視線が鋭くなった。
「まず、奥様のブルービショップ家のタトゥーを確認してもよろしいでしょうか?」
彼の問いに戸惑いながらも頷き、ドレスの裾をそっとめくり、足首に刻まれたタトゥーを見せた。
「……とりあえず、魔力は安定しているようですね。奥様の体に異常はなさそうです。そして、主は無事なようです。」
ゼノは足首のタトゥーに目を落としながら、冷静に告げた。その声に、少しだけ安心が広がる。
「え!?それがわかるの?」
私は驚いて問い返した。
「まぁ、いろいろと分かります。この魔力の光り具合で、魔力の流れを読み取ることが可能です。ただ…主がこの時間になっても奥様を探し出せていないことが妙です。生きているのは間違いありませんが、何かアクシデントが発生しているのは確かでしょう。」
ゼノは眉間にしわを寄せながら、鋭い目でタトゥーを見つめている。その様子から、彼もまた内心で大きな不安を抱えているのが伝わってきた。
「魔力が回復し次第、空を飛んで島から脱出しましょう。」
「空!?ゼノ、あなた飛べるの?」
「お任せください。そのために全身にタトゥーが施されています。私の体は、ありとあらゆる特殊能力を扱うために作り替えられていますから。」
彼は静かに肩をすくめ、控えめな自嘲がその声に混じる。
「あぁ、そうね。一応、ユリから聞いてるわ。でも…やっぱりすごいわね。」
私は少し圧倒されながらも、彼に感嘆の言葉をかけた。ゼノは小さく頷くと、視線を遠くに向けた。
「ありがとうございます。今はまず、少しでも魔力を回復させるために休息を取るのが先決です。」
砂浜の端に目をやると、木陰が少しだけ広がる場所があった。ゼノがその場所を指差し、私を促す。
「ここでお休みください、奥様。」
私たちは木陰に移動し、少しでも風を避けられるよう体勢を整えた。ゼノは足を組んで地面に座ると、静かに瞳を閉じて瞑想を始めた。その表情は真剣で、全身が緊張感に包まれているのが伝わる。
私は彼の姿をしばらく見つめていたが、喉の渇きに気づいてしまった。
「でも…少し暑いわね。喉が乾いちゃった。」
ぼんやりと口を開くと、ゼノが瞳を開き、すぐに言葉を被せてきた。
「なりません。」
「えっ!?あ…薪を集めて火を起こせないかと思って言ったのだけど…ダメなのね。」
少し怯む私に、ゼノは肩をすくめて答えた。
「火ですか。それなら可能ですよ。」
「なんだと思ったのよ。」
「水かと。」
「水?あぁ、ゼノってシルバークイーン家の人だものね。生成できるのね。でもどうしてダメなの?」
ゼノの顔がわずかに曇る。言いにくそうに視線を外してから、静かに口を開いた。
「私が生成する水を1滴でも口にすると、その方は必ず私に陶酔してしまうのです。」
「えっ…それは…」
私は絶句した。その言葉の意味するところを考えると、思わず額に手を当ててしまう。
(惚れ薬みたいな水を作っちゃうってこと!?)
「はい、非常に厄介な能力です。過去に何度か試しましたが、全て同じ結果でした。それゆえ、飲み水は他の方法で調達する必要があります。」
「試した…ってことは、ゼノに惚れちゃった人が…何人かいるってこと?」
私は恐る恐る聞いたが、ゼノは表情を変えずに首を縦に振った。
「はい。そのため、私はそれ以来、生成する水を誰にも提供しておりません。」
「そ、そう…。じゃあ、火を起こしてどうにかしましょう。」
私は話題を切り替えようと無理やり明るい声を出し、近くに散らばっている乾いた枝や葉を拾い始めた。ゼノも私に倣い、効率よく薪を集めてくれる。
やがて、ゼノが魔力を使って火を起こし、私たちは砂浜に焚き火を囲むように腰を下ろした。その光と熱が、少しだけ心の不安を和らげてくれる気がした。
「ゼノ、見て。あそこに鍋が打ち上げられてるわ!」
波打ち際で小さな鍋を発見し、私は喜びながら拾い上げた。これを使って淡水を煮沸することで飲み水を作ることができると考えた。
「奥様の知識には驚かされますね。」
ゼノは焚き火に鍋をかけながら、感心したように言った。
「いえいえ、誰でも思いつくことよ。それより、この水が海水じゃなくてよかったわ。」
焚き火の光がゼノの顔を照らし、その瞳には微かな思索の色が浮かんでいた。
「奥様の能力は何なのでしょうか。主が私にも秘密にしているくらいですから、大きなものだとは思いますが。」
その問いに、一瞬言葉を詰まらせた。彼がどこまで知っているのかが読めなかったからだ。
「えぇ、ブルービショップの力ね…。」
私は視線を泳がせながら答えた。
ゼノはじっと私を見つめてきた。
「私の推測では、未来視といったところでしょうか。」
「未来が見通せてたら、こんな状況になってないわよ。ただ、少し直観力が鋭いだけ。」
苦笑いを浮かべながら返すと、ゼノは少し眉をひそめ、わずかに首を傾げた。
「そう…ですか。」
その言葉はどこか腑に落ちていないように感じられた。焚き火の揺れる炎が、二人の間に微かな緊張感を漂わせていた。
あなたにおすすめの小説
蔑ろにされた王妃と見限られた国王
奏千歌
恋愛
※最初に公開したプロット版はカクヨムで公開しています
国王陛下には愛する女性がいた。
彼女は陛下の初恋の相手で、陛下はずっと彼女を想い続けて、そして大切にしていた。
私は、そんな陛下と結婚した。
国と王家のために、私達は結婚しなければならなかったから、結婚すれば陛下も少しは変わるのではと期待していた。
でも結果は……私の理想を打ち砕くものだった。
そしてもう一つ。
私も陛下も知らないことがあった。
彼女のことを。彼女の正体を。
離宮に隠されるお妃様
agapē【アガペー】
恋愛
私の妃にならないか?
侯爵令嬢であるローゼリアには、婚約者がいた。第一王子のライモンド。ある日、呼び出しを受け向かった先には、女性を膝に乗せ、仲睦まじい様子のライモンドがいた。
「何故呼ばれたか・・・わかるな?」
「何故・・・理由は存じませんが」
「毎日勉強ばかりしているのに頭が悪いのだな」
ローゼリアはライモンドから婚約破棄を言い渡される。
『私の妃にならないか?妻としての役割は求めない。少しばかり政務を手伝ってくれると助かるが、後は離宮でゆっくり過ごしてくれればいい』
愛し愛される関係。そんな幸せは夢物語と諦め、ローゼリアは離宮に隠されるお妃様となった。
【完結】冷酷伯爵ディートリヒは、去った妻を取り戻せない
くろねこ
恋愛
名門伯爵家に政略結婚で嫁いだ、正妻エレノア・リーヴェルト。夫である伯爵ディートリヒ・フォン・アイゼンヴァルトは、
軍務と義務を最優先し、彼女に関心を向けることはなかった。
言葉も、視線も、愛情も与えられない日々。それでも伯爵夫人として尽くし続けたエレノアは、ある一言をきっかけに、静かに伯爵家を去る決意をする。
――そして初めて、夫は気づく。
自分がどれほど多くのものを、彼女から与えられていたのかを。
一方、エレノアは新たな地でその才覚と人柄を評価され、
「必要とされる存在」として歩き始めていた。
去った妻を想い、今さら後悔する冷酷伯爵。前を向いて生きる正妻令嬢。
これは、失ってから愛に気づいた男と、
二度と戻らないかもしれない夫婦の物語。
――今さら、遅いのです。
王宮の万能メイド、偏屈魔術師を餌付けする
葉山あおい
恋愛
王宮で働く勤続八年のメイド、エレナ・フォスター。仕事は完璧だが愛想がない彼女は、いつしか「鉄の女」と呼ばれ恐れられていた。
そんな彼女に下された辞令は、王宮の敷地内にありながら「魔窟」と呼ばれる『北の塔』の専属メイドになること。そこの主である宮廷魔術師団長・シルヴィス・クローデルは、稀代の天才ながら極度の人嫌い&生活能力ゼロの偏屈男だった!
ゴミ屋敷と化した塔をピカピカに掃除し、栄養失調寸前の彼に絶品の手料理を振る舞うエレナ。黄金色のオムレツ、とろける煮込みハンバーグ、特製カツサンド……。美味しいご飯で餌付けされた魔術師様は、次第にエレナへの独占欲を露わにし始めて――?
意地悪な聖女や侯爵夫人のいびりも、完璧なスキルで華麗に返り討ち。平民出身のメイドが、身分差を乗り越えて幸せな花嫁になるまでの、美味しくて甘いシンデレラストーリー。
お兄様はやさしく笑って、逃げ道だけをなくしていく
星乃和花
恋愛
縁談に悩む子爵令嬢リゼットが助けを求めたのは、名門侯爵家の長男アルフレッド。
穏やかでやさしく、理想のお兄様のような彼は、「君のことは僕が見ている」と甘く手を差し伸べてくれる。
送り迎え、花や手紙、完璧なエスコート。
守られているだけのはずが、気づけば周囲には「彼女はもうノースウェル侯爵家のもの」という空気ができあがっていて――。
ふわふわ優しいのに、実はかなり策略家。
やさしく逃げ道をなくしてくるお兄様系ヒーローに、恋愛に疎い令嬢がじわじわ囲い落とされていく、甘くて幸せな溺愛ラブストーリー。
――「待つよ」と言いながら、外堀はきっちり埋めてくる――
(完結済ー本編10話+後日談2話)
身分差婚~あなたの妻になれないはずだった~
椿蛍
恋愛
「息子と別れていただけないかしら?」
私を脅して、別れを決断させた彼の両親。
彼は高級住宅地『都久山』で王子様と呼ばれる存在。
私とは住む世界が違った……
別れを命じられ、私の恋が終わった。
叶わない身分差の恋だったはずが――
※R-15くらいなので※マークはありません。
※視点切り替えあり。
※2日間は1日3回更新、3日目から1日2回更新となります。
【完結】転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して二年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。