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シーズン1
81.魔力操作
突然、頭の中にルーの声が響いた。
《母さん…。》
「ルー!?」
驚きのあまり叫んでしまった。
《母さん、無事?》
「え?どこから?」
声はどこからも聞こえない。けれど、確かにルーの声だった。
ゼノが眉をひそめながらこちらを見ている。
「どうされました?」
「今、頭の中に直接ルーの声が響いたの。」
私は戸惑いながら説明するが、ゼノはさらに混乱したような表情を浮かべた。
「は?」
その瞬間、再びルーの声が頭の中に響いた。
《母さん、生きてたら、心の中で僕を思い浮かべて、強く何かを念じてみて。》
心の中で強く?何かを念じる…?
(ルー…無事なの?ルー!!)
私は心の中で彼を思い浮かべながら、全力で念じてみた。
《無事…》
短いけれど、彼から返事があった。
「ルー…!」
思わず声が漏れたが、ゼノには伝わらない。
《やっと繋がった。無事みたいだね。そっちの状況を伝えられる?》
《島にいる…ゼノと一緒…魔力が枯渇してる…》
とぎれとぎれに、言葉を心の中で作りながら必死で伝える。
《なるほど、母さん、ゼノの手を握って魔力を分けてあげるといいよ。その練習をしたほうが回復を待つより早いと思う。母さんには御婆様から魔法使いの血が受け継がれてるから。俺にもできるから、母さんならきっとできるよ。それと、俺も父さんも無事。安心して帰ってきて。》
ルーの声は優しく、でも確信に満ちていた。
「えぇ!?そんなこと突然言われても!!」
私は思わず声を上げた。ゼノが困惑した表情で私を見つめている。
「奥様、何か…?」
「ルーが…ルーが直接話しかけてきたの!そして、私に魔法使いの血が流れているから、ゼノに魔力を分けられるはずだって…。その練習をした方が自然回復よりも早いって言われたの。」
ゼノはしばらく考え込むように視線を落とし、やがて静かに頷いた。
「ますます不思議な家ですね。ですが、ルー坊ちゃまが言うことに一理あります。奥様、試してみましょう。私が指導いたします。」
ゼノの冷静な返答に、私は少しだけ心が落ち着いた。
「わ、わかったわ。ゼノ、どうすればいいの?」
緊張で息が詰まるような感覚の中、私は彼に尋ねた。
ゼノは私をじっと見つめ、穏やかに答えた。
「まず、私の手をしっかりと握ってください。そして、深呼吸をして体の力を抜き、魔力の流れを感じるように集中してください。」
私は彼の手を恐る恐る握り、指先から伝わる冷たさと硬さに少し戸惑った。だが、彼の落ち着いた目を見ていると、不思議と安心感が湧いてきた。
「こう…?」
「ええ、それで結構です。」
ゼノは静かに頷き、私の手を少しだけ包み込むように握り返してきた。
深呼吸をしながら、心の中でルーの言葉を思い出した。
(魔力を流す…魔力を流す…。)
自分の中に何かエネルギーがあると信じるのは難しかったが、目を閉じて集中すると、微かに温かい流れのようなものを感じた気がした。
「焦らないで、奥様。体の内側から流れる川を思い浮かべてください。その川が私の手を通って流れていくイメージです。」
ゼノの声は静かで、心を落ち着けるような響きだった。
私はさらに深く集中し、心の中でユリとルーの姿を思い描いた。二人が無事であることを信じながら、彼らのために何かをするのだと思うと、次第に魔力が流れていく感覚が強まっていった。
「む、難しいーーー!!」
心の中で叫びながらも、少しずつゼノの言葉通りのイメージが形になっていく気がした。
その時、ふとユリの顔が頭をよぎった。もしこの状況を彼が見たら…絶対に嫉妬するに違いない。ユリの嫉妬深い性格を思い出し、私は少し苦笑した。
(非常事態だから仕方ないわよね…。でもユリもルーも無事だってルーが言ってたし…それが分かっただけでも安心だわ。)
ゼノは私の戸惑いを察したのか、少し口元を緩めた。
「大丈夫です、奥様。焦らず、ゆっくりと感じてください。魔力は時間をかけて馴染むものです。」
彼の励ましに背中を押されるように、私は再び集中した。今度は、手の中に確かな温かさが生まれ、それがゼノへと流れ込む感覚がはっきりと分かるようになった。
「何かが…変わった気がする!」
私の声が少し弾んだ。
「その調子です、奥様。もう少しだけ、魔力を送り込んでみてください。」
ゼノの声にも、少しだけ明るさが混じった。
その瞬間、ゼノの顔にわずかではあるが血の気が戻り、力強さが感じられるようになった。
「これで、いいの?」
私は慎重に尋ねた。
「はい、順調です。」
ゼノが微かに微笑んだのを見て、私の胸にほっとした安堵感が広がった。
手を握り続けていると、魔力を送り込む感覚が次第に自然なものになってきた。そして、ゼノの表情が少しずつ明るくなり、肩の力が抜けていくのが分かった。
「…すごい、こんな感覚は初めてです。」
ゼノは少し驚いたような声を漏らした。
「え、本当?」
「ええ。奥様の魔力は非常に純粋で、流れが整っています。これなら短時間で回復できそうです。」
彼の言葉に、私の緊張がようやくほぐれた。
「良かった…。ちゃんとできたのね。」
「奥様の努力の賜物です。」
ゼノは軽く頭を下げて感謝の意を表した。
緊張で強張っていた肩の力が抜け、私は深く息をついた。全身に疲れが押し寄せてきたが、それでもゼノの回復した表情を見て、どこか満たされた気持ちになった。
「奥様、これで私は魔力を十分に取り戻しました。空を飛んで帰る準備を整えることができます。」
ゼノが静かに立ち上がりながら言った。
「本当に飛ぶのね。」
「もちろんです。奥様の魔力のおかげで。」
ゼノがそう言ったとき、空はすっかり夕焼けに染まり、太陽が水平線へと沈みかけていた。空一面がオレンジ色に染まり、波打つ海面がその光を反射してキラキラと輝いている。
「夕方になってしまったわね…」
私は空の美しさに目を奪われながら、思わず呟いた。
ゼノは私の横で立ち上がり、冷静に空を見上げると頷いた。
「はい、この時間帯は目立ちにくくなります。安全に移動するためには、少しでも人目を避けるのが得策です。」
そう言いながら彼は一歩近づき、突然片膝をついて私の目線に合わせると、「少し失礼します」と言い、私の背中と膝裏に手を回した。
「きゃっ!」
突然持ち上げられた私は驚いてゼノの肩にしがみついた。
「随分、軽々と持ち上げるのね。」
私は驚きながらも、少し照れ臭く笑った。
ゼノは淡々とした声で答えた。
「奥様、前々から申し上げたかったのですが、貴女は女性です。軽いに決まっております。」
その冷静すぎる返答に、思わず苦笑する。
「まぁ、そうなのかしら…。」
ゼノは私をしっかりと抱え直し、軽く足を曲げると、ゆっくりと息を吸い込んだ。すると、彼の周囲に柔らかな風が巻き起こり、私たちの足元から砂が舞い上がる。
「さあ、行きましょう。」
彼が静かにそう言うと、次の瞬間、私たちは地面からふわりと浮き上がった。
「えっ、本当に飛んでる…!」
私は驚きの声を上げ、ゼノの肩にさらにしがみついた。
ゼノは涼しい顔のまま、周囲に広がる風を自在に操りながら高度を上げていく。眼下には夕陽に照らされた海岸が広がり、その景色はまるで絵画のようだった。
「奥様、風はしっかり制御していますので、安心してください。」
「わ、分かったわ…でも、初めての経験だからちょっと緊張するの。」
私は心臓の鼓動を抑えようとしながら、目の前の景色に見入った。
夕陽が沈む空に私たちは溶け込むように舞い上がり、風が髪を優しく撫でていく。その美しい瞬間に、緊張が少しずつ和らいでいった。
「これでユリとルーに早く会えるといいわね。」
私はぽつりと呟くと、ゼノが静かに頷いた。
「ええ、必ずお連れします。奥様、どうか私を信じてください。」
その言葉に、私は不思議な安心感を覚えた。夕陽の中、私たちは目指すべき場所へ向かって飛び続けた。
《母さん…。》
「ルー!?」
驚きのあまり叫んでしまった。
《母さん、無事?》
「え?どこから?」
声はどこからも聞こえない。けれど、確かにルーの声だった。
ゼノが眉をひそめながらこちらを見ている。
「どうされました?」
「今、頭の中に直接ルーの声が響いたの。」
私は戸惑いながら説明するが、ゼノはさらに混乱したような表情を浮かべた。
「は?」
その瞬間、再びルーの声が頭の中に響いた。
《母さん、生きてたら、心の中で僕を思い浮かべて、強く何かを念じてみて。》
心の中で強く?何かを念じる…?
(ルー…無事なの?ルー!!)
私は心の中で彼を思い浮かべながら、全力で念じてみた。
《無事…》
短いけれど、彼から返事があった。
「ルー…!」
思わず声が漏れたが、ゼノには伝わらない。
《やっと繋がった。無事みたいだね。そっちの状況を伝えられる?》
《島にいる…ゼノと一緒…魔力が枯渇してる…》
とぎれとぎれに、言葉を心の中で作りながら必死で伝える。
《なるほど、母さん、ゼノの手を握って魔力を分けてあげるといいよ。その練習をしたほうが回復を待つより早いと思う。母さんには御婆様から魔法使いの血が受け継がれてるから。俺にもできるから、母さんならきっとできるよ。それと、俺も父さんも無事。安心して帰ってきて。》
ルーの声は優しく、でも確信に満ちていた。
「えぇ!?そんなこと突然言われても!!」
私は思わず声を上げた。ゼノが困惑した表情で私を見つめている。
「奥様、何か…?」
「ルーが…ルーが直接話しかけてきたの!そして、私に魔法使いの血が流れているから、ゼノに魔力を分けられるはずだって…。その練習をした方が自然回復よりも早いって言われたの。」
ゼノはしばらく考え込むように視線を落とし、やがて静かに頷いた。
「ますます不思議な家ですね。ですが、ルー坊ちゃまが言うことに一理あります。奥様、試してみましょう。私が指導いたします。」
ゼノの冷静な返答に、私は少しだけ心が落ち着いた。
「わ、わかったわ。ゼノ、どうすればいいの?」
緊張で息が詰まるような感覚の中、私は彼に尋ねた。
ゼノは私をじっと見つめ、穏やかに答えた。
「まず、私の手をしっかりと握ってください。そして、深呼吸をして体の力を抜き、魔力の流れを感じるように集中してください。」
私は彼の手を恐る恐る握り、指先から伝わる冷たさと硬さに少し戸惑った。だが、彼の落ち着いた目を見ていると、不思議と安心感が湧いてきた。
「こう…?」
「ええ、それで結構です。」
ゼノは静かに頷き、私の手を少しだけ包み込むように握り返してきた。
深呼吸をしながら、心の中でルーの言葉を思い出した。
(魔力を流す…魔力を流す…。)
自分の中に何かエネルギーがあると信じるのは難しかったが、目を閉じて集中すると、微かに温かい流れのようなものを感じた気がした。
「焦らないで、奥様。体の内側から流れる川を思い浮かべてください。その川が私の手を通って流れていくイメージです。」
ゼノの声は静かで、心を落ち着けるような響きだった。
私はさらに深く集中し、心の中でユリとルーの姿を思い描いた。二人が無事であることを信じながら、彼らのために何かをするのだと思うと、次第に魔力が流れていく感覚が強まっていった。
「む、難しいーーー!!」
心の中で叫びながらも、少しずつゼノの言葉通りのイメージが形になっていく気がした。
その時、ふとユリの顔が頭をよぎった。もしこの状況を彼が見たら…絶対に嫉妬するに違いない。ユリの嫉妬深い性格を思い出し、私は少し苦笑した。
(非常事態だから仕方ないわよね…。でもユリもルーも無事だってルーが言ってたし…それが分かっただけでも安心だわ。)
ゼノは私の戸惑いを察したのか、少し口元を緩めた。
「大丈夫です、奥様。焦らず、ゆっくりと感じてください。魔力は時間をかけて馴染むものです。」
彼の励ましに背中を押されるように、私は再び集中した。今度は、手の中に確かな温かさが生まれ、それがゼノへと流れ込む感覚がはっきりと分かるようになった。
「何かが…変わった気がする!」
私の声が少し弾んだ。
「その調子です、奥様。もう少しだけ、魔力を送り込んでみてください。」
ゼノの声にも、少しだけ明るさが混じった。
その瞬間、ゼノの顔にわずかではあるが血の気が戻り、力強さが感じられるようになった。
「これで、いいの?」
私は慎重に尋ねた。
「はい、順調です。」
ゼノが微かに微笑んだのを見て、私の胸にほっとした安堵感が広がった。
手を握り続けていると、魔力を送り込む感覚が次第に自然なものになってきた。そして、ゼノの表情が少しずつ明るくなり、肩の力が抜けていくのが分かった。
「…すごい、こんな感覚は初めてです。」
ゼノは少し驚いたような声を漏らした。
「え、本当?」
「ええ。奥様の魔力は非常に純粋で、流れが整っています。これなら短時間で回復できそうです。」
彼の言葉に、私の緊張がようやくほぐれた。
「良かった…。ちゃんとできたのね。」
「奥様の努力の賜物です。」
ゼノは軽く頭を下げて感謝の意を表した。
緊張で強張っていた肩の力が抜け、私は深く息をついた。全身に疲れが押し寄せてきたが、それでもゼノの回復した表情を見て、どこか満たされた気持ちになった。
「奥様、これで私は魔力を十分に取り戻しました。空を飛んで帰る準備を整えることができます。」
ゼノが静かに立ち上がりながら言った。
「本当に飛ぶのね。」
「もちろんです。奥様の魔力のおかげで。」
ゼノがそう言ったとき、空はすっかり夕焼けに染まり、太陽が水平線へと沈みかけていた。空一面がオレンジ色に染まり、波打つ海面がその光を反射してキラキラと輝いている。
「夕方になってしまったわね…」
私は空の美しさに目を奪われながら、思わず呟いた。
ゼノは私の横で立ち上がり、冷静に空を見上げると頷いた。
「はい、この時間帯は目立ちにくくなります。安全に移動するためには、少しでも人目を避けるのが得策です。」
そう言いながら彼は一歩近づき、突然片膝をついて私の目線に合わせると、「少し失礼します」と言い、私の背中と膝裏に手を回した。
「きゃっ!」
突然持ち上げられた私は驚いてゼノの肩にしがみついた。
「随分、軽々と持ち上げるのね。」
私は驚きながらも、少し照れ臭く笑った。
ゼノは淡々とした声で答えた。
「奥様、前々から申し上げたかったのですが、貴女は女性です。軽いに決まっております。」
その冷静すぎる返答に、思わず苦笑する。
「まぁ、そうなのかしら…。」
ゼノは私をしっかりと抱え直し、軽く足を曲げると、ゆっくりと息を吸い込んだ。すると、彼の周囲に柔らかな風が巻き起こり、私たちの足元から砂が舞い上がる。
「さあ、行きましょう。」
彼が静かにそう言うと、次の瞬間、私たちは地面からふわりと浮き上がった。
「えっ、本当に飛んでる…!」
私は驚きの声を上げ、ゼノの肩にさらにしがみついた。
ゼノは涼しい顔のまま、周囲に広がる風を自在に操りながら高度を上げていく。眼下には夕陽に照らされた海岸が広がり、その景色はまるで絵画のようだった。
「奥様、風はしっかり制御していますので、安心してください。」
「わ、分かったわ…でも、初めての経験だからちょっと緊張するの。」
私は心臓の鼓動を抑えようとしながら、目の前の景色に見入った。
夕陽が沈む空に私たちは溶け込むように舞い上がり、風が髪を優しく撫でていく。その美しい瞬間に、緊張が少しずつ和らいでいった。
「これでユリとルーに早く会えるといいわね。」
私はぽつりと呟くと、ゼノが静かに頷いた。
「ええ、必ずお連れします。奥様、どうか私を信じてください。」
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