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シーズン1
85.記憶障害
「ルー。」
突然名前を呼ばれ、びっくりして思わず振り返る。父さんが珍しく真剣な顔で僕を見ていた。
「何?父さん。」
「俺はメイシール様を、メイと呼んでいましたか?」
「うん。そう呼んでるよ。」
父さんは一瞬安堵したような表情を浮かべたが、次の瞬間には焦りの色が浮かび上がった。
「き、禁止ワードだらけで覚えられますかね…。」
父さんは何かを一生懸命暗記しているようで、眉間にシワを寄せ、真剣そのものだ。その姿が妙に滑稽で、思わず笑ってしまいそうになる。
「父さん、どうしてそんな幼い頃から母さんのことをそんな必死に崇拝してるの?だって今の父さんの記憶だと、母さんは生まれたばかりの赤ちゃんでしょ?」
その言葉に、父さんの動きが止まった。僕をまっすぐ見つめ、少し困ったように微笑む。
「記憶が戻ってから話しますね。でないと、せっかく組み立てた人生が狂ってしまうかもしれません。」
「えー…記憶が戻ったら絶対教えてくれないじゃん。」
僕が不満を口にすると、父さんは微かに笑って肩をすくめた。
「俺のようにいくつもの仮説を立ててみるといいですよ。それに、好きになる理由に言葉や論理はいらないようです。」
「……引くわ~。」
僕は呆れたように言ったが、父さんは気にする様子もなく再び赤い本に目を落とした。
(仮説ね…。どういう状況で母さんを好きになったのかは、正直ずっと気になっていた。どうしてそこまで好きになれるのか。殺してしまうほどに手に入れたい愛って、一体なんなんだろう? )
(それにしても…。父さんはすでに母さんと出会っているらしい。父さんが今28歳で、母さんが18歳なら、出会ったのはそれより前ってことだよな?…いや、未来の資料では父さんが10歳の時に作ったブルービショップ家のデータがある…。つまり、母さんは0歳の頃に父さんと接点があった?どうやって…。 )
その時、頭の中に母さんの声が響いた。
《ルー…。》
母さんからのテレパシーだ。たぶん意図せず漏れてるんだろう。帰ってきたら制御方法をちゃんと教えないとな。
(待てよ…そうか、テレパシーだ。母さんは0歳の時からテレパシーを使って父さんと会話していたんだ。でも、それならどうして母さんはそのやり方を覚えてないんだ? )
「全く思い出せないな…。」
父さんが髪をくしゃっと掴みながら呟く。その姿にピンときた。
(記憶がない…。母さんの回帰能力は、父さんが透明化の能力を使って一時的に消したのかもしれない。僕の能力を封じたように。 )
《もうすぐ帰るからね。》
母さんの声が再び聞こえた。
「父さん、時間切れだ。母さんがもうすぐ到着するって。」
「え!?」
「早く僕に捕まって!」
父さんは驚きながらも、僕に素直に従い腕を掴んだ。僕は魔力を集中させ、空間を歪める。次の瞬間、視界が一瞬で変わり、王都のレッドナイト公爵邸に戻っていた。
「母さんが帰ってきたら、また色々聞けるよ。だからちょっと落ち着いてよね、父さん。」
「そうだな…。メイが無事なら、それでいい。」
父さんの呟きに、少しだけ安心しながら僕は深呼吸した。母さんの帰還が近いことを感じながら、次の展開に備えようと決めた。
―――――――――
―――――――
一方メイシールは…
―――――――
―――――――――
私はゼノの風の特殊能力で空を飛んでもらい、夜にはようやく王都のレッドナイト公爵邸へ到着した。夜空には星が瞬いていたが、それを楽しむ余裕はなかった。ゼノの息遣いが明らかに荒く、着地した瞬間、彼はその場に崩れるように倒れ込んだ。
「ゼノ、大丈夫!?」
私は慌てて彼の側に駆け寄り、肩に手を置いてその顔を覗き込む。彼の額にはびっしりと汗が滲み、呼吸は乱れていた。
「大丈夫です…奥様…。少し休めば…」
ゼノは苦しそうに言葉を絞り出したが、その目は閉じたままだった。体が限界を超えているのが一目で分かった。
「ゼノ…!」
私は彼の手を握りしめる。彼の手は冷たく、力がほとんど入っていない。ここまで無理をして私を守ってくれたのだと思うと、胸が締め付けられるようだった。
その時、玄関の扉が勢いよく開いた。
「奥様!」
ミレーヌが血相を変えて飛び出してきた。彼女の瞳には不安と焦りが浮かび、私たちの姿を確認すると驚きと安堵が入り混じった表情に変わった。
「奥様、無事でよかったです!それに…ゼノさんも…!」
ミレーヌはゼノの姿を見て、一瞬言葉を詰まらせながらも、彼女の表情には強い責任感が宿った。
「ミレーヌ、ゼノの介抱をお願い。魔力を使い切ってしまっているわ。すぐに手当てをしてあげて。」
私は冷静さを装いながらも、心の中では不安が渦巻いていた。ゼノがここまで消耗しているのを見るのは初めてだったからだ。
「はい、畏まりました!」
ミレーヌはすぐにゼノの側に膝をつき、優しく彼の肩を支えた。その手つきには熟練の介護者としての経験が滲んでいた。
「ゼノさん、私が支えますので、一緒に中へ入りましょう。」
彼女がそう言いながらゼノを支えると、ゼノはかすかに頷き、彼女に身を任せた。だが、彼の足はほとんど力が入らず、ミレーヌが全体重を支えなければならないほどだった。
「重い…わけではありませんが、急ぎましょう。」
ミレーヌはそう言って必死にゼノを支えながら、屋敷の中へと運び入れた。
私は玄関先に立ち、夜の冷たい風が肌を撫でるのを感じながら深呼吸をした。無事に到着できたという安堵感がようやく私を包み込み、緊張で張り詰めていた心が少しずつ解けていくのを感じた。背後では、ミレーヌがゼノに声をかける優しい言葉と、それに応えるゼノの弱々しい返事が響いていた。薄暗い屋敷の中、その音だけが静かに漂っていた。
しばらくすると、廊下の奥から小さな足音が近づいてきた。目を凝らすと、ルーが小さな体を揺らしながらよたよたとこちらに駆け寄ってきた。彼の顔には心配の色が濃く浮かび、その瞳は不安げに私を見上げている。
「お母さん、大丈夫?」
彼の小さな声に胸がぎゅっと締めつけられる。
「ええ、大丈夫よ。ルーも無事で良かった。でも…回帰の記憶が戻っちゃったのね。」
私の言葉にルーは少しうつむき、申し訳なさそうな顔をした。
「うん。なんか、ごめんね。」
ルーの小さな声には、後悔や戸惑いが混ざっていた。
私は思わず膝をつき、彼の小さな体を抱きしめた。抱き寄せたその瞬間、彼の温もりが伝わってきて、心がじんわりと温かくなった。
「ルー、あなたの中身が大人であろうが子供であろうが、私の大切な息子であることには変わりないわ。もっと気を楽にしていいのよ。お母さんは、ルーのことが大好きなんだから。」
私は彼の髪を優しく撫でながら言った。
ルーは驚いたように一瞬目を見開いたが、すぐに顔を赤らめて俯いた。
「う、うん。そ、それより!お父さんが心配してたよ。早く会いに行こう。」
彼は照れ隠しのように話題を変えた。
「そうね。行きましょう。」
私は彼の小さな手を握り、玄関ホールを進んだ。その手の感触が頼もしくて、私も少し勇気が湧いてきた。
屋敷の奥から聞こえる足音に耳を澄ませる。やがて、ユリの姿が廊下の向こうから現れた。彼の無事な姿を見た瞬間、私は何も考えられなくなり、駆け寄ってその胸に飛び込んだ。
「ユリ…無事で良かったわ。」
私の声は震えていた。
「っ!?……えっと、メイ…ですよね?」
その瞬間、彼の返事に違和感を覚えた。顔を上げてユリの表情を見つめると、彼は赤面しながら目を泳がせていた。
「ユリ?」
その挙動がどうにもおかしい。私は不安な気持ちでさらに問いかけた。
「えっと、あの…メイ。お帰り…なさい。」
ユリは言葉を噛みしめるようにぎこちなく答えた。
「ただいま…どうしたの?何かあったの?」
私の胸に広がる不安感はどんどん大きくなる。
その時、隣にいたルーが意を決したように口を開いた。
「お母さん、驚かずに聞いて欲しい。父さんさ、魔力の乱れによる記憶障害を起こしてるらしいんだ。」
「えっ…。記憶障害って…。」
言葉が喉に詰まる。
ルーが続きを話す前に、ユリが深く息をつき、気まずそうに口を開いた。
「そうなんです。医者によると…今の俺は22歳前後の記憶しかないようで…。」
突然名前を呼ばれ、びっくりして思わず振り返る。父さんが珍しく真剣な顔で僕を見ていた。
「何?父さん。」
「俺はメイシール様を、メイと呼んでいましたか?」
「うん。そう呼んでるよ。」
父さんは一瞬安堵したような表情を浮かべたが、次の瞬間には焦りの色が浮かび上がった。
「き、禁止ワードだらけで覚えられますかね…。」
父さんは何かを一生懸命暗記しているようで、眉間にシワを寄せ、真剣そのものだ。その姿が妙に滑稽で、思わず笑ってしまいそうになる。
「父さん、どうしてそんな幼い頃から母さんのことをそんな必死に崇拝してるの?だって今の父さんの記憶だと、母さんは生まれたばかりの赤ちゃんでしょ?」
その言葉に、父さんの動きが止まった。僕をまっすぐ見つめ、少し困ったように微笑む。
「記憶が戻ってから話しますね。でないと、せっかく組み立てた人生が狂ってしまうかもしれません。」
「えー…記憶が戻ったら絶対教えてくれないじゃん。」
僕が不満を口にすると、父さんは微かに笑って肩をすくめた。
「俺のようにいくつもの仮説を立ててみるといいですよ。それに、好きになる理由に言葉や論理はいらないようです。」
「……引くわ~。」
僕は呆れたように言ったが、父さんは気にする様子もなく再び赤い本に目を落とした。
(仮説ね…。どういう状況で母さんを好きになったのかは、正直ずっと気になっていた。どうしてそこまで好きになれるのか。殺してしまうほどに手に入れたい愛って、一体なんなんだろう? )
(それにしても…。父さんはすでに母さんと出会っているらしい。父さんが今28歳で、母さんが18歳なら、出会ったのはそれより前ってことだよな?…いや、未来の資料では父さんが10歳の時に作ったブルービショップ家のデータがある…。つまり、母さんは0歳の頃に父さんと接点があった?どうやって…。 )
その時、頭の中に母さんの声が響いた。
《ルー…。》
母さんからのテレパシーだ。たぶん意図せず漏れてるんだろう。帰ってきたら制御方法をちゃんと教えないとな。
(待てよ…そうか、テレパシーだ。母さんは0歳の時からテレパシーを使って父さんと会話していたんだ。でも、それならどうして母さんはそのやり方を覚えてないんだ? )
「全く思い出せないな…。」
父さんが髪をくしゃっと掴みながら呟く。その姿にピンときた。
(記憶がない…。母さんの回帰能力は、父さんが透明化の能力を使って一時的に消したのかもしれない。僕の能力を封じたように。 )
《もうすぐ帰るからね。》
母さんの声が再び聞こえた。
「父さん、時間切れだ。母さんがもうすぐ到着するって。」
「え!?」
「早く僕に捕まって!」
父さんは驚きながらも、僕に素直に従い腕を掴んだ。僕は魔力を集中させ、空間を歪める。次の瞬間、視界が一瞬で変わり、王都のレッドナイト公爵邸に戻っていた。
「母さんが帰ってきたら、また色々聞けるよ。だからちょっと落ち着いてよね、父さん。」
「そうだな…。メイが無事なら、それでいい。」
父さんの呟きに、少しだけ安心しながら僕は深呼吸した。母さんの帰還が近いことを感じながら、次の展開に備えようと決めた。
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一方メイシールは…
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私はゼノの風の特殊能力で空を飛んでもらい、夜にはようやく王都のレッドナイト公爵邸へ到着した。夜空には星が瞬いていたが、それを楽しむ余裕はなかった。ゼノの息遣いが明らかに荒く、着地した瞬間、彼はその場に崩れるように倒れ込んだ。
「ゼノ、大丈夫!?」
私は慌てて彼の側に駆け寄り、肩に手を置いてその顔を覗き込む。彼の額にはびっしりと汗が滲み、呼吸は乱れていた。
「大丈夫です…奥様…。少し休めば…」
ゼノは苦しそうに言葉を絞り出したが、その目は閉じたままだった。体が限界を超えているのが一目で分かった。
「ゼノ…!」
私は彼の手を握りしめる。彼の手は冷たく、力がほとんど入っていない。ここまで無理をして私を守ってくれたのだと思うと、胸が締め付けられるようだった。
その時、玄関の扉が勢いよく開いた。
「奥様!」
ミレーヌが血相を変えて飛び出してきた。彼女の瞳には不安と焦りが浮かび、私たちの姿を確認すると驚きと安堵が入り混じった表情に変わった。
「奥様、無事でよかったです!それに…ゼノさんも…!」
ミレーヌはゼノの姿を見て、一瞬言葉を詰まらせながらも、彼女の表情には強い責任感が宿った。
「ミレーヌ、ゼノの介抱をお願い。魔力を使い切ってしまっているわ。すぐに手当てをしてあげて。」
私は冷静さを装いながらも、心の中では不安が渦巻いていた。ゼノがここまで消耗しているのを見るのは初めてだったからだ。
「はい、畏まりました!」
ミレーヌはすぐにゼノの側に膝をつき、優しく彼の肩を支えた。その手つきには熟練の介護者としての経験が滲んでいた。
「ゼノさん、私が支えますので、一緒に中へ入りましょう。」
彼女がそう言いながらゼノを支えると、ゼノはかすかに頷き、彼女に身を任せた。だが、彼の足はほとんど力が入らず、ミレーヌが全体重を支えなければならないほどだった。
「重い…わけではありませんが、急ぎましょう。」
ミレーヌはそう言って必死にゼノを支えながら、屋敷の中へと運び入れた。
私は玄関先に立ち、夜の冷たい風が肌を撫でるのを感じながら深呼吸をした。無事に到着できたという安堵感がようやく私を包み込み、緊張で張り詰めていた心が少しずつ解けていくのを感じた。背後では、ミレーヌがゼノに声をかける優しい言葉と、それに応えるゼノの弱々しい返事が響いていた。薄暗い屋敷の中、その音だけが静かに漂っていた。
しばらくすると、廊下の奥から小さな足音が近づいてきた。目を凝らすと、ルーが小さな体を揺らしながらよたよたとこちらに駆け寄ってきた。彼の顔には心配の色が濃く浮かび、その瞳は不安げに私を見上げている。
「お母さん、大丈夫?」
彼の小さな声に胸がぎゅっと締めつけられる。
「ええ、大丈夫よ。ルーも無事で良かった。でも…回帰の記憶が戻っちゃったのね。」
私の言葉にルーは少しうつむき、申し訳なさそうな顔をした。
「うん。なんか、ごめんね。」
ルーの小さな声には、後悔や戸惑いが混ざっていた。
私は思わず膝をつき、彼の小さな体を抱きしめた。抱き寄せたその瞬間、彼の温もりが伝わってきて、心がじんわりと温かくなった。
「ルー、あなたの中身が大人であろうが子供であろうが、私の大切な息子であることには変わりないわ。もっと気を楽にしていいのよ。お母さんは、ルーのことが大好きなんだから。」
私は彼の髪を優しく撫でながら言った。
ルーは驚いたように一瞬目を見開いたが、すぐに顔を赤らめて俯いた。
「う、うん。そ、それより!お父さんが心配してたよ。早く会いに行こう。」
彼は照れ隠しのように話題を変えた。
「そうね。行きましょう。」
私は彼の小さな手を握り、玄関ホールを進んだ。その手の感触が頼もしくて、私も少し勇気が湧いてきた。
屋敷の奥から聞こえる足音に耳を澄ませる。やがて、ユリの姿が廊下の向こうから現れた。彼の無事な姿を見た瞬間、私は何も考えられなくなり、駆け寄ってその胸に飛び込んだ。
「ユリ…無事で良かったわ。」
私の声は震えていた。
「っ!?……えっと、メイ…ですよね?」
その瞬間、彼の返事に違和感を覚えた。顔を上げてユリの表情を見つめると、彼は赤面しながら目を泳がせていた。
「ユリ?」
その挙動がどうにもおかしい。私は不安な気持ちでさらに問いかけた。
「えっと、あの…メイ。お帰り…なさい。」
ユリは言葉を噛みしめるようにぎこちなく答えた。
「ただいま…どうしたの?何かあったの?」
私の胸に広がる不安感はどんどん大きくなる。
その時、隣にいたルーが意を決したように口を開いた。
「お母さん、驚かずに聞いて欲しい。父さんさ、魔力の乱れによる記憶障害を起こしてるらしいんだ。」
「えっ…。記憶障害って…。」
言葉が喉に詰まる。
ルーが続きを話す前に、ユリが深く息をつき、気まずそうに口を開いた。
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