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シーズン1
94.ゼノとミレーヌ㊤
薄暗い部屋の中、ゼノは静かに目を覚ました。天井に映る月明かりがぼんやりとした光を落としている。彼は重い体をゆっくりと動かし、寝台の上で起き上がった。周囲を見渡すと、ミレーヌが心配そうな顔で彼を見守っていた。彼女の瞳には安堵の色が浮かんでいる。
「すまない。寝すぎたか?」
ゼノは肩を回しながら、落ち着いた声で尋ねた。けれど、その瞳には自分の状況をしっかりと把握しようとする鋭い光が宿っている。
「いえ、ゼノさん。お休みになるべきです。まだ完全には回復されていません。」
ミレーヌは少し眉をひそめながら、ゼノの顔色を確かめるようにして言った。その声には彼を気遣う優しさが滲んでいた。
ゼノはベッドの端に腰掛け、深く息をつきながら窓の外を見つめた。月明かりに照らされた彼の横顔はいつになく険しい。
「この状況で、私が回復したことを知られるわけにはいかないな。」
ゼノの低い声に、ミレーヌは静かに頷いた。
「そうですね。ですが、ゼノさん。どうしてそんなに急がれるのですか?」
彼女の問いにゼノは少しだけ微笑みを浮かべ、逆に問い返した。
「ミレーヌ。君は自分の行動の意味を本当に理解しているのか?」
「はぁ?意味、ですか?」
ミレーヌは首をかしげ、軽く肩をすくめた。彼女の表情には少しの戸惑いと苛立ちが混ざっていた。
「私がしたことなんて、大したことではありません。ただ、目の前のことを精一杯やっているだけです。」
その言葉にゼノは短く息を吐き、再び視線を窓の外に向けた。
「その『目の前のこと』が、どれだけの影響を及ぼすか、もう少し考えたほうが良い。だが、今さら後悔する時間もないか。」
「ミレーヌ。2日後には、私と共に動くことになる。準備を整えておけ。」
ゼノの言葉にミレーヌは一瞬驚いたが、すぐに頷いた。しかし、彼女の表情にはどこか釈然としないものがあった。
「分かりました。ですが、その前に何かお手伝いできることがあれば教えてください。」
「主の部屋と私の部屋から、必要な書類を全て持ってきてくれ。処理しておかなければならない。」
ゼノの言葉を受け、ミレーヌは軽くお辞儀をして部屋を後にした。彼女の足音が廊下に響く中、ゼノは一瞬だけ目を閉じた。
しばらくして、ミレーヌは大量の書類を抱えて戻ってきた。その姿は少し滑稽で、ゼノは思わず微笑みを浮かべた。
「持ってきました。これで全てだと思います。」
彼女は机の上に書類を丁寧に並べながら、息を整えた。
「感謝する。これでしばらくは休暇が取れる可能性が出てきたな。」
ゼノは軽く冗談めいた口調で言ったが、その言葉にミレーヌは驚いた表情を浮かべた。
「休暇…ですか?ゼノさんが?」
彼女は疑わしげにゼノを見つめた。普段から忙しさを楽しんでいるように見えるゼノが、休暇を望むとは思えなかったのだ。
「必要かどうかは、状況次第だ。全てが順調に進めば、休暇を取る余裕も生まれるだろう。だが、問題が起きれば、その対処が優先される。」
ゼノは淡々と答え、再び書類に目を落とした。その冷静な態度に、ミレーヌは少し苛立ちを覚えたが、何も言わず軽く頷いた。
「分かりました。それでは、これらの書類を処理してください。私は何かあればすぐに対応できるよう、外で待機しています。」
ミレーヌはそう言って軽くお辞儀をし、部屋を出て行った。廊下を歩きながら、彼女の心にはゼノの本音を探りたいという思いと、彼の信念を尊重したいという思いが交錯していた。
ミレーヌが去った後、ゼノは深く息をつき、手元の書類に目を落とした。
「守るべきものが増えるというのは、実に厄介なものだな…。」
その声は静かで、月明かりの中に消えていった。
――――――――
―――――
【約1年前】
薄暗い屋敷の一室。ゼノは無表情ながらもどこか引き締まった面持ちで、目の前に立つミレーヌをじっと見つめていた。彼女の端正な顔立ちは冷静そのもので、その瞳には隠しきれない挑発的な輝きがあった。
「ミレーヌ、今日から…私とあなたは付き合うことになる。」
ゼノは一息で告げた。彼の声は淡々としており、感情を表に出さないいつもの調子だった。だが、その瞳にはほんのわずかだが揺らぎが見えた。
ミレーヌは一瞬だけ目を見開き、次の瞬間には微笑を浮かべて軽く肩をすくめた。
「…はい。ですが、こんな感じなんですね。もっとロマンあふれるプロポーズを期待していたのですが。」
彼女の言葉には皮肉と茶化しが混じっていたが、その瞳には冷静さと鋭さが宿っていた。ゼノの表情は微動だにしないが、喉の奥で小さく息をつく。
「主から聞いているはずだ。これは私の意思ではなく、あなたが望んだからだ。」
「ええ、もちろん。トリントさんをあてがわれるくらいなら、ゼノさんを選びます。どうせなら有能で頼りになる方がいいですから。」
彼女ははっきりと言い切った。そのちゃっかりとした態度に、ゼノの目がわずかに細められる。
「なるほど、実利を優先するあなたらしい選択だ。」
「それが私の生き方ですから。」
ミレーヌは一歩ゼノに近づき、その顔を覗き込むように見つめた。どこか挑発的な笑みを浮かべながら言葉を続ける。
「それに…ゼノさんは、責任感が強くて、優秀な執務能力を持っていて、主に絶対的な忠誠を誓っている。それだけでも十分に魅力的ですよ。」
「評価は光栄だが、私は主の命令に従ったまでだ。」
ゼノは目をそらさずに応じたが、その声にはわずかな硬さが混じっていた。ミレーヌはその微細な変化を見逃さなかった。
「ええ、そうでしょうね。でも、ゼノさんに興味がある人がここにいることも忘れないでください。」
その言葉に込められた意味を、ゼノはすぐに理解した。しかし、彼はその意図をあえて無視するかのように静かに応じた。
「興味を持たれるほどの価値が私にあるとは思えないが。」
ミレーヌは肩をすくめ、わざとらしくため息をつく。
「謙虚ですね。でも、謙虚すぎると時には損をしますよ。…ゼノさんはそういう方じゃないと思っていましたけど。」
ゼノは答えず、ただミレーヌの言葉を受け流すように彼女を見つめた。その視線に冷たさがあるわけではない。ただ、彼の本音がどこにも見えないのだ。
それからゼノは、いつもの冷静さを装いながらも、なぜかミレーヌの言葉や仕草が頭に残り始めていた。彼女の何気ない行動や鋭い発言、時折見せる微笑みが、心の奥で静かに響いてくる。それが彼自身でも不可解だった。
―しっくりくる…。なぜだ。彼女を見ていると、何かが腑に落ちるような感覚がある。―
彼は、その正体を探ろうと無意識のうちに彼女を目で追うようになっていた。
ある日の昼下がり、ゼノは執務室の窓から庭で花壇の手入れをしているミレーヌを見つけた。風に揺れる彼女の茶色の髪は、光の加減で輝いている。だが、彼の目はその髪色に疑問をもった。
―あの髪の色、本当に自然なのか?―
ゼノは気付かぬうちに、ミレーヌの髪色に対する疑念を抱き始めていた。
――ミレーヌの髪の色が本物かどうか、確認してみる必要がある…。
ゼノは、誰にも気付かれないように行動を開始した。
「すまない。寝すぎたか?」
ゼノは肩を回しながら、落ち着いた声で尋ねた。けれど、その瞳には自分の状況をしっかりと把握しようとする鋭い光が宿っている。
「いえ、ゼノさん。お休みになるべきです。まだ完全には回復されていません。」
ミレーヌは少し眉をひそめながら、ゼノの顔色を確かめるようにして言った。その声には彼を気遣う優しさが滲んでいた。
ゼノはベッドの端に腰掛け、深く息をつきながら窓の外を見つめた。月明かりに照らされた彼の横顔はいつになく険しい。
「この状況で、私が回復したことを知られるわけにはいかないな。」
ゼノの低い声に、ミレーヌは静かに頷いた。
「そうですね。ですが、ゼノさん。どうしてそんなに急がれるのですか?」
彼女の問いにゼノは少しだけ微笑みを浮かべ、逆に問い返した。
「ミレーヌ。君は自分の行動の意味を本当に理解しているのか?」
「はぁ?意味、ですか?」
ミレーヌは首をかしげ、軽く肩をすくめた。彼女の表情には少しの戸惑いと苛立ちが混ざっていた。
「私がしたことなんて、大したことではありません。ただ、目の前のことを精一杯やっているだけです。」
その言葉にゼノは短く息を吐き、再び視線を窓の外に向けた。
「その『目の前のこと』が、どれだけの影響を及ぼすか、もう少し考えたほうが良い。だが、今さら後悔する時間もないか。」
「ミレーヌ。2日後には、私と共に動くことになる。準備を整えておけ。」
ゼノの言葉にミレーヌは一瞬驚いたが、すぐに頷いた。しかし、彼女の表情にはどこか釈然としないものがあった。
「分かりました。ですが、その前に何かお手伝いできることがあれば教えてください。」
「主の部屋と私の部屋から、必要な書類を全て持ってきてくれ。処理しておかなければならない。」
ゼノの言葉を受け、ミレーヌは軽くお辞儀をして部屋を後にした。彼女の足音が廊下に響く中、ゼノは一瞬だけ目を閉じた。
しばらくして、ミレーヌは大量の書類を抱えて戻ってきた。その姿は少し滑稽で、ゼノは思わず微笑みを浮かべた。
「持ってきました。これで全てだと思います。」
彼女は机の上に書類を丁寧に並べながら、息を整えた。
「感謝する。これでしばらくは休暇が取れる可能性が出てきたな。」
ゼノは軽く冗談めいた口調で言ったが、その言葉にミレーヌは驚いた表情を浮かべた。
「休暇…ですか?ゼノさんが?」
彼女は疑わしげにゼノを見つめた。普段から忙しさを楽しんでいるように見えるゼノが、休暇を望むとは思えなかったのだ。
「必要かどうかは、状況次第だ。全てが順調に進めば、休暇を取る余裕も生まれるだろう。だが、問題が起きれば、その対処が優先される。」
ゼノは淡々と答え、再び書類に目を落とした。その冷静な態度に、ミレーヌは少し苛立ちを覚えたが、何も言わず軽く頷いた。
「分かりました。それでは、これらの書類を処理してください。私は何かあればすぐに対応できるよう、外で待機しています。」
ミレーヌはそう言って軽くお辞儀をし、部屋を出て行った。廊下を歩きながら、彼女の心にはゼノの本音を探りたいという思いと、彼の信念を尊重したいという思いが交錯していた。
ミレーヌが去った後、ゼノは深く息をつき、手元の書類に目を落とした。
「守るべきものが増えるというのは、実に厄介なものだな…。」
その声は静かで、月明かりの中に消えていった。
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【約1年前】
薄暗い屋敷の一室。ゼノは無表情ながらもどこか引き締まった面持ちで、目の前に立つミレーヌをじっと見つめていた。彼女の端正な顔立ちは冷静そのもので、その瞳には隠しきれない挑発的な輝きがあった。
「ミレーヌ、今日から…私とあなたは付き合うことになる。」
ゼノは一息で告げた。彼の声は淡々としており、感情を表に出さないいつもの調子だった。だが、その瞳にはほんのわずかだが揺らぎが見えた。
ミレーヌは一瞬だけ目を見開き、次の瞬間には微笑を浮かべて軽く肩をすくめた。
「…はい。ですが、こんな感じなんですね。もっとロマンあふれるプロポーズを期待していたのですが。」
彼女の言葉には皮肉と茶化しが混じっていたが、その瞳には冷静さと鋭さが宿っていた。ゼノの表情は微動だにしないが、喉の奥で小さく息をつく。
「主から聞いているはずだ。これは私の意思ではなく、あなたが望んだからだ。」
「ええ、もちろん。トリントさんをあてがわれるくらいなら、ゼノさんを選びます。どうせなら有能で頼りになる方がいいですから。」
彼女ははっきりと言い切った。そのちゃっかりとした態度に、ゼノの目がわずかに細められる。
「なるほど、実利を優先するあなたらしい選択だ。」
「それが私の生き方ですから。」
ミレーヌは一歩ゼノに近づき、その顔を覗き込むように見つめた。どこか挑発的な笑みを浮かべながら言葉を続ける。
「それに…ゼノさんは、責任感が強くて、優秀な執務能力を持っていて、主に絶対的な忠誠を誓っている。それだけでも十分に魅力的ですよ。」
「評価は光栄だが、私は主の命令に従ったまでだ。」
ゼノは目をそらさずに応じたが、その声にはわずかな硬さが混じっていた。ミレーヌはその微細な変化を見逃さなかった。
「ええ、そうでしょうね。でも、ゼノさんに興味がある人がここにいることも忘れないでください。」
その言葉に込められた意味を、ゼノはすぐに理解した。しかし、彼はその意図をあえて無視するかのように静かに応じた。
「興味を持たれるほどの価値が私にあるとは思えないが。」
ミレーヌは肩をすくめ、わざとらしくため息をつく。
「謙虚ですね。でも、謙虚すぎると時には損をしますよ。…ゼノさんはそういう方じゃないと思っていましたけど。」
ゼノは答えず、ただミレーヌの言葉を受け流すように彼女を見つめた。その視線に冷たさがあるわけではない。ただ、彼の本音がどこにも見えないのだ。
それからゼノは、いつもの冷静さを装いながらも、なぜかミレーヌの言葉や仕草が頭に残り始めていた。彼女の何気ない行動や鋭い発言、時折見せる微笑みが、心の奥で静かに響いてくる。それが彼自身でも不可解だった。
―しっくりくる…。なぜだ。彼女を見ていると、何かが腑に落ちるような感覚がある。―
彼は、その正体を探ろうと無意識のうちに彼女を目で追うようになっていた。
ある日の昼下がり、ゼノは執務室の窓から庭で花壇の手入れをしているミレーヌを見つけた。風に揺れる彼女の茶色の髪は、光の加減で輝いている。だが、彼の目はその髪色に疑問をもった。
―あの髪の色、本当に自然なのか?―
ゼノは気付かぬうちに、ミレーヌの髪色に対する疑念を抱き始めていた。
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